上奉書屋
上奉書屋
東京都在住のオーディオマニアです。リビングオーディオです。狭いスペースを与えられてやっています。MPS-5,Marklevinson No32Lなどを愛用中。クラシックはほとんど聞かず、ポップス、ラッ…

マイルーム

マイルームは公開されていません

レビュー/コメント

カレンダー

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

お気に入り製品

お気に入り製品はありません

日記

Magico Q1の(軽めの)私的レビュー:TIAS2011のマジコのブースからの手紙

このエントリーをはてなブックマークに追加
2011年11月09日


拝啓、
オーディオファイル様

行きましたよ。
東京インターナショナルオーディオショウ2011。
いろいろ見聞きしましたが、
個人的に、
これは面白い!というのは残念ながら一つだけでしたね。
Magico Q1というスピーカー。
今日はこれだけ聞けばいいやと、
そう、このスピーカーだけを合計2時間くらい聞きました。
案外、このルーム、ガラガラに空いている時間も多くて助かり助かりです。
試聴に集中できました。

オーディオ雑誌、オーディオショウ、オーディオショップ、
いつも気になって探すのが小さくて凄いスピーカーないか?ということ。
なんせウチはスペース狭いですから。
最近、目ぼしいブックシェルフ型スピーカーといいますと、
Dynaudio Confidence C1 signature,
Audio Machina CRM,
Raidho Ayra C1,
Joseph audio Pulsar,
B&W 805 Diamond,
Kiso acoustic HB1あたりですか。
少し前だとKRELL LAT2とか。
どれもいいところはすぐ分かるんですが、
グッとくるまではなかなか行かないですよね。
そう、
下の帯域がボリュウムとしてきちんと出なくても、
わざわざ買う価値あり、
と本気で思えたブックシェルフはMagico Q1が初めてでしたね。
メーカーさんの宣伝文句どおりの、超高性能トランスデューサーです。

外見は、よく言われますけど禁欲的です。
サイズは36×36×23cm。
コンパクトな黒いツヤ消しのカクカクしたボックスに、
ガンメタルカラーのベリリウムツィーターと
カーボンナノチューブ繊維布とロハセルのサンドイッチウーファーが
太いエッジに縁どられて
ポンと付いているのみです。
このウーファーの材質、ヘリのローターと同じものとか。
強くて軽いモンって世の中で大活躍ですね。
これを本体と同じ仕上げの一本支持のスタンドで立てます。
スタンドとスピーカーはネジでガッチリと接合されていて、
ほとんど一体になっているよう。
四点支持の足がついたスタンドで、
足のスパイクの鋭さが気になります。踏まれたらかなり痛そう。
本体27kg、スタンドも27kgとは偶然の一致?
それとも音質のためでしょうか。
しかし重たいスタンドですね。
本体の重さは2002年にオンステージした
同程度の大きさのクレルのLAT2の本体重量より7kgも軽いのですが、
やはり重たいのには変わりないと感じます。

このデザイン、なんか不思議ですね。
寡黙というか。
音もそういうところがあるんですけど。
サランネットは無論なし。
ここは割り切ってる。
また、流行りのリユュート型、水滴型のエンクロージャー形状でもない。
ただのハコです。
そこも割り切ってる。
バッフルは分厚いアルミ合金で出来ていて、ゆるやかーにカーブ。
リアにまわるとネジ留めがいっぱい見えます。
ガッチリ固めますという意志表示、感じます。
お約束でエンクロージャーを指で弾いてみると、全く音はしません。
コンとも言わないですよ。無共振筐体ってやつですね。
これほどリジッドにガチガチのエンクロージャーは
先代のブックシェルフスピーカーMINI、
またはオーディオマシーナとか
ウィルソンオーディオとか、クレルとかありますけど
どれとも微妙に印象が違います。
何て言うんでしょう、
感じとして単純に頑なというよりも
なんかブラックホールみたいに無駄な音を吸い込む印象といいますか。
密閉型のせいかな。マシーナもそうなんですけど、
あれをさらに精密にした感じ。
中身をネットで覗くと
ビス留めの金属製のブレーシングの密度が濃いです。
スタートレックのボーグシップのようです。
もっとも以前のモデルよりはブレーシング減らしたらしいですけど。
エンクロージャーの側版、天板、底板、フロントバッフル、
それらがブレーシングで互いに引っ張り合って、
中に向かって引きこまれるようなメカニカルイメージ。
そして、パワーアンプとの接続はシングルワイヤリング。
ここらへんもなにやらストイックですね。

