ベルウッド
ベルウッド
クラシック音楽ファン:よい演奏会があると知れば遠征もいといません。オーディオシステムは、音楽そのものを楽しむのが本来というモットーのもとにコストパファーマンス重視で小ぶりな装置を目指します。正統オーデ…

マイルーム

メインシステム
メインシステム
持ち家(戸建) / リビング兼用 / オーディオルーム / 16畳~ / 防音なし / スクリーンなし / ~2ch
スピーカー:    PSD T4 Limited Special-ネットワークレス・マルチアンプ駆動 調音パネル:    Escart Ventoスクエア パワーアンプ:   金田式DCアンプ…
所有製品

レビュー/コメント

レビュー/コメントはありません

カレンダー

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

最新のレス

日記
製品レビュー/コメント

製品レビュー/コメントへのレスはありません

お気に入り製品

お気に入り製品はありません

日記

家族の肖像 (kanata邸訪問記)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年09月15日

5年越しの懸案だったkanata邸をお訪ねしてのオフ会。

相互交流としてまず拙宅へお迎えしたのが5年前のこと。入れ替わりで私がお訪ねするはずだったのですが、kanataさんもご多忙でちょっと機会を失ったきりkanataさんの身辺には、転居や単身赴任など次々と大きな生活の変化があってそれっきりになっていました。

今回、ようやく日程が整ってのご訪問となったわけですが、それは単身赴任を解消しての東京の自宅マンション復帰ということともに、初めてのお子様がお生まれになったばかりという慶事が重なっての僥倖というわけです。お訪ねしてみると、奥様はお産で実家に帰られていてつかの間のご自宅での単身生活だということでした。

改めてお聴かせいただくと、こちらが勝手に抱いていたkanataさんのサウンドイメージとはまるで違っていて、とても柔らかく優しいサウンドで、実は、心中でとても驚いてしまいました。

詳しいラインアップや、ソフトの紹介は、ご一緒したパグ太郎さんが詳細に日記に書かれていますのでそちらをご参照ください。そこで受けた印象は私もほとんど同じです。

再生していただいたソフトとメディアは、SP時代やLP初期(モノラル)からデジタル世代まで広範囲に渡ったのですが、どれをとってもとても滑らかで優しく、世代の違いや技術の違いをすべてひとつに包含してしまうような懐の深さにとても感銘を受けました。そういう柔軟なサウンドのワールドにDynaudio Sapphireを巻き込んでしまうことができるのは、FMのパワーアンプの豪腕と美質なんだと思うのです。まさに文武両道とでも言えるでしょうか。それは、単身赴任用システムのQuadのアンプの柔よく剛を制する良識性と共通するもので、kanataさんの聴感と感性の高さがあふれる選択なんだと思いました。

そういうkanataさんのオーディオは、第一子誕生という、この5年間の生活環境の起伏に富んだ流れのなかでも、飛び切りの大変化をきっかけにどう変わっていくのでしょうか。あるいは変わらないのでしょうか。そういうことが、自分のちっぽけで貧相なオーディオ人生の過去のシーンとともに、思わず胸の中を去来してしまいます。

私は、生まれてからずっと転勤人生で、いわゆる狭小住宅を転々とする引っ越し人生でした。しかも、我が家系は、父母のいずれもが、三代さかのぼってもまだサラリーマンという情けない家系で、いつか引き継ぐ実家とか、いつかはあてにできるかもしれない生まれ故郷の生家というものがありません。だから、ものごころついてから今に至るまでずっと一家団欒のリビングの片隅にオーディオがあるという《お茶の間オーディオ》を貫いてきました。この歳になっても、老後の不安にかられる自分があるだけで、オーディオルームだとか大規模なオーディオ装置を持とうという野心は少しも持ち合わせていません。

そういうオーディオ人生のなかで、家族という制約を強く意識してきたと思う一方で、よくぞ、これだけ自分勝手な趣味を貫いてきたものだとも思います。

子供の頃は、団地のせいぜい12畳ほどのダイニングを兼ねたリビングルームの、家族5人がひしめくようなスペースで、NHK・FMの「午後のクラシック」やらフルトヴェングラー「バイロイトの第九」などをかなりの音量で聴いていたわけです。

レコードプレーヤーはガラード(Garrard)社のオートチェンジャーで、スピーカーはエレクトロボイス(Electro-Voice)社の30cmのメカニカル2wayのフルレンジユニット(SP12)を、バレンシアタイプのキャビネットに収めたもの。いずれも父が単身で渡米駐在した時に買い求めたものでした。アンプは、帰国直後に買い換えた福音電機(現・パイオニア)のオーディオマスターAM-R81でした。これは真空管6AR5を使用したレシーバーでFMも受信可能でしたので、私が大学に入学するまでずっとこれで聴いていたのです。もちろんすべてモノーラルです。

