元住ブレーメン
元住ブレーメン
高校生時代にベータマックスで映像に目覚め、フォーマット変遷を何世代と経た今、撮影から編集、映写まで4K環境がついに実現しました。ホームシアターのための家も建て、充実した日々を送っております。 コ…

マイルーム

ホームシアター「建築」記
ホームシアター「建築」記
持ち家(戸建) / 専用室 / オーディオ・シアター兼用ルーム / 16畳~ / 防音あり / スクリーン130型以上 / 8ch以上
我が家の(地下室)ホームシアターです。 もともとは賃貸派の私でしたが、好きなときに好きな映画や音楽を好きなだけ好きなように鑑賞するには、持ち家しかないと一念発起。2005年の10月に地上二階、地下一…
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  • AVアンプ
    ACCUPHASE PX-600
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    ACCUPHASE PX-600
  • パワーアンプ
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日記

奇形児か、新世代の旗手か

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2012年01月17日

CESでは有機ELテレビや4K製品、スマート何某のニュースで賑やかですが、まもなくキヤノンから興味深い製品が発売されようとしています。EOS-C300。EOSの名前はついていますが、これは完全に動画撮影にターゲットを絞ったレンズ交換式カムコーダー。価格はオープンですが、150万円程度と予想されています。

もともと同社のデジタル一眼レフ・EOS-5D Mk2の動画撮影機能が、フル35mmサイズのセンサーによるボケ味や使えるレンズの豊富さ、そして何よりも従来のシネマカメラに比べて圧倒的に価格が安いことから、アマチュアからハイエンドのプロまで大きな支持を得てハリウッドでもかかせない存在になったことが伏線としてあります。
もともとのEOSムービーはテレビや映画を意識したものではありませんでした。30p(29.97ではなく)のフレームレート、sRGBのカラースペース、0-255のビデオレンジ、AVCHDと互換性のない40MbpsのAVCコーデック、44.1KHz記録のオーディオ、タイムコードなしなど「普通の」ビデオカメラとあまりに異なる仕様に、当時私は「撮ってからどうしろっていうんだ!」と困惑したことを覚えています。そしてその特異さから様々な問題を引き起こしたものの、その映像には大きな魅力があり、ユーザーの広がりとともに使いこなしのノウハウの蓄積が進み、同時にファームウェアのバージョンアップによる機能の改良もあり、その地位を確立します。そしてVer.2.0のファームウェアで追加された23.976pのフレームレートによってシネマカメラとしてひとまずの完成をみます。

実はEOS-C300はこの路線を継承した正常進化型と呼ぶにはためらわれる部分が多々あります。まずAPS-Cサイズへと「後退」したセンサー。フルサイズだったEOS-5D2から残念な変更です。一方で、ベイヤー配列で800万画素のセンサーはそのまま4Kの収録も技術的には可能で、将来的に派生機種やアップグレードが期待できるかもしれません。記録フォーマットは変わらず1920x1080までですが、コーデックがEOS-5D2のAVCからMPEG2に変更になっています。これはカラーコレクションやキーワークに強い4:2:2のカラースペースが欲しかったのでしょう。業界スタンダードな圧縮方式で4:2:2をサポートしているのはソニー系のMPEG2か、パナソニック系のAVC-Intraしかありません。キヤノンはENGカメラでソニーのMPEG2を採用しましたが、ここではLong-GOPが使える魅力からMPEG2を選んだのかもしれません。ファイルラッパーはQTからMXFになり、非アップルシステムとの親和性が高まりました。Windows版のQuickTimeには問題が多いので、これを朗報と思う人も多いはず。シネマに特化したはずのカメラがもともと報道制作向けに開発されたファイルシステムを採用するというのも興味深いところです。HDVやXDCAM EXと同じ25Mbps、35Mbpsの4:2:0のモードも搭載されています。つまり、これまでビデオカメラを使っていた人が編集などの制作環境をそのままに移行できるのです。PremiereやEDIUSならプラグインなど全くなしでそのまま編集が可能で、ハードルは非常に低いと言ってよいでしょう。
一方で、ロンドン五輪に合わせて登場した本家EOSのハイエンド機、EOS-1DXのムービーにもいくつかの変更が加えられています。目立つのは圧縮のフレーム構造がこれまでのIPPから、Bフレームを加えたIBPとI-Onlyになっていることと、タイムコードが追加されたこと。

こうして見ると、EOS-C300は従来のEOSを置き換えるのではなく、その領域を広げようとしているのだと思えて来ます。まずその設定価格。EOS-5D2はその低価格から、従来のシネマカメラでは実現出来ないようなシーンの撮影を可能にしてきました。例えばその撮影でカメラが壊れてしまうようなシーン。クルマに踏まれる、何かにぶつかる、水面ぎりぎりを進むなど。これらのシチュエーションはEOS-C300のテリトリーではないようです。一方で、デジタルシネマカメラの雄、REDを脅かすかというと、これまた微妙です。JPEG2000の派生であるWaveletがREDカメラの収録フォーマットですが、EOS-C300の4:2:2とはいえ「たった」8-bitのMPEG2ではWaveletの対抗としては見劣りします。4K動画まで撮れる本体価格1万ドルのRED SCARLET-XがCanon EFマウントを標準に、PLマウントをオプションにしているのも状況をさらにややこしくしています。定評のあるCanonレンズで4Kの映像が撮れるとなると、これはかなり魅力的に聞こえます。一方で、REDCODEの編集ワークフローが非常に重いことは周知の事実で、MPEG2は時間との戦いを常にしている編集者にとっては福音なのかもしれません。いずれにしても、EOS-C300がどのような地位を確立するのかは発売後にしばらく様子を見る必要があり、そういうカメラはここ数年なかったように思います。個人的にはキヤノンのチャレンジ精神に敬意を表したいと思いますし、今後も新しいジャンルの開拓に積極的であって欲しいと思います。

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