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「ラック」 コプラーレ(COPULARE)社 Bronze Spharen、Zonal Tone-Basis、Aural High End Stand、Analog Stand Sial  …

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持ち家(戸建) / 専用室 / オーディオルーム / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
コプラーレとフィニッテエレメンテのラックに収まった機器です。 スピーカーはソナス・ファベールのアマティ・トラディションと自作ホーンスピーカー。 サブにスペンドール BC2 ソナス・ファ…
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日記

デジタルオーディオ最新技術MQAの秘密。ボブ・スチュワートにロングインタビューを実施(後)

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2017年10月25日

アサクラさんは5マイクロ秒の音を知覚できる?

9月に開催されたIFAの取材後、麻倉怜士さんは英国に渡り、ロンドン北西にあるHuntingdon(ハンティンドン)駅から車で約5分の位置にあるMQA(Master Quality Authenticated)本社を訪れた。そして新オーディオコーデックMQAの秘密を、開発者であるボブ・スチュワート氏にインタビューを実施した。今回はその後編をお届けしよう。(編集部)

−−なるほど。10マイクロ秒という単位はひじょうに重要なのですね。それも現代の音楽鑑賞でも同じことが言えるわけですね。

ボブ しかも、驚くことに、時間解像度は、訓練によって向上するのです。一般に10マイクロ秒ですが、音楽経験者やオーディオの専門家は5マイクロ、指揮者は1〜2マイクロ秒まで、細かく聴き取れることが報告されています。アサクラさんは耳がよいですから、5マイクロ以下が判別できるはずです。

−−いやいや!?

ボブ さらに素晴らしいことは、周波数特性で高域は衰えるけど、時間軸解像度はまったく変わらないことです。年をとっても、豊かな音楽性がそのまま楽しめるのです。

−−それは素晴らしい。私も安心しました(笑)。MQAは10マイクロ秒の時間解像度を実現したわけですね。

ボブ デジタルの音を人が聴いてとてもナチュラルだと感じさせるためには、この細かな時間軸解像度が、絶対に必要なのです。これまで周波数特性やDレンジでハイレゾが論じられてきましたが、それを時間軸の観点に主眼を置き、最新のニューロ・サイエンスの知見を採り入れたことで、革新的なハイレゾ音響が実現できました。

−−なるほど。MQAの10マイクロ秒の時間軸解像度は、人の認識できる限界値とまったく同じですね。それはCDの4ミリ秒よりも400倍も細かいです。MQAを聴くと、192kHz/24ビットのリニアPCMよりはるかに音場感や音楽性、表現性が優れているのですが、ちなみに192kHz/24ビットはどれくらいの時間軸解像度なのですか。

ボブ CDは4ミリ秒と、とても解像度が低いのですが、リニアPCMのハイレゾはそれなりに精密です。96kHz/24ビットは400マイクロ、192kHz/24ビットは200マイクロです。でも人の時間軸解像度より、はるかに粗いですね。

ボブ・デュランの「TAKE ME THERE」のポスター。「音楽が生まれる場所にMQAは連れて行ってくれる」という意味だ

−−なるほど、MQAの優秀さが分かりました。

ボブ 音はすべてアナログです。音源が振動して音波を発し、空気を振動させ、われわれの耳に空気を媒介にして届けます。でもすべての音は完璧にロスなく、空気を通して届けられるわけではありません。高域や小さな音はレベルが距離と共にだんだん小さくなります。そのことを前提条件として、耳は周りの音を聴いているのですね。

 つまり高域や小さな音はレベルが小さくなっても、それは空気を通って来ているのだから、その音源の存在は小さな音でも、脳はしっかりと感じているのです。われわれは楽器の音をよりクリアーに明快に聴くには、近づいて聴くとよいことを、経験上知っています。

 耳は優秀で、実際のところ、音源から発せられた音は、耳まで到達する間に、さまざまなところで反射し、複数の経路を通り、時間的にズレで耳に入ります。でもよほど、エコーが激しくない限り、耳は複数の音源があると錯覚するわけではなく、音源はひとつであると、認識するのです。

−−なるほど。ボブさんの解説はとても分かり易いです。

ボブ MQAは空気の中で音が減衰していく、自然なカーブをたいへん重視しています。音が空気で伝播される限り、このカーブはどんな音でも等しく与えられます。どんな録音機であっても、この減衰波形が与えられるべきです。なぜならば、それこそが自然なカーブだからです。

 MQAの開発過程では、サンプリング周波数の違いにより、音源からどのくらい離れた距離で聴いていることに相当するのか、慎重にしらべました。48kHzのリニアPCMでは、音源から25m離れて聴くのと等価です。192kHzは少し近づきますが、それでも15mです。さきほどのように、人は0.3cmの単位で音源位置を認識できるのですが、こんなに離れてはその位置は、まったく認識できませんね。一般の人が10マイクロ秒の時間軸解像度で聴き分けられると言うことは、2mの距離で聴くのと同じです。MQAも一般の人と同じ10マイクロ秒という時間軸解像度です。

---なるほど。MQAは人の聴覚と同じで近くで聴くのと等価なのだから、楽器の音がより正確に、精密に再現され、また、音が空気を通るような感覚も、MQAなら体験できるということですね。 それこそがMQAの表現力の秘密ですね。

