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フラウエン教会のオルガン (ドイツ音楽三昧 その7)

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2018年07月12日

ドレスデンで迎えた朝は、ホテルの朝食。

旧市街は観光中心の街ですが、その観光地ど真ん中のホテルであるにもかかわらず、朝のダイニングルームを見渡すとビジネス客らしい人々がけっこう多いのに気づきます。古い建物をリノベートしたホテルは外観にもかかわらず部屋数も多くスタイリッシュでドレスデンならではなの居心地の良さがあるからでしょうか。



朝食はビュッフェスタイルで食べ放題、飲み放題。音楽三昧の旅にとって朝食は大事な栄養源、エネルギー源です。こちらでは、朝からシャンペン。さすがに、ビジネス客は朝からアルコールというわけにもいかず、くつろいだ雰囲気のご夫婦ぐらいしかグラスに注ぎませんが、私もさっそく「朝シャン」としゃれ込みました。



午前中は、ホテルのすぐそばにあるノイエマルクト広場に面しているフラウエン(聖母)教会の見学です。

18世紀に福音主義教会(ルター派)の大聖堂として建築された建物は、1945年2月15日の大空襲で焼け落ちがれきの山となります。黒ずんだ石材の山となった廃墟は、その後の東ドイツの共産党政権下で放置されていましたが、やがて、その再建運動は1985年のゼンパーオーパー復興を期に盛り上がり、その運動はいわば共産党政権の体制批判や平和運動の熱を帯びて盛り上がっていったと言われています。

廃墟は、大空襲による戦没慰霊のシンボルでもあったのです。それは、1940年にドイツの爆撃により破壊され、イギリスの戦没者記念碑とされたコヴェントリー大聖堂(聖マイケル教会)と対をなすものと位置づけられていました。都市空爆による市民の無差別虐殺が第二次世界大戦の暗い記憶の象徴となったことは何も日本人だけではありません。ブリテンはコヴェントリーに新たに新築された大聖堂献堂式に合わせて「戦争レクイエム」を作曲しました。三人の歌手は、それぞれ英国人(テナー)、ドイツ人(バリトン)、ソ連人(ソプラノ)の代表的な歌手が指名されました。真の和解と平和への誓いを固めるという意味を込めたからでした。

教会の再建は、東西ドイツ統一後に再建が開始され、2005年に完成され公開されました。残されていた石材は徹底的に調査され分類されて、回収された8500個のオリジナルの石から約3800個が再建時に使用されました。外から教会をながめるとオリジナルはレプリカの白っぽい地のなかにまるでパズルの駒のように黒く浮かび上がっていて、再建への執念のようなものを感じさせます。

もともとの大オルガンは、オルガン製作者として高名なゴットフリート・ジルバーマンによるもので3段の手鍵盤と43のストップを備えたもの。オルガンは1736年にに奉納され、その年の12月ににヨハン・ゼバスティアン・バッハが独奏会を行ったそうです。



再建に当たっては、ジルバーマンのオルガンのレプリカとはしないことが決定され、そのことで「ドレスデンオルガン論争」と呼ばれる大論争を引き起こします。オルガンはストラスブールのダニエル・ケルンの手によるもので、彼は、ジルバーマンのオルガンの音栓一覧にあるストップ全てが装備・再現されることを目指していました。同時に、4番目のスウェル鍵盤が加えられ、バロック時代以後にオルガンのために書かれた19世紀の楽曲にも対応できるようにしてあります。

私たちはここでも11時から開始された祭式に参加し、そのオルガンの音も体験しました。

式には、「コヴェントリーからの和解の典礼」を含んでいて、それは前述の英国コヴェントリー大聖堂で平和と和解の祈りが捧げられたことに呼応して、このフラウエン教会の慣例となっているのだそうです。

式典が始まる前に、正面祭壇の入り口からバックパックの若い青年が入っていくのを見かけましたが、実はこの青年がオルガン奏者のパスカル・カウフマンでした。最初の開始宣言の後に静かにオルガンが流れます。聞き覚えのある曲だなとふと配られた式次第に目を落とすとグリーグの「ペールギュント」から「朝のすがすがしさ(通称「朝」)でした。現代オルガンのすがすがしい音色。クレッシェンドやデクレッシェンドの機能も備えているようで効果的に使用しています。その後の、即興演奏はオルガン奏者のカウフマンによるもので、やはり、現代的な音がします。澄んだ落ち着いた色調のなかに自在な音調と広い音域を織り交ぜたみずみずしい音楽です。



最後に賛美歌合唱がありますが、その譜面は、やはりベルリン大聖堂のそれと同じで譜の始まりは小節の最初ではなくて、前小節の最後の拍から始まるように表記されている弱起(アウフタクト)になっています。

礼拝が終わると、続けて観光案内のような話が長く続きます。ドイツ語は聞いても全くわからないのでいささか退屈で、中にはここで席を立ってしまう人も散見されます。後で思えば前述のような内容を語っていたのだと思いましたが、いずれにせよドイツ語では理解できませんでした。



ランチは、雨も降ってきたので広場に面したイタリアンに飛び込みました。あまり考えずに駆け込んだレストランでしたがなかなかおいしいお店だったのはラッキーでした。ドイツ料理は肉料理が中心であまり代わり映えがしませんが、自国料理以外の新しいお店はなかなかしゃれていて、店の壁には名歌手たちの肖像がずらりと掛けてあります。ここでは抜かりなく旬の白アスパラの一皿を注文しました。美味しかった。



(続く)

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  1. ドレスデンの空爆と再建は、ヨーロッパ人の歴史観を端的に表しているように感じます。日本人の感覚は、なんでも水に流して一旦リセットしましょうですが、彼らはしつこく過去を積み上げ直して、その記憶を自分達のアイデンティティにしようとしますよね。

    自分達の生活の中で、本当に過去の出来事を振り返る習慣があるのを、列挙してみると、1世紀以上遡るものが皆無といったら、コレだけ長い歴史を持っている民族とは思えないと、笑われたことがあります。

    byパグ太郎 at2018-07-12 17:30

  2. パグ太郎さん

    欧米人と日本人の違いは建造物への感覚の違いなのではないかと思います。端的に言えば、日本の木造建築の耐久性は低く、リニューアルを前提としていて、しかも、水害・火災・地震によってあっという間に損失してしまいます。

    京都では「先の戦争」というと応仁の乱のことだということがまことしやかに言われますが、歴史的時間感覚、とくに戦災の時間感覚というのは多分に建築物に依存するのではないでしょうか。

    1945年2月13日の英米軍によるドレスデン爆撃では約65万発の焼夷弾を投下されました。教会は二昼夜にわたる攻撃に耐え、教会の周囲と内部の温度は摂氏一千度に達しましたが巨大なドームは、教会の地下聖堂に避難場所を求めた300人の避難者を守り抜き彼らが退避するまで持ちこたえたそうです。ドームが倒壊したのは3日後のことで 2月15日午前10時、ドームはついに倒壊したのだそうです。

    ドレスデン市民は終戦直後から、がれきの山と化した跡地の石材にひとつひとつ番号を書き入れて再建復興を目指しました。そういう志は、戦後の東西冷戦と共産主義体制のすべての時間を生き延びてようやく実を結びます。再建された教会の鐘が再び鳴らされたのは2003年の聖霊降臨祭のことだったとのこと。

    byベルウッド at2018-07-13 11:31

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