ベルウッド
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日記

読響 ケイト・リウのショパンとオンドレイ・レナルトの「英雄」

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2017年05月15日



この日の東京は、ひどい雨。池袋駅前のバス停からほんのすぐの劇場までなのに傘はぐっしょり濡れてしまう。



この日も、前半にショパンの第一番のコンチェルトと、後半はベートーヴェンの英雄交響曲とプログラムはいたってシンプル。



ソリストのケイト・リウは、2015年のショパンコンクール第3位。1994年シンガポール生まれのアメリカ人で、シカゴ音楽院に学び、現在はカーティス音楽院の学士課程に在学中とのこと。真っ白な飾り気のないロングドレンスに身を包んだスラリとした長身で、その面持ちには純朴といってよいほどのあどけなさを残す。

そのショパンは、安定したテクニカルで、その姿そのものを映したようにとても清潔。



オーケストラが、ちょっと過大。管楽器こそスコア通りの2管編成だけれど14-12-10-8-6と、この曲にしては大編成。指揮のレナルトは、若いソリストを見守るということなのかもしれないが、積極性は皆無であまりに無為無策。

この日の読響は、前回と違って、ほとんどが正規メンバーで充実していたけれど、ほとんどピアノを聴いていない。何も若手を相手にウィーン・フィルなみの「対話」の妙技を期待するわけではないけれど、もっとピアノに語りかけて、ピアノの話しを聴いてあげてもよいのではないか。アンサンブルが乱れるというわけではないが、微妙に無機的なズレが生じるし、リウのピアノもつじつまを合わせるようにフレージングの最後で待つようなところがある。それでも、クリーンで清々しいショパンは楽しかった。

秀逸だったのは、アンコール。



何度ものコールに、はにかむように答えて弾き出したのが、ショパンの前奏曲の中でも一番に長い「雨だれ」。必ずしもアンコールを予定していなかったのだろうか。雨模様にかけたとっさの選曲だろうが、その十分に水気を含んだソステヌートの沈み込むような響きは、本番でのオーケストラの重みがうっとうしく感じるほどに淡泊でさえあったショパンとはまるで違う。中盤の低弦を十分に響かせたダイナミックスの大きさは、やはりさすがショパンコンクール上位入賞者だと思わせるものだった。

後半の指揮者とオーケストラは見違えるような見事な演奏だった。

オンドレイ・レナルトという指揮者は初めて聴いたが、スロヴァキア出身で1974年のブダペスト指揮者コンクールで第3位入賞。優勝者の小林研一郎とは対照的な職人気質の指揮者だが、けれん味のない中欧正統のベートーヴェンを聴かせてくれる。聴衆やオーケストラを感情的に扇動するわけではないけれど、それとはまた違った高揚感へと導いてくれるベートーヴェン。

読響も驚くほどよく鳴った。

何と言っても弦楽の充実。前回に続いてコンミスは今シーズンから参加した萩原尚子。そのリーダーシップを肌で感じるような充実した響きで、密度の高いアンサンブルを聴かせてくれる。第Ⅲ楽章のトリオでのホルンも見事。日橋のホルンは、ショパンではもう少し柔らかな透明感が欲しいと思ったがここでは本当に英雄的な濃厚さ。ティンパニの岡田も曲想に合わせてマレットを持ち替えながらの大奮闘。

レナルトの指揮は、こういう古典でこそ示されるその良識のようなものが持ち味なのだろう。ヨーロッパ中枢で歴史をかけて懇切丁寧に磨き上げられた音楽なのだ。編成は前半に1プルトずつ加えた大編成だが管楽器はスコア通りの2管。それでも音色の鮮明さ、敏捷な運動量と、厚みのある響きを両立させているのは見事。第Ⅰ楽章の高揚から、最後の終楽章の変奏曲の乱舞疾走まで久しぶりに胸のすく思いがした。


(蛇足)
このコンサートでも、生音にもかかわらず、ずいぶんとヒリヒリ感がありました。DACの性能が上がりすぎてかえって音楽の心地よさが失われたのではないかと気にしていましたが、どうもここのところ風邪気味で体調がよくなかったせいもあるようです。こういう時は少し耳を休ませることも必要かなと思いました。今日になって鼻や喉の調子がよくなってきたら、オーディオの音もよくなってきました。





第197回土曜マチネーシリーズ
2017年5月13日(土) 14:00
東京・池袋 東京芸術劇場 (2階H列42番)

指揮=オンドレイ・レナルト
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11
(アンコール)
第15番 変ニ長調ソステヌート「雨だれ」

ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

指揮=オンドレイ・レナルト
読売日本交響楽団
ピアノ=ケイト・リウ

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レス一覧

  1. ベルウッドさん おはようございます

    ショパンPコンではあまりハモンなかったようで残念でしたね。

    私の愛聴盤のZIMERMAN/WPOのべとPコン第1では指揮者なしでもピアノとオケが完全に溶け合っています。力量の差なのでしょうね。
    ケイト・リウ女史はアンコールが良かったとのことで。。。もしかしたら合わせのリハが不十分だったのかもしれませんね。

