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日記

コンツェルトハウスとそのオーケストラ (ドイツ音楽三昧 その13)

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2018年07月26日

コンツェルトハウスは、旧東ベルリンの市街中心地、ジャンダルメンマルクト広場の中心、左右両翼にドイツ大聖堂とフランス大聖堂という二つの大聖堂を従えるようにして立地しています。



ジャンダルメンマルクトは17世紀末に建設され、次第に現在の形に整えられいきます。第二次世界大戦でその建造物はほとんど破壊され、現在の建物はすべて戦後に再建されたもの。フランス大聖堂は、フランスからドイツへ逃れた改革派のユグノー教徒によって18世紀初頭に建てられたもの。一方のドイツ大聖堂は、ルター派教徒によって続けて立てられます。現在の建物は東西ドイツ統一後に再建されたもの。

ドイツの首都ベルリンのど真ん中にドイツとフランスの大聖堂が対になって建っているというのも興味深いことですが、ジャンダルメンマルクト広場を開発推進していったのは、もっぱらフランス語ばかりを話していたあのフリードリッヒ大王でした。戦争に明け暮れる一方で啓蒙王として改革を推進していった王は、音楽や文芸を愛し、ベルリンを国際色豊かな文化都市に発展させたのです。

コンツェルトハウスは、有名な建築家カール・フリードリヒ・シンケルが設計した神殿風の壮麗な古典建築。1821年にシャウシュピールハウス(=「王立演劇劇場」)として開設。戦後に修復して再開し、その後、1984年にコンサートホールに改装され、名称もそのままコンツェルトハウスと改称しました。



そのレジデント・オーケストラであるコンツェルトハウス管は、あまりなじみのない団体だが、実は、戦後に創設され東ベルリンを代表するコンサート・オーケストラであるベルリン交響楽団(Berliner Sinfonie-Orchester)のことで、現在の名称になったのは2006年のこと。

ややこしい話しですが、西ベルリンにもベルリン交響楽団(Berliner Symphoniker)が存在する。こちらは、ウィンナワルツやオペレッタなどを主なレパートリーとするいささか軟派の楽団。壁が崩壊後、統一されたベルリンは、かなりオーケストラが乱立気味で再編合理化の嵐となります。そのなかでもともと公的な支援も受けておらず存立の窮地に立たされた西のベルリン交響楽団が、東側に対して名称一本化を懇請。どういうわけか、コンツェルトハウス側がそれを安易に受け入れて、世界的に知られていたその名称を譲渡してしまったのだそうです。ホール専属ということもあったのでしょうが、通りのよかったブランドを譲ってしまったがために知名度・認知度は一気に下がってしまい今日に至っているというのが実状のようです。

かくいう私も、頭の中はいささか曖昧模糊とした認識だったのですが、聴いて思わず刮目。



まずは、そのコンツェルトハウスの美しいことと音の良いこと。

現代的なベルリン・フィルハーモニーのイメージが支配的なベルリンの音楽シーンですが、その現代都市ベルリンにこんなにも古典美にあふれた美しいホールがあったのかと驚きました。そのホール・アコースティックも素晴らしく、もともと演劇場だったとは想像もつかないほどのものの見事なシューボックス型でトーンは豊麗で木の暖かみがある響き。



私たちの席は、1階席の11列目というステージからほどよい距離でど真ん中の席。実は、ど真ん中だったばかりに誤った席に着席。ドイツのコンサートホールの座席番号の付け方によくあるタイプで、ブロックを左と右に分け、それぞれを端から1、2、3…と番号を振っていく。同じ列に同じ番号があるだけでもややこしいのに、センターでは同じ番号が隣接することになってしまいます。休憩時に「間違っていますよ」と指摘されて初めて気がついて席を替わったのですが、よく思い出してみると先に間違っていて座っていたのは先方のほうで、左から順に番号を確認していた私たちはそれで通り過ぎて右ブロックに座ってしまったようです。そういう事情に気がついたので先方も笑っていたというわけです。センターなのでさしたる違いもありませんでした。



オーケストラも素晴らしい演奏でした。

最初の「謝肉祭」で、溌剌とした響きとホールに漲るような祝典的な喜悦が爆発するような音響にあっと驚いてしまったほど。後半のドボ8は、私の大好きな曲ですが、艶やかなチェロによる序奏が始まった途端に浄福感に包まれてしまい、その後は顔が緩みっぱなし。管楽器群も優しい美しい音色で、トランペットのファンファーレで始まる終楽章のシンフォニックな変奏の展開では、ホールに音がはち切れるように充満し音で身が包まれるような至福を味わいました。ベルリン・フィルのような研ぎ澄まされた技巧とパワフルな音量とは全く違いますが、豊かな響きのホールには聴き手を幸せにする甘味と馥郁と香り立つ華があります。



このオーケストラのお目当ては、コンミスの日下紗矢子さん。

その腕前は、すでに何度も読響のコンミスとして聴いていましたが、音楽の本場でのコンミスぶりを見聞きできたのはラッキーでした。日下さんは2008年にこのオーケストラの第一コンサートマスターに就任していますから、すでに10年になります。読響のコンサートマスターの一人として迎えられたのが2013年。団員で編成された室内管弦楽団のリーダーとして来日もしていて、日本という大きなクラシック音楽市場でコンツェルトハウス管の認知度を上げることに大きな貢献を果たしたということでもあると思います。

