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日記

モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」あるいはガブリエリの「カンツォーネ」 (音場と定位はなぜ大事か その2)

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2019年02月14日

立体的な音響が重要である理由は、西欧音楽が歴史的に教会の空間のなかで育まれてきたからです。

例えば、モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」。



この曲は、ルネサンス末期の音楽家であったモンテヴェルディの代表作で、その規模の大きさと劇的な表現は、後のバッハなどのバロック音楽の先駆けとなったものです。



モンテヴェルディは、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院の楽長を務めていて、このカトリック典礼に基づいた多声部の音楽は、サン・マルコ寺院の十字形で五つのドームを持つ広大な大聖堂空間で演奏されるために作曲されました。



ジョン・エリオット・ガーディナーは、この録音では、わざわざそのサン・マルコ寺院を会場に選び、その交唱、多声部合唱、エコー効果を引き出すため、周到に声と楽器の配置とそのバランスを準備したそうです。この録音の音楽的効果を引き出すためには、やはり、しっかりとした正確な空間表現が可能になるように再生システムを選択し、念入りにセッティングと様々なバランス調整をする必要があるのです。


サン・マルコ寺院ゆかりの音楽としてよく知られるのは、やはりヴェネツィアの音楽家ジョヴァンニ・ガブリエリの曲による金管合奏曲です。



金管の名手たちによるアンサンブルが好んでとりあげる、ガブリエリのカンツォーネ集などの曲は、各方向に分けて配置されるソロやアンサンブルが右や左から交互に歌い、追い、交わすエコーやディレイなどのステレオ効果は、まさにサン・マルコ寺院の独特の空間とその音響効果を活かしたもの。これが交唱(アンティフォナ)や分割合唱(コーリ・スペッツァーティ)というルネサンスからバロック期にかけての音楽手法そのもの。



金管楽器の名人が居並ぶシカゴ交響楽団は、ブラスアンサンブルによる特別演奏会が名物となっていて、そこではオーケストラホールのバルコニー席の各所に配置された楽器から発する華麗なブラスアンサンブルが、ホール空間を行き交い、こだまのように呼応するという、壮麗なまでの立体音響で名人芸を聴かせてくれます。その柔らかなハーモニー、見事なまでの強弱コントロール、目眩く色彩変化による音響効果は、他ではなかなか聴けることのできない、まさに、ヴィルティオーソの饗宴となっています。

この音響効果は、理想を言えばサラウンド録音によってこそ本格的に実現できるのでしょうが、2チャンネルステレオでも、立体的な空間表現が適切に実現できれば十分な効果を得られます。とはいえ、やはり、その再生にはそれなりのシステムが求められるというわけです。

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  1. ベルウッドさん

    折角なので、このシリーズを順次読ませてもらい、コメントさせてもらいたいと思います。シリーズものなので、作者の意図にも順番があるのだろうと想像しました。

    ですが・・・
    その2には聴きなれたDiscがなかったです。。。
    でも、見たことがある気のするジャケットがあるのに・・・
    と思い探していたらありました!

    最初に出てくる、モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」です。DG111ボックスの赤箱の中に入っていました。
    今日は出かけますので、夜にでも聴いてからコメントしますね。

    byヒジヤン at2019-02-16 07:40

  2. ヒジヤンさん

    このモンテヴェルディの「聖母マリア…」は、なかなか手強いです。

    実は、このCDはそねさんのところで聴かせていただいて、さっそく求めたものです。拙宅でいざ再生してみてみると、なかなか大変な録音で思い通りにいかずショックを受けてしまいました。

    コメントをお待ちしています。

    byベルウッド at2019-02-16 10:31

  3. 自己レスです。

    次に続けた記事の内容について、パグ太郎さんから間違いを指摘されました。

    ヴェネツィアのサン・マルコ寺院の建築をうっかり「ゴシック様式」と書いてしまったのです。正しくはご指摘の通り「ビザンチン様式」です。

    ここはとても大事なポイントです。なぜならば「ビザンチン様式」だからこそサン・マルコ寺院の空間の形が、西洋キリスト世界の他の教会にはないユニークなものであり、そのことがモンテヴェルディやガブリエリの作曲における音響空間設計の由来であり、ガーディナーがわざわざ現地に赴いてまで演奏し録音したかの理由でもあるからです。

