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日記

純情 情熱 希望  (小林沙羅&荘村清志 ソプラノ&ギター・デュオ)

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2014年07月29日



ほんとうにチャーミングなソプラノ。

小林沙羅は、東京芸大(大学院修了)卒業後の2006年に国内デビュー、数々の公演で成功を収め、2010年度から野村財団奨学生、文化庁研修員としてウィーンに在留、12年ブルガリアのソフィア国立歌劇場の「ジャンヌ・スキッキ」ラウレッタ役で欧州デビュー、という新進ソプラノ。

映画「のだめカンタービレ」の歌唱やテレビ出演やCMで人気を博しているとか。ポスターを見てもなかなかの美人なのはけっこうなことで、とはいえ人気先行の歌手なのかなとさほど期待はしていなかった。ついつい買ってしまったフィリアホールのセット券なので、猛暑の中を気乗りがしない遠路ながらも足を運んだ。

ところが、劈頭のカッチーニ「アマリリ麗し」でたちまちその魅力にはまった。

清潔な可愛らしい容姿はポスターのままで、その歌唱はそういう細身の見かけによらず美麗で声量も豊か。フィリアホールの空間を豊穣な歌声で満たす。歌の表情も豊かで、細く長い腕を一杯に開いたり、胸のまえに合わせてそのせつない思いを表すなど演技力も存分。日本声楽界にもこういう若い才能がどんどんと育ち花開いてるということに胸がときめきます。

そういう若い華にそっと付き添うような荘村のギターが胸を打つ。驚いたことにアンプなしの純然たるアコースティックで、さすがに音量はないが小林の歌をしっかりとサポート。デュオの合間に、ギターソロの名曲も披露。特に、最初のバッハ「シャコンヌ」の端然とした格調の高いギターの宇宙には深い感銘を受けた。

そのギター・ソロを挟んで、小林とのデュオは、全体として大きく三部構成となっていた。

最初が、イタリア語やフランス語で愛の告白を歌う《純情》の世界。カッチーニの「アマリリこそ私の愛する人だ」は切ないまでに純愛を吐露する歌。マルティーニは「愛の喜びは一日しか続かず、愛の苦しみは一生続く」という失恋の歌。ヘンデルのあの有名なアリア2曲は、そういう愛憎をはるかに超絶した純粋な愛を伸びやかに歌う。

第二部は、日本語の歌。

山田耕筰の唱歌の傑作、武満徹の昭和歌謡の異色の名作、いずれも2作ずつ。小林はとても言葉を大事にしている。小林は、現代詩表現グループ<VOICE SPACE>メンバーとして、日本の歌、新曲演奏にも力を入れているという。小田朋美の歌はそういう活動のなかから生まれた。

そうやって、ステージに登場するたびに衣装ドレスが変わる。最初は、純情のピュアーホワイト。第二部の、日本語の情感の世界では、さくらの花のような淡いピンク。そして最後には、真紅のドレスで登場。その瞬間、ほおーっというようなためいきで会場が沸いた。

その真紅のドレスでの第三部は、《情熱》のスペイン。

ファリャ、ロドリーゴというスペイン歌謡の世界は、ふだんあまり聴くことがなかったが、本当に胸躍るような情熱の世界。身体を大きくひねったり回したりの歌唱はあでやかなまでの華麗さに心が翻弄されるような思いがした。そして、ふっと息をおさめてから、最後のドリーブの「スペインぶり」に会場は大喝采。

アンコールも素晴らしかった。

越谷達之助の「初恋」には涙がとまらなかった。こんな素晴らしい日本歌曲があったなんて不覚にも知らなかった。これもコンサートならではの出会い。啄木の『一握の砂』のシンプルな一編が、どこまでも、どこまでも深く胸を打つ。

砂山の
砂に腹這い 
初恋の
痛みを遠く 
思い出ずる日


グラナドスの軽妙な歌に沸いた満場の拍手が収まらず、おそらく小林自身も今日のコンサートには確かな手応えを感じたのだろう、少し上気したような声で小林が小さな希望の思いを語った。「今日はいつになく歌いながら、いろいろな思いが胸の内を去来し感情が揺れ動きました。今朝の新聞を見ても、世界ではいろいろなことが起こっていて、不幸がやむことがない。憎しみの連鎖ではなく、愛と笑顔の連鎖に変わってくれたら…と。その種をまいていきたい…そういう思いを込めて歌います」と。


