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日記

橋本杏奈 クラリネット・リサイタル

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2018年09月18日

クラリネットのソロ・リサイタルというのは珍しい。クラリネットが大好きでオーケストラのクラリネットのソロ・パートにいつも聴き耳を立てている私も、実は、今回が初めて。しかも、大型新人でしかも日本人という橋本杏奈には大注目で、虎視眈々と生を聴く機会を窺っていた待望のリサイタル。



管楽器奏者というのは、独立したソリストとして成り立つ奏者は少ない。例外的なのはフルーティストぐらいですが、それでもよほどの人気者でなければピアニストを伴っただけのリサイタルを立てるのは難しい。ふだんは、オーケストラへの客演奏者として活動することも多い。橋本もBBC響、フィルハーモニー管、ロンドン響、ロイヤル・オペラなど在ロンドンの楽団の首席やエキストラ奏者として客演することが多いそうだ。

プログラムは、そういうクラリネットのレパートリーがぎっしり。プログラムノートによれば、人生の大半をイギリスで過ごし王立音楽院で学んだ橋本のこだわりなんだそうだ。いずれも技巧を凝らしながらもクラリネットの音色や響きの魅力が満載の素晴らしいリサイタルでした。

ホロヴィッツは、ウィーン生まれのイギリスの作曲家。ロンドン響で長年活躍したジャーヴェイス・ド・パイアーの委嘱で1981年に作曲されたソナチネは古典的な落ち着いた雰囲気の中にモダンな音色や音型、技巧を凝らした素敵なクラリネット音楽。最後はジャズっぽい軽妙なロンドで終わります。

ホーンは、カーティス音楽院やハーヴァード大学に留学したバリバリの現役作曲家。無伴奏の独奏曲は壮絶なヴィルトゥオジティーを発揮する曲で、たった6分間の曲とは思えないほどの密度の高い音楽でした。

ハウエルズのソナタは、戦前の名手フレデリック・サーストンに捧げられた曲で終戦直後の暗く瞑想的で回想的な雰囲気の美しいソナタ。冒頭のピアノに現れる独特の和音がとても印象的です。



寺嶋陸也は、作曲家とピアノの二足のわらじですが、こういう二十世紀音楽をやらせると本領発揮の感があります。室内楽アンサンブルや音楽祭でよくお目にかかるピアニストですが、橋本杏奈との息もぴったりという感じです。

さて、プログラムの後半は…

スタンフォードは、エルガーなど門弟たちのポピュラーな活躍の陰に隠れてしまっていますがイギリス近現代音楽の源流を形作った大作曲家。この日のプログラムの要に据えられた「3つの間奏曲」は、ブラームス的な中欧音楽の正統を思わせる情感表現の充実と優美な形式美が融和したとても聴き応えのある曲でした。これは、クラリネットの名曲だと思いました。

バッハの「シャコンヌ」ピアノ編曲版で有名なブゾーニは、もともとはヴィルトゥオーゾのピアニストとして有名でしたが、最近は作曲家としても見直されその作品に触れることが多くなりました。そのブゾーニの父親がクラリネット奏者だったとは初めて知りましたが、その父親は《神童》ブゾーニをピアノ伴奏者として連れてヨーロッパ各地を演奏して回ったそうです。この「クラリネットとピアノのための組曲」はそういう父親との演奏のために何と9歳のブゾーニが作曲したのだそうです。親しみやすい音楽的意匠のなかに堂々とした風格も備えていて、これが9歳の少年の作だとは信じがたいものがあります。

プログラム最後のローゼンプラットも、現役バリバリの作曲家。最後をかざるにふさわしいエンターテインメントたっぷりで、重音奏法などモダンな技巧もたっぷり取り入れた超ヴィルトゥオジティーを発揮するド派手な曲。まさにクラリネット版の「カルメン幻想曲」というわけで、会場は大いに沸きました。





土曜ソワレシリーズ《女神との出逢い》第275回
橋本杏奈 クラリネット・リサイタル
2018年9月15日(土) 17:00
横浜・青葉台 青葉区民センターフィリアホール
(1階 9列9番)

橋本杏奈(クラリネット)
寺嶋陸也(ピアノ)

ホロヴィッツ:クラリネットとピアノのためのソナチネ
ホーン:独奏クラリネットのためのPhantoms・「幻影」(日本初演)
ハウエルズ:クラリネットとピアノのためのソナタ

