日記
ベルイマン邸初訪問
2020年11月10日
コミュで活発に情報や意見を集めて作り上げたAVルームのベルイマン邸に行ってきました。まだ完成してから2か月ほどの新居です。とりあえずの部屋見気分で向かったのですが、すでに本格的なオーディオルームにセットアップされており、アクセサリーも豊富に活用されて、流れるサウンドも想像以上のものでした。
最寄り駅に到着するとベルイマンさんが改札の出口で待ってくれていました。久しぶりの再会でしたので、軽く会釈して新居に向かいします。歩いて数分で到着しました。木目の黒い色合いの家だったので、「外観も黒くしたのですね」と問うと、「いや、これは嫁の趣味なのです」とのことでした。こだわりを沢山お持ちのご家庭なのだろうと想像しながら玄関を上がります。
新しいAVルームは一階の玄関を上がったすぐ先に扉があり、床が土間のところまで下げられているので、一度上がった後、また下がっての入室です。シアターとしてしつらえられた部屋には窓はありません。天井が高く、部屋全体が黒をベースとしたモノトーンのこだわりの環境で、残響時間が1秒以上はありそうな極めてライブな空間でした。
(写真は中が見えるように露出を上げています)
詳細はベルイマンさんのマイルームに詳しい記述がありますので参照下さい。
11畳の床面積と3.4mの天井高の部屋には、足の踏み場がないほどに床いっぱいにAV機器が設置されていて、部屋中に這い回る太いケーブルは浮かし配策がされています。そして何と、ソファーの前後に貫通する形でサラウンド用のケーブルが通っていて、ソファーの足元にはケーブルを保護するための足置台が設置されていました。
各種の検討をした結果の配置とのことです。ソファー前方にシアター用のスクリーンと2chオーディオ用のスピーカーと機器類を配置し、ソファー後方にサラウンド用のパワーアンプとスピーカーや電源トランスを床置きです。シアター/オーディオ兼用の4chマルチシステムとされていますので、足の踏み場はなくなります。黒いモノトーンの室内ですから映画館のように暗いですし、所狭しと機器が置かれ、ケーブルが這い回っています。そんな中を、トンネル工事師のようなヘッドライトを頭にかぶり慎重に道案内をしてもらっての試聴タイムのスタートとなりました。

スタートは2chオーディオからでした。怪しいDiscがBDプレーヤーに入れられスイッチオンです。愛機のSopra no.2からは防音室の遮音性能を誇示するかのような大きな音が鳴ったので、「ワァ」と声をもらし思わず耳を押さえてしまいました。「ちょっと音量を間違えました」と言われていましたが、次の音が出るまでドキドキします。ボリュームダウンしてかけられたソフトは、冒頭が効果音のようなものでした。なかなかいい音です。続く低音がスピーカーから大砲の玉のように飛んできて腹に響きます。そしてボーカルが続きました。
「どうですか?」と感想を求められたので、率直に話しました。「いい低音ですね」「SNも悪くない」「でも、ボーカルが粗いです」少しだけ沈黙の間があってから、先に進みましょうと言うことになります。
次の曲はAmazon HDからの現代曲の6重奏でした。こちらも悪くはないのですが、弦楽器の音が粗かったです。続いて鳴ったクラリネットが気になったので話し合いになりました。
ヒジ:「どうも音が粗いです。クラリネットがクラリネットに聞えません」
ベル:「私も粗さは感じていたんです」「どうしたらいいですか?」
そこで、リクエストを受けて持参していたタワシの仮想アースをAVアンプに付けてみることに。

ここで笑顔になりました。クラリネットに聞こえます。しかもかなり良かったです。タワシ恐るべし、と二人で顔を見合わせてしまいました。
「ボーカルを聞き直してみませんか?」「そうしましょう」と言うことで、先ほどの怪しいボーカルを聴き直します。
「歌声の粗さが取れましたね」ベルイマンさんもよくなったと感心されています。BDプレーヤーにも付けましょうと言うことになり、二つ持ってきた仮想アースは早々に常設することになりました。
その後に様々な音源を聴かせてもらい、迫真のサウンドを堪能しました。シュトラウスのツァラツストラやホルストの惑星は、仰け反るほどの大迫力です。サラウンド再生では、オーケストラの中に入ったような感覚で迫力の宇宙空間を楽しみました。
午前中の早い時間に到着したのですが、夢中になって聴き進みましたので時間が過ぎるのが早いです。すぐにお昼過ぎになりましたので昼食に向かいました。二人で自転車に乗って郊外に出たところの洒落たイタリアンのお店です。比較的遠方まで来ていますので、お昼の時間も楽しみのひとつです。
さて食事を堪能した後に、持ち込みDiscを聴かせて貰いました。スピーカーセッティングを手伝って欲しいと言われていたので、どれもチェック用の音源です。
自分が左右のスピーカーの焦点合わせに使っているギターの曲から聴きました。確認すると、音の焦点が少しだけずれていましたので補正します。3mmほどスピーカーを動かしたでしょうか。簡単な焦点合わせですので、これはやらない手はありません。音の芯が明瞭となり、リスニングエリアが広がります。
音の焦点が合ったら音質や定位などの総合確認です。