大学入学後にようやく自分用にステレオ・セットを買ってもらいました。私自身のオーディオ人生の出発です。あれやこれや手をつけて、いっぱしのマニア気取りでしたが、もちろんハイエンドの類いとは無縁で、自分でできることはすべてやってみようという半分自作のシステム。プレーヤーも、パイオニアのPLはすぐに人に譲って自作しました。DENONのいわゆる「目玉焼き」を自作の積層キャビネットに入れて、鉛の分厚いムク板に穴明けしたアームベースにFRのアームを取り付けたもの。

就職しても、6畳一間程度の尞の一室で2A3のシングルアンプを自作し、ダイヤトーンのいわゆるロクハン一発をヒビノ音響で買ったキャビネットに放り込んだものを、プリアンプ無しのボリュームの空中配線で鳴らして悦に入っていました。さらにジーメンスE88とE87を使用したプリアンプキットを組んだりして、それやこれやを新婚のアパートに全て持ち込んだと言うわけです。私にはオーディオとレコード以外に家財道具と言えるものは皆無でした。

結婚してすぐに子供が生まれます。今では、孫が来ると言っては、段ボールで要塞を構築して防衛していますが、よくよく当時の昔を振り返ってみると全く無防備でした。スピーカーはCelestion Ditton15に昇格していましたが、さすがにサランネットは外していません。タワーのように高いラックのてっぺんにアナログプレーヤーを置いていたので、子供の手は届きませんでしたが、彼らがぴょんぴょん跳ねるたびに針が飛びました。

金田式の超高速定電圧電源の120WのDCアンプを作ったのはこの頃で、社宅の隣近所からうるさいという苦情を受けた家人にこっぴどく叱られました。2回の海外勤務は、合わせて5年ほどでしたが、海外での転居や単身赴任もあって、いったんはオーディオ活動は休止となりました。その頃、愛用していたのは現地で買い求めたBOSEのシステムコンポで、これはけっこうよい音がしました。

家族からは、うるさくて迷惑な趣味だと言われますが、こちらに言わせればリビングルームの片隅で何とか家族との折り合いをつけようという遠慮ばかりの中途半端な趣味でしかなかったと後悔ばかりです。子育て時代の妻がかんしゃくを起こして「あなたばかりが勝手にやりたい放題」だとなじられたこともありますし、子育てが一段落して妻も外で働くようになった頃は、子供だって反抗期の真っ盛りで、いささかこちらのオーディオ熱も冷めていました。

そんな私と違って、kanataさんのシステムは本格的なハイエンドそのものですし、スケールも相当なもの。それらがリビングに続く一室のほとんどを占拠していて二間ブチ抜きのリビング兼オーディオルームになっています。特に、EMTのアナログプレーヤーはかなりの偉容でどっしりとフロアに据えられています。kanataさんは、アナログディスクのコレクターとしても本格的で、レコードというものもかなりのスペースを必要とするはずです。


それが、第一子誕生という人生の大きな節目を迎え、今後、どのように変化、変転していくのか…?


「家族の肖像(Gruppo di famiglia in un interno)」というのは、私の好きなヴィスコンティの映画の標題です。英語では“Conversation Piece”と訳されていますが、「家族団欒を描いた集合肖像画」という絵画の一ジャンルのこと。映画では、ローマの豪華なアパルトマン(マンション)の壁一面に掛けられた家族肖像画をめぐっていく印象的なシーンがあります。

絵画研究の泰斗である老教授のそういう孤独の棲家に、4人の若い男女が転がり込んでくる。やむなくアパートの上階を貸すのですが、価値観の違う若い世代に翻弄される。やがて次第に心を開いていく教授は、世代で対立し喧噪に明け暮れた日々を「家族ができたと思えばよかった」と悔やむのですが、若い世代の人々はそういう老教授の心境の変化も空しく自ら破綻していく…というお話しだったと思います。

次回の日記→

←前回の日記

レス一覧

  1. センチメンタルジャーニーと家族愛を引き継いで、昇華させていただき有難うございます。(というのは自分だけの思い込みですが)

