元住ブレーメン
元住ブレーメン
高校生時代にベータマックスで映像に目覚め、フォーマット変遷を何世代と経た今、撮影から編集、映写まで4K環境がついに実現しました。ホームシアターのための家も建て、充実した日々を送っております。 コ…

日記

お気に入り製品

最新の日記

UHD-BD「Dunkirk」:ついにあの「Revenant」を超えたのか!?

本日12月19日、「発売前日にお届け」というAmazonの売り文句通り「Dunkirk」のUHD-BDが届きました。

このディスクは映像や音声に語りどころがたくさんあるのですが、映像マニアとしてはまず監督のクリストファー・ノーランに言及しない訳にはいきません。映画マニア受けする監督としても名声を確立しているノーランは、近年「バットマン・ビギンズ」で人気フランチャイズのリバイバルを深く重いストーリーでやってのけた後、ダークナイト三部作を完結させた一方で、「インセプション」「インターステラー」といったオリジナルストーリーの映画でも賞賛を浴び、今や超一線級の監督としての地位を確固たるものにしています。やりたいことをやりながら興行成績が素晴らしいのもすごいところ。この監督には映像にも大きな思い入れがあり、絶滅危惧種であるIMAXフィルム撮影の数少ない支持者の筆頭としても有名です。

通常のフィルム撮影は、35mmフィルムや70mmフィルムを「縦に」回して撮影しますが、IMAXフィルム撮影とは撮影する際に、70mmのフィルムを「横に」回して使用します。パーフォレーション(フィルムの送り穴)で測ると、通常は35mm X 4パーフォレーションとか、70mm X 5パーフォレーションですが、IMAXはなんと70mm X 15パーフォレーションと圧倒的に大きな面積を使用し、その分記録できる情報量が多くなっています。

画質的には圧倒的に有利なIMAXですが、短所もたくさんあります。まずコスト。下で解説しているような大規模予算の大作でないとまずIMAXフィルム撮影は実現しません。また、機材も大きく重く(この映画で使われたIMAX MK3は24kg)、撮影アングルが自ずと限られるほか、被写界深度の浅さから調整も難しいことも短所。さらにオペレーション時の騒音が大きく、収音を困難にしており、この映画に会話シーンが少ない大きな理由とも言われています。そしてアスペクトレシオが1.44:1と他のシネマフォーマット(1.85:1や2.35:1など)と大きく異なり、IMAX映画館でさえオリジナルの1.44:1で上映できるシアターは少なく(日本には大阪に一箇所)、さらにフィルム上映となると世界中に数える程しかありません。予算の問題をクリアしても、商業価値が限られている以上、IMAXフィルム撮影を行うには強い信念が必要でしょう。ノーラン監督はそれを(ふんだんに)持っているようです。

もともとアトラクションやイベント用の映像製作の為の機材として使用されていたIMAXフィルムカメラを、「ダークナイト」で初めて商業映画に使用したのがノーランでした。その後、IMAXフィルムカメラを大々的に使用した作品は10作品しかありません。

ダークナイト(2008)N
トランスフォーマー リベンジ(2009)
ミッション:インポッシブル ゴーストプロトコル(2011)
ダークナイト ライジング(2012)N
ハンガーゲーム2(2013)
スタートレック イントゥダークネス(2013)
インターステラー(2014)N
スター・ウォーズ フォースの覚醒(2015)
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016)N
ダンケルク(2017)N

Nマークがノーランが監督かあるいはプロデューサーや脚本として関わった作品で、10作品中のなんと半数を占めます。しかもほとんどは作る前から大ヒットが予想できるブロックバスターのフランチャイズばかりで、オリジナル作品はノーランの「インターステラー」と「ダンケルク」のみ。そして他のブロックバスターの予算が軒並み200億円を超えている一方で、「ダンケルク」の予算は半分と言われています。ちなみに「ダンケルク」は史実を基にした戦争映画(ダンケルクは地名のフランス語読みですが、映画の登場人物は英国人ばかりなのでみんな「ダンカーク」と発音しています)で、スーパーヒーローものや家族全員で行くアニメなどと異なり、大ヒットが約束されている訳ではありませんでした。確かにキャストは有名ながら渋いところ(ノーラン映画ではおなじみになったトム・ハーディやキリアン・マーフィ、マーク・ライランスやケネス・ブラナー)を要所に配する一方で、一番スクリーン時間が長い若い兵士たちは無名の新人が起用されていて、一人10億以上かかりそうな豪華キャストはいませんが、それでもその固い意志には頭が下がります。さらにノーランは所有の特別なIMAXレンズを、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を監督したJJエイブラムスや「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のザック・スナイダーに貸し出したりもしたそうです。この映画ではIMAXのフィルムカメラの他に、パナビジョンのカメラも使われていますが、全編70mm収録という近年珍しい作品です。また、デジタルインターミディエイトを使っていないという情報もあり、その分フィルムの可能性を最大限に生かした映画と言えそうです。

