柳緑花紅
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オーディオと音楽会通いを続けて四半世紀、我ながらよく続くものだと思います。大型犬と小型犬のような息子2人の邪魔をかわしながら狭い部屋で楽しんでいます。

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新スピーカ導入記(その3)均衡のとり方は時と共に変化する

10/14
10時ごろ起床。上の息子が、何時ごろなら卓球に行けるのかと尋ねてくる。そうか、そんな約束をしていたか。最近本当に記憶が怪しい。やることが多すぎて一つ一つ覚えていられない。軽く食事を済ませ、自転車で区営のスポーツ施設に出向き、2時間あまり卓球に没頭する。

いいショットを決めて「チョイヨーッ!」と意味不明の雄叫びをあげる愚息。うむ、君は日本人なのだ、中国人選手の真似をしなくてもよろしい。自分の息子のこととなると、どうしてこうしなくてもよい説教をしてしまうのだろう。手加減は一切しない。幸か不幸かまだ私のほうが強い。私のほうが強いうちは息子は私と遊んでくれる。いずれこちらは歯が立たなくなり、そして子供は離れていくだろう。それでいい、そういう日が早く来てほしい。さっさと追い越していけ。

さて、昨日迎え入れた1本目の空箱を狭い我が家に置いておくわけにもいかない。ただでさえ、今夜にはもう一箱増えるのだ。自宅からクルマで15分ほどの場所に両親が所有する、現在空き家にしている古家に運ぶ。鍵は隣に住んでいる叔父に開けてもらう。何?そのでっかい箱。何を買ったの?へぇー、そんな趣味があったんだ。そういえば、叔父とこんな話をするのは初めてかもしれない。近くに借りている畑で収穫してきたばかりの野菜をもらう。ご馳走様です。しばし談笑。叔父にそこから首都高速の最寄の入り口と道順を教えてもらい、その足で成田に向かう。

雨がパラつく中、15:00過ぎに成田に到着。昨日やったのと同じことをやればいいので不安はない。幸い雨も上がって日が差してきた。日がまだ高いので昨夜はよく見えなかった貨物地区の様子がよく見える。普段見られない光景なのでとても興味深い、飽きがこない。しばらく見学していたい気分だ。

この「貨物地区」が日本という国のスケールからして広いのか狭いのか、判然としないのだが、肌感覚としてこれぐらいの規模なんだというのが体感できちょっと満足な気分。後日地図で目算した感じからすると、広さは500メートル四方といったところか。海外から日本にやってくる、または飛び立つ航空貨物の何割ぐらいが成田を通るのだろう、、答えは約6割。グーグル先生は本当に何でも知っている。正確にいえば、誰が何を知っているのかをとてもよく知っている。

もう一本を積み込み、夕刻のラッシュに巻き込まれないよう足早に貨物地区を立ち去る。帰宅し、食事を済ませ、下の息子を風呂に入れ、一段落するとあっという間に21時。ここからが今日の本丸、もう一本を運び込む。あれれ、昨日やったのと同じ手順を踏めばいいはずなのに、記憶が怪しい。

あぁ、こっちの箱に入っていたのか。生みの親直筆の出荷前チェックリスト。丁寧なサインに人柄が現れている。同時に、フランコはもうこの世にいないのだという事実をつきつけられ、一抹の寂しさを覚える。


こちらもとりあえず結線し、夏のあいだ活躍してくれたJBL4312Eの前に仮置きして、こんどこそステレオで音だしする。クテマのレビューは既にいろいろな方が公開しており、私が一から書く必要はないだろう。これまでメインで使用していたガルネリ・メメントとの比較でそれらを補うとすれば、、、

まず第一にサイズ的な制約からの解放。メメントの緻密で深い表現はすばらしいのだが、やはり大編成のスケール感を出すのは難しく、やせ我慢を強いられる。サブウーファー追加などそれを補う手立ても試みたが、一体感を持って鳴らすには私の腕では至らなかった。クテマでは、やせ我慢は必要ない。また、ウーファーが後ろ向きに設置されていることの功罪についてもすでにいろいろな方がさまざまにコメントされているが、私にとっては、こちらの低音のほうが自然に感じられる。具体的には、コンサートホールで聴く低域は指向性が低く、コンサートホールの壁面に反射してフワッと柔らかく包み込むように鳴ると感じる。クテマの低音はそれに近い。ただ、後方や左右の壁からの距離などセットアップに関してはシビアだろう。