    ビザンチン様式とはいうまでもなく、東ローマ帝国コンスタンディノープルの文化様式です。東ローマは、長くイスラム文化と対峙しながらも独自の文化を発展させ、その教会建築様式はイスラム教会の林立するドームと尖塔という形にも影響を与えたのです。

    byベルウッド at2019-02-16 12:37

  4. ヴェネツィアは、地中海の貿易都市としてヨーロッパの中で文化・宗教で対立する東ローマとイスラムとはむしろ宥和する政策をとっていました。11世紀には、弱体化した東ローマ帝国の要請でアドリア海沿岸の海上防衛を担うことになり、東ローマ帝国の貿易特権を独占したのです。このことでサン・マルコ聖堂は、東方正教会の司教の正座としての「聖堂」の位置づけにありました。形式的にヴェネツィアは東ローマの宗教的所領の形を取ったのです。そればサン・マルコ寺院がビザンチン様式である歴史的由縁であり、そのことが、西洋キリスト教会建築のなかで特異なものとして16世紀以降のルネサンス以降も、建て増し、改修を繰り返しながらも存続した経緯だったわけです。

    サン・マルコ寺院は、政庁とともに港に隣接して建っています。これは、ビザンツ帝国から来訪する貿易商や船乗りたちを真っ先に迎えるための立地だと言われています。ヴェネツィアとはそういう貿易都市だったのです。それは、他の都市の司教座聖堂(ドゥオモ)とは異なり、形式的にヴェネツィア共和国総督の礼拝堂でした。共和国がカトリック教会からは政治的に独立していることを誇示していたのです。

    そのビザンチン様式の特徴が、中央に大きな礼拝スペースを持ち、十字平面の形でその四方にペンデンティブドームを持ち、その球形ドームはそれぞれ独立した残響音響空間を持ちます。昔のことで記憶は定かではないですが、中央の大空間に立つと、その広さに驚くと同時に、四方には少し段が高くなった薄暗がりの奥に、また、礼拝の空間がうっすらと存在している…という印象でした。ぜひ、また、再訪してその音の響きを耳で確かめたいと思っています。

    byベルウッド at2019-02-16 12:38

  5. ベルウッドさん

    モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」を聴いて見ました。残響時間がゆうに5秒はあろうかという教会らしさ満載の録音ですね。この録音は基本的な60度正三角形のスピーカー配置でも十分に教会らしさを味わえるような録音と感じました。

    話は本文に戻りますが、
    >立体的な音響が重要である理由は、西欧音楽が歴史的に教会の空間のなかで育まれてきたからです。

    このご意見に同感です。ヨーロッパの教会で聴く音楽に圧倒されますよね。教会の空間が音で満たされるのですが、お風呂場とは異なり明瞭な音に満たされる感覚を味わいます。このような場所では、音楽でなくとも音空間に入り込むだけで満たされ、音に感動した記憶があります。そんな感動から次々と教会を巡ってしまったほどです。

    ですが、帰国後に同じ感動を求めて日本で巡った教会では同じような音響空間は現れませんでした。残響が多く、お風呂場のような教会はありました。ですが、一つ一つの音が明瞭に聴こえ、かつ空間中が響きで満たされるような教会には出会えていません。音だけでも感動が味わえるような音響空間は、明瞭かつ響きに満たされるような空間だと感じています。

    その意味からは、ご紹介のモンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」は、響きで満たされるのですが、明瞭さと言う面でもう一歩かなと感じました。

    ヨーロッパの教会での原体験から、音に感動し満たされるような空間の再生。これも自分のオーディオのテーマの一つとしています。

    byヒジヤン at2019-02-17 00:20

  6. ヒジヤンさん

    日本の教会は音響という面では今ひとつですね。丹下健三の代表作ともいえる目白の東京カテドラル聖マリア大聖堂は、モダン建築としては金字塔ともいえる意匠性を誇りますが、内部音響は残響過多でとてもまっとうな音楽会場としては使えません。それでもクリスマスシーズンにはコンサートが開催されますが、あれはコンサートというよりも独特の雰囲気を味わうイベントなのでしょう。

