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日記

「ランスへの旅」 ベルリン・ドイツ・オペラ (ドイツ音楽三昧 その14)

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2018年07月31日

日曜日のダブルヘッダー、夜の部は、ベルリン・ドイツ・オペラでのロッシーニです。

ベルリン・ドイツ・オペラといえば、その来日公演は戦後の日本の音楽史にとっての大きな出来事でした。戦後復興を果たした日本が、その翌年にオリンピック開催を1年後に控えた1963年10月、東京・日比谷に新しく完成した日生劇場のこけら落としとして招聘されました。ドイツの歌劇場が文字通り総出での引っ越し公演は初めてのことだったのです。

ベーム、マゼールらが自ら率いての来日公演は日本のクラシックファンには衝撃の音楽シーンとしていまも語り継がれていて、特にベームの「フィデリオ」や「フィガロの結婚」は今でも語り草であり、また、マゼールの「トリスタン」は日本初演、ベルク「ヴォツェック」もこの来日公演が日本初演でした。



そのベルリン・ドイツ・オペラは、東西分断のさなか西ベルリン唯一の歌劇場でした。戦前は「市立歌劇場」と呼ばれていましたが、東ベルリンのベルリン国立歌劇場に対抗する存在として西側の威信をかけて、名指揮者のもとにそうそうたる歌手が集められドイツを代表する歌劇場として知られました。ところが壁の崩壊と東西統一後は、やはりもともとの総本山ベルリン国立歌劇場のかげに隠れるかのように地味な存在となってしまいました。



地下鉄で、西地区のツォー(動物園)駅をさらに西へ2駅ほど行くとビスマルク通り沿いにドイッチェ・オパー駅があります。そこから歌劇場までは直接地下通路がつながっています。

この辺りは、工事改修中に国立歌劇場が公演を行っていたシラー劇場もあります。

建物は、1961年に建設されたもので味も素っ気も無い実用的なもの。

ヨーロッパの古い壮麗な建物に憧れる日本人にとってはちょっと拍子抜けしてしまうようなオペラハウス。これが、かつて、フィッシャー=ディスカウやベリー、マティスが日本にやってきて伯爵やフィガロ、ケルビーノを演じた歌劇団の本拠地だったのかと思うと、ちょっと力が抜けてしまいます。



内部も、いわゆる馬蹄形の伝統的なオペラハウスの座席配置ではなくて、一般的な公会堂、劇場とあまり変わりません。音響も極めてニュートラルで、なるほど、これは日生劇場とあまり変わらないわけだ…と、妙に納得してしまいました。

「ランスへの旅」は、1825年のブルボン家の王政復古、シャルル10世の戴冠式のためにロッシーニが作曲した1幕もののオペラ。ランスは、歴代のフランス国王の戴冠式が行われた大聖堂がある町のこと。

いってみれば1回限りの祝典的な上演のために書かれたオペラで、公演後は楽譜は回収され、その後、散逸してしまったために幻のオペラということになってしまいます。

それが1970年代の「ロッシーニ・ルネサンス」の熱が高まり、「ランスへの旅」の復元が行なわれます。ヨーロッパ各地からロッシーニの直筆譜が集められ、研究がかさねられ、いよいよ1984年に150年ぶりに復活します。その立役者の一人がクラウディオ・アバドというわけで、演奏はもちろん彼の指揮で執り行われました。

戴冠式のためにヨーロッパ各地からフランスの保養地プロムピエールにあるホテルに集まった面々が、ランスへの出発をめぐって繰り広げるたわいのないドタバタコメディーで、筋書きらしいストーリーはありません。劇としてはあまり内容のないオペラなのですが、なにしろ一大祝典のための公演でしたから、最高のベルカント歌手を集めての贅沢なキャスティングとなり、音楽的にはいわばオールスターののど自慢大会のようなもの。

演出では、場面はどこかの病院という設定で、一体、何がどうなっているのかちんぷんかんぷんでしたが、お国自慢やら何やらのドタバタの騒動が行き着くところまで行って、最後はEU(欧州連合)バンザイ!の大団円。最後は、一大ページェントさながらの場面となって幕…という具合です。途中に、うまく、休憩をはさんでの公演でした。



歌手の実力は大変なハイレベル。しかも、粒がそろっていてロッシーニの音楽の魅力が大爆発。まさにフェスティバルオペラというべきで、よくぞこれだけの歌手を集めたものだと、さすがベルリンの本場だと感心してしまいます。大スターというべき人はいません。日本では知名度が低いけれども、おそらくご当地では注目の若手や旬を迎えつつある実力者などがずらりと並んでドタバタを繰り広げるステージは、日本では味わえないほんとうに贅沢、グルメな体験です。

そういう歌手陣ですので、名前の読み方すらよくわかりません。末尾の配役表など呼び名のカタカナ表記は、私の勝手な当て推量ですのでご容赦ください。



目を惹いたのは、まず、何と言ってもコリンナ役のエレナ・ツァラゴワ。ドタバタの騒乱のなかでふと天から降りてきた清らかな一輪の白百合のように、たちまちに騒動を収めてしまう。そのことがぴたりとはまる美貌と透明感と妖艶さが両立したのびのある美声は絶品。「ペレアス」が当たり役のひとつというのも頷けます。



コルテーゼ夫人役のハルカール・サビロワは、ソプラノでも力強さと威厳を備えた歌唱で、ホテルのオーナー店主(看護婦長??)をうまく演じながら超絶な歌唱力も披露。ウズベキスタン出身の新星とのこと。その絶倫のコロラトゥーラは、ぜひ、こちらの画像をご覧下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=62eF4pj24hY