    『家族の肖像』、40年前に繰り返し観た大好きな映画でした。そしてこの映画、私にとっては音楽とオーディオに繋がる映画でもあります。

    老教授が、身勝手な美青年に聞かせる音楽は、モーツァルトのコンサート・アリア、K418「あなたに明かしたい、おお、神よ!」でした。そのシーンで、初めてこの曲を知り、暫くこの曲の録音を探し回ったものでした。でも、当時は納得いかなかった話が二つ。

    一つは、老教授がバーンスタイン、青年がベームの録音が好きというくだり。そもそもこの二人はこの曲を録音していません。そんなことはヴィスコンティは承知のはずなのに何故? そしてベームとバーンスタインのイメージから言えば、好みは逆のはずなのに何故。今、考えれば、イメージ通りであれば世代ギャップが強調されるだけ、それをつなぐため、のねじれ演出だったのかと納得。

    もう一つは、若者がオーディオのボリュームを上げると、教授がそれでは駄目といって下げる。音量は、上げられる環境なら上げたいという当時の志向が、音楽によってはマイナスということに気がつくのに数十年かかりましたが、当時は謎でした。

    日記拝読して、Kanataさんのシステムで、この曲を静かに聴いてみたいという思いが、ふつふつと湧いてまいりました。

    byパグ太郎 at2018-09-15 21:40

  2. ベルウッドさん、こんばんは。
    こちらも深い日記ありがとうございます。

    パグ太郎さんの日記を引き継いでいると思ってしまうのは私だけでしょうか。現在の私の悩みと今後を見透かされているようでドキッとしながら拝読しました。

    一応色々なプランはあるのですが、まずは妻と息子と話し合って我が家のオーディオを作って行きたいと考えています。

    bykanata at2018-09-15 22:00

  3. ベルウッドさん こんにちは

    興味深く読まさせていただきました。

    昔 寺山修司さんと武満徹さんの対談で「日付のある音楽」という言葉を発しております。

    寺山さんは「一つ一つの曲が聴き手の記憶と慣れあって世界を作り出していく」歌なんかの魅力は日付を絶対無くさないことに拘るべきで短歌なんていうのは日付なしでは成立しない 自由詩っていうのは日付がなくなって 大半の詩はそうなり 詩は歌ではなくなってしまった」と言っています。それに対して武満さんも「日付のある音楽を書きたいと思っている」と答えておりました。

    今回の場合曲ではなくオーディオかもしれませんが 年齢やオーディオ歴?が違う人達がこちら(※kanata邸)に行って音楽を聴くとまた別の感想を持たれるかもしれませんね。オーディオは極めて個人的なものだと改めて感じられました。

    byキタサン at2018-09-16 10:47

  4. パグ太郎さん

    映画のことずいぶんと細かい場面まで鮮明に覚えておられるのですね。そう言われてみれば…という程度の記憶しか残っていなかったのでとても驚きました。

    クラシック音楽について啓発的な映画を制作したヴィスコンティの中では、比較的、音楽の印象が薄い映画だと思っていましたが、そうではなかったということをはからずも教えていただくことになりました。見直してみたいです。

    byベルウッド at2018-09-16 11:49

  5. キタさん

    「日付のある音楽」…確かにそういうものがありますね。時代とともにある流行歌は特にそうです。不意にその曲と遭遇すると思わず涙が溢れでてくるということもあります。

    クラシック音楽であっても特定の記憶と密接に結びついている曲や演奏録音というものがあります。

    そういう日付というよりトラウマに近いのですが、私は「アルルの女」組曲の「ファランドール」のあるところまでくると曲が途切れてしまう感覚に襲われます。中学生の時、エアチェックをしていてその箇所に来てテープがなくなったのです。その途切れた録音が好きで繰り返し聴いていました。今でもその箇所を過ぎるとリールがクルクルと空回りしているシーンが目に浮かんでしまいます。

    byベルウッド at2018-09-16 11:59

  6. ベルウッドさん こんにちは。

    kanataさん邸のご感想と、それに続くご自身の家族とオーディオについてのご回想、ともに引き込まれてしまう素敵な日記ですね。

    拝見しながら、私もこれまでの自分の家族とオーディオについて思い起こしてしまいました・・・

    byKYLYN(キリン) at2018-09-17 12:27

  7. KYLYNさん こんばんは

    KYLYNさんも単身赴任が長くなってしまいましたね。単身だからこそ…なのか、単身の仮住まいでよくぞ…というべきなのか、kanataさんが鳴らし納めですと言って聴かせてくれた単身赴任セットを聴きながらKYLYNさんのサウンドを思い浮かべてしまいました。

    byベルウッド at2018-09-18 23:54

レスを書く

レスを書くにはログインする必要があります
ログインする