ベルウッド
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粗にして野だが卑ではない(ヒジヤン邸訪問記)

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2017年12月11日

定期的に定点観測的な相互交流をしているヒジヤンさんのお宅を訪問しました。2週間ほど前に拙宅へ訪問いただいたオフ会のお返しというところですが、その間、ヒジヤンさんはGRFさんのところへ6年ぶりに訪問し大いに啓発を受けたご様子で、その成果というべきものに注目というところです。



そのヒジヤンさんのGRF邸訪問で話題になったのが、ラヴェルの《ラ・ヴァルス》。この冒頭の低音楽器のうごめきがどう再生できるのかという点です。以前、私がGRF邸のTROUBADOUR 80+TWで聴かされて衝撃を受け、ヒジヤン邸にこのソフトを持ち込んで、その興奮冷めやらぬままに何やら口走った言葉がどうもいけなかったようで、どうもダメ出しのように受け止められてしまっていたようなのです。



今回の訪問では、てっきりそのリベンジが主テーマと思いこみ、どちらかといえば低音フェチ的なものを数枚密かに持参していました。もともとヒジヤンさんと言えば、爆音のイメージが強く幾多の猛者たちを返り討ち(?)にしていて、802Dから繰り出す低音の帯域の伸びと存在感は相当なもの。それがいかに改善強化されるのか…そんな展開を思い描いていたのです。

ところが…

いつもの定点観測のソフトを聴かせていただくと、どうも様子が違うのです。



幸田浩子さんの《アベ・マリア》では、むしろ以前よりも低音楽器の響きが引き締まり、存在感で聴かせると言うよりは音色や音程の鮮明さで対位法的な音楽性がより明瞭となる方向にシフトしています。このソフトについては以前にコントラバスの定位配置が話題になったことがあります。



いつも聴いているトラック1(カッチーニの《アベ・マリア》)では、リーフレット掲載の写真とは違っていて中央右奥に配置されているという話しでした。このソフトは、チェロとコントラバスがユニゾンであったり対位法的に別の動きをしたりというところがあって、チェロ2台、バス1台の三人の低弦の動きがきちんと分離して聞こえるのかという低域の試金石のようなところがあります。

最初は低域に気を集中して聴いていたのですが、しばらくするとそういう立体的な音場感や定位配置のことを考えている自分に気がつきました。かつての議論では、バスはかなり中央奥にある(写真のハープ奏者の位置)という主張もあったのですが、最近、自分のシステムで聴いているとバスは右手に配置するチェロの右肩背後にいるという風に聞こえて、あまり写真と変わらないという気がしていました。その自分のイメージとヒジヤン邸の再生が完全に一致しているということに気がついたのです。

この録音は、幸田浩子さんを扇の要の位置として、それを馬蹄形に取り囲むように弦楽オーケストラが配置されている。そのイメージがどう再現されるのか…というのが私の課題のひとつでした。

ヒジヤンさんは、これまでは、左右の定位は素晴らしく安定明瞭でしたがクラシック音楽ではやや前後の立体感にはあまり頓着されていないようなところがありました。今回、何回か繰り返して聴かせていただいたのですが、そういう奥行き感がとてもよく出ています。扇の要のボーカルも、近すぎず、かといってハイエンドシステムにありがちなひどく奥まってしまうこともなく、よく肉声がこちらに迫ってきます。同時に、響きが四方に広がり、ステージ背面からの反響のような響きが気持ちよいという《響き派》のヒジヤンらしさは決して失われていません。ボーカル系やジャズでのしっかりした音像はそのままに、クラシックの奥行きある立体配置の再現という狙いでルームチューニングの細部見直しをされたそうです。



このことは、もうひとつの定番ソフト《パッヘルベルのカノン》でも同様のイメージがあります。以前は、リスポジに居て自分自身が部屋中に充満した響きに包まれるというようなサウンドでした。まさに《響き派》のヒジヤンさんの匠の技で、私には今もってどうやって響きや定位をコントロールしているのかまったくわかりません。ところが今回は、弦楽アンサンブルがある程度の奥行きをもってステージの奥行きを感じさせながらスピーカーの後方へと展開しています。チェンバロと低弦の通奏低音の右奥への立体定位も見事。背後の壁面を感じさせません。