デモはPASSの一千万クラスのパワーアンプに
ノードストのオーディンスピーカーケーブルです。
このバックバンドのメンバーは
いくらなんでも反則じゃないかな?
全くの新人歌手のバックでリーリトナーや
アンソニージャクソンやハービーハンコックや
マルサリスが演っているのと似てない?
まあ、ペア280万のスピーカーだから、
これくらいいいんですかね。

肝腎のQ1のサウンドですが・・・・・・。
これは変わった音です。
でも感心しますよ。なかなか。

圧倒的な高解像度にまず耳が行きます。
まるで高価なヘッドホンで聞くみたいに
精密に隈なく音を聞き取れます。
音の細かいところを拡大して聞く感じですね
これがなかなか、スピーカーでは聞けない感覚なんですよ。
正直、これほどまでにヘッドホンぽい音はスピーカーでは初めてですね。

それから音が前に決して出てきません。
常にリスナーとの距離を一線引いている感じ。
どんなに派手な音楽でも音が飛んでくるイメージが皆無。
帯域別でいくと、
まずは低域のタイトさに心奪われます。
ウーファーの制動の利き方が半端なくハラショー。
低域の締まりが小気味良いです。
やはりブックシェルフだから
量感豊かに伸びきってるわけじゃないんです。
高域は派手さはないです。
澄み切っていますが、ヌケ切ってはいない。
金属的な感じはそれほどしません。
中域は厚く、精緻。
スペインの細密な静物画を近付いて見る感じです。
解像度の高さはおそらくブックシェルフ界で最高かな。
普通のスピーカーだと光学顕微鏡のレベルの解像度ですが、
このスピーカーだと電子顕微鏡のレベルでしょう。

それからどうも寡黙なサウンドなんですね。
無駄な付帯音を空中に出る寸前に掴みとって
握りつぶしてしまうみたいな。
特殊な才能があります。
おかげで音はすっきりして、澄んでくるのですが、
音楽の愉しい躍動がごっそり抜け落ちて興冷めな曲もありました。

そしてそれらの音の特徴に加えて
最高のフューチャーが点音源の威力です。
何といっても非常に定位がよろしい。
ここのところは、初めの一聴で衝撃を受けましたね。
まさに不意打ち。
思わず座って聴きたくなるところです。
ブックシェルフにしても
濃厚で揺るぎない、この音像定位はなんなのです?
各プレーヤーの位置関係はおかげでとっても分かりやすい。
このスピーカーを上手く使えば、
録音状況がホント、手に取るように分かるでしょうね。
ネットワークが優秀なせいか、
ツィーターとウーファーのつながりがとてもよく、
フルレンジに近い鳴り方をするスピーカーであるうえ、
無駄な音を出さない設計ですから、
こういう明確な位置情報の把握ができるのでしょうね。
点音源というと富士通テンのエクリプスをまず思い浮かべるんですが、
定位自体もあの卵スピーカーより強固に分かるのがQ1だし、
なにより、音の迫力や密度がかなり上になりますね。
小口径フルレンジの哀しさで、やはり音が薄いです、エクリプスは。
しかし、ツイーターとウーファーがこれだけ離れててもOKなんですね。
同軸にしないと、
こんなピンポイントな鳴り方はしないだろうと思ってました。
早合点でしたな。