ちなみにノーランはNetflixは「映画館での視聴体験を駆逐しかねない」として、否定的な立場をとっています。フィルムで製作し、大画面、大音響で暗い中で集中してストーリーを観ることがノーランにとってベストの視聴方法なのでしょう。

さて「ダンケルク」ですが、横浜在住の私には映画を観に行く為に大阪に行くのは難しく、9月の公開当時、川崎にあるIMAXシアターで鑑賞しました。その時の印象は実は期待したほどのインパクトはなく、解像感は平均的でちょっと抜けの悪い映像で、ガッカリしました。スクリーンが大きい分、画素やその揺らぎが見えてしまい、品位という意味でもイマイチでした。これは先日封切りした、「Revenant」と同じARRIの6.5Kデジタルシネマカメラで撮影し、IMAX上映した「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」も同じでした。ただ、これは川崎のシアターのIMAXプロジェクターが2KのDLPで最新のものではないことが原因だろうと思ってもいました。そして、自宅でリアル4Kでレーザー光源のプロジェクターで観るUHD-BDの印象は全く異なるものでした。映像のユニフォミティや解像度さらにダイナミックレンジは確実に川崎のIMAXシアターを上回り、おかげで精緻なディティールが際立つ一方で、大きなボケは美しく、全体に柔らかい雰囲気のある画調はまさにフィルムルック。ただ、「Revenant」の様に純粋に映像美を楽しむシーンは少なく、あくまでも臨場感を高める要素としてこのラージフォーマットのフィルム映像が使われており、それは確かにこの映画を特別なものとしています。また、HDRも効果的でデジタルに比べ明部の階調が飛びにくいフィルムの特性をうまく見せてくれています。音響もストーリーのスケールの大きさとマッチして大迫力。ただし、DTS-HD MAで、DTS:XやAtmosではありません。3D映像を完全無視したクリストファー・ノーラン監督は、3D音響も無視してかかるのでしょうか。ノーランの次回作はセルフリメイクの「メメント」。公開時期も決まっていませんが、次にどの様な映画を見せてくれるのか楽しみです。



過去ログは検索しやすいこちらをどうぞ

最新のレビュー/コメント

SONY

FDR-AX100(Handycam)

¥OPEN(予想実売価格220,000円前後)

発売:2014年3月14日

製品DBで詳細を見る

この製品にレビュー/コメントを書く

ほかのユーザーの登録・投稿を見る

この画質はもはや動く写真 - 二ヶ月後の感想

「手頃」と言える4Kビデオカメラが早くもソニーから発売されました。昨年発売されたFDR-AX1は業務用機PXW-Z100の兄弟機で3840x2160@60pでの録画が出来ますが、大きく重いのと、メディアが高価で普及していないXQDカードしか使えないなど「手頃」とは言えませんでした。また、私はHDVの頃から旅行記や風景や自然を収録した自作品では映画っぽい風合いが得られる24pを一貫して使っており、60pまでは必要ないのですが、そこにピッタリなのが今回発売されたFDR-AX100です。

FDR-AX100は上級機を上回る1インチという大型のCMOSセンサーを使用しており、解像度、感度ともに申し分ありません。特徴的な大口径のレンズを中心にデザインも上手くまとまっていて、完成度の高い製品です。撮影も「普通に」出来てしまいますが、大画面を前提とした4K撮影の場合、もはや映画を撮るくらいの姿勢で臨まないと4Kの良さを生かせないばかりか、逆効果になってしまうことにもなりかねないと感じます。まず三脚は必須で、手持ち撮影は(映画同様)あえてその効果を生かす意図がある場合に限った方が良いでしょう。それぐらい4Kの解像度は圧倒的で、ディティールに目が行きやすい分、揺れに対して厳しいという一面があります。まだテスト撮影くらいしかしていませんが、一方で大型センサーに由来する大きなボケは魅力的で、従来の「ビデオ」とは一線を画し、もはや「動く写真」の印象を持ちました。オートフォーカスはちょこちょこと動くタイプではないのですが、ショックを防ぐためにあえてそうしているかとさえ思ってしまいます。ズームはシーソー式の可変スピードのボタンがありますが、私はタッチパネルの低速ズームボタンを使いやすく感じています。何しろ、揺れや大きな動きは禁物です。