ちょっと地味な役柄ですが、そのコケティッシュな魅力を振りまいていたのがモデスティーナ役のミーショット・マレッロ。小生意気さと小悪魔的な魅力の容姿と演技で、ステージにちょっとスパイシーな香りを添えてくれます。プエルトリコ出身で「新発見」とアメリカでは大評判の若手のようです。



女性ばかりで恐縮ですが、もうひとりは、舞台上でフルートを吹く美女として登場するサラ・ルヴィオン。パリ国立音楽院出身の才媛とのことですが、ツァラゴワと同じようにその可憐なフルートで騒乱の人々を慰撫し落ち着かせる不思議な美人を演じてとてもチャーミングでした。



指揮者は、バイエルンやパリでも大躍進中の若手ジャコモ・サグリパンティ。ピット内のオーケストラもはじけるような活気があってしかも安心して聴いていられる確かな技量があって、ベルリンはコンサートオーケストラばかりでなく歌劇場のオーケストラもどれもが一級。その数の多さばかりでなくレベルの高さにも改めて驚いてしまいます。



45年にわたる東西分断とその後の統一は、さまざまな影響と変遷をもたらしました。特に、大都市が寸断され、分断国家がその街中で隣接し続けたベルリンは鮮明な歴史の色彩をもたらしたのではないでしょうか。かつての東京にもたらした衝撃とはまったく別の相貌で輝いているベルリン・ドイツ・オペラには鮮烈な感動をもらいました。


*上演中の写真はいずれも歌劇場のHPから拝借しました。


(続く)



ジョアキーノ・アントーニオ・ロッシーニ 歌劇「ランスへの旅」
ベルリン・ドイツ・オペラ
2018年6月24日(日) 19:30
ベルリン ベルリン・ドイツ・オペラ(Deutsche Oper Berlin)
(1階席 11列22番)

指揮:ジャコモ・サグリパンティ
管弦楽:ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団



コリンナ:エレナ・ツァラゴワ
メリベーア侯爵夫人:ヴァシリサ・ベルチャンスカヤ
フォルヌヴィル伯爵夫人:シオバン・スタッグ
コルテーゼ夫人:ハルカール・サビロワ
騎士ベルフィオール:ギデオン・ポッペ
リーベンスコフ伯爵:ダヴィッド・ポルティロ
シドニー卿:ミケイル・キリア
ドン・プロフォンド:ダヴィデ・ルチアーノ
トロムボノク男爵:フィリップ・ジェカル
ドン・アルバロ:ドンファン・リー
ドン・プルデンツィオ:サム・ロバーツ=スミス
ドン・ルィジーノ:ジュアン・ド・ディオス・マテオス
マッダレーナ:アレクサンドラ・ロニス
デリア:ダヴィア・ブーリー
モデスティーナ:ミーショット・マレッロ
アントニオ:ビュンジル・キム

フルート・ソロ:サラ・ルヴィオン
ハープ:ヴァージニー・グート=チャビツ




Il viaggio a Reims
So 24. Juni 2018, 19.30 Uhr

Musikalische Leitung Giacomo Sagripanti
InszenierungJan Bosse
BuhneStephane Laime
KostumeKathrin Plath
LichtKevin Sock
VideoMeika Dresenkamp
Dramaturgie Lars Gebhardt
Corinna Elena Tsallagova
Marchesa Melibea Vasilisa Berzhanskaya
Contessa di FollevilleSiobhan Stagg
Madama Cortese Hulkar Sabirova
Cavaliere Belfiore Gideon Poppe
Il Conte di Libenskof David Portillo
Lord Sidney Mikheil Kiria
Don Profondo Davide Luciano
Barone di Trombonok Philipp Jekal
Don Alvaro Dong-Hwan Lee
Don Prudenzio Sam Roberts-Smith
Zefirino Juan de Dios Mateos
Maddalena Alexandra Ionis
Modestina Meechot Marrero
Delia Davia Bouley
Antonio Byung Gil Kim
Orchester Orchester der Deutschen Oper Berlin

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  1. ベルウッドさん

    「ランスへの旅」はアバドの復活演奏を放送で見た記憶が微かにあるくらいです。ベルカントのドタバタ喜劇で国王万歳の予定調和をやるとこうなるのかと思いましたが、新演出はEU万歳なのですね。

    出演歌手は知っている人がいませんでした。女声は殆ど、東欧・ロシア系で、最近の傾向を表しているのですね。さらにプエルトリコのソプラノというのも珍しい。こういう公演で売り出し中の歌手を発見できるのも楽しみですね。

    byパグ太郎 at2018-08-02 08:43

  2. パグ太郎さん

    確かに、ただいま売り出し中の歌手の大饗宴といった風でしたネ。

    それだけにはじけるような活気があって、とても楽しかったです。さすがベルリン、なるほどこういうのもありだね、と思いました。


    ちなみに…

    指揮者のジャコモ・サグリパンティは、来シーズンの二期会公演で「椿姫」を振ることになっています。

    エレナ・ツァラゴワは、2012年バスティーュ歌劇場での「ペレアスとメリザンデ」がDVDになっています。2008年のパリ・オペラ座の「利口な女狐の物語」も輸入盤で入手可能。

    ミーショット・マレッロは、NYメトロポリタン歌劇場で活躍中のようですがまだCDはないようです。ヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ/第5番」を歌って評判のようですのでCDが期待できますね。

    フルートのサラ・ルヴィオンは、イベール、ルーセル、ジョリヴェなどを録れたCDをリリースしています。曲目にひかれてポチっとしてしまいました。輸入なので気長に待つことにしました。

    byベルウッド at2018-08-02 14:38

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