基本的には、少し遠くの席でリラックスして
上品に音楽を楽しむイメージのサウンドですが、
ちょっと聞き込むと、実はそれだけではすまされないぞ、と。
Q1の音のキモは
いままで体験してきたあらゆるブックシェルフスピーカーを超えた
限りなく執拗な音の細部へのまなざしと
究極の点音源を目指して掴んだ、絶対の定位感にありそうです。
ブックシェルフというジャンルで、
これほど、
なんのためらいもなくオーディオ的なサウンドに久しぶりに会いました。
音楽性はバッサリ切ってますから。
そういう意味でも、割り切りがいいですね。
ダークな知能犯的精密さに惹かれるこのスピーカー。
メインスピーカーに飽きた時、
デザートみたいに楽しむっていうモノでしょうか。
ホント気に入りましたよ。
TIAS2011の話はここらへんでネタ切れです。
また面白い話があったら書きます。
それでは。
敬具
Powered by 上奉書屋

次回の日記→

←前回の日記

レス一覧

  1. 上奉書屋さん

    いつも素晴らしいレビュー有り難うございます。新しいレビューがあると、とても嬉しく読んでます。

    私は木曜日に半日と、休日出社した土曜日に気晴らしに1時間半だけ再度見に行きました。そのときに確かにエレクトリのブースが意外と空いていたので15分くらい座ってこのQ1を聞きましたよ。私の時アンプはヘーゲルでした。

    私の印象も上奉書屋さんとほとんど同じでした。解像度もすごかったですが、音に厚みがある方でもないのに、スケール感は現実の演奏と同じくらいの適切な大きさを実現していて感心しました。

    音が早いとか遅いとかそういうことを意識する必要もない感じで、さすが最新のSPだなあと思いました。良いSPですね!

    byminormeeting at2011-11-09 22:38

  2. 上奉書屋さん、こんばんは。

    いつも素晴らしいレビューを有難うございます。
    その文才に毎度感嘆しております。

    私は今回TIAS2011に丸一日滞在しましたが、やはり最も惹かれたのがMagicoでした。

    Q3・Q1を聴きましたが、ともに素晴らしかったです。

    自分にとってもほぼ書かれているとおりの印象です。

    ユニット・ネットワーク等もよく考えられていると思いますが、何といっても徹底的に鳴きを抑えたエンクロージャーの凄さが効いている気がします。

    極限までカラーレーションを排するとこういう音になるのか・・・と考えさせられました。

    byKYLYN(キリン) at2011-11-09 23:03

  3. 上奉書屋さん こんばんは。

    相変わらずのすばらしいレビューに感心しきりのMINTrです。

    TIASには行ってませんが、この前行きつけのオーディオショップに
    HEGELの社長が来たときに、開発者・設計者としてかなり理想に
    近い鳴り方をしたのがQ3だとおっしゃっていました。
    HEGELユーザーとしてはかなり気になる存在でありましたが
    なるほど良いスピーカーのようですね(この値段で良くないと困りますがw)。

    PASSで試聴されたとのことですが、個人的にはHEGEL ver.のレビューが良かったな~、、、なんて思ってます。
    今回も大変参考になるレビューを読ませていただきました、
    ごっつぁんです!!

    まぁ、自分には何の参考にするんだ?って程のお値段ですがねw

    byMINTr at2011-11-10 01:29

  4. Minor meet ing様、レスありがとうございます。LATの記事はいつも興味深く読ませていただいてます。Q1はさすがに貴殿のスピーカーにはとても及びませんが、点音源スピーカーとして、ブックシェルフスピーカーとして、トップを走る製品と思います。できれば買って使ってみたいものです。

    by上奉書屋 at2011-11-10 07:47

  5. KYLYN様、レスありがとうございます。他のQシリーズは価格等から考えると意外性はそれほどないのですがQ1は少し驚きがありました。
    これはなかなかスピーカーからは出にくい音だと思います。
    できれば買って手元に置いておきたいですね。また面白い話があったら書きます。よければご一読ください。

    by上奉書屋 at2011-11-10 07:54

  6. Mint r様、レスありがとうございます。ヘーゲルはECM が最もよく似合う機器ですが、私は超ECM 好きなもので、大好きな機器です。Q1はヘーゲルの良さを引き出すのに格好のスピーカーです。できれば買って使ってみたいものです。

    by上奉書屋 at2011-11-10 08:08

レスを書く

この記事はレスが許可されていません