第二に、中域の質感が微妙に異なる。メメントの中域はクテマのそれと比較するとやや線が太く、強い鳴り方と感じる。対してクテマのほうが繊細(人によっては細身と感じるかもしれないし、また逆に言えば解像度が上がったと捉える向きもあるだろう)と感じる。この違いは、メメントのウーファー(2代目アマティやストラディバリではミッドレンジ)がメタルコーンであるのに対し、クテマの2発のミッドレンジがペーパーコーンであるという素材の違いに起因するものとに感じられる。思えば、アッコルドもウーファーはペーパーコーンで、それがソナス・ファベール時代のオマージュ・シリーズとフランコ・セルブリン・ブランド時代の作品との音の微妙な違い、狙いとするところの微妙な違いなのだろう。どちらも絶妙な均衡を保っているのだが、その均衡のとり方が異なるのである。さながら、優れた画家の作風が年齢を重ねるとともに変化し、また演奏家の表現が変化するように。あくまで個人的な見解だが、その意味においてソナス・ファベール時代のフランコの作品と、自らの名前を冠した時代のそれとは、比較して優劣を語るべき対象ではなく、あくまで聴き手の嗜好において好きなほうを選び取るべきものなのだろう。

明日からまた1週間がはじまるので、これ以上の夜更かしは禁物だ。後ろ髪を引かれながらも電源を落とす。クテマを無事送り届けてくれた前の持ち主に今週末の出来事を伝える。無事届いたよ、ありがとう。スパイクはともかく、本体には傷ひとつなく、大切に扱われていたのだと容易に察しがつく。実は2本同時に運べなくて、結局空港を2往復したんだけど、貨物地区や通関は初体験で楽しかったと。写真は、6年前のiPhone5なのであんまり綺麗に撮れないけど、翌朝撮ってひとまず送る。



10/15
いやぁー、ホッとした。肩の荷が下りたよ!との返信あり。グーグルマップで(私の)自宅と成田の距離を調べたんだけど、あんな遠い距離を2往復とは大変だったね、しかし、クテマを1本だけで聴くなんて、さしずめ拷問のようだっただろう、、云々。ちなみに、スピーカ本体のアルミの鏡面部分を磨くためのポリッシャーを同梱してくれていた。マッシミリアーノ(フランコの義理の息子)に確認したら、これがいいと勧められたものだという。ただ、あんまり使い過ぎないように、とも。また、ゴムの簾はいずれ伸びてくるので、予備を入手して後日送ってくれるという。うん、メメントで経験済みだから分かるよ、感謝。



10/15-10/30
以前のように毎日の交換日記が必要なくなってしまったのが少々淋しい。それでもセットアップに関して質問したり、それ以外のオーディオに関する出来事をぽつぽつとやり取りしている。

ここのところ、とあるオーディオのイベントでプレゼンテーションがあり、忙しかったらしい。少々前に知ったのだが、サイドビジネスとしてオーディオ・ジャーナリストとしても活動しているとのことだった。どうりで英語が達者、筆が立つ訳だ。なんでも今回のイベントで鳴らしたYG Sonja2.2とPlayback DesignsのDream Seriesがすばらしかった、と興奮気味。当日使用した機器に囲まれたアンドレアス・コッチの写真が送られてくる。PlayBackはわかるけど、YGとはまた違う路線だなぁ。なお、クテマの次のスピーカーはミラノのショウで聴いたKaya90に決めたという。人のことは言えないが、彼もなかなか気が多い。Kayaは足が6本もあるのでスパイク受けを追加で買わないとならない、とも。

Playback Designsといえば、MPS-5は世話になっているオーディオショップのリファレンスで私もお気に入りだと伝えると、コッチは東京のショウ(TIAS)にも行く予定だときいたから、よろしく伝えて欲しい、あと、デジタルに関して聴きたいことがあれば彼は何でも教えてくれるよ、とのこと。質問する以前に、私自身がデジタルをもう少し勉強しないといけない。残念ながらコッチの来日は今年は実現しなかったとナスペックのブースの方に聞いたが、いつかコッチの話を直接聞いてみたい。


