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日記

切ない心変わり―ヴェルディ「椿姫」(ヴェネツィア/ミラノ音楽三昧 その2)

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2019年04月18日



翌日は、美しい木造アーチのアカデミア橋をわたってアートスポットの集中するドルソドゥーロを散策しました。橋を渡ってすぐのアカデミア美術館は、ヴェネツィア派絵画の宝庫で、見尽くそうにも見尽くすことができないほどの絵画がいっぱいです。



サン・マルコ広場を描いたベッリーニ(ジェンティーレ)の大作や、展示室入口すぐの「もてなしの間」に作り付けのティツィアーノの物語画には、思わず呆然とさせられますが、こうした傑作がびっしりと飾られていて、質の高さばかりでなく量の大きさに圧倒されてしまいます。



午後は、水上バスに乗って、ムラーノ島へ。サン・マルコの波止場は行列で2台待ちで1時間近く並びます。さすがの人気ですが、途中ですれ違う高速艇の波を受けて潮を被ってしまいましたが、40分ほどの航海はちょっとしたクルーズ気分で最高。これも市内交通のひとつで2日券を買えば乗り放題ですぐに元は取れます。



ムラーノ島は、さすがに本島中心街に較べると人混みと言えるほどの人はなくて、ひなびた雰囲気もあってとても落ち着いた街並です。ガラス工房を巡って土産物あさりをしていると楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。



昼食は、運河沿いの店でいただきました。さすがに本場は美味しい。本島のように観光ズレしていなくて、気取らない庶民的な雰囲気とその味覚がとてもくつろいだ気分にさせてくれます。

さて、本島に戻って、その夜はフェニーチェ劇場の二晩目。



この劇場は、数あるヨーロッパの美しい歌劇場のなかでも群を抜いて美しいと思います。この劇場も、火災と再建を重ねていますが、実は、最も直近の火災は、先日のパリ・ノートルダム寺院と同じで、修復中の出火によるものでした。しかも、それは放火によるもの。遅々と進まぬ工事と度重なる工事費支払い遅延を恨んだ電気工事者による犯行でした。

その火災は1996年のことで、現在の建物が再建され再開場したのは2003年ですから、私が、1986年に最初にここを訪れたのは、以前の建物でした。当時は、あまり上演がなかったと記憶しています。見学しただけですが、その内部の美しさに思わず息を呑んだのを今でもはっきり覚えています。あの時は、その美しさばかりではなく、その小ささにも驚いたのです。なるほど、こんなに小さな劇場では現代の商業ベースには乗らないだろうなと妙に納得したのです。



現在の建物は、当時の印象の記憶とはちょっと違っています。実際、今回の修復については、「内装が以前と比べて明るすぎる」との批判があるようです。当時の私の印象も、もっと照明が柔らかで全体がエメラルドのようにちょっと緑がかった美しいアクアマリンのような色彩でした。席数も、再建前は840席ほどだったものを現在では1000席に増やしたとのこと。一方で、焼失のほんの2ヶ月前に音響面での調査測定が完了していて、今回の再建ではオリジナルのアコースティックだけは再現されたとの評価がされています。



観劇前の食事は、前夜の量の大きさに懲りて、この日は劇場横の立ち食いでちょっとつまむ程度で済ませました。

この夜の出し物は、前夜と同じくヴェルディのオペラで、ここフェニーチェ劇場で初演された「椿姫」。



ヴィオレッタのフランチェスカ・ドットが素晴らしかった。

ドットは、昨年のローマ歌劇場の日本上演でもヴィオレッタを歌い、その日本デビューを大評判で飾ったと聞いています。実際に、彼女はこの役を当たり役として各地で歌っているとのことで、もしかしたら、今、一番の旬なヴィオレッタなのかもしれません。

彼女のヴィオレッタは、一幕毎にその心境を変えていく。第一幕と最終幕ではもうまるで違う人格の女性になっている。一貫しているのは、そのプライドの高さなのですが、最後の最後の場面になってアルフレードのひたむきな愛へそのすべてを捧げ身を委ねるように飛び込んで命尽きる歌唱は涙を誘わずにはいられません。