どうやらGRFさんから触発されたのは、そういう奥行き感の深い音場ということにあったようで、低域の解像度はポイントの一部に過ぎなかったということのようです。低域の解像度ということも、そういう立体感と連動してチューニングされているという印象です。その成果は、一見地味なようですがとても顕著でした。

もうひとつ印象的だったのは、音量。

爆音派というイメージもあったヒジヤンさんですが、聴いているとそういう以前の押し出し感があまりありません。決して音は小さい方ではないのですが、オーディオ的な大音量ではなくとてもナチュラルです。ふとスマホの騒音計ソフトで測ってみるとリスポジでおよそ80dBから87dB程度。ピークでもほとんど90dBを超えることはありません。これはちょっと意外でした。そういう音圧であっても、音楽的にはとても訴求力が強い、決して薄くならないしっかりした音量に聞こえるのです。

低域寄りのピラミッド型の帯域バランスや濃厚な音色は相変わらずです。とはいえ、それも小型スピーカーの拙宅システムと較べての相対比較のお話し。むしろウェルバランスともいうべき方向にどんどん進んでいるようで、低域は帯域は伸びています。粗にして野だが卑ではない…、勢いとかエネルギーがあって明瞭で濃厚だけれどもドンシャリともいうべき不自然な強調がないというところでしょうか。これもアンプと802の組み合わせの良さなのでしょう。ヒジヤンさんは、サンスイアンプの老朽化を気にしておられましたが、まだまだ意気軒昂という感じです。

最後にちょっと気になったのが、このソフト。



前回、拙宅でお聴かせしたところ気に入っていただいて購入されたとのこと。GRFさんのところでかけたもらったところ「音が硬い」との評だったそうです。国内盤だからではないかとのご指摘もあったとか。ジャケットは見てみると「国内先行発売」という帯までついていますが、帰宅後、確認してみると私のCDと同一の国内初出盤に違いありません。諏訪内さんの2枚目のアルバムで、確か、国内プレスしかなかったはずです。

拙宅で自分のディスクを聴き直してみましたが、やはりhijiyanさんのところで聴かせていただいたものはちょっと色艶のようなものに乏しい気がします。同じ発売時期の同一ロットと思われる盤であっても音は微妙に違うのかもしれません。次の機会に、同じシステムで聴き較べてみたい気がしました。

いつもアーシングメソッドといった振動対策や電磁波ノイズ対策などの話題に事欠かずオーディオ愛好家の注目を引いてきたヒジヤンさんですが、こういう音楽コンテンツにスポットを当てた一見地味で何気ない変化をもたらすチューニングテクニックも素晴らしい。今回もそういうヒジヤンさんの匠の技を味わわせていただきました。

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  1. ベルウッドさん
    こんばんは

    今回も深い音会ですね!
    お二人のオーディオに触れた事が有れば、その深さも良く伝わります。

    ヒジヤンさんのオーディオは、バズケロには荒武者の一太刀で野太く袈裟懸けでぶった切られるイメージだったのですね。
    繊細よりも剛直、沈み込む低域の奔流の中に見える芯の太さ。
    あの躍動感は人を虜にさせる魔物の様な結界。

    そんな感じでした。

    そして今度は奥行き、音場まで洗練させようともがいていらっしゃる。
    これは楽しみが増えましたね!

    いみじくもバズケロのJBL部屋でも、透明感あふれる出音や奥行きのある音場と躍動するダイナミックさの両立へ向けてSPセッティングを煮詰めていましたので、ヒジヤン流の匠の技に触れるのが楽しみです。

    また相互交流で切磋琢磨したいですね!

    では、では

    byバズケロ at2017-12-11 21:52

  2. バズケロさん こんにちは

    オーディオ仲間に真正面から一太刀浴びせるというのもオーディオの楽しみですが、こういう風に刀を抜かずに静かな気合いの構えだけでやられてしまうというのもありです(笑)。

    やはりクラシック音源では、透明で繊細な音色表現やこういう奥行きの立体表現がどうしてもほしいところです。さりとてジャズやポップ・ロックの剛直さや躍動感をスポイルしたくもない。そこが難しいところですよね。