スタンフォード:3つの間奏曲 Op.13
ブゾーニ:クラリネットとピアノのための組曲 op.10
ローゼンプラット:ビゼー「カルメン」の主題によるファンタジー

(アンコール)
ホロヴィッツ:ヴァルデモッサ





以下は、超・蛇足ですが…

クラリネットの音色を久々に直に堪能したリサイタルでしたが、事前にそのクラリネットの音色を確認するために予習として聴いたクラリネットのCDから、私のオススメです。



先ずは定番のブラームスとウェーバーの五重奏曲。エディ・ダニエルズとコンポーザー弦楽四重奏団はいずれも馴染みの薄いアメリカの演奏家で、ダニエルズはどちらかといえばベニー・グッドマンのようにジャズが本業。いわゆる名門ではありませんが、リファレンス・レコーディングスの優秀録音とともに、この曲の色彩感に改めて目覚めさせるような名演・名録音となっています。



橋本杏奈の恩師マイケル・コリンズの、ウィグモアホール・ライブ。「岩の上の羊飼い」は、シューベルトがいろいろな編成の試みをした晩年の歌曲のひとつですが、クラリネット好きにはたまらない名曲です。ソプラノは、アイリッシュ・ティナン。カップリングされた八重奏曲もシューベルト中期の傑作のひとつ。シューベルトにはこういう掘っても掘り尽くせぬ名曲がいっぱいあります。



カール・ライスター、ワルター・ザイフェルトというベルリン・フィルのカラヤン時代を代表するクラリネット奏者の共演。しかも、ノットゥルノ(夜曲)の三重唱は、今をときめくクリティーネ・シェーファ、グンドラ・ヒンツの二人の名花に大ベテランのフィッシャー=ディスカウが加わるといういささか意味不明の超豪華キャスト。バセットホルンも加わってモーツァルトのクラリネットの魅力満載のアルバム。



もうひとつあえて付け加えるとすれば、もうひとつの定番のモーツァルトの五重奏曲。「ウィーン室内合奏団」のモーツァルト集のなかの1枚。

ウィーン・フィルの名手アルフレッド・プリンツとワルター・ウェラーの共演。ウェラーはウィーン・フィルのコンサートマスターの地位にいた時期が短く、おそらくこの録音が唯一の共演録音だろう。それもこれもウィーン・フィル来日時の一発録りだったからで、録音エンジニア若林駿介氏の見事な優秀録音。トリオレコード中野 雄氏のご自慢もやむなしの傑作録音。

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  1. 今晩は。

    クラリネットのソロとは、これまた珍しい。プログラムの楽曲は全て未知です。やはり、協奏曲とか室内楽とかの中にあるあの響きが良いと思っていました。(超蛇足の方が本命?) でも、帯域も声に近いので、アリアの編曲・ピアノ伴奏とかがありますね。

    byパグ太郎 at2018-09-19 22:04

  2. ベルウッドさん
    今晩は。

    私もクラリネット大好きです。
    でもプログラムの楽曲、まったく存じませんでした。。。
    で、ご紹介のアルバムをいくつか聞いてまいりました。
    カール・ライスター、ワルター・ザイフェルトのモーツァルトのディベルティメントがよかったです。DL版を入手して、ただいま聞いております。デュオ編成のクラリネットは、なんだかほっとするし、キュートで楽しげに聞こえてきます。
    ご紹介ありがとうございました!

    byゲオルグ at2018-09-19 22:18

  3. パグ太郎さん

    木管楽器のなかで技巧の自由度という点ではフルートが抜きん出いて高いのでそれがソロ楽器としてもてはやされている理由だと思います。でも、技巧の難易度を克服してしまえば、音色の多彩なことも含めてクラリネットも素晴らしく魅力的です。

    橋本さんのヴィルトゥオジティーは、往年のハインツ・ホリガーを思わせます。オーボエに較べると歴史が新しい楽器なので、二十世紀以降の曲にどんどん挑戦しないとレパートリーのカタログが増えませんね。

    byベルウッド at2018-09-20 09:48

  4. ゲオルグさん

    私も、プログラム全曲、初見、初聴です。その点でもこんなリサイタルはめったにありません。

    モーツァルトのクラリネット曲はけっこういろいろあって二重奏とか、バセットホルンの曲とか、ファゴットを加えた曲とか、とても楽しいのでヘタクソなクラリネットを吹いていた高校時代に吹いたり聴いたりと夢中になりました。

    でも、いざとなるとそれが何の曲だったかわからないし、CDもなかなか無いんです。それで探していたら行き当たったのがこのCDでした。クラリネット合奏の響きがたまらないですよね。

    byベルウッド at2018-09-20 10:02

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