パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

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ショスタコーヴィッチの宣伝を思い立って、音楽を語ることについて考える

ショスタコービッチのヴァイオリン協奏曲1番。美しい旋律をたっぷりと味わせてくれると同時に、ヴァイオリンの華々しい技巧も楽しめる、解りやすくて聴き所の多い作品です。もっと人気があっても良いのでは? ということで、今日は、この曲の宣伝をしてみようと思い立ちました。宣伝ですので、この曲にまつわる難しい話は一切忘れることにしましたので、ご安心を(或いは、悪しからず)。

でも、正直、困っています。よく聴く録音は幾つかあるのですが、その時々の気分で、良し悪しが全く違ってしまうのです。

一つ目は、バティアシヴィリがサロネン指揮バイエルン放送交響楽団と録音したこれ。

どこまでも美しいヴァイオリンの響きに驚かされます。滑らかに切れ目無く流れていく旋律を、更に際立たせるような純粋な「音」の美しさ。全ての影を消してしまうような、なめらかな陶器の光沢。録音も人工的な響きが乗っていて、この世のものとは思えません。思い浮かべるのは、有名ブランド化粧品の広告に登場するモデルの肌。虚構であることが暗黙の了解。でも、現実にはありえない理想の美しさの「型」は強烈な吸引力を持っています。

もう一つは、ムローヴァが、プレヴィン指揮ロイヤル・フィルと録音したこれ。

コントラスト、明暗をくっきりと描き出すムローヴァの絃の響きは、時としてざらついた感触を耳に残していきます。美しい旋律、華々しい協奏であっても、この作曲家の作品に常に潜んでいる皮肉や恨みを思わせる揺らぎまで、彼女の響きは、あからさまに見せてくれます。同じ例えを使うなら、モノクロ写真で産毛や傷跡までくっきりと映し出されている、ありのままの素肌。そのリアルな、なまめかしさは、思わず手を伸ばして触れたときの感覚を心に滑り込ませてきます。純粋な人工美とは別の意味で、こちらの誘惑する力も相当なもの。

心に動揺、苦味を抱えていて、それを共有・共感してくれる音楽を聴きたい気分の時、そういう時はムローヴァを引っ張り出します。逆に、そんな重い気分に同調・同期する音楽なんて鬱陶しい、そんな気持ちは棚に上げて、滑らかな音の誘惑に単純に身を任せたい時もあります。そういう時はバティアシヴィリ。この二つの対照的な演奏ですが、ある時は一方が全く心に入って来ず、もう一方がしっくり来る、ある時はその逆ということが多いのです。

そうは書きましたが、そんなに年中、「動揺」だの、「苦味」だのを抱えているわけでは当然ありません。ムローヴァでは重過ぎ、バティアシヴィリでは陶酔し過ぎと感じてしまう、暢気な気分の時(という場合が圧倒的に多いのですが)に登場いただくのが、ハーンとヤノフスキ指揮オスロ・フィルのこの録音。


ハーンの演奏が美しくないとか、陰影が薄いとか、そういうことではありません。逆に、絃の響きの力強さも、刻々と変っていく心理状態の多彩な表現も、決して負けていない素晴らしい演奏です。でも、一番の特徴は、その走り抜けるようなスピード感と爽快感。前の二人に共通する、粘着質な所が全くなく、まるでスポーツを見ているよう。この演奏で気持ちが高揚するのは元気な証拠? でも引っかからない時には、上滑りしてBGMの様に流れるだけということもあり・・・・。

ということで、三者三様、どれも夫々、良いのですが、どれも、何時聴いても絶対に外さないとはいえない困った状況です。でも、この曲に限らず、日記で、この曲のあの演奏が好きと書いていても、聴く側の状況でその評価がコロコロ変るのは、実はよくある話ではあります。そう言ってしまうと、こういう感想自体が成り立たなくなってしまいますね。でも、それが音楽を聴くということの、一つの本質なのかもしれません。

つまり、絶対的な真理や正さがあるわけではない中で、それでも心に響く体験を求めたい、そして、どこがどう聴くと「心に響く」のかについて他の方と共有・共感したい、そういう思いが、自分にとっては音楽を聴いたり、それについて書いたりする動機なのかもしれません(オーディオについては語る能力がないのですが、これと重なる部分があるような気がします)。

話が飛びましたね。元に戻しましょう。三つの演奏について、歯切れの悪い感想を書きました。無責任ですが、どれか一つでも試してみて、この曲を気に入って頂ければ嬉しいです。おまけに、一つ好きになっていただければ、もう二つ別の楽しみ方も控えているのも保証付です。

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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch

10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました。

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