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音楽鑑賞会(11) ブラームスクラリネット五重奏曲

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2013年02月25日

この曲を枯淡の色合いと受け止める批評は多いけれども、実はこれほどに色彩の鮮やかなハーモニーを実現できた室内楽はないとさえ思います。

決してクラリネットが唯一の主役でもないし、弦楽四重奏+クラリネットという対比でもありません。五つのパートは完全なポリフォニーのなかで溶け合い、一切の単一の主役の主導を否定しています。

ブラームスは、あたかも種々の彩色鮮やかな毛糸玉を組合せ確かめながら最新の油彩顔料を敷き詰めていった画家ゴッホのように各々の楽器の織りなす音色を、彼の思うがままに豊かに対比させ、あるいは混成させています。それは、この形式の先人であるモーツァルトやウェーバーが思いもつかなかったことだと思うのです。

第一楽章のアレグロはソナタ形式の建造様式に沿った力強い造形です。それでいてその始まりは何度聴いても本当に美しい。ふたつのヴァイオリンの美しいハーモニーに続いて、中低弦が続いて静かにクラリネットが上昇し、哀切極まりない旋律を歌う。やがて奮い立つような経過句を経て第二主題が導入される。この対比的な転換が見事なソナタを構築していきます。晩秋の哀愁にあえぐリズムのなかで、幾度となく感傷の弛緩へと迷いこみそうになりながらも、アレグロの切実な緊迫性を喘ぐようにしてかろうじて保ち続け、やがて、ついに、疲れともあきらめともつかぬため息のなかに静かに曲を閉じます。

こうしたかろうじて自らを鼓舞するような緊迫が、続く第二楽章のどこか満たされないようなアダージョとの対照をなしています。弱音器をつけた弦楽が刻むなかで、第一ヴァイオリンとクラリネットが美しい憂鬱なテーマを奏でます。中間部では、クラリネットの調べがエキゾチックに変貌し、あたかも過去の華やかさを回顧するかのような切ない乱舞を始め、ヴァイオリンがそれを諫めたり、慰めたり、優しく相づちを打つかのように寄り添います。やがて、奮い立つようなクラリネットのトレモロや幻想的な経過句に導かれて、初めの部分がわずかにデフォルメされよみがえってきます。

第三楽章のスケルツォは、叙情的なゆっくりした部分といたずらっぽく疾走する部分が交互し、各々の楽器が高らかに歌いたわむれ、その一方で弦楽器は自由にさざめきクラリネットは細分された細やかな音をまき散らすように駆け巡ります。そして冒頭がくり返される。

終楽章は、見事な主題とそれによる五つの変奏曲となっています。それぞれの変奏は、それぞれの楽器が主役となって鮮やかな色彩の喜悦をなしています。第Ⅰ変奏は意表をつくように第2Vnとヴィオラが主導し、第Ⅱ変奏と第Ⅲはクラリネットと第1Vn、第Ⅳ変奏はヴィオラとチェロの中低弦が主役となり、第Ⅳ変奏は再びクラリネットと第一Vn、そして、コーダは諦観とも無常観ともつかぬような嘆きとともにあたかもマーラーを予言するかのように劇的に幕を閉じる。





聴いたのは、エディ・ダニエルズとコンポーザー弦楽四重奏団。

何よりも音が美しい。

ダニエルズは、あのベニー・グッドマンの再来かとも言えるようなジャズとクラシックをまたにかけるアメリカのクラリネット奏者。

リファレンス・レコーディングスの優秀録音とともに、この曲の色彩感に改めて目覚めさせるような名演・名録音となっています。その第一楽章にはそのブラームスの本質に迫るような思い入れがあるようで、色彩への深い耽溺があります。






もうひとつは、1950年代のウィーンフィルの古豪であった、ウラッハとウィーンコンツェルトハウス四重奏団の歴史的録音。

かつてウェストミンスターの一連の名録音はなかなか手に入りませんでしたが、2000年頃にマスターが発見されてJVCの20bitK2で見事に復刻されよみがえりました。

彼らの演奏を間に辺りにしてみると、そのスタイルは、高度な洗練があって、しかも、実に潔癖で堅実、剛毅です。その一方で、ウィーンの伝統と洗練を伝えて実に高貴な息吹にあふれていて、特に、第二楽章は、ウィーンの栄華を愛惜するかのような老残の耽溺ぶりに凄みがあって、聴き終えるとあたかも黒真珠を目の当たりにしたような深々とした感激に気持ちが沈み込みます。名演だと思います。

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  1. こんばんは。

    リファレンスレコーディングスのCD/SACDは概ね良い録音ですね。当方も何点か愛聴盤になっているものがございます。

    ご紹介いただいたこのCDは浅学故に持っておりませんでしたので、早速購入してみようと思います。(幸いHMVで2月末まで40%オフのセールをやっていますので)

    byゴンザエモン at2013-02-27 21:35

  2. ゴンザエモン おはようございます。

    ウラッハらのブラームスは、この曲を愛するひとびとにとっては欠かせない一枚だと思います。

    byベルウッド at2013-02-28 08:53

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