パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

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ピアニスト グルダ、あるいは伝統の束縛からの逃避行はジェット機で

オーディオマニアの一部には、音楽・演奏そのもの再生と同じレベルで、演奏者の立てる音や、観衆のざわめき、会場外から漏れてくる色々な音(鳥の鳴き声から自動車騒音まで)が、どこまでリアルに聞こえるかを、熱心に追求される方々がおられます。
そういった方々にとっては、グルダの野外ライブのこのCDは余りに次元が低く、ノイズが聞こえる、聞こえないではなく、演奏中に上空を通過するジェット機の轟音でピアノがやっと聞こえるというハプニングが収録されています。そんなものをリリースするなというのは正論かもしれませんが、素晴らしい演奏がお蔵入りでは勿体無いので「仕方なく」出したのかもしれません。或いは、楽曲が盛り上がるのとシンクロする形で、変な言い方ですが、曲の流れを邪魔するよりも盛り上げるのに一役買っている様にも聞こえる爆音を「積極的に」残したのではという気がしなくもありません。

1993年、南仏モンペリエの一夜のコンサートを納めたこの2枚組みのCDは、ドビュッシーの「音と香りは夕べの大気の中に漂う」という、まだ明るい宵の口の夏の音楽祭の野外コンサートの冒頭にぴったりの小曲から始まり、前半はベートーベン・モーツァルトのソナタという彼のホームグラウンドといえるプログラムをしっかりと聞かせてくれています。(そのベートーベンのソナタの途中にジェット機の伴奏が入ります)

夜も更けてきた第2部は、フィガロの結婚のスザンナのアリアのピアノ編曲で再開されます。こちらは真夜中の真っ暗な庭園の東屋で「まだ月が夜空に上がらぬ内に、まだ暗く、ものみな静かな内に、小川が囁き、風の戯れるここに」来てと許婚を誘う様子を、その涼しい夜の空気まで見事にピアノに移し変えたグルダの洒脱な才気を十二分に示しています。その後、お得意のシューマン・シューベルトの小品や、ドビュッシー・ビゼーといったご当地フランス系小品、そして自身作曲のアンコールピースへ続きますが、後半は一曲進む毎に、自由度が上がって奏者も会場も熱を帯びてくる様子がその場に居るように感じ取れます。

私のグルダ体験は、アバドとのモーツアルトの協奏曲の2枚から始まりました。極めて正統的な、美しい演奏で、変人としての様々な逸話を知らずに聴いた私にとって、グルダは正統的なウィーン風モーツアルト弾きという印象を持っています。 その後、バッハやベートーベン等、ドイツ・オーストリア系の王道作品を聴きましたが、演奏そのものは、装飾音やリズム感で個性的ではあるものの、正統な伝統を受け継いだスタイルだと感じています。

彼自身は伝統の継承者としての自分に、納まりきれない何かを感じていたのかもしれません。が、そのフィールドの中で、伝統そのものに革命を起こすよりも、彼が選んだのは、その外側に離脱して自由を求める道だったようです。 

というのも、伝統の領域にある作品に対しては、音楽そのものではない小道具で演出する必要を常に感じていた様に思えるのです。例えばモーツァルトの場合はそれは電子ピアノであったり、シューベルト場合は死に取り付かれた作曲家と一体化するような自身のキャラクタであったりしたのではないかと。ところが、彼の伝統の外にあるドビュッシーに対する時は、そのような小道具は一切無しに、音楽表現だけで自由に冒険し、自分自身の独自スタイルを実現出来ている様に思えます。

ただ、グルダの偉大な所は、彼にとって納まりきれない感のあった伝統領域でも小道具使わない形で素晴らしい演奏を残していますし、そこに小道具を持ち込んで作り出した小宇宙においても、全く別世界のフランス物でも(ジャズでもと言いたい所ですが、残念ながらちゃんと聴いたことがありません)、その才能を発揮できている所です。そしてモンペリエのライブは、そのことを示している貴重な記録だと思います。

さらには、彼の伝統領域であるベートーベンのピアノソナタにおいて、全く意図せぬ小道具が飛び出して、ジェット機の加速度感をもってこの古典をドライブすることも出来ることを示すという事までやってのけたという点で、彼の面目躍如ということではないでしょうか? 

でも、嘘の死亡記事を流しておいて、お別れコンサートに登場するという奇行の持ち主です。一筋縄ではいきません。この飛行機の爆音を後から付け足したりするくらいの悪戯をするかもしれません。是非、ライブノイズ探求派のオーディオマニア諸氏には、上空何フィートを時速何マイルのスピードで通過しているかまで識別できるシステムで、この音が本物かどうかを鑑定いただきたいと存じます。(同夜の聴衆に聞いたところ、余りに演奏が素晴らしく飛行機の音は気がつかなかったよという証言もあるらしいので)

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パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch

10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました。

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  • ハードラック QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル STEALTH Cloude 99 Full
  • 電源ケーブル KIMBER KABLE PK-10Gold
  • オーディオボード ILUNGO grandezzaSTD
  • プリメインアンプ OCTAVE V110
  • SACDプレーヤー/トランスポート LUXMAN D-08u
  • 電源機器 CSE TXR-650
  • スピーカーシステム B&W Signature805