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原点回帰 オーディオセッティング再入門(佐藤浩義著)読了

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2017年09月29日



再入門とあるが、決して科学的でも技術的な実用書ではない。

著者は、元コンピューターエンジニアだそうでアナログを中心としたオーディオに長い経験があり、インターネットの音楽配信に関わってきてデジタルオーディオにも造詣が深く、LPやカセット、オープンリールなどアナログ音源のデジタル化やオーディオ相談を行う《ウインドラボ》を主宰する。

だから、こちらもついテクニカルな内容を期待したが、いきなり「オーディオは哲学です」(パート1)ときた。

実際のところ『無意識は極めてアナログ的』だとか『音楽を聴くというのは無意識的行為』だとか、言っていることは多分に哲学というより情緒的。そもそも哲学というのは、自然科学を包含していて文学ではない。博士号の“PhD”というのは、“Doctor of Philosophy”(=哲学博士)というのであって自然科学系全般の学位である。ニュートンもライプニッツも、物理学者や数学者である前に哲学者だった。

デジタルオーディオやPCオーディオにも多くの紙数をさいているが、残念ながら内容やその問題意識はやや古い。巻末には「実践!オーディオPC構築術」というオーディオPCの製作について具体的な記事があるが、この世界は日進月歩。本著は10年前であり、その後、再生ソフトは著しく進化しておりネットワーク技術抜きにはオーディオは語れなくなっている。

とはいえ、アマチュアオーディオにとっての様々な疑問や興味はかなり網羅していて、その主張や解説そのものの是非はともかく、いろいろなテーマの頭出しとしてはよい。以下はそのほんの一部だけれど、なるほどこういうことだったのだなといろいろ気づかせてくれる。


■ハイエンドノートPCは、ノイズ対策(EMC対策)が徹底しておりデスクトップより音がよい

■再生にはレーテンシーはあまり関係がない(ノイズやCPUの使用可能度のほうがよく効く)

■オーディオPCでは電源が要注意(電源容量は常時使用W数の倍以上は必要)

■人によって聴いているところが違う
・位相に敏感な人
・音数=情報量に敏感な人
・特定の音だけを聴いている人
・音圧に敏感な人
・ステージとしての広がりに重きを置く人

■オーディオコンポーネントの最初は「人」
最初のコンポーネントは「人」。実は、この影響が一番大きい。
・空気感(プレゼンス)を体感したい人
・モノフォニックな音色を好む人
・二次元的な空間を好む人
・ホログラフィックな音響空間を好む人
・重箱の隅が気になる人

(音楽ジャンル別分類)
・クラシックのフルオーケストラが好きな人
・JAZZを聴く人
・フュージョンな人

■オーディオは「楽器を巧みに操ることのできないことへの代償行為」
・オーディオとは、楽器を繰れる人にはあまり必要ない
・オーディオ機器を作るとは、楽器がうまく繰れないことの代償行為
・オーディオ機器を買って聴き入るとは、演奏できない自分への代償行為

■狭い部屋では残響時間は短い(1秒前後)ほうが有利。大きな部屋は長い(1.5秒~2秒)ほうが有利

■できればさけたいACタップ
タップというのは次善の策。壁コンセントを無メッキのホスピタルグレードのものに換えて、そこから直接取るほうが良いに決まっている

■家庭でのリスニング用に向くセッティング
大型のスピーカーをそろえるのは勧めない
危険をわかって冬山に挑む人は少ないが、趣味(オーディオ)に限って言えばその無茶な山登りをしたがる人は少なくない

■3点設置・4点設置
3点支持は機器が複雑な微振動をしやすく、CDプレーヤーなどの可動部分がある機器やスピーカーなどには向かない


などなど。


「ホログラフィックな音響空間」については、『ホログラフィックな音場が、ミキシングエンジニアが意図したものであるかどうかは何ともいえないのがご愛嬌』『あくまでのその人のその場限りのホログラフィックな音場なのです』といささか辛辣。これはちょっと心当たりのあることがあったので思わず苦笑してしまいました。


ということで、「原点回帰」「再入門」と題するものの、オーディオにまつわる神学論争のタネは尽きまじというところで、本書はそのタネまきに事欠かない。それもまたオーディオの楽しみということだと思う。





原点回帰 オーディオセッティング再入門
~アナログからオーディオPCまで、あなたの常識は通用しない?~
著・佐藤浩義

技術評論社

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  1. こんにちは、ベルウッドさん。

    面白いですね~
    今でも通用することも多く、10年前に書かれたとは思えないです。
    これによれば、私は、「特定の音(人の声)だけを聴いている人」に該るように思います。

