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日記

若手たちの「イオランタ」 (新国立劇場オペラ研修所試演会)

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2019年07月12日

恒例となりつつある新国立劇場の研修生によるオペラ試演会。厳しい選抜と研修を重ねてきた若手たちによるオペラ上演が安価に手軽に楽しめるとあって、人気が静かに浸透しているようです。当初は2回の公演を予定していたのですが、あっという間に完売。もう1回の公演が追加され、そのチケットにようやく滑り込みました。

新国立劇場では、他にもカバー歌手による公演というのもあって、なかなか表に出る機会はないのに実力は十分というブレーク直前の歌手たちの公演機会を提供していて、それはまた高価なオペラ公演にそう何回も通えないというファンにとっても楽しみとなっています。

上演は、3つある劇場のなかで最もスペースの小さい小劇場で行われました。



この400席ほどの小劇場は、客席も含め劇場全体の床がすべて可動式になっており、演出プランに合わせて自由に劇空間を創造できるオープンスペースの劇場となっています。この日の公演は最もオーソドックスなエンドステージでしたが、客席の空間を活用して立体的な演出も試みられていました。やはり演出家の演出心をくすぐるスペースなのでしょう。それだけに演劇主体の劇場で残響時間は短かめで、音楽公演には不向きかもしれません。客席の床も柔らかく振動というのか、人の往来で揺れやすく、こういう床は吸音傾向なのでよけいデッドな音響と感じます。

最初はそういう違和感がありましたが、その一方で小さな空間だけに歌手たちとの距離が驚くほど近くて、そういう親密な距離感で直接音主体の肉声を聴くほどに気持ちがステージへと引き込まれていきます。歌手たちの肉体に触れるような感覚はちょっとグランドオペラでは無い感覚で、劇の進行とともに上昇していく歌手の体温までも感じる生々しさにちょっとたじろいでしまうほど。それはライプツィヒ歌劇場でコンヴィチュニー演出の「ボエーム」の感覚を思い出させたほどです。

演目は、チャイコフスキー最後のオペラ「イオランタ」。一幕ものの小規模なオペラで、マリインスキー劇場でバレエ「くるみ割り人形」とともに初演されたのだそうです。そういうおとぎ話のような愛すべき清純なロマンチックストーリー。

オペラといえば、イタリアやドイツものが圧倒的に主流を占めていましたが、近年の国際化のなかでもロシアもののシェアが急激に拡大しているような気がします。ここ2年ほどのオペラ体験でもプロコフィエフやムソルグスキーなど、ロシアものを多く観てきました。新国立劇場の新シーズンの幕開けも、松本フェスティバルのオペラ公演もともに「エウゲニー・オネーギン」。つい数年前では考えられないほど。

かつてはロシア語がひとつのネックで、歌手が限られていました。旧ソ連圏出身の実力派歌手が増えてきたといえどもまだまだ人材難のままのようです。以前、ミュンヘンの帰路で隣り合わせになった日本人の女性歌手の方も、モスクワ留学体験を活かしてロシアものが得意だとか。ロシアものだと必ず呼ばれるのでロシア専門になりつつあると自ら苦笑されていました。今回出演する研修生たちも、一年近く前からロシア語の基礎から学び、歌唱へと研鑽を積んできたそうです。日本人のハンディを優位に替えるのは、もしかしたらロシア・オペラかもしれません。



いずれ劣らぬ歌唱力と演技で楽しませてくれましたが、やはり印象的だったのは、イオランタ役の井口侑奏(いぐちゆかな)さん。その美貌と可憐な姿、澄んだ清らかな歌唱はまさに盲目の清純な王女イオランタにぴったり。イオランタの守護役・乳母マルタとその夫ベルトランの十合翔子、高橋正尚のお二人はさすがに修了生らしい実力で劇全体をよくまとめていました。ブルゴーニュ公爵ロベルト役の井上大聞(いのうえたもん)はハンサムなバリトンで魅力的、出番が少ないのが惜しまれるほど。一方、イオランタの恋人ボデモン役の増田貴寛は柔らかで情熱のこもった声が魅力のテノールだけどあまりにぽっちゃりし過ぎて、容姿に難あり。他人事ながらダイエットは大事だと思わざるをえませんでした。

2台のピアノは熱演でしたが、チャイコフスキー晩年の熟達したオーケストレーションを連想させるにはほど遠い。こういうピアノ編曲は、定まった版があるのか、それともコレペティトールに任されているのか、その事情には疎いのですが、連弾による本格的な伴奏だけにちょっと惜しまれるものだと思いました。
 
 
 
 
 
 
 
新国立劇場オペラ研修所 オペラ試演会
チャイコフスキー 「イオランタ」
2019年6月28日(金) 19:00

東京・初台 新国立劇場・小劇場
(B3列 17番)

演出・美術:ヤニス・コッコス
指揮:鈴木恵里奈
ピアノ:星 和代、原田園美

レネ王:湯浅貴斗
ロベルト:井上大聞
ボデモン:増田貴寛
エブン=ハキヤ:仲田尋一
イオランタ:井口侑奏
マルタ:十合翔子
アリメリク:鳥尾匠海
ベルトラン:高橋正尚
ブリギッタ:平野柚香
ラウラ:北村典子

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