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日記

Chord社のデスクトップDAC、Hugo TT2を試す

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2019年02月07日

2018年12月に発売となったばかりのChordのHugo TT2を代理店、および、Skyela様からお借りすることができた。

Hugo2 TT2は、ベストセラーのモバイルDAC、Hugo2のデスクトップバージョンである。

以前、Hugo TTというモデルがあり、これは、モバイルDACである初代Hugoをほぼそのまま大きな筐体に収めたものであった。
オリジナルHugoと中身がそれほど変わらないのに値段が2倍以上したため、あまり人気にならなかったように思う。

しかし、今回のTT2は違う。

まずChordの売りであるデジタル処理の処理量をHugo2から2倍以上に向上させ、さらに、出力段を大幅改良することで、シングルエンドで7.3W、バランスで18Wという驚異的な高出力を確保している。

DACであるのに、アンプ並みの高出力を持つ、世界唯一にして無二のDACと言えよう。

DACにここまでの出力を持たせた目的は、もちろんあらゆるモンスターヘッドフォンを鳴らしきることである。
と同時に、今後発売されるデジタルパワーアンプの試金石でもあり、高能率なスピーカーを直接駆動することも念頭に置いているそうである。

設計者のコメントによれば、大型のフロアモニタースピーカーであるB&Wの803 D3を何の問題も無く駆動するとのことで、それを聞くと試してみたくなるのがオーディオマニアだろう。

起動すると、ディスプレイに「CHG」と表示され、やや時間を置いてからイルミネーションLEDが7色に変化する。
設計者によると、CHGと出ている2、3秒がスーパーコンデンサへの充電時間、イルミネーションがクルクルと変化する10秒ほどがデジタルサーボの起動時間とのことである。

最後にリレーの入るカチッという音がすれば、もう音楽を聴くことができる。

まずはヘッドフォンアンプの音質を確認する。



TT2の音だが、期待を裏切らない、上々のChordサウンドである

クリーンでハイスピード、音離れが良く、また、音の立ち上がりが驚異的に早いという印象だ。
サウンドステージも広く、その中にピンポイントで楽器が定位する。
音の輪郭が明確で、金管の切れ味も鋭いが、高級機だけあり、耳障りなところは皆無だ。
高音から低音に至るまでパワフル、ダイナミックで、音にビシッと芯が通っている。

いわゆるHiFi調の音質で、何を聴いてもハイスピードでキレが良くダイナミックで、思わず踊りだしたくなるような楽しい音である。

欠点は、そのスピード感かもしれない。
何を聴いても独特のスピード感があるため、夜にしっとりと音楽を聴きたいような時に向いていないように感じる。

兄弟機であるHugo2と比べるとどうだろう。



Hugo2に繋ぎ変えると、正直、あまりの音質差に驚く。

単体で聴くとクリアでダイナミック、かつ広大なサウンドステージを誇るHugo2も、TT2の前では霞んで聴こえる。
サウンドステージが一気に狭まり、音のキレが失われ、全体的にモヤっとした感じに聴こえてしまう。

TT2はHugo2の倍以上高額だが、その価格に見合う違いはあると言えるのではないか。

では、より上級機であるDaveと比べるとどうか。

TT2からDaveに繋ぎ変えると、気持ちがホッとする。
迫力あるTT2の音に圧倒され、いつの間にか緊張していた自分に気づく。

思わず踊りだしたくなるようなTT2の音に比べて、Daveの音はナチュラルで、音が濃く、厚みがあり、ニュアンス豊かで、よりニュートラルだ。
Daveと比べてしまうと、TT2の音は、少し乱暴で薄口に感じる。

しかし、TT2が全面的に負けているかと言えばそうでもない。

TT2のスピード感はDaveには無いものだし、サウンドステージの大きさ、スケール感ではTT2もDaveに引けを取らない。
TT2のスケール感の大きさはChordのDACでも随一と言えるだろう。

次にスピーカーの直接駆動を試す。



8Ω以上のスピーカーであれば、ほぼ何でもドライブ可能とのことだが・・・

試しに、我が家のB&W 805 Diamondをドライブしてみると、その素晴らしい音に驚きを禁じ得ない。

上級機であるDaveもスピーカードライブが可能であるが、出力は2Wしか無い。
そのため、録音レベルの低い楽曲ではどうしても音量が不足しがちである。

しかし、このTT2はDaveの3倍以上のパワーを誇り、10畳程度の部屋であれば、シングルエンド出力でも音量不足の心配は皆無である。

バランス出力の18Wを使えば、おそらく、市場にあるほとんど全てのスピーカーを十分鳴らすことができるだろう。

TT2で直接駆動するB&W 805 Diamondの音は、ヘッドフォンで聴いた場合の印象と全く変わらない。

スケール感が広大で、高音から低音までダイナミックでパワフル。ボーカルも浸透力があり爽快だ。
アンプを介していないからだろうか、定位が極めてシャープで鮮度が抜群に高い。
そして、TT2のボリュームはデジタルボリュームであるため、音量をリモコンで調整できる点も便利だ。