 私はMQAで楽器から音が発せられるメカニズムを聴いた気がしました。例えばカメラータ・トウキョウの音源の『驚異のデュオ』では、弓が弦を擦る、ひじょうに微細なメカニズムの動きが、そのまま音に反映されるようです。チェロで弓と弦の振動が本体に伝わり、音となって発する一連の動きの流れが、超高速撮影のように明瞭です。基音と共に倍音が豊かに発せられる様子も伝わってきますね。それも眼前で。

 また10マイクロ秒という時間軸解像度のおかげでしょう、音場の生命力も圧倒的ですね。同じくカメラータ・トウキョウ音源の『ドビュシー・月の光』では私は時間軸の刻み細かさが、ほんとうの響き成分を露わにするという感じでした。ひじょうに音場感が豊潤になり、響きが複線系になり、多様な色の響きが聞こえました。響きの立ち上りの軌跡が、まるで螺旋を描くようでした。


−−ありがとうございます。もうひとつ、MQAの特徴的な音傾向として、低域がひじょうに明瞭になり、解像度が高くなりますね。ピアノの低弦、チェロの低音の堂々さ、パイプオルガンの低域の偉容さ……など、感動的です。

ボブ 一般的なリニアPCMでは、低域、中域、高域を等しく収録しますが、人が音楽を聴いてもっとも打たれるのはアッパーベースから中域の部分です。MQAはこの部分をとても大切に扱います。

−−なるほど。ひとつ疑問があるのですが、リニアPCMで、CDの4ミリ秒から96kHz/24ビットは400マイクロ秒まで細かくなるので、音質が急に上がるのはよく分かるのですが、96kHz/24ビットから192kHz/24ビットでは、解像度は2倍になるのに、なぜ、向上度合いが低いのですか。

ボブ 確かに解像度だけをとれば音質は上がっているのですが、録音から再生までの系で音を左右する条件がひじょうに多いのですね。マイク、プリアンプ、ミキサー、レコーダー、A/Dとここまでが録音側で、再生側はD/A、プリアンプ、メインアンプ、スピーカー…… これらの影響が積み重なるので、時間軸解像度が倍になった程度では、その有り難みは相対的に小さいのです。

−−なるほど、CDから96kHz/24ビットまでは、これらの阻害要因(?)が多くても、あまりに時間軸解像度が上がる、つまり10倍になるので、その良さが発揮されるのですね。でもそれからは、時間軸解像度の向上が緩やかなので、御利益が少ないということですね。

ボブ そういうことです。

---もうひとつ、MQAの疑問。確かにMQAの音は素晴らしいです。それも、初めからMQAで録音したファイルを聴いたのではなく、オリジナルは96kHz/24ビットや192kHz/24ビットのリニアPCMからMQAに変換した音を聴いて、つまりMQAにエンコードされ変換されたファイルがMQAデコーダーにて、デジタルからアナログに変換された音を聴いて素晴らしいと言っているのですね。時間軸解像度の低いリニアPCMから時間軸解像度の高いMQAに変換することは、どうして可能なのですか?

ボブ なかなか良い質問ですね。さきほど、映像などの分野でサンプリング理論が近年、大発展したと言いましたが、MQAがエンコーディングで使う「DEBLUR」フィルター(時間軸変動除去)は、それらの理論を援用したものなのです。

 なぜリニアPCMファイルで、時間軸解像度が低いのかというと、プリエコーやリンギングなどの時間軸ノイズ成分により、時間軸が変動してしまうからです。喩えて言うとつまりカメラのレンズにグリスを塗ったような状態になっているのです。それを綺麗に拭いて、取り除いて上げるのが、われわれの「DE-BLUR」(BLUR=ぼけ、にじみの意)フィルターというわけです。結果として、ピントの合った写真が撮れますし、音で言うと、時間軸解像度がより細やかになるのです。

−−なるほど。よく理屈が分かりました。ではMQAの今後について、お尋ねします。いまは2チャンネルで展開していますが、サラウンドやイマーシブ(立体サラウンド)への展開は?

ボブ 当然、考えています。2チャンネルをマルチチャンネルに増やすのは、技術開発や技術哲学の問題ではなく、リソースの違いですから、難しくはありません。マルチチャンネル展開はとうぜんAVアンプですから、当該メーカーさんがいま開発しています。

−−なるほど。ヘンな質問ですが、アナログ→アナログの理想的な系を100点とすると、現在のMQAは何点ですか?

ボブ そうですね。90点以上をあげたいです。ひじょうにナチュラルな音が得られています。残りの10点ですが、今後、さらにナチュラルを目指し、さきほど言った、音楽専門家のレベルの時間軸解像度を目指して開発を続けます。スタジオでの録音、アーカイブなどに使うプロ用途を想定しています。それを活かすには、さらに高域まで収録できるマイクロフォンの開発を要望したいですね。

−−一般に10マイクロ秒ですが、専門家は5マイクロから2マイクロ秒まで細かく聴き取れるというお話でしたから、それは意義がありますね。今後もMQAは進化していくということ、大いに期待ですね。今日は、たいへん素晴らしいお話の数々、ありがとうございました。

以上http://www.stereosound.co.jp/column/av_trends/article/2017/10/19/61692.html

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