いつも確認に使っている幸田浩子/カリヨンを聴きます。特に1曲目のアヴェマリアは音がぶれやすい音源ですが、定位はピタリと合っていました。素晴らしいです。音質的には弦楽器の質感がもうひとつでしたが、幸田さんの歌声が素敵で聴き惚れました。この音源は各所で聴かせてもらっていますが、この歌声の魅力はピカイチです。響きがたっぷりな部屋はマイナス面も多々ありますが、魅力も多々ありますね。あまりに魅力的な歌声だったので、帰宅後に自宅の音響も再調整をしてしまいました。
次はSACDサラウンドの音質確認です。
ヤンセンの四季から「冬」を聴かせてもらいました。定位は安定し、音が滑らかだったのが印象的です。願わくば、もう少し演奏のパッションを感じられるといいなと思いました。
続いて交響曲をマルチサラウンドで聴きます。
フィッシャーのブラ1です。ここでマルチサラウンドが引っ掛かりました。音はいいのですが、どうもオーケストラの中に入って聴くようなステージ感なのです。念のために、2chステレオも聴かせてもらったのですが、2chステレオの方がよかったです。リスナー前方にサウンドステージが出来て、コンサートホールで聴くような感覚です。追い込まれたマルチサラウンドで聴くと、ステレオに対して音場は1.5倍くらいに広がり、その分ステージも遠めに位置しますが、音像はよりクリアになるものです。サラウンドの追い込みは今後の課題かなと思いました。
そんな話をしていると、これを聴いてみてください!と出てきたのが、マーラー交響曲第5番でした。
拙宅で第1から第5楽章まで、1時間を越える演奏を聴いてもらった想い出のDiscです。第1楽章がかかりましたが、スケール感あふれ、音の流れも見事に再現した素晴らしい再生でした。
気をよくされたのか、続いてヴェルディのレクイエムがかかりました。「怒りの日」を聴いたのですが、これは本当に難曲です。「どうも合唱が団子ですね」と感想を述べると、次に出てきたのがカンターテドミノでした。
この音源はよかったです。これくらいの編成の合唱でしたら、一人一人の顔が見えます。加えて、前後・左右・上下の立体感も秀逸でした。
ここまでで、オーディオタイムは終了です。かなり好き勝手に言わせてもらった試聴タイムでしたが、ここまで追い込まれているとは想定外です。新築から約2ヶ月でこんなサウンドが出ているとは思いもよりませんでした。熱心に情報を集め、構想を練り、実際に試して追い込んだ結果が出ているのだろうと思います。この先も皆に揉まれながら成長を続けることと思います。
最後にシアタータイムの実施でしたが、時間がなくなって来ていたので音楽ソフトを少しだけ見せてもらいました。印象に残ったのは、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ《月光》です。
ベル:「音楽ものは映像があっても1回しか見ないのです」
ヒジ:「こんなに手ばかり映していて何が面白いんでしょうね」
ベル;「お年寄りのおじさんですしね。若い女性ならいざしらず・・・」
ヒジ:「そう言えば、音大生はコンサートで左手が見える位置に座りたいようですね」
ベル:「それならこの映像はピッタリです」
ヒジ:「自分なら音のよい場所に座りたくなりますが、弦楽器の良い場所とピアノの良い場所が違うんですよね」
ベル:「このソフトは音がもうひとつですよね」
ヒジ:「経験的にピアノは響きの多い部屋での再生は難しいと思います」
なんて会話をしながら見ていたのですが、この映像を見た後に《月光》はいい曲だなぁと耳から離れなくなってしまい、帰宅後に2枚もCDを注文してしまいました。これが映像の力でしょうか?よくわかりません。午前中から日が沈むまで、長時間に渡ってのAVオフ会でした。
以上、ベルイマン邸新居のAVルーム初訪問でしたが、印象に残ったことを整理すると以下となります。
・音が大きいこと
・残響が極めて多いライブな部屋だったこと
・残響は低域が特に多く、中域は気持ちよいが、高域がバランス的に少なめと感じたこと
・低音の質感がよく、定位も安定しているが、音が粗いと感じたこと
・機器が冷えると定位がバラバラになるが、少し暖まるとピタリと安定すること
・幸田浩子/アヴェマリアの歌声が魅力的だったこと
・2chステレオと比較して、マルチサラウンドの追い込みがまだまだなこと
・ですが、MTTのマーラー交響曲第5番のサラウンドは素晴らしかったこと
・バズケロさんやhigh speedさん張りに追い込み型のオーディオマニアなこと
・いつもトンネル工事をしているようなヘッドライトを被っていること
いい事も、もうひとつなことも、普通なことも言いたい放題のオフ会でしたが、新居完成から2ヶ月あまりでここまで追い込まれているとは思いもよりませんでした。負のコメントをしても、それを活かそうとする姿勢が素晴らしいと思います。多くの方とオフ会をこなして行く中で、音がどんどん磨き上げられていくことでしょう。この先が楽しみなベルイマン邸初訪問でした。
レス一覧
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ヒジヤンさん、こんばんは。
ベルイマン邸早速調査に向かったんですね!?