このTT2に関して言えば、もはやアンプは不要だろう。
直接スピーカーを駆動する一体型システムとして使うのがベストであると思う。

なお、このTT2は借り物であるので分解はできないが、製品の上面に付いているガラス窓が大きいため、心臓部であるパルスアレイDACや出力段を見ることができる。



窓から確認する限り、パルスアレイDACの構成はHugo2と同一である。
片チャネル当たり10個のエレメント数で、これはmojoの4個よりは多いが、Daveの20個よりは少ない。

大きな違いは、出力段である。

Hugo2は、フェアチャイルド社の2N2222と2N2907というバイポーラトランジスタを片チャネルあたり合計3個使用していた。

TT2は、ZXTP19、ZXTN19というバイポーラトランジスタを片チャネルあたり合計6個使用している。
トランジスタを変更し、かつ、数を倍に増やしたのは、出力を増やすためだろう。

なお、オペアンプはTI社のOPA2209が片チャネルあたり2個使用されている。
OPA2209はChordのDACでは定番のオペアンプで、Dave以外は全てこのオペアンプを使用している。(DaveはLME49990)

ちなみに、このTT2には、Chordのオーバーサンプラー、M-Scalerを接続することもできる。

M-Scalerを使用した場合のTT2の音だが、音質がガラリと変わる・・・事は無い。

音像が若干引き締まると同時に音の粒子が若干細かくなり、音楽の印影が若干深くなる。しかし、基本的には同じ音である。
ブラインドテストでも判別できるレベルの違いではあるが、言われなければ気づかないかもしれない。

このHugo TT2だが、個人的にはとてもおすすめの機種である。
高音質なコンパクトシステムを求めているユーザーにとって、またとない製品だろう。

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レス一覧

  1. kakkiさん

    私もオーディオショップでDAVEとの比較試聴しました。
    最初にTT2を聴くと全く不満のないChordの音であり、価格差を考えるとTT2にM-Scalerを組み合わせれば、BluDaveと遜色ないのではと思っていました。
    結果はDaveの価格差も納得できる優位性が一聴してわかり、安心した次第です。

    TT2で直接スピーカードライブした音は聴いたことが無いですが、これ1台でコンパクトHiFiを実現できるのは抜群のコストパフォーマンスです。
    BluDaveも充分コンパクトでありEtudeを繋いでブックシェルフ型スピーカーを鳴らせば、スペースに優しいリビングオーディオを構築できます。
    ワッツ氏のライフワークになりそうなデジタルアンプが完成すると更にコンパクトな次世代HiFi構成になり、生活空間に溶け込んだスタイリッシュなオーディオ機器構成を実現できそうです。

    byvanilla at2019-02-08 07:52

  2. vanillaさん、レスありがとうございます。

    おっしゃる通り、Daveと比べてしまうと差を感じますが、単体でスピーカーも駆動できてしまうことを考えると、これ1台でいいのでは?という気持ちになりました。

    今後のパワーパルスアレイには非常に期待できそうですね。話題が出てからもう3年近くになりますので、今年こそ進展があると期待したいところです。

    (つい最近のRobert Watts氏の投稿を見ると、何やらプロジェクトでめちゃくちゃ忙しかったようですね、パワーパルスアレイとmojo2ではないかと予想します)

    bykakki at2019-02-08 08:19

  3. 昨年のIASでWatts氏を見かけたので、パワーパルスアレイについて確認したところ、諦めず開発継続していると言っていました。ただし、本当に忙しいようで、まだ時間がかかりそうな印象でした。
    Watts氏とだけ話をしていたら、隣のFrank氏がEtudeはどうだ?と聞いてきたので、このサイズでこのクオリティは最高のパフォーマンスと答えると嬉しそうでした。

    残念なのは写真を撮るのを忘れてしまったことです(笑)。

    byvanilla at2019-02-08 08:36

  4. IASでロブに会われたのですね。先日の投稿では、プロジェクトで忙しいのでADコンバーダーの設計が進んでいないと言ってましたので、そうなると何のプロジェクトを実行しているのか非常に気になりますね。思い当たるのはmojo2ぐらいですが。。。
    いずれにしても、我々の知らない何かが進んでいるという事で楽しみですね。

    bykakki at2019-02-08 09:27

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