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「クラシックの極意(伊熊よし子著)」読了

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2019年08月09日

著者が取材した国際的に活躍する現役のアーティストから35人を厳選して、インタビューで得た彼らの素顔や、音楽にかける真摯な思いなどを通じて、そういうアーティストたちの個性豊かな魅力を語る。

著者は、音楽ジャーナリスト。いわゆる音楽評論家というのとはちょっと違う。

自身のホームページのプロフィールには、『クラシックは「生涯の友」となり得るものであるとの信念のもと、各アーティストの演奏、素顔、人生観、音楽観を自分の言葉で人々に伝えることに全力を傾けている』とある。

本書も、自ら取材し引き出してきたアーティストたちの話から、『ひとりでも「ぜひ、コンサートにいってみたい」、1曲でも「録音を聴いてみたい」という気持ちになってくれたら本望』(「エピローグ」)という思いで書かれているという。

35人と数は多いが、ひとりひとりにさいているのは数ページほど。プロフィールや経歴の紹介と、インタビューで得たアーティストの肉声をコンサイスにまとめていて読みやすい。文章はとても滑らかで運びがスムーズ。まるでつるつるの上質なコート紙に美麗に印刷されたコンサートのちらしを一枚一枚めくるように読めてしまう。そういう光沢感が、この本の特質なのだと思う。

現役…という選別は徹底している。だから、CDなどの録音メディアを通じて楽しむというよりは、やはり、コンサートゴアー向けの紹介なのだと思う。古い名声の確立した演奏家は登場しないのだから、クラシック音楽紹介にありがちな、伝説めいたある種の権威のようなものがないのは、とても潔い。ミーハー的と言ってしまえば身も蓋もないが、だからこそ「クラシックの世界にようこそ!」という親しみやすさがある。

もっとも、「過去の」演奏家も、そういう現役のアーティストの口から語られるという形で登場する。

ピアニストのアンスネスの口からアーノンクールが出てきたり、ヴァイオリニストのクレメールが「もっとも印象に残る共演者」としてバーンスタインを挙げているのも意外だけれども…、

最頻出はカラヤンだ。

バーンスタインとカラヤンは、何かと対立派閥を形成しがちだが、その二人と何度も共演したピアニストのツィメルマンの語る二人の対比は、いかにも…というところだが、その描写はとても生き生きとしている。彼の語るカラヤン像は「音楽の完成度の高さ」「完璧さを求める求道的な姿勢」というもの。このことはヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターの証言とも一致する。彼女は、『マエストロとは仕事の話ししかしなかった』と笑いながら、『カラヤンはすごく怖かったし、完璧主義者で音楽ひと筋だったから、私はいつもピリピリ、笑うどころじゃなかったわ。彼はジョークをいう人ではなかった』という。

この【怖い】【完璧主義者】という証言は、指揮者のマリス・ヤンソンスも異口同音に繰り返している。



その中で、世代交代の奇跡の瞬間を思わせる証言を、ピアニストのエフゲニー・キーシンが語る。当時17歳のキーシンは、死の前年のカラヤンとザルツブルクで初めて出会い、控え室でショパンを弾いてみせると涙を浮かべて感激した巨匠はその場で共演を決める。しかし、いざチャイコフスキーのピアノ協奏曲を録音するとなると、巨匠は、リハーサルではこま切れに止めていろいろ口を出す。『従来のテンポは速すぎる』『いままでにないようなすばらしいチャイコフスキーにしようじゃないか』と言って、キーシンが『どんなにテンポを上げてオーケストラを引っ張ろうとしても、制されてしまった』という。

確かにあのチャイコフスキーは、神がかった名演だ。
 
 
 
 
 
 
35人の演奏家が語る
クラシックの極意

伊熊よし子著
学研プラス

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  1. 今日は。

    伊熊さんの近著、ご紹介有難うございます。と、お礼を言う筋合いでは無いのですが、伊熊さんのblogは、西荻窪グルメ紹介の読み物も兼ねていて、地元評論家として親しみを感じております。もちろん、色々なアーティストのちょっとした素顔を伝えてくれる、インタビュー抄録も楽しめますね。

    byパグ太郎 at2019-08-10 12:47

  2. パグ太郎さん

    伊熊さんってパグ太郎さんのご近所さんだったのですか。それは知りませんでした。今度はぜひ伊熊さんご推薦の居酒屋を紹介してください。

    伊熊さんは、ブログでも積極的に発信していますね。私も時々のぞいています。最近の自称・音楽評論家諸氏は、ブログやFBで惜しげも無く身をさらしているひとが多いですね。これも時代なんでしょうね。



    以下は、いささか脱線しますが…

    ブログやSNSは、新聞、雑誌等の従来のメディアといまや同等の生業としてのメディアとしての地位を確立しつつあるのだと思います。ブログで「稼ぐ」いわゆるアフィリエイトには、もはや何の後ろめたさもないわけです。それを何か不当な副業かのように避難したり中傷することはあまりにも時代錯誤です。

    ネットの世界というのは、プライベートなものではなく、書き込み等をすればその瞬間にパブリックドメインに身を投ずることになります。その点では、伊熊さんのようなプロと、駆け出しや副業の人たちとの垣根はほとんどないですね。そのことを発信側はもちろんのこと、閲覧する側もよくわきまえてこそ、情報の価値が有効に伝達されるのだと思います。

    byベルウッド at2019-08-11 10:49

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