文章から察すると、ベルイマンさんの好みが反映された音色ではないでしょうか?
中低域寄りの迫力サウンド!
オケはとても素晴らしいのでは?と思います。
電源キチがいの私は、機器の上をケーブルが這っているのが気になります。。
>いつもトンネル工事をしているようなヘッドライトを被っていること
笑
しかし2か月でここまでの音に仕上げたベルイマンさんもある意味情熱的ですね♪
部屋が落ち着くのが楽しみでしょうね。
byにゃんす at2020-11-10 19:40
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ヒジヤンさん、こんばんは。
詳細にありがとうございます。こうして細かく書いてもらえますと、後に立ち戻ることができて、勉強になります。タワシは凄く良かったです。実際に試してみないと分からないものですし、タワシですからね。いい体験になりました。
また、オーディオの聴き方や賭ける想いは多様なわけですが、セッティングには客観的なプロセスがあるはずだと思います。今回は聴き方から入ってセッティングの仕方を学べたと思います。ありがとうございました。
金策が尽きましたので、リアスピーカーの真実を探りながら、しばし、映画と音楽に耽ろうかと思います。高域の改善だけであればコストがかからなそうなので、タワシアースの作製とあわせて、まったりやっていこうと思います。今回は本当にありがとうございました。またよろしくお願いします。
byベルイマン at2020-11-10 22:09
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にゃんすさん、こんばんは。
シアターの工事が終わってからは毎晩「そのうちにヒジヤンさんが来るだろうからしっかり音を作らないと!」とマーラーを聴きながらやり続けました。まあ、工事前に皆さんから教えてもらったことや、やりたいとずっと思っていたことをしこしこやり続けました。それだけです。
ケーブルは、自分には高い買い物なのでギリギリの長さで、ちょっと無理がある感じになっています。背が高めのインシュレーターでアンプを浮かせれば、下にケーブルを通せるかもしれませんが、うーん、まあ、色々やってみます。また教えてください。
byベルイマン at2020-11-10 22:16
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ヒジヤンさん、こんばんは。
ご訪問されたのですね。
私が訪問したのは、部屋が完成直後の9月20日でしたので、短期間でこれだけ仕上げるのはベルイマンさん熱意に脱帽ですね。
それにしてもヒジヤンさんのオフ会の頻度はかなりのものですね。こちらも脱帽です。
byHarubaru at2020-11-10 22:29
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にゃんすさん、レスありがとうございます。
早速行って来ました。新居の音を聴かせて貰うのは、以前からのお約束でしたので。もう少し馴染みが進んだ段階の方がいいかなとも思ったのですが、オーナーの気持ちと折り合いをつけたタイミングです。
ですが、ここまで追い込まれているとは予想していませんでした。どんどん音が変わっている頃かなとも思ったのですが、それは感じていないと言われたので真剣に聴きましたし、率直なコメントをしました。文章にすると、ちょっとキツかったかもですが、最初に(お世辞で)ほめると次が困りますからね。長く交流を続けられそうなお宅では率直な感想が一番だと思ってのことです。
ベルイマン邸は、ウルトラライブな環境です。比較的デッドな環境のにゃんす邸との対比をされながら、自宅と同じソフトを聴いてみるのもためになると思います。是非、聴きに行ってみて下さい。
さておき、日記を拝見しました。ようやく満足したサウンドへの追い込みが完了した様子ですね。この場をかりてお祝い申し上げます。そんなタイミングに相互で聴き合うのも絶好かと思います。
byヒジヤン at2020-11-11 18:57
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ヒジヤンさん
今晩は!
積極的に遠征されていますね!
凄いや...
それにしてもベイルマンさん、新築2ヶ月でここまで追及されたのも凄い!