    カラヤンもソリストとあわせるのが不得意のようです。というか合わせようとしませんね(笑)
    カラヤン指揮のオペラアリア集のCDでフレー二、ドミンゴ、カレーラスなどが苦しそうに合わせているのが観てとれます。

    べと3は以前、作曲当時を現した小編成オケの映像見たことがありますが、現代のフルオケによる壮大な英雄も楽しく、有かなと思います

    byどんぐり at2017-05-16 09:43

  2. どんぐりさん

    前の晩にツィメルマンのCDがあまりにうまく鳴ってくれてつい聴き惚れてずっと聴いていたので要求水準が高くなりすぎたようです。あの録音は、ツィメルマン自身が公募し選別したプロジェクト専用オケで、彼のライフワークみたいなもので、あんな贅沢な演奏はもう実現できないでしょうね。

    byベルウッド at2017-05-16 13:07

  3. カラヤンはかつてカラスがスターダムに上り詰める過程で指揮者として最重要な役割を果たしました。カラスもカラヤンも複数のスターの饗宴といったことを好まない音楽家で、特にカラヤンはアンサンブル重視の音楽家です。スターを集めての演奏というのはレコード会社などの商業的企画としてあまり気乗りせず実務的に予定を消化することに専念していたのだと思います。リヒテル、ロストロポーヴィチとの三重協奏曲の録音でテイクに不満だったオイストラフがやり直しを提案したらカラヤンが無視し、権力の所在に敏感なロストロポーヴィチがそれに要領よくカラヤンに応じ、リヒテルはダンマリを決め込んだというような話しをどこかで読んだ記憶があります。

    byベルウッド at2017-05-16 14:48

  4. ベルウッドさん 

    カラヤン評ありがとうございます。その続きです

    その後幾度もワグナーの「タンホイザー序曲とトリスタンとイゾルデ」のベルリンフィルとウィーンフィルの聴き比べ、を行いました。

    その結果、カラヤンが演奏に心酔しきっているのはベルリンフィルの方でウィーンフィルの方は、何かぎこちなくて寄せ集めでお祭り用の演奏に感じました。とにかく音楽の滑らかさが断然ベルリンのほうが良いです。

    音楽のイントネーションが自然で聴いていて、自然に音楽に入れます。
    これはカラヤンが26年間もベルリンフィルの終身指揮者として君臨していたので言わずとも阿吽の呼吸でカラヤンの意図が団員に伝わっていたのでしょうね。


    私が一人でこの曲に浸るときは、ベルリンフィルの方で、気楽に楽しむ時はウィーンフィルです(笑)

    byどんぐり at2017-05-16 17:17

  5. どんぐりさん

    ウィーン・フィルとの演奏とは、1987年8月のザルツブルク音楽祭でのライブのことでしょうか。もしそうなら私は断然そちらのほうを取ります。

    エロティシズムというのが人間の生と死に直結しているのなら、まさにジェシー・ノーマンとのこの「前奏曲/愛と死」はエロティシズムの極致です。ライブだけに細部に不安定さはないでもないですが、だからこそ裂帛の気迫、しばしば呼吸を止めんばかりの静謐と緊張に命の限りを尽くしたエクスタシーの世界だったのだと言えます。

    80歳のカラヤンは、このコンサートにあたってリハーサルに9時間かけたそうです。ジェシー・ノーマンは、ほとんどオーケストラを聴くだけの時間だったにもかかわらずずっとそのリハーサルに付き合っていたそうです。それを煩わしいと思うどころか楽しんでいた。ジェシーは、ワグナーには何と多くのピアノやピアニッシモの記号があるのだろうということをここで知ったと語っています。「愛と死」だけでも30を超えるのだそうです。

    カラヤンは70年代のベルリン・フィルとの録音はどんなに完成度が高くともそういうものが徹底的に欠落しています。

    byベルウッド at2017-05-16 19:27

  6. ベルウッドさん 
    レスを修正しました。

    ハイ私が日記にアップした「ワーグナー・ライブ・イン・ザルツブルグ」と「ワーグナー・カラヤン」との比較です。

    そうですか。。。リハーサルの状況がよく分かりました。それほどまでに丁寧に仕上げられたコンサートとは知りませんでした。カラヤンにとって最後(?)の故郷での思い入れの強いコンサートであったのですね。

    私が感じたウィーンフィルの”ぎこちなさ”はこのコンサートに対するウィーンフィルの緊張と進化した録音技術に因るものなのでしょう。

    私の認識不足で演奏者に対し大変失礼であったようです(猛省。。)


    これからよく聴き直してみます。

    貴重なリハーサルのご説明ありがとうございました。

    byどんぐり at2017-05-17 07:39

  7. どんぐりさん

    英国人Richard Osborneのカラヤンの評伝(英語原書)によれば、コンサート当日の朝、アニフの自宅から会場に向かう車中で『終わった(“It's over”)』とつぶやいたそうです。まだまだキャリアは終わったわけではないのにと周囲はいぶかったとか。

