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日記

第393話 トミー・リピューマ

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2017年03月19日

音楽プロデューサーのトミー・リピューマが、今月13日に80歳で亡くなった。
不謹慎になるが、まだ存命していたんだというのが正直な感想で、それほど自分にとっては、昔から目にしていた名前だった。

初めてトミー・リピューマの名前を意識したのは、自身が設立したホライズンレーベルからリリースしていたニール・ラーセンだったと思う。中学生だった頃、NHK-FMで、当時夕方の4時5分か10分という中途半端な時間から6時まで音楽番組をやっていて、それを毎日、学校から急いで帰ってエア・チェックするのが習慣になっていた時、「ファーザー・ノーティス」という曲が流れてきたのがキッカケで、「なんてカッコ良い曲なんだ!!」と興奮したのを今でも思い出す。話が逸れるが、「世界遺産」のテーマ曲を手掛けた鳥山雄司のデビューアルバム「シルバー・シューズ」にゲストとしてラーセンが参加しているが、このアルバムも忘れられない名盤。

あと、YMOのデビューアルバムで、USヴァージョンのリミックスを手掛けたのも忘れられない。リピューマは日本のエコーが気に入らず、リミックスを行ったキャピトルタワーに供えられた巨大なエコールームを駆使して、盟友アル・シュミットと音作りをしたそうだ。その痕跡は「ファイアー・クラッカー」のハンドクラップで聴くことができる。テクノという東京の土着感が薄れたと細野春臣は不満を漏らすが、個人的にはリピューマのリミックス盤の方が好みだ。再びリピューマの名前を目にしたのが、2002年リリースのダイアナ・クラール「ルック・オブ・ラブ」。個人的に、20代は全く音楽それにオーディオから離れていて、30半ばになって、ある程度、経済的に余裕が出てきた時だった。あの有名なヤマハの1000Mというスピーカーを偶然知人に譲ってもらったことで再びオーディオ熱がぶり返した。「ルック・オブ・ラブ」はそんな時に手に入れたので、当時は本当によく聞いていた。リピューマはダイアナの1stアルバムを聴いて興味を持ち、2ndからプロデュースを担当しているが、彼女のアルバムを聞き返してみると、その後、プロデュースが夫のコステロやフォスターとは随分、音の雰囲気が違っていた。一言でいうと楽器の音にリアルさを求めていない点。サウンド作りは違うけど、山下達郎とその点では同じ部類だと思う。山下達郎もあれだけオーディオに詳しく音を追及したアルバム作りをしているが、SHM-CDといった音のリアルさといった方向には、一切舵を切っていない。

また、リピューマの作品を聴くと、ダイナミックレンジや音の広がりは、実はそれ程、大きくない。これは70年台のニール・ラーセンからダイアナ・クラールまで同じ傾向だった。しかし、逆にこの程よい加減が音に対して身構える必要がない。昨今のハイレゾにみられる広大なダイナミックレンジ等は、リスナーに緊張感を与えることもあり、聴き疲れすることもあるので、このようなところに、彼の音作りの秘訣があるのかもしれない。因みに「ルック・オブ・ラブ」はベスト・エンジニアード・レコーディングス部門でグラミー賞を取っている。

そんな偉大なリピューマの遺作が、なんとダイアナ・クラールだという。5月にリリースされる「ターン・アップ・ザ・クワイエット」がそれで、ダイアナもリピューマの元でシンガーとしてのキャリアを不動のものにしたと思うので、今度のアルバムはリピューマの遺作でもあるので悲しくもあり、また原点回帰という点ではうれしさもある複雑な心理状況のもと、リリースを待ちたいと思う。

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