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日記

音楽鑑賞会 第35回 ベンジャミン・ブリテンに捧ぐ

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2017年09月12日

今回は、特定の曲ではなく一枚のCDのことを書いてみたいと思います。



ヨーロッパ室内管弦楽団(COE)の弦楽合奏のための音楽(“Music for Strings”)というCDです。

ここに収められた曲は、ブリテンや彼と相互に影響があった同じ世代の現代作曲家が古楽曲を編曲したり、テーマやスタイルを取り入れて作曲された〈再生〉の音楽。いずれもが心地よい響きの弦楽合奏曲で構成されています。

その中核にあるのが、アルバムタイトルとなっているブリテンの「ラクリメ」。

もともとは1950年にヴィオラとピアノのために作曲された変奏曲ですが、ブリテンはその死の直前にピアノ譜を弦楽合奏に置き換えたオーケストラ版に編曲しました。

テーマは17世紀のイギリスの作曲家ダウランドの歌曲「もしもぼくの嘆きが(“If my complaints could passions move”)」によるもので、通常の変奏曲とは逆に、変形された旋律から始まり、次第にテーマの姿がおぼろげながらに姿を現していきます。最後にダウランドのテーマがはっきりと現れ、そこで曲が終結するのですが、その「再生と消失」の交錯する瞬間に心が大きく揺り動かされるのです。



なお、ヴィオラとピアノのために作曲された原曲のほうには、バシュメットとリヒテルのライブ録音盤があります。いかにもレアな雰囲気のディスクですが中味は飛び切りの名演となっています。特にリヒテルのピアノの音色と響きに凄味があって、冒頭のピアノの左手の動きの中に密かに最後になって露わになるテーマがすでに陰のように埋め込まれていることに気づいたときはほんとうに衝撃的でした。

さて…

アルバム冒頭に置かれたのはヘンリー・パーセルの「シャコンヌ」。

原曲の作曲の経緯や目的は不明ですが、深刻な悲劇性と慨嘆の情を秘めた曲で、ブリテンは曲そのものにはいっさい手を入れず、20世紀の標準的編成の弦五部合奏に置き換えていて、ブリテンのパーセルへの尊崇の念にあふれたものであり、その手腕も見事というしかありません。現在では、この「シャコンヌ」の定番として最も多く演奏されています。

このアルバム前半のクライマックスをなすのが、リトアニアの作曲家アーヴォ・ペルトによる「カントス(ベンジャミン・ブリテンのための追悼)」。

それは、セント・ジョンズ、スミス・スクエアブリテンの死を悼んで捧げられた挽歌。

ペルトは『1976年12月4日というベンジャミン・ブリテンの死の日付がなぜこれほどに自分の心を動かすのか?』と自問し、その理由は『私自身、まさにブリテンを発見した』からだと自答しています。「その音楽の並外れた“純粋さ”」に啓示を受けたと痛切な哀惜の念を告白しています。ブリテンの死の翌年に捧げられたこの「カントス」は、「フラトレス」とともにペルトの作風を決定づけた画期を成す代表作のひとつとなりました。

中世の古楽語法を徹底的に探求したペルトは、全音階のシンプルな下降音型による二重カノンを、際限なくくり返し折り重ねていきます。それはさながら段々になって流れ落ちていくカスケードのようで、限りなく終息へと向かっていく音楽。最後にA音で着底すると、聞こえるか聞こえないかぎりぎりの微弱なベルの音が尾を引いていく。その寂滅の静けさに満ちた喪失感は衝撃的でさえあるのです。

アルバムは、ブリテンの先達であるヴォーン・ウィリアムスや同世代のウォルトンやティペットの曲も紹介しています。イギリス古楽への崇敬に満ちた美しいネオ・クラシックなストリングスの名曲を堪能しながら、ブリテンの系譜とその周辺をたどる構成ともなっています。



Lachryme
Music for Strings
Purcel, Britten, Part, Walton, Vaugn Williams, Tippet
Chamber Orchestra of Europe

録音:2003年3月 ロンドン、セント・ジョンズ、スミス・スクエア(ライブ)
ワーナー・クラシカル(輸入盤)

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  1. お早うございます。

    Orisukeさんのケルテス日記に刺激されて、カーゾンのピアノ協奏曲CD(指揮が、ケルテスとブリテン)を聞いていたところに、この日記がアップされました。

    とは言うものの、作曲家ブリテンは殆ど聞いておらず、このCDは存在も知りませんでした。最近、新古典主義が気になってきており、色々聞いて見たいと思っていましたので、ぴったりの情報有難うございます。

    byパグ太郎 at2017-09-13 06:21

  2. パグ太郎さん

    ブリテンは、日記でも触れたリヒテルとも多く共演していて、モーツァルトのピアノ協奏曲ではリヒテルのためにカデンツァも書いています。カーゾンとはまた違ったモーツァルトになっています。

    小菅優さんが、震災の翌年、紀尾井シンフォニエッタ東京の北米公演に同行した際に、第22番K482を取り上げていますがそこではそのブリテンのカデンツァを用いています。小菅さんのこだわりの選択でしたが、モダンな響きのカデンツァはNYでもワシントンDCでも地元の音楽評ではいささか受け入れがたかったようです(笑)。

    このカデンツァは、ブリテン/リヒテル盤で聴くことができます。

    byベルウッド at2017-09-13 12:17

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