指揮者は、クリストフ・エッシェンバッハ。意外にも終始オーソドックスな指揮振りで、もう少しスラブ的な旨味があってもよかったかもと思いましたが、とても造形の整った、しかも情熱のこもったドボ8。そこに素晴らしい嫋やかさを加えたのが第2楽章での日下さんのヴァイオリン・ソロ。エッシェンバッハは、終演後、彼女を二度三度と立たせてまるで抱きつかんばかり。若くて可愛らしい日下さんですが、楽団からも会場の聴衆からも絶大な信頼が寄せられている様子で、とても輝いていました。

(続く)




ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団演奏会
2018年6月24日(日) 16:00
ベルリン コンツェルトハウス・ベルリン
(1階左ブロック 11列16番)

クリストフ・エッシェンバッハ(指揮)
キャメロン・カーペンター(オルガン)
日下 紗矢子(コンサートミストレス)


ドボルザーク:序曲「謝肉祭」 Op.92
ラフマニノフ(編曲/キャメロン・カーペンター):パガニーニの主題による狂詩曲

ドボルザーク:交響曲第8番ト長調 Op.88




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  1. ベルウッドさんご無沙汰しています

    私もこの旧シャウシュピールアウスはザ・ベストと勝手に憧れています
    (同率一位がゼンパーと思いますので素晴らしい旅でしたね)

    それぞれのご近所の新フィルハーモニー堂や新ゲバントハウスが近代的意匠を纏って対照的なコントラストを描くのもある意味ドイツらしいと思いますが、東洋のいちファンとしては一抹の寂しさもあり伝統的なホールへの憧憬を拭いきれません

    素晴らしいホールは何故かいい匂いがするような気がして、そんな意味でも自室のお手本としています(笑)

    byLoge at2018-07-27 12:57

  2. 日下さんは昨年PACでコンツェルトハウス室内合奏団を引き連れてきた演奏会を聴きに行きましたが、その堂々としたコンサートマスターぶりに感心した記憶があります。

    日本の最新設備の整ったホールも良いですが、このようなクラシックなホールで を体験しようとしたらやはり欧州に出かけるしかないので羨ましいとしか言いようがありません(笑)

    ベルリン交響楽団との逸話は成る程と腑に落ちました。
    アルバム発売の際にレーベルとの契約の関係で本当の楽団名を使わないことがあるのはよくあると思ってましたが、リアルの演奏会でもこの楽団は確かベルリン交響楽団だったのになぁー?と疑問に思ってました。

    by椀方 at2018-07-28 09:21

  3. Logeさん

    このホールをザ・ベストとして見ておられたなんてさすがですね。

    2kmほどしか離れていないフィルハーモニーの方は欧州の名ホールとして称賛する人もいますが、かなり微妙。ライプツィヒのホールは、名前でだまされてしまいますが、単なるベルリンの亜流。同じ亜流でも東京の音響過多の某ホールよりはすっきりとした響きで好感は持てますが、どちらかと言えばガッカリ系です。

    ただ、2kmお隣のホールは、ここを本拠地とする精力絶倫のイケメンオーケストラが鳴らすとスゴいことになるという点では、ちょっと別格だということだと思います。

    日本の評価は、多分に東西冷戦で東側の実態がよく見えていなかった時代に形成されたものに今でも引きずれているような気がします。

    よき時代のベルリンの雰囲気満点のLoge邸のお部屋、また、訪問させていただきたいです。

    byベルウッド at2018-07-28 11:14

  4. 椀方さん

    ベルリンのオーケストラは、とにかくややこしいですね。

    放送局系のオーケストラもややこしいですが、ベルリン以外でも再編や名称変更がいろいろ起こっているようです。まあ、日本の都市銀行みたいな状況なんでしょうね。

    ドレスデンのエルベ川下流にあたるハンブルクのオーケストラも、最近、新しくホールがオープンしたことで北ドイツ放送交響楽団(NDR-Sinfonieorchester)がエルプ・フィルハーモニー((NDR Elbphilharmonie Orchester)に改称してしまいました。エルプ・フィルってどこの楽団よ?という気分です。エルプ(Elb)というのはエルベ川のことだそうです。

    byベルウッド at2018-07-28 11:26

  5. ベルウッドさん、NDRエルプフィルのエルプがエルベ川のことと言われたら、成る程そういうことね!
    外観は随分前衛的な造形の建物ですが、先日NHK- FMでこのホールでの演奏会をやってましたが、仕事で聴き逃してしまいました。

    by椀方 at2018-07-28 14:16

  6. 椀方さん

    留守録してとってあります。アンドルー・マンゼ指揮のイギリスもののプログラムと、デュダメル指揮シモン・ボリバル交響楽団の公演です。まだ聴いていないのですが、どんな音がするのかな。

    byベルウッド at2018-07-29 11:22

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