    他の教会は、どちらかといえば木質の響きでスペース感はあっても響きの乏しいものが多いと思います。やはり気候風土とともに建築の時代様式がまるで違うからでしょう。そのなかで市ヶ谷のルーテル教会(ルーテル市ヶ谷センターホール)は、やはり木質の響きですが音楽的な響きが豊かです。おそらく、それはルター派という音楽を重視する宗派だからなのだと思います。

    実は、アメリカもあまりよい響きの教会がありません。やはり時代とか歴史伝統なのでしょうか、もちろん数は圧倒的に多いのですが、音楽的スペースという観点では日本と五十歩百歩でさしたる違いはありません。


    ガーディナーの録音ですが、サン・マルコ寺院は残響が長すぎて、建物のスパンが大き過ぎて反射のディレイが目立ちます。そういう意味では録音会場には向いてませんね。でもこの曲に限っては、大聖堂のまるでこだまが行き交うような独特の立体感を活かそうという録音になっているわけです。それを味わえるかどうかは、再生の腕前なんだと思うのですが、そこがなかなか手強いです。

    byベルウッド at2019-02-17 10:48

  7. ベルウッドさん、こんばんは。
    超遅レス大変失礼いたします。身辺なにかと慌ただしく装置に灯を入れることもなく過ごしておりました。

    本日記を拝読し、モンテヴェルディのvesproについて仰るところの「こだまが行き交うような独特の立体感」とはなんだろう?拙宅での再生はどうなんだろう?とても好きな曲だけにサラ~と読むわけにはいかず、調べものをしたり映像を見たりポイントを絞って聴いたりと慣れないことをしてみましたが、際限のない深みに嵌ったような…。

    サン・マルコ大聖堂の良く響く巨大な空間およびその内部構造を活かした作曲技法そしてその演奏効果を高めるためのガーディナーによる演出、これらが「独特の立体感」を生み出していると考えられることから、まずは大聖堂の《情景》を掴むことがそこに描かれた音楽の《情景》の独特さを理解するために重要と考えました。

    そこで大聖堂内部の写真探しです、なるほど巨大だわ。ここでは響きが豊かすぎて精緻なポリフォニーが聴きとれないことから残響を利用した二重唱といった作曲様式が生まれた、といった趣旨の記述を見かけましたが、むべなるかな。
    なかなか1枚でコレといった写真がありません。集めたもの4~5枚を眺め比べ聖堂内の構造を掴んだところで、本演奏に対応した映像をyoutubeに探し出し聖堂の内部写真と照合し演奏位置の特定を試みましたが、これが一筋縄ではいきません。何度も照合しなんとか音楽の《情景》を把握しました。

    原則として中央祭壇前に、コーラス陣は二重合唱の形に、これにより2群の合唱が交互に歌い交わしながら進行したりします、オーケストラはその前に位置しています。(概ね、向かって左翼にヴァイオリン、ヴィオラ、バス、リュート等の弦楽器、右翼にコルネット、リコーダー、トロンボーン等の管楽器が配置され、手前にソロ楽器、奥に低音楽器が配置されています。
    ソリストたちは、聖堂の祭壇に向かい左右両翼のバルコニーや各階の袖廊の窓(以下、バルコニーと総称)など、曲に合わせて様々な場所に配置され、聖堂両側のバルコニーでの歌い交わしや、フロアーのコーラスとの掛け合いを歌います。またエコー効果は、中央祭壇の奥の高所から流れてくるようです。