「えがおの花」小林沙羅-作詞・作曲

けれど私は信じている
今日も種を植える
いつか世界がえがおの花で
あふれますように

私があなたにあなたが誰かに
優しさのつぼみを
手渡すことができるのならば
いつかこの世界は…

いろとりどりに
姿さまざまに
強く優しく咲き誇れ

だから私は信じている
そして歌を歌う
あなたの心にえがおの花を
咲かせたい咲かせたい





土曜ソワレシリーズ 第242回
小林沙羅&荘村清志 ソプラノ&ギター・デュオ
2014年7月26日 17:00
横浜市青葉台 フィリアホール

カーッチーニ:アマリリ麗し
マルティーニ:愛の喜び
ヘンデル:歌劇『リナルド』より 私を泣かせてください
      歌劇『セルセ』より オンブラ・マイ・フ
J.S.バッハ:シャコンヌ~無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より(*)
山田耕筰:この道(詞:北原白秋) / からたちの花(詞:北原白秋)
武満徹:翼(詞:武満徹) / 小さな空(詞:武満徹)
小田朋美:これが私の優しさです(詞:谷川俊太郎)

タレガ:アルハンブラの想い出(*)
グラナドス:12のスペイン舞曲Op.37より第5番 アンダルーサ(*)
ファリャ:7つのスペイン民謡
ロドリーゴ:4つの愛のマドリガル
ドリーブ:カディスの娘たち

(アンコール)
越谷達之助:初恋(詞:石川啄木)
グラナドス:トゥララとつまびいて
小林沙羅:えがおの花(詞:小林沙羅)

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  1. ベルウッドさん こんにちは

    猛暑にもめげずアクティブライフですね。

    小林沙羅さんの記事が目にとまりスレしました。
    小林さんも広島に縁がありご両親のどちらが広島出身です。確か祖母が尾道市でご健在です。

    昨年、イベントでアテンドする機会があり、少しお話ししましたが、小柄な身体から漲るやる気や勝気な性格が垣間見えました。
    こういう世界で生き抜くには、しっかりと自分を見失わないような強いハートが入りますよね。
    歌も若く声量もあり高域の伸びも気持ち良く、将来が楽しみな逸材だと思います。
    今年も広島での演奏が予定されているので楽しみです。

    ではまた。すのゆの

    byすのゆの at2014-07-29 12:55

  2. すのゆのさん 暑い日が続きますね。

    小林沙羅さんも、広島のかたですか。

    広島は、良きにつけ悪しにつけ(苦笑)音楽界に人材が豊富なのですね。

    小林さんは小柄なのですか?

    ソロですとステージ上に比較するひとがいないのでわかりません。荘村さんと並んでも背丈はそう変わらないので日本人女性としては大きい方なのかなと思いました。というのも、それだけ声量があってホールによく声が行き渡る感覚があったからです。

    それにとてもとても身のこなしが軽やかで表情が豊かですね。プロフィールを調べてみると12歳までバレエをやっていたとか。どうりで。しかも、板東玉三郎にも手ほどきを受けていたこともあるそうですね。

    だからこのひとなら《蝶々さん》もできるかもしれません。あの役は、前半はまだあどけない怖いもの知らずのところがある少女=おさな妻、後半は子供とともに凛とした自尊心に殉ずる高貴な熟女ですので、一人二役に近い役どころ。特に前半は難しいですね。小林さんならぴったりかも。そんな夢がふくらむ逸材です。

    byベルウッド at2014-07-29 13:57

  3. ベルウッドさん、こんばんは。

    暑さの中、青葉台にお越しだったのですね。
    小学校の高学年頃に、若き荘村さんのリサイタルに母親と一緒に
    行ったことがあります。孫?のような小林さんをサポートする
    記事を拝見して、年月の経過を感じました。

    ホールのパンフレットでチェックはしてましたが、やはり行く
    べきだったと思いました。

    by横浜のvafan at2014-07-30 00:38

  4. 横浜のvafanさん おはようございます。

    荘村さんはお若い頃から第一人者として有名でしたからね。ここのところは村治さんの大衆的人気の蔭に隠れてすっかり隠棲者の雰囲気になってしまいました。私もあまりに久しぶりで何だか別人との初対面のような気分でしたが、やっぱりさすがです。すごく謙虚な方です。

    私は、遠来なので当日券というわけにはいきませんが、vafanさんならふらりと立ち寄って当日券があれば聴いてみるというのもアリなのではないですか。フィリアホールもコンテンツが充実していますね。

    byベルウッド at2014-07-30 09:03

  5. ベルウッドさん、こんにちは
    ここはもっとチェックしようと重い会員登録しました。
    時間を見つけてコンサートに行きたいですね~

    by小林二郎 at2014-07-30 13:05

  6. 小林二郎さん こんにちは

    小林さんもご近所なのですか。こういう音もよくてコンテンツもしっかりしたホールがお住まいの圏内にあるのはうらやましいですね。

    byベルウッド at2014-07-31 10:38

  7. ベルウッドさん、こんにちは
    ベルウッドさんがこのホールで聴いた音楽を感想をアップする度に

    そうそう、このホールチェックしなくては・・・

    と思うのですが気がつくと忘れてしまうという連続だったので忘れないように会員登録しました。我が家は青葉台から4駅くらいのところにあります。

    まだ自分が恵まれているということが実感できないのは
    トホホですね~(^_^;)

    by小林二郎 at2014-07-31 12:06

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