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日記

戦場のピアニスト

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2019年10月18日

いわずと知れたロマン・ポランスキー監督・映画「戦場のピアニスト」。



その原作本を、読みました。

せんだってパグ太郎さん宅でのオフ会で、いたちょうさんが持参された日本コロンビアによる「ポーランドの演奏家によるショパン全集」。聴かせていただいたのは、確か2番のコンチェルトだったと思いますが、その歴史的な名演は感動ものでした。その全集に、原著者であり映画の実在の主役であるピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの演奏も収録されているようです。



いまさらながら、その原著を読んでみると、そういう「名画」とは、また、違った様相が見えてきます。

その意味では、この本は後ろから読むほうがよいのです。

まず、最後尾にある「訳者あとがき」を読むと、本書刊行のいきさつがうかがわれます。

翻訳者の佐藤泰一氏は、旭川出身、東大工学部応用物理学科を卒業し新日鉄(現・日本製鉄)の技術研究者として高強度鋼板の開発などにあたりながら、そのかたわらピアノ音楽への愛好が昂じて音楽評論家として二足のわらじを履いたという変わり種。その著である「ロシアピアニズム」も、ロシアピアニズムの系譜をたどり、ロシア・ピアニズムの奏法や教育内容などの技術的側面や、音楽表現の継承や変転などを解き明かし、大変な博覧強記ぶりを発揮していました。



原著である英訳版("THE PIANIST")が刊行されて、これをいち早く読んだロンドン在住のピアニスト、岡田博美から連絡があってこの訳書が刊行される運びとなったのは、1999年のこと。本書の題名も当初は『ザ・ピアニスト』でした。現在の題名に改題されたのは2003年の映画の日本公開に合わせてのことだったのです。

原書は、第二次世界大戦直後の1945年に書かれました。刊行されるとすぐに、発禁に近いかたちでたちまち絶版処分を余儀なくされ、その後の再刊の試みもあったのですがことごとく妨害の憂き目にあって実現しませんでした。その理由は、当時のスターリン専制下における東ヨーロッパ諸国の複雑な事情があったとされています。

その再刊が実現したのは、ベルリンの壁崩壊後、ポーランドの共産政権が崩壊してからもすでに10年が過ぎていました。原著者シュピルマンは、自分の息子にさえ戦時中の体験を決して語ろうとはせず、自分の家族についてひと言たりとも話そうとしなかったとそうです。そういう父親をようやく説得して、独訳版、英訳版の刊行にこぎつけたのは、その息子、アンジェイ・シュピルマンでした。

そのアンジェイが父親をようやく説得するきっかけになったのが、シュピルマンを救った命の恩人であるドイツ軍将校ヴィルム・ホーゼンフェルトの書簡日記の存在でした。

そのいきさつについて、シュピルマンの友人である詩人のヴォルフ・ピールマンが、やはり本書の末尾に「エピローグ」として紹介しています。そこには、戦後のシュピルマンの行跡と、戦中の体験を語ろうとしなかった心情を吐露した言葉が赤裸々に語られています。

そして、再刊に際して、付け加えられた短い「追記」に続いて、その命の恩人ヴィルム・ホーゼンフェルトの「日記からの抜粋」があます。これを読むと思わず戦慄が走ります。そしてじわじわと感動が染み渡ってくるのです。歴史を同時代に体験し、同時代の真実が示すままに観察し、その記憶も生々しいままに記述したものの重みのようなものが襲ってくるのです。それは映画の感動とは、また、まったく違った様相のものなのです。いや、映画を見る目も変わってくるのかも知れません。そこにこそ、本書を後ろから読む意義があるのだと思うのです。

なお、本書には音楽そのものについての記述は、実は極めて少ないのです。訳者によれば、書中に登場する数少ない具体的な作品であるショパンの「ノクターン嬰ハ短調」が、映画で有名になった遺作「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」なのか、あるいはもうひとつの嬰ハ短調の第7番作品27-1のほうなのか、それは定かではないのだとか。「訳者あとがき」にはそう記されていました。






戦場のピアニスト
ウワディスワフ シュピルマン
佐藤 泰一 (訳)
春秋社

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  1. どんぐりさん

    この日記を書いていてwikipediaを参照しましたが、そこにはエンディングは「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22」とあります。いかがでしょうか?

    byベルウッド at2019-10-18 18:46

  2. ベルウッドさん、こんばんは。

    先日、お聞き頂いたのは2番です。
    早速、ショパン全集調べてみました。数曲、ウワディスワフ シュピルマンありました。

    ところが残念ながら、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22」ではなく、「序奏と華麗なるポロネーズ」でした。

    すぐ聞きたいところですが、リッピングしていなくて聞けません(涙
    某所のDENON高級CDプレーヤーで聞かせて頂くこととします(笑

    byいたちょう at2019-10-18 20:10

  3. いたちょうさん

    「華麗なるポロネーズ」でかすっていたんですね。

    某所が戦場になるかもしれませんね。聴かせていただくのが楽しみです。

    byベルウッド at2019-10-19 00:36

  4. お早うございます。

    この映画の原作本、映画のノベライズ本だと誤解して、手を出しておりませんでした。実話で当人の原作が先にあったというのは、恥ずかしながら初めて知りました。原作と映画とが、夫々の表現手段と意図を持って別個の世界を作り出している場合の方が、名作になることが多いような気がしています。そういう意味でも「別の様相を持つ」原作を読んでみたくなりました。
    それにしても、いたちょうさんにお持ちいただいたCDには、ポーランドの想いが詰まった様な演奏がまだまだ沢山入っていたのですね。

    byパグ太郎 at2019-10-19 09:50

  5. パグ太郎さん

    映画を先に見てしまうと、原作というものは得てしてしまうのが常なのですが、この原著は映画の行間や背景など、その本質をもっと掘り下げてくれるようなところがあります。特に、シュピルマンを救ったドイツ軍将校ヴィルム・ホーゼンフェルトの手記を読むと、彼がその胸中に秘めていたドイツ人の良心と毅然とした誇りに強く胸を打たれます。ぜひ読んでみてください。

    byベルウッド at2019-10-20 18:58

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