    とはいえ、やっぱり、オーディオ自慢のぶつけ合い、丁々発止とやり合うのも楽しいですから、また、相互訪問をお願いします。

    byベルウッド at2017-12-12 17:14

  3. ベルウッドさん

    定点観測のご検聴いただきありがとうございました。喜ばしい評価と厳しい評価をいただき明日への活力がわきます。最近はオーディオ離れしていたのですが、またテコ入れをしようと言う気にさせてくれたのが、2か月前のベルウッド邸訪問と1か月前のGRF邸訪問です。

    ベルウッド邸では、新しい機器導入されたばかりでしたが、音のよさよりも音楽性を優先させた追込みの決断力に感銘を受けて取り組み始めていました。

    そんな折のGRF邸で、素敵な音と音楽を堪能させてもらい自己課題満載で帰宅しましたので、それからが大変でした。ある程度取り組みのイメージはわかせてはいたのですが、思うようにはいかないものでトライ&エラーの連続でした。手を入れたのは、振動対策と室内音響です。技術的な話は年末のバズケロさんとの○○大会で(笑)

    今回の検聴で喜ばしい評価は、自分が課題において取り組んだことを聞き分け理解していただけた点ですね。特に、濃厚で肉感的なサウンドが好みなのですが、音量を上げずともそのように感じていただけたことに、思わず笑みがこぼれました。

    反面、キツイなーと思ったのは題名からです。「粗にして野だが卑ではない」・・・粗野ではあるが、悪くはない・・・そのように読み取りました。空間表現や繊細さを(自分としては多少)犠牲にしながら追い込んで来たので心当たりありです。

    ラヴェルの《ラ・ヴァルス》の冒頭はどうだったのか?特に書かれていませんが、まあ今の環境と装置ではあのあたりまでかなと。もっと締めれば解像度はあがりますが、ふくよかな心地よい低音が失われてしまうからです。カリオン/幸田浩子のコントラバスの位置の話は...激論になりそうですので場所を変えて論議しましょう。

    諏訪内さんのメロディ聴き比べも是非やりましょう。自分はこのコメントを読んで(GRFさんのコメントもあったので)さっそく国内再発盤のゴールドCDも注文してしまいました。そう言えば、2011年発売ですが、DECCAの輸入盤もありましたよ。

    さて、これからは今の良さを失われないようにしつつ繊細さを向上させることが課題ですね。当面聴き込みを続けますが、また取り組んでみます。ご批評いただき感謝です。

    byヒジヤン at2017-12-12 18:29

  4. ヒジヤンさん

    先日はありがとうございました。

    題名はネガティブに受け止められてしまいましたか。ちょっとそういう心配もして迷ったのですが、他によい表現が浮かばなかったのでそのままにしました。

    「粗にして野だが卑ではない」というのは元国鉄総裁石田礼助の言葉です。そのまま城山三郎の評伝の題名になっています。石田は三井物産の商社マンとして活躍しましたが、その後78歳で懇請され、難問山積で誰も引き受けようとしなかった元国鉄総裁の職に就きます。その石田が、初めて国会で答弁に立ったときに述べた言葉です。

    「ていねいな言葉を使おうと思っても、生まれつきできない。無理に使うと、猿が袴を着たような、おかしなことになる。無礼なことがあれば、お許し願いたい」「粗にして野だが卑であるとは思わない」と断ってから、「国鉄が今日の様な状態になったのは、諸君(国会議員)たちにも責任がある」と、国鉄を苦境に追いやった政治家に対して痛烈な批判を展開したそうです。城山の著作を読んで感動した私は、この名言が大好きで最大限のほめ言葉と考えています。

    ずけずけとものをう言うことを粗野粗暴と批判したり、直言を躊躇したり、なあなあであいまいですましたりはしたくありません。国鉄改革に挑んだ石田には、その合理主義的な行動や言辞に対してしばしば冷酷無慈悲との批判もあったようですが、信念をもって断固と改革を進めた石田にこそむしろ暖かい人情や熱血漢ともいうべき熱い決意を感じます。

    オーディオでも、本来はロックやジャズが好きなのに、ついつい《教養》に媚びへつらいクラシックはこういうものと早呑み込みしてひどく上品でつまらない音にしてサウンドをスポイルしてしまったり、ジャンル毎に別々のシステムにするべきという主張をするようなオーディオファイルを見かけてきました。

    今回のヒジヤンさんのサウンドには、そうではない、ジャンルを選ばないシステムの磨き方があるんだ、ということを強く感じた次第です。

    byベルウッド at2017-12-14 11:10

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