    それと、無茶な山登りをする人が多いの下りは、私も心当たりがあるので、読んでいってプッと笑ってしまいました。

    趣味の世界で、経済合理性の追求ばかりでは世知辛いので、男の浪漫も必要なんでしょうね。

    bykaku18 at2017-09-29 18:05

  2. 自分はバンド活動をやめてから一気にマニアになりました。
    それまで機材やソフトにかけていたお金も全部オーディオになりました。

    byにら at2017-09-29 23:55

  3. >人によって聴いているところが違う
    >最初のコンポーネントは「人」

    確かにその通りですね。最近、同じ805でも、出てくるものが使い手でここまで違うのかと、驚いています。人により聴いているところ、欲するところが違うのも、その大きな要素かと思います。

    >機器を買って聴き入るとは、演奏できない自分への代償行為

    ここはまさしく、自分に当てはまります。何事も正しい説には、例外ありで、ピアニストの仲道郁代さんは、地下のオーディオルームにとんでもないマルチWayシステム組んでいるという記事を見たことがあります。

    byパグ太郎 at2017-09-30 06:49

  4. kaku18さん

    経済合理性とか男の浪費とかいった金銭的な話しではないのですよ。小さな部屋にバカでかいスピーカーを持ち込んで、とんでもない音で呻吟する愚行を皮肉っているのです。

    その逆の事例とも言えるのが「狭い部屋」「大きな部屋(ホール)」です。オーディオ専用部屋(音楽室?)は男の夢ですが、そのせっかくの部屋を剛直なフロア、吸音材でびっしり取り囲んだ壁、高過ぎる天井で響きを殺してしまうひとも少なくありません。

    そういうことに対して実に辛辣なのがこの本の著者です。

    byベルウッド at2017-09-30 12:40

  5. にらさん

    私は、高校のときにオーケストラ部にいましたが、あまりの才能の無さに凹みました。音楽そのものはとても楽しかったですけどね。オーディオってやっぱりそういうことだなあと思います(苦笑)。

    byベルウッド at2017-09-30 12:42

  6. パグ太郎さん

    コンポーネントの2番目は「部屋」を取り上げていました。その次がスピーカー。まあ、通常は「部屋」から始まって、いったいどの要素が音造りに影響するかという議論ですよね。著者の卓見は、まず「人」を持ってきたところですね。「人」に較べると、それ以下の「部屋」も「スピーカー」「アンプ」も大した比率の差はないかもしれませんね。

    仲道郁代さんは、相当な楽器フェチですね。ヴィンテージピアノの蒐集家としても、演奏家としてもなかなかです。和製メルニコフというところでしょうか。そういう企画のコンサートはとても楽しいし、自分で弾いてみせながらの仲道さんのトークは男の私が聞いてもけっこうなオタクぶりで面白いです。

    彼女のスピーカーは、ゴトーユニットのマルチウェイですね。無色透明の色づけのないシステムなんだろうと想像します。ピアノなんてそうそう何台も蒐集しきれませんから、オーディオでいろいろな音源を聴く、そういう意味でも「代償行為」なんでしょうね。

    byベルウッド at2017-09-30 12:53

  7. ベルウッドさん こんにちは

    この原点回帰の本は興味があったのですがまだ読まずじまいでした。

    オーディオコンポーネントの最初は人と言うのはその通りかと思います。

    原点回帰というタイトルを考えた著者の基本が「人」であると考えるところは哲学的ですね

    とても広大なスペースでオーディオを展開される方も私のような極小のスペースで展開するのも実はそんなに変わりないのでは?と改めて思うようになりました。

    全てのオーディオファイルの方はそれぞれ意味があって行っている生き方に反映しているようで個性的です。

    byキタサン at2017-10-01 17:35

  8. キタさん

    やっぱりこの本の著者は指南役気取りではあるのです。だから言うことがいちいち辛辣というわけですね(笑)。

    「原点回帰」という言葉も、間違って袋小路に迷い込んでいるオーディオをリセットするということ。その陥りやすい間違いを指摘しているというふうに受け取れます。

    ですから、コンポーネント以前に、自分自身が偏向している、聴き方にクセがあるということを先ず自覚して直視せよということで、コンポーネントの第一番目は「人」だと言っているわけです。

    小さい部屋、狭い部屋ではオーディオはできないというのは間違いだといいうことですし、広い部屋ほどよいということでは決してないというわけです。また、広い部屋の人にはコンポーネントの選択やセッティングで間違いを犯している人が少なくないということです。

    オーディオは人それぞれとよく言いますが、それは哲学というより摩擦回避の社交辞令の決まり文句に過ぎず、そこからは何も生まれません。キタさんのように自由な発想で、自然体でオーディオや音楽に向き合っている方はそういらっしゃいません。

    byベルウッド at2017-10-01 23:26

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