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日記

エリゼ弦楽四重奏団 with 中野真帆子

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2013年10月30日




今回も武蔵野市民文化会館。これも友人のご厚意で譲っていただいたチケットです。

エリゼSQは、初来日。日本での知名度もいまひとつだったのではないでしょうか。しかし、あらためてこうして聴いてみると、いかにもクヮルテットらしいクヮルテット。聴いていてとても楽しい。

1995年に結成されて比較的歴史のある団体ですが、もともとは国際コンクールで大賞を得たふたつの団体の初代メンバーが合体して結成されたとのこと。しかも、今は、チェロのキリチェンコさんだけが当時のメンバーで、他の3人は一新されています。先日のウェールズSQでも書きましたが、同じメンバーを維持していくことの難しさは共通のようです。けれども、その特質はとても対照的。ウェールズSQには苦言を呈するようなことになってしまうかもしれませんが、とても印象的だった点を書いてみます。

まず、「クヮルテットらしい」ということ。

第二VnとVaが、内声をしっとりと支えていて、音色がとてもよいこと。特に、VaのシャムリーナさんのいかにもVaらしい音色が素晴らしく、経過句的なところでVaの音色が浮き出てくるとこちらの心までが浮き立つ思いがします。第一と第二Vnの音色がとてもよくそろっていてハーモニーが美しい。それでいて、真ん中の第二VnとVaがそれぞれ両端の第一VnとVcに寄り添い、それぞれが左右に視線を流したり身体を寄せたり、真ん中同志で身を寄せ合ったりと、まさに、真ん中のふたりがアンサンブルの要になっていました。

もうひとつは、音楽的な主張が明確に伝わってくること。

プログラム前半は、ラフマニノフの青春時代の秀作二曲。後半が、そのラフマニノフのモスクワ音楽院時代の師であるアレンスキーのピアノ五重奏曲。いずれも演奏されることが珍しいものですが、ともにロシアの後期ロマン派の濃厚な純粋音楽の魅力が横溢するもの。

ラフマニノフは、作曲家として青雲の志を持ちその天賦の才を持っていたひと。そのことは、学生時代に書かれた『悲しみの三重奏曲』(第一番)のような名作を聴けばよくわかります。演奏された弦楽四重奏曲は、ともに青春時代の未完の作品ですが、弱音器で奏される第一番の「ロマンス」や、特異な連続和声や反復音型による詠嘆の音楽である第二番の「アンダンテ・モルト・ソステヌート」には、そういうラフマニノフの異才ぶりが遺憾なく発揮されています。

それが、交響曲第一番初演の悲惨なまでの挫折にうちひしがれ精神を病むほどに傷ついてしまう。ボルシェヴィキ革命や世界大戦などに運命を翻弄され、作曲家というよりはコンサート・ピアニストとして名声を得ますが、ロシアに帰ることは二度とありませんでした。ピアノ技巧披瀝のために自作自演しただけのように見えたラフマニノフの作品が、次第に評価を高めていったのは死後のことではないでしょうか。現代に忘れられたアレンスキーは、逆に、前半生の高名とはうらはらに零落した晩年を過ごし、やはり異国に客死した作曲家。

単なる名曲、名作曲家の作品の羅列ではなく、弦楽四重奏というジャンルがいかに幅が広く、奥が深いかを示しつつ、知的で洗練されたプログラムを構成しています。

さらには、最後になりますが、明確なアイデンティティとエンタテインメント性。

フランスのエスプリともいうべきアンサンブルの美音。最初の「クヮルテットらしさ」と重複するところはありますが、やはりいかにもフランスらしい明彩色の美色のアンサンブル。Vcの甘い音色と、澄んだVnの音色は、ドイツ系や中欧の弦楽アンサンブルとは明らかに違う。それをはっきりと示しながら、フランスのロシア音楽への深い敬愛の伝統を伝えていました。



そうした美質をまとめて開花させたのが、最後のアンコール曲でした。

パリで活動をともにしている中野真帆子さんのピアノとの息もぴったりで、この初来日のために考えて丁寧に準備されたものであることは明らか。ぜひ、録音して残して欲しいと思わせる名品に仕上がっていました。






エリゼ弦楽四重奏団 with 中野真帆子
2013年10月24日(木) 19:00
東京 武蔵野市民文化会館小ホール

ラフマニノフ:弦楽四重奏曲第1番 ト短調
      :弦楽四重奏曲第2番 ハ短調
      
アレンスキー:ピアノ五重奏曲 ニ長調Op.51

(アンコール)
菅野よう子「花は咲く」

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