    byそねさん at2019-03-11 22:36

  8. ■音楽の《情景》が描く「独特」の立体感

    表題「独特」の立体感について考えてみますと、高さの階層感、エコーの奥行感、離れた位置からの歌い交わしのもたらす広がり感が象徴的にあげられると思いました。

    ・ソリストが歌う場所は、フロアー、両翼の2階バルコニー、左翼の円柱形状バルコニーと3階高窓、4階の高窓と、4階層の高さがありますが、概ね2階と3階で歌っているようです。この高さのバリエーションがもたらす立体感のバリエーションはサン・マルコ大聖堂に独特のものかと思いました。(他の聖堂のことは未確認ですが、これほどの高さとバリエーションを持つものはあまりないのではないかと思われます)
    ・また、大聖堂が十字型で5つのドームを持つこと、すなわち祭壇の奥にも大きな空間があることが、奥行き感に深みのあるエコー効果を生んでいるように思います。
    ・加えて、左右バルコニーからの歌い交わしやフロアーのコーラス陣と異なる高さの位置にいる独唱陣との間で歌い交わしができることも、豊かな広がり感を生み出すのではないかと思います。

    13.magnificatを例にとりますと
    ・高さ:13-2.anima mae「わが霊魂は」のソプラノ・ソロの方が13-3.et exultavit「わが精神は」のテノール・ソロより高い位置にあるように聴こえるか?
    ・奥行:13-8 deposuit potentes「権力ある者を」での管楽器のエコー、13-12 gloria patri「詠唱:願わくは父と子と」でのテノールのエコーが奥行深いところから畏敬の念を抱かせるような聴こえ方がするか?
    ・広がり:13-10 suscepit israel「御あわれみを」の左バルコニーソプラノ・ソロとフロアー右側コーラス陣の右端数名との歌い交わしが何かを感じさせないか《本件整理できず》

    byそねさん at2019-03-11 22:40

  9. ■拙宅での再生の現状は…

    要素ごとにみれば、高さ>奥行>広がりの順位で、広がり感が弱い点は気掛かりですが全体としてはマズマズではないかと思います。
    でも大事な点が欠けていることに気づきました。それはサン・マルコ大聖堂に最も特徴的であり、作曲様式の生みの親ともいわれる大聖堂の音響空間の巨大さを感じられないことです。
    広がり感の弱さにに加え、「何か」が足りないと感じています。

    その広がり感の弱さについて、気になっていることがあります。
    バルコニーで歌うソリスト達は概ね内側(指揮者の方向)を向いていますがテノールの nigel robsonと思しき人だけは詩篇・コンチェルトではいつも前を向いています。いつもであることからすると、これはガーディナーによる演出かと思われます。その意味するところを妄想しますと、内側を向いた歌声は直接音が弱くなり相対的に残響音の比重が増すと思われ、響きは柔らかく、音像は大きくなり、位置がややセンターに寄りがちになるのではないか?というものです。試す術はありませんが。

    長文駄文遅レス 失礼いたしました。

    byそねさん at2019-03-11 22:43

  10. そねさん

    詳細で深い洞察にあふれるレスをありがとうございます。

    実は、マイシステムも事情があってアンプが電源喪失状態となってしばらく音楽が聴けない状況にありました。ご指摘いただいたところも含めて、これから、検証しシステム改善などに精進していきたいと思います。まったくこのソフトは手強いです。

    ひとつだけコメントさせていただきますと、「高さの階層感」です。これは、何もモンテヴェルディのこの曲に限らず、教会における宗教音楽全般に共通すると思います。

    多くの教会音楽では、聴衆はフロアの席にいて、パイプオルガンはかなりの高さのある上層に設置され、オーケストラやソリスト、合唱は、バルコニーなど上層階に配置されることがほとんどだからです。高さの階層は確実に一般的に存在しています。

    特に、天使の歌声を象徴する児童合唱隊は最上層などの歌声が天から降ってくるような効果をねらうことが多いようです。これは、教会音楽に限らないことで、例えば、マーラーの交響曲3番とか4番とかでも児童合唱を上層に配置させています。ちなみに第6番のカウベルも山麓の上方から聞こえるような効果をねらって配置します。

    SACDの5.1chが話題になった頃、後方よりも、前方上方にスピーカーを配置して上下の高さ感を出す方が音楽的には重要ではないかというような議論があったことを記憶しています。

    さて、問題は、ピュアオーディオの2chで、そういう高さ感は再生可能なのかということになります。

    その点についてはいかがでしょうか。このことが問われるソフトがいくつかあるような気がします。

    byベルウッド at2019-03-13 13:56

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