    演奏の感想は、人それぞれの感じ方、聴き方があるのでいろいろです。それをぶつけ合いうのはとても楽しいですね。

    byベルウッド at2017-05-17 09:25

  8. ベルウッドさん

    >『終わった(“It's over”)』

    これは「自分は成し遂げた」と自身の生涯をを称賛する言葉のようにも私には受け取れます。

    以前、カラヤンがオケの団員達に「自分が死ねば嬉しいだろう」の様な言葉を吐き捨てたとの記事を読んだ記憶があります。
    物理的にも不可能と思える極度に速い演奏(管楽器のタンギング、弦の弓のボーイング)や弓の糸一本で弾く様な聞こえないような弱音やさらに大きな轟音(このため特別なトレーニングをしたとか・・)を要求したそうです。
    このため団員達から多くの反感を呼んだのでしょう。
    カラヤンは妥協することなく自身の音楽芸術を達成したかったのでしょうね。
    私はこれまでアンチカラヤン派でした。ワルター、ベーム、バーンスタインなどの温和な演奏に比べカラヤンの音楽はとても冷徹に聴こえました。

    私は今回のトリスタンとイゾルデはバーンスタイン、クライバーその他でも聴いていますがカラヤンと比べると何か物足りなく感じます。

    私も晩年を迎え、笑ってit is overと言いたいですね

    byどんぐり at2017-05-17 14:53

  9. こんにちは。

    クラッシックは門外漢ですがお二人の丁々発止のやりとり?意気に感じて読ませていただきました。

    しっかり音楽をオーディオを聴いていないと出来ない会話ですね。

    このような高度な会話はこのコミュでは余りないので勉強になります。

    技術系の高度な会話はありますが(笑) 自分は余り得意ではないのでスイマセン…。

    byキタサン at2017-05-17 18:17

  10. どんぐりさん

    私は、レスをクローズするのは当該日記オーナーの権利であるべきだと考えています。ひとの日記に対してはそういうふうに尊重し、自分の日記へのみなさんからのレスはできるだけ放置せず自分のレスで終えるのを自分の流儀だと心得ています。

    今回も、もとよりそのつもりでしたが、自分の拙い文章のせいでそういう起承転結が伝わりにくかったようで、予期していなかったどんぐりさんのレスが続きました。そこで“It's over.”のエピソードを持ち出したつもりでしたが、そこも伝わらなかったようですね。

    やりとりというものは、中味だけにとどまらず順番とか言葉の応接とか、互いを尊重し合う穏やかな儀礼(プロトコル)というものがあるような気がいたします。

    どうぞよろしくお願いします。

    byベルウッド at2017-05-17 18:25

  11. ベルウッドさん 

    そうですね 私、訪問者にレスを閉じる権利はなく、勝手に閉じようとするのは大変な無礼なことですよね。

    レスを続けるか否かは主権者たるベルウッドさんが決めることですね!迂闊でした。即削除しました。

    ついつい調子に乗ってお互いに尊重しあう配慮に欠けてしまいました。。

    こんな無知蒙昧な私ですがこれに凝りずこれからもよろしくお願いします。

    (今も音楽を聴いていて返事が遅れてしまいました。すみません)
    それからキタサンのお褒めの言葉、嬉しかったです(これも権利外ですが。。)

    byどんぐり at2017-05-17 20:22

  12. キタさん

    どんぐりさんとの対話のなかには、実は、セッション録音とライブ録音の違い、70年代の録音が求めていたサウンド、機材が発達・進歩(それは必ずしも音質の高忠実度だけではありませんが)がもたらしたライブ録音が実現したもの…といった、オーディオ論議が隠れているような気がします。

    こんな会話をコミュを通じて楽しむことがもっとあってよいような気がします。

    そんな機微をご理解いただけるレスがうれしいです。

    byベルウッド at2017-05-17 22:12

  13. どんぐりさん

    大変恐縮です。ありがとうございました。

    byベルウッド at2017-05-17 22:13

  14. ベルウッドさん
    今晩は

    今回の日記はレスでのやり取りを楽しく読ませてもらえました。

    カラヤン評もそれぞれの視点で語られていて、こうした意見交流がもっと広がってくれればとても読み応えが有りますね。
    次にカラヤンの音源を紐解いて聴く時に、新鮮な聴き所が増えているのではなかろうかと、オーディオ・デーの週末を迎えるのが今から楽しみです。

    ファイルウェブでの日記は、一元的な自分の知識見識に、交流なくして得られにくい新たな尺度や目線を提供していただいていますので、このような健全で楽しめる意見交流の場として広がりを見せてくれれば、読む側も嬉しいですね!

    次回のベルウッドさんやどんぐりさんのお題はなんでしょう?!
    楽しみにしています(^^)

    音楽は知れば知る程、色々な意味で楽しいね!
    バズケロも、もっともっと楽しく色々な経験を積んで行きたいです!

    では、では

    byバズケロ at2017-05-17 23:03

  15. バズケロさん

    ありがとうございます。

    私の次のお題はやはり「生もの」です。どうぞ楽しみにお待ち下さい。

    byベルウッド at2017-05-21 23:50

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