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dCSやCHよりも素敵なMSB SELECT DAC


今までの人生の中で、一番素敵な音に出会いました。
MSBというメーカーの出す「SELECT DAC」というDACを用いたシステムで、単体価格1230万円(税別)と、世界屈指の値付けですが、
幸運にも、福岡「マックスオーディオ小倉店」にて、期間限定で聴く機会を得る事ができました。
送り出しはDAC以外アキュフェーズのフラグシップ機で、スピーカーはB&W 802 D3です。

このようなオリジナリティに富んだデザインの場合、スタンダードなスクエア型の機器と比較し、こぢんまりとしている事がままあるのですが、
そのような事は一切なく、堅固性は確保されておりました。


さて、まずは試聴室に積まれてあったHalie Lorenをかけてもらいます。
……!?!

次いで、Warnes JenniferとKelly Sweetをかけてもらいます。これ以降、流してもらったのはずっと持参したCDです。
……しかし普通だと、そう形容する他ありません。記憶にも残らない、どこにでもありそうなオーディオイベントブースの音でしかありません。

ある程度、この機器の前評判は耳に入っていました。
「デジタルの概念を覆す」だとか「リアルなサウンド」等の謳い文句が並んでいます。
更には、この強気な価格設定です。

だとすれば、dCSやCH Precisionは超えていなければなりません。
けれどもそのような事は一切なく、MSBというブランドの顔が見えてこないのです。


(あんなセールストーク、珍しくもなんともなかった)
暗澹たる諦めの中、声優・小倉唯のアルバムを預け、DP-720が操作され「Baby Sweet Berry Love」が再生された瞬間。
意識は、フワッと飛びます。


小倉唯の持つ、とても甘口な幼声が試聴室いっぱいに広がり、空気・唾液まで甘くなってしまったような錯覚を覚えます。
しかし一辺倒なのではなく、一番低い音から一番高い音、地中に埋もれていた温泉が次から次へと湧き、エネルギーに満ち溢れています。
そこに機器の表情、過剰演出はありません。源泉掛け流しのように、音楽を純粋に奏でています。


その後も小倉唯の曲を数曲かけさせてもらった後、
豊崎愛生・fhana ・ミルキィホームズ ・井口裕香と、それぞれ音質的・音楽的にも大きく幅のあるアーティストの声優・アニメソングを流してもらいます。
しかし、いずれも違和感なく気持ちよく鳴ります。そして、そのアーティストの持つ良さと個性が、部屋中に広がります。


このような体験は初めてでした。
自分は外で試聴をする際、Warnes Jenniferの「The Hunter」をよく流してもらいます。
しかし、それはどのような機器でも違和感なく鳴り、傾向・性能を掴める汎用性の高さと、体裁を繕うためでしかありません。
なぜならば、オーディオを初める以前と現在も、聴いてきた曲は声優・アニメソングでしかないのですから。

それでも懲りず、自分一人とスタッフだけで隔離されていて、時間に余裕があるようなシーンでは、後に上記ジャンルを流してもらいます。
しかし、音質の破綻の皮切りと同時に、音楽その物が破綻する事も珍しくありません。
音質が良いとされる音源でも、あの機器では幻想的な音に身が震えたのに、この機器では萎びた音しか鳴らないという相性問題も生じます。
だからこのような音源の場合、やはり趣味趣向に合わせて耳当たりをよくさせた拙宅のシステムが、ともかくは何を差し置いても自分だけにとっては汎用性が一番高いと考えてきました。

けれども、SELECT DACを聴いて考えは一転します。
全てが、出てきた音の全てが、何に置いてもその全てが、今まで聴いてきた中で一番素敵なのですから。
なのに、先ほど挙げた「幻想的」と言うような、本来CDが有し得ない恍惚感を作り出す事はなく、寒色系・暖色系という言葉も不似合いでいて、解像度の高さに染まる事もありません。
また、正確無比で無駄がなく、深淵のどん底まで照らし出すだなんて事もありません。

驚いた事にSELECT DACは、それまでアナログ音源にしか存在しなかった、唯一無二の潤いと温もりに包まれた生々しさと迫力を有しているのです。
なのにそのダイナミックレンジは、デジタル音源でしか有し得ない物でいて、情報量、その他要因においても、既存のDACを上回る仕上がりです。
完全無欠に、デジタルデータをアナログへとコンバートしている一方で、スポイルしている物は一切ないのです。

試聴では、その機器の音質を見極める事が第一です。だから良いと思ったら、まずこう思います。
(この機器は○○なところがいいなぁ……)

SELECT DACはこの上なく素晴らしい物です。だけどそれでも、ずっと私はこう思っていました。
(この曲はいい!)

いつからか、音楽を聴く際には音質を据えて聴くようになっていました。
それらは確かに音楽性を高め、感動をも深めてくれます。
でもこの時の私は、ヘッドフォンをプレーヤー直繋ぎで聴いていた幼少期のように、無我夢中でした。
長らく忘れていた童心を思い出し、意識は音楽その物にしかありません。

だからこそ、最初にかけた数曲に対し何も感じなかったのは、私が「ハイエンドらしさ」「分かりやすさ」だけを求めていたからでしょう。
曲に対するリスペクトがなく、そこへ向き合う意識が欠落していたのです。


「ありがとうございました」
未知のハイエンド機器を聴いた後、(いい音だったなぁ……)等とハイエンド酔いをするか、(あー、こんな音なんだ……)等と感傷に浸るのが常です。
だからこのような挨拶は、通常「試聴をさせてくれてありがとう」「付き合ってくれてありがとう」以外に意味はありません。

「今までに聴いた、どのような音よりも素晴らしかったです。とても貴重な経験ができました。本当にありがとうございます」
その日の私の心は、良いコンサート後のような余韻が、止めどなく続きました。


――
【補足1】
今回聴かせていただいたSELECT DACですが、上位クロックの「Femto 33 Clock」が積まれていましたので、価格は1350万円(税別)となっていた模様です。
http://www.msbtech.com/products/dacSelectDetail.php?Page=dacSelect
> Standard with Galaxy Clock (included)
> Upgrade to Femto 33 Clock (Add $9950.)

更には電源筐体を追加できるようで、これ以上どんな音が鳴ってしまうのか、もはや想像だに及びません。
> Standard DUAL SELECT Power Base (included)
> Upgrade to a pair of Single SELECT Power Bases(Add $19950.)

【補足2】
MSBは本機のボリュームを使用し、DAC兼プリアンプとして使用する事を推奨されておりますが、個人的にはC-3850を介した方が自然的でいて好ましかったです。

【補足3】
通常、このような千万円級の機器はあまりにも非現実的すぎるため、ただの思い出の一つとして終いになります。
けれども、これは田舎の大広間のような居心地の良さがあり、現実なのではないかと、思わず錯覚してしまいます。
だからこそ、数日は自分の無力感が辛くてならず、赤裸々に記事として記した次第です。

今後、本機は本国送りとなる模様で、未だイベントでは昨年9月のTIAS以外では披露されておりませんが、
幸運にも聴ける機会を得られた方は、是非ともご愛聴ソフトでお聴きください。

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