最初の短い序奏ですぐに幕が開くと、黒い下着一枚の露わなドットが身もだえるように横たわっています。そのベッドには、紙幣が敷き詰められていて、高級娼婦としての彼女のプライドはまさにそうした守銭奴の金権の上に築かれている。そういう場面での開始は衝撃的ですが、それがすぐにアルフレードのひたむきな愛に目覚め、病に変調をきたす肉体の運命との葛藤が始まる。ドットの歌唱と演技が、場面を追うごとに変転していく女の真情を表出し、全ての事情が明らかになった最終幕で聖女として命尽きる…、そういう剛直なまでに時代を生き抜いた女性の悲劇をすばらしく体現していました。

オーケストラも、出だしが荒っぽかった昨夜とはうって変わって、精妙な弦の響きが美しい滑り出しから絶好調。聴衆の反応も熱く、幕が上がってすぐのスマホのカメラなど若干のマナーの悪さが散見されたけれども、集中力は高く終演後の拍手喝采は盛り上がりました。

アルフレードのイワン・アヨン・リーヴァスは、ちょっと見てくれが育ちの良い直情的な青年の魅力に欠けて最初は入り込みにくいところもありましたが、その歌唱力は抜群で熱い。父ジェロモンのアルベルギーニも堅物ながら情の深い父親の複雑な気迷いを重厚に好演してくれました。

このオペラが初演されたという縁の深い歌劇場で見るというのも感激ひとしおでした。




ヴェルディ「椿姫」
ヴェネツィア ラ・フェニーチェ劇場
2019年3月27日 19:00
指揮:フランチェスコ・ランツィロッタ
演出:ロバート・カーセン

ヴィオレッタ:フランチェスカ・ドット
アルフレード:イワン・アヨン・リーヴァス
ジェロモン:シモーネ・アルベルギーニ
ほか


Venice: La Fenice Opera House
Conductors: Francesco Lanzillotta ? Marco Paladin
Director: Robert Carsen
Sets & Costumes: Patrick Kinmonth
Light designer: Robert Carsen & Peter Van Praet
Coreography: Philippe Giraudeau

cast

Violetta:Francesca Dotto
Alfredo:Ivan Ayon Rivas
Germont:Simone Albergini
Flora:Chiara Brunello
Annina:Sabrina Vianello
Gastone:Enrico Iviglia
Barone Douphol:William Corro
Marchese d’Obigny:Matteo Ferrara
Dottor Grenvil:Francesco Milanese

Conductor:Francesco Lanzillotta
Director:Robert Carsen
Sets & Costumes:Patrick Kinmonth
Light designer:Robert Carsen & Peter Van Praet
Coreography:Philippe Giraudeau

La Fenice Choir & Orchestra
Chorus Master:Claudio Marino Moretti

La Fenice production

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  1. こんばんは

    初演作の鑑賞という本命が続編にあるとはつゆ知らず
    ネタバレの様なコメントを書いてしまい失礼しました

    ミラノ篇も楽しみにしております

    byLoge at2019-04-19 02:25

  2. アカデミア美術館‼︎ 良いですね。ジェレンティーノ ベッリーニや弟子のカルパッチョの、人形が整然と並んでいる様な奇妙な舞台感覚(?)に引き込まれそうです。ああいう大作を連続でこれでもかと観せられるというのは現地ならではの体験ですね。

    椿姫の初演の所縁の舞台、カーセンの演出は確か2003年の再建/再開のオープニング演目、ドットのヴィオレッタと、これ以上は無い組み合わせですね! ドットはソフィア コッポラの映画化でもこの役を歌っていて、強めの声と誇り高き女性振りがマッチしていたのが印象的でした。

    オテロ、トラヴィアータとヴェルディの代表作が並びましたが、この後は、どの様な展開になるのか、楽しみです。

    byパグ太郎 at2019-04-19 04:23

  3. Logeさん

    とんでもない。さすがLogeさんのつっこみだなぁといつも感服しております。オペラへの造詣の深いLogeさんならではのコメントはいつも勉強になります。

    続編では、いよいよスカラ座でのオペラの登場です。

    byベルウッド at2019-04-20 10:34

  4. パグ太郎さん


    さすがチコちゃん、よく知っているね!…ですね。


    そう、再開時の最初のオペラ上演はこのカーソン演出(黒い下着姿のヴィオレッタ)の「椿姫」でした。そういう記念すべき「椿姫」ということになります。

    なお、2003年12月の再オープニング記念コンサートは、ムーティ指揮によるベートーヴェン「献堂式」、ストラヴィンスキー「詩編交響曲」などのオーケストラコンサート。その後、音響のチェックや調整をすすめて、最初のオペラ上演が、その翌年2004年11月のこの「椿姫」ということになります。

    byベルウッド at2019-04-20 10:53

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