ルーム構築までの情報収集も熱心だったし、その後の調整も情熱溢れていますね〜
尊敬するなあ...
バズケロのルーム構築時は情報も少なくて、考えるのも一人でしたから、こんな音を鳴らしてやるという執念だけでした。
新築当時はひたすら大音量を出せるということに酔い痴れて、セッティングは程々で映画ばかり見ていましたよ(笑)
セッティングのアプローチも追い込み型ということですから、ヘンタイ話も合いそうですね!
遠征できる状況になれば箱根越えで遊びに行きたいなあ〜
ホント、音楽とオーディオって人を夢中にする魔力を持っていますね!
楽し過ぎます!
では、では
byバズケロ at2020-11-11 19:53
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ベルイマンさん、お疲れ様でした。
訪問して聴かせてもらう立場はある面気楽ですが、招く立場は疲れるでしょう。それも午前中から日が落ちるまで、遠慮なしでしたから。招く立場が大変なのはいやと言うほど経験していますから、いろいろと言いながらも気が気でなかったんです。でも、そんなコメントを活かそうとされていたのが伝わってきたので、見込みあるな~7なんて感じていました。
タワシ・・・笑っちゃいますけど効くでしょ。グルマンさんからも、タワシって言わなければいいのに・・・、と言われました。ですが当日お話したように、なぜこんなに効果が出るかの原理的なことも頭の中を巡らせています。検証が難しいですが、そのうち日記にするかもしれません。
>金策が尽きましたので、・・・まったりやっていこうと思います。
これだけの部屋と機器とアクセサリーの山があれば、お金はいらないでしょう。弛まぬ情熱と地道な努力、それだけです。本当に次が楽しみなんですから、よろしくお願いします。追い込みが進んで聴かせたくなったら声をかけて下さい。
byヒジヤン at2020-11-11 20:24
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Harubaruさん、レスありがとうございます。
ベルイマン邸への一番乗りはHarubaruですね。その時と音がどう変わったかは図りかねますが、どんどんよくなっているのは間違えないでしょうね。
>それにしてもヒジヤンさんのオフ会の頻度はかなりのものですね。
本当は自宅のサウンド再構築中なので、出歩いてはいられない時期なのですが、ちょうど耳が立っている時期なのでいいタイミングなのかもしれないです。今もサウンド調整を試行錯誤しながら合間に書き込みをしています。
ですが、ベルイマン邸で聴いた幸田さんの歌声がよかったので、自宅のサウンドにも反映出来ました。時間を作ってでも聴かせてもらいに行った甲斐がありました。
byヒジヤン at2020-11-11 21:11
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ヒジヤンさんの 行動力が 凄いですね。
そして ベルイマンさんにも 驚きます。
いろいろなところに 工夫できるところが 凄いですね!!
まだまだ 発展途上? 試行錯誤 途中?? のように思いますが その 行動力が 半端ないですね、
ヒジヤンさんも まだまだ 高みに登っていくようなので 私も
もう少し やって見ようかな?
byX1おやじ at2020-11-11 22:07
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バズケロさん、レスありがとうございます。
積極的な遠征と言いますか、歌のほうも練習が始まり、自分のサウンド再構築も合わせて時間がなくてヘロヘロです。ですが、バズケロ邸ではやる気とパワーをもらい、ベルイマン邸の幸田さんの歌声にやられて本等にいい刺激になっています。他宅で聴かせてもらう価値は大いにありですね。
本当に以前は一人で情報を集めながら、一人で聴きながら悶々の世界でしたね。今は情報だけは豊富ですが、悶々とすることで得るものも多々合ったと思いますので失われたものも数々とありますね。
そんな中ですが、こちらのお宅では地道な努力も惜しまぬであろう有望株ですので是非聴きに行ってみてください。半年か1年後くらいがいいタイミングかなと。
>音楽とオーディオって人を夢中にする魔力を持っていますね!
そうそう、自分の今の目標は年内にはバズケロさんに「参りました!」と言わせることです。頑張らなきゃ!
byヒジヤン at2020-11-11 22:13
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X1おやじさん、レスありがとうございます。
ベルイマン邸では数々の工夫がされていました。まだ見よう見まね的な感は否めませんが、今後の追い込みで自分のものにすることで躍進されるのだろうと思いました。
>発展途上? 試行錯誤 途中??
眼力もするどいですね。実際そのように感じるのですが、誰でも試行錯誤する中で体得していくものですよね。これからが楽しみです。
そのように考えると、X1さんの弛まぬ情熱と地道な努力、そして物量投入は凄まじいばかりですね。三拍子揃ってます。ベルイマンさんも是非聴きに行きたいと言われていました。
byヒジヤン at2020-11-11 23:27
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