ESOTERIC
X-05
¥504,000(税込)
発売:2007年12月上旬
良いけど、+30万円の追加予算はいるよ
自分はフュージョンやバンドアンサンブルで奏でるようなポップスなどエレクトリック系の音楽が好みで、編曲者がその曲へのアプローチを託しているベースラインをいつの間に耳で追いかけてしまいます。X-05は批評によれば同価格帯の他のSACD/CDプレーヤーと較べて抜きんでて輪郭やら解像度がハッキリと表現してくれるとのことで、音の傾向に関しては迷いはありませんでした。
実際、アタリでした。解像度とともに描写力もたいへん優れていまして、たとえばギターやベースなどの弦楽器のその弦のピッキングのニュアンスまで表してくれます。これは驚きでした。さすがはエソテリックというところですね。そんな素晴らしいX-05ではありますが、やや不満点もあります。
まず、セッティングに神経質だという部分。置き場所を選びます。堅牢なYAMAHA GTRラックにむき出しで載せていますが、一時期はGTRラックの中の棚板に載せて収納していました。そしたら、とたんに音が悪くなったんです。また、アンプ(自分の場合はマッキントッシュMA6900)と同じラック上では振動が伝わるのか、これもダメで、いま現在はアンプを置いているラックと独立させたラックに載せています。なんと、わがままなX-05様です。
それから、X-05にはデジタル出力端子はあっても、デジタル入力端子がないのです。だから、トランスポートとして分離して使えますが、DACとしては使えません。同じエソテリックでX-05とは同価格帯のSA-50はデジタル入力端子はあり、同軸と光の他にUSB入力端子まで備えているし、両機のライバルとなるLUXMAN D-06もUSB入力端子こそないけど、同軸と光のデジタル入力端子を備えています。ここがかなり惜しい点ですね。X-05はSACD/CDを再生するためだけの機器なんです(ま、当たり前なんですが)。しかしながら、解像度を求めている人にとっては、揺るぎない選択なのは間違いありません。
融通の利かないX-05ではありますが、内蔵のデジタルフィルターのプログラムの選択で音の傾向を変えられる楽しみがあります。それがボタン操作で簡単に切り替えられ、「Wide」(取扱説明書曰く:響きの豊かな、スローロールオフ特性のフィルターです)と「Narrow」(取扱説明書曰く:切れの良い、シャープロールオフ特性のフィルターです)がありまして、あきらかな音の差異が聴き取れます。ただ、「Narrow」のほうがX-05の特性にあっているように感じまして、「Wide」はたんに“引き立て役”にすぎませんでした。あれを導入するまでは・・・。
X-05をはじめ、エソテリックのSACD/CDプレーヤーにはワードシンク機能が付いていまして、せっかくなので同社のマスタークロック・ジェネレーターのG-03Xを購入してつなげてみました。印象としては、音が澄んだ感じになりました。それにともなって、G-03X導入以後は「Wide」も「Narrow」と同じくらい使えるようになっていきました。X-05のパフォーマンスをより発揮出来るものとして効果抜群です。
+30万円のオプションになりますが、X-05の音が悪くなったり、好みの音から外れていくわけでもなく、なによりもエソテリック推奨装備なので購入して正解としましょう。しかし、これから人に「X-05はどうなの?」と聞かれたら、「良いけど、+30万円の追加予算はいるよ」と答えなければなりません(笑)。

【SPEC】●再生可能ディスク:スーパーオーディオCD/CD/CD-R/CD-RW ●アナログオーディオ出力:XLR×1、RCA×1 ●デジタルオーディオ出力:光デジタル×1、同軸デジタル×1 ●ワードシンク入力:BNC端子×1 ●周波数特性:5Hz~80kHz (スーパーオーディオCD、DSDモードダイレクト時) ●S/N比:130dB (スーパーオーディオCD、1kHz、JEITA) ●ダイナミックレンジ:107dB (スーパーオーディオCD、1kHz、JEITA) ●消費電力:15W ●外形寸法:442W×153H×353Dmm ●質量:17kg