11/1-11/12
セットアップに四苦八苦している。そもそも現在の6畳でクテマを鳴らすという行為が無謀なのは承知している。近い将来、次男坊が自分の部屋を要求してくるタイミングで明け渡し、リビングに引っ越すことになろうが、とりあえず今の部屋でいける所まではいってみたい。アキュフェーズDG-38のカーブもメメント用に最適化された状態のままいじっていないし、両スピーカの間のラックは追い出したい。やれることは山ほどあるのだ。後方の壁から50cm離すと、音量次第ではあるが低域がだいぶコントロールされてくる。そのまま前に移動していき、75cmを超えたあたりで突如乱れる。仮設置のときは1mぐらいの距離があり、この状態だと私にとっては爆音状態といえる音量でもまったく破綻しないが、落ち着いて音楽に浸るにはいささか無理があるセッティングだ。このあたりの状況を伝え、アドバイスを乞う。

返事がくる。クテマのスパイク受けの位置はマジックで床に印をつけていたのでまだ残っており、測ったところ、後方の壁から73cmだったそうだ。経験的には60cm~75cmの間のどこかにスイートスポットがあるが、問題は後方との距離よりもむしろ左右の壁との距離で、残念ながら自宅では部屋のサイズの制約上、60cmしか取れなかったとのこと。なお、あるオーディオ雑誌のリスニングルームでセットアップを行った際は、左右の壁から110cmのところでどんぴしゃりはまったとのこと。ただ、クルマでいえばフォーミュラカーのようなものなので、数10cm単位の調整からセンチ単位、最後はやはりミリ単位の追い込みが必要、ともある。

また、彼もルームアコースティックの調整には余念がないようで、REWAudioLenseなどを用いて周波数特性やタイムドメインを制御するデジタル・フィルターを自分で作成し、Roon ROCKサーバのコンボリューション・エンジンに積んでいるとも。ちょっと複雑だけどとても楽しい、、らしい。

筆末で、珍しく愛娘に対する愚痴をこぼしていた。「自分が音楽、とくにクラシック音楽とその再生に捧げる情熱を何とか娘にも伝えようと努力しているつもりだが、これがなかなか簡単じゃない。娘は時として自分が聴いている音楽に興味を示すが、どちらかというとオペラやジャズに興味があるようなんだ。今の世の中、残念ながらSPOTIFYが若者の世界を支配していて、娘がそこからダウンロードして聴いている音楽は、、ひどいものだよ」

ちょっと考えて返事を返す。「自分自身を振り返ってみると、小学生の頃、私の父も同じように私に接していた。子守唄がわりにジョージ・セルのモーツァルト40番を聴かせたり、10分ももたず寝てしまうのを承知のうえで音楽会に連れて行ったり。その期待を半ば裏切って、中学生ぐらいからはジャズばかり聴いていた。社会人になって一人暮らしをはじめると、部屋が狭いこともあってまともなオーディオ装置すら持っていなかったよ。だけど結婚して少し広い家で暮らすようになった頃から、どういうわけか貪るようにクラシックを聴き始めて、結局クテマみたいな大層な装置を欲しいと思うに至ったんだ。だから、言いたいことはすごく良く分かるし、自分も2人の息子に同じように接しているけど、いうとおり、簡単じゃない。でも、メッセージは送り続けようと思う。『はやくこっちの世界に来い』ってね。」


12/24
近い親戚で集まってクリスマス・パーティをする。クテマ、薔薇の名前、のイタリアつながりの続きじゃないけど、イタリアのワインを開けることにする。コルクが途中で折れて、あれれ、ダメかな、仕方なく残った半分は瓶の中に落としたが、中身は生きていてまさに飲み頃、どんどん開いていった。


12/25
3連休の間にクテマを聴きながらPlayback DesignsのDACについていろいろ調べていたところ、彼がMerlot DACについて書いた記事を発見。イタリア語だが、グーグル先生にかかればまさに秒殺。読んでみたが、いまひとつ歯切れが悪い。本当のところどうなのだろう。メリー・クリスマスの挨拶がてら、また小難しい質問を投げてしまった。あわせて、「薔薇の名前」を読んで感銘を受けたこと、昨日飲んだブルネッロ・ディ・モンタルチーノがすばらしかったことを伝える。


数時間後に返事が来る。「いま僕がどこにいると思う?クリスマス休暇でモンタルチーノの弟のところに来ているんだ!もちろん、赤ワインを楽しんでいるよ。もらった質問には、iphoneではとても答えきれないので、ローマに戻ってから返事をする。悪いけどちょっとまっててくれ」

...どうやら同じ穴のムジナ、似た者同士のようである。VIVA ITALIA、イタリア万歳!

(完)

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