一方で、撮影した後の編集はあっけないほど簡単です。かつて、DVやHDVが出始めのころに苦労したことが嘘のようで、何の工夫もいりません。このカメラの4K映像の記録フォーマットはXAVC Sという、H.264ベースのLongGOP、4:2:0カラースペースの約60Mbpsというものですが、記録メディアにSDXCカードが必要(SDHCカードはexFATでフォーマットすると認識されますが記録が出来るかはカードの実力次第)なこと以外に特別なことはありません。記録された映像はMP4ファイルになり、QuickTimeプレーヤーやFinalCutProXから直接開くことができます。編集も特に制限や問題はなく、私のメモリ16GBでIvy世代のCore i7搭載MacBookPro Retinaでは編集時の再生は低解像度になり、エフェクトやタイトルなどは「4K対応」のものに限られますが、十分普通に編集が出来ます。パフォーマンス的にもプロキシを使用する必要を感じません。

我が家ではFCPXで編集した映像を、QuickTimeムービーとして出力し、4K対応のHDMI出力を持ったDynabookで再生し、ソニーのVPL-VW1000ESで130インチのスクリーンに投影していますが、その(当たり前ですが)グレイン感のない超高解像度の映像は、新鮮で圧倒的です。20万円そこそこでこの画質が手に入るとは技術の進歩を痛感します。

二ヶ月経って、当初は分からなかった(使い方によっては分からなくてもよい)ポイントが出て来たので、追記しておきます。
・タイムコードの管理が出来ない。また、録画中のカウンターも表示されない。
・オートフォーカスの反応が悪い。また、ピーク表示は見にくい。
・液晶パネルはかなりイマイチ。かといってEVFは見やすい訳ではない。
・ボケ味は硬く、センサーサイズから期待した程にはきれいにボケない。
・アイリス、シャッター、ゲインを独立して簡単にコントロール可能。
・三段階または可変スピードを選べるパワーズームは表現に大きく貢献。
・内蔵NDフィルターはビデオカメラでは当たり前だがやはり便利。
・バッテリーの持ちは良くない印象。付属のバッテリーだと普通に録画して録画時間で一時間保たない。
・絵作りはパナのGH4と対照的にオーバーなくらいシャープ。ワイドのパンフォーカスは(良くも悪くも)カリカリに見通しがよい。
・ガンマや画調の調整はほとんどできない。
・デジタルズームは範囲をわきまえて使えば4Kでも高画質。

というわけで、技術的なことは何も考えずにフルオートで4Kの解像度を楽しみたい人、ズームを表現の重要な要素と捉える人にお勧めできます。凝りたい人には現状ではパナのGH4の方が適していると思います。

【SPEC】●イメージセンサー:1.0型(裏面照射型“Exmor CMOS”センサー) ●有効画素数:1,420万画素 ●ズーム:光学12倍 ●液晶モニター:3.5インチ(16:9)/約92.1万ドット エクストラファイン液晶 ●記録媒体:SD/SDHC/SDXCメモリーカード、メモリースティックPROデュオ/PRO-HGデュオ/XC-HGデュオ ●連続撮影時間:約2時間15分(スタミナ最大) ●外形寸法:90W×83.5H×223.5Dmm(付属バッテリー装着時) ●質量:約915g(付属バッテリー装着時)

マイルーム

ホームシアター「建築」記
ホームシアター「建築」記
持ち家(戸建) / 専用室 / オーディオ・シアター兼用ルーム / 16畳~ / 防音あり / スクリーン130型以上 / 8ch以上

我が家の(地下室)ホームシアターです。 もともとは賃貸派の私でしたが、好きなときに好きな映画や音楽を好きなだけ好きなように鑑賞するには、持ち家しかないと一念発起。2005年の10月に地上二階、地下一階の家が完成し、夢がかないました。 ・地下ホームシアター 地下の外枠鉄筋コンクリートの約20畳の専用室です。リアル4Kのレーザー光源プロジェクターとゲイン1.0/1.4の二枚の130イ…

所有製品