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日記

残響時間7秒の空間 (Concert in カテドラル平和の祈り ~ 響 ~)

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2019年10月28日

東京都文京区にある『東京カテドラル聖マリア大聖堂』は、代々木の東京オリンピック屋内競技場とともに丹下健三の絶頂期の代表作としても有名な大聖堂。



子供の頃は、みんな「目白の大聖堂」と呼んでいた。すぐ近くには、故・田中角栄元首相の大邸宅「目白御殿」があって、要するにこの辺り一帯を「目白」と思っていた。ところが「豊島区目白」と「文京区目白台」とは近いけれども違う。実際のところJR目白駅からは徒歩なら20分以上もかかる。しかも、大聖堂は「目白御殿」からさらに歩いて、フォーシーズンズホテル「椿山荘」と道を隔てた正面で、この地は「関口」と呼ばれる。だから、正式名は「関口教会」であり東京大司教の司教座聖堂ということになる。

それで、いつしか「目白の大聖堂」とは言わなくなったようだ。とはいえ、この大聖堂は圧倒的な存在感がある。音楽会場としても、かつては年末にはよく「第九」も演奏されたし、小澤征爾が新日フィルを指揮して、メシアンの唯一のオペラ「アッシジの聖フランチェスコ」の日本初演もここで行った。だから、音楽ファンにとっては丹下健三設計の壮大なモダン構造建築というだけではなく、特別の宗教的音響をイメージさせる音楽会場としての憧れもあった。



その残響時間はあまりに突出している。

私も、だいぶ以前にピアニスト及川好治のクリスマスコンサートに出かけたことがあって、その雰囲気を満喫しながらも、その残響と寒さに閉口した記憶が残る。客席数は限られるし、最近はあまり音楽会場として使用されることも極端に少なくなってしまった。

建物は、HPシェル構造といって、ちょうど祈りで手を合わせるように巨大なコンクリート外殻が支え合い、内部はいっさい柱はなくてコンクリート打ちっ放しの壁面がむき出しになっている。だから反射がすさまじく、しかも、相当の遅延があって音が重なってしまう。

設計のシミュレーションでは、残響時間は20秒もあったそうで、あらゆる方策がとられてようやく現在の音響におさまっている。音響設計と言ってもそういう残響を抑える方策に尽きる。それでも、7秒という残響時間は、音楽どころか会話にも支障がある。ミサで司祭が語りかける説教も信徒から聴き取りにくいとの不満が相次いだという。



そのために、わざわざPAが設置された。最近、そのPA設備がリプレースされて、JBLの柱状(コラム型)スピーカーが新たに設置された。専用ソフトと内蔵DSPによる指向性コントロールを可能にした特殊なスピーカー(Intellivox)だそうで、コンサートの司会者のアナウンスを聞くと、なるほど相当の威力を発揮している。



演奏は、吉本梨乃さんという、まだ、あどけなさが残るとても若い人。東京音大附属高校に在籍しながら、今はウィーンに在住しウィーン国立音楽大学の英才コースで研鑽を積んでいるとのこと。聴いてみると素晴らしい素質を持っていて、すでにいくつものコンクール入賞を重ねプロのオーケストラとも共演しているようだが、これからの成長と活躍への期待が大きい。

選曲も、この残響時間の長さをよく考えてのことのようでセンスが光る魅力がいっぱいの内容。演奏のテンポも、ここの会場音響を考慮しかなりゆっくりととっていて、そういう音楽的な対応力の高さをすでに身につけている。すっかり驚いてしまったのはパガニーニの超絶技巧。悪魔のヴァイオリンと呼ばれたパガニーニが教会で演奏したとは考えにくいが、その技巧がこの豊かな残響に見事に調和する。パガニーニという人はよくよく楽器の響きを知り尽くしていたのだと思う。

一方で、ちょっと無理を感じてしまったのは、ツィゴイネルワイゼン。ヴァイオリンはまだしも、パイプオルガンの伴奏だとちょっと音が遅すぎて運動性がよくない。ストップの選択などによほど大胆にならないと、音楽の動きが重くなってしまう。



とはいえ、ここのオルガンは素晴らしいと思った。

2004年にリプレースされた新しいオルガンとのことで、今回聴くのが初めての体験。実にクリアに突き抜けるような清澄な音色と、時には床が揺れるかと思うほどのペダルの超低音の荘重さは、今まで聴いたオルガンの中でもトップクラス。これだけの残響の長さであっても、音色に濁りは皆無。そのことにまず驚いた。やはり、パイプオルガンという楽器は、それぞれの建物と一体となって音調が作られているものだと思う。こればかりは、そこに行って聴くしかない。ここのオルガンは、単に伝統的宗教的な典礼のみならず、演奏会用のオルガンレパートリーであっても魅力満点だと思う。このオルガンを聴く機会はもっとあってもよいと思った。





Concert in カテドラル平和の祈り ~ 響 ~
2019年10月24日(木) 19:00
東京・目白 東京カテドラル関口教会聖マリア大聖堂

吉本梨乃(ヴァイオリン)*Vn独奏
林 典子(オルガン)+Org独奏

アルビノーニ:アダージョ
クライスラー:前奏曲とアレグロ
パガニーニ:虚ろな心の主題にようる変奏曲*
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ2番ニ短調より*
     アルマンド コレンテ シャコンヌ
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
ヴィターリ:シャコンヌ

モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス+
フォーレ:レクイエムより ピエ・イエズ+

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  1. ベルウッドさん  こんばんは。

    『東京カテドラル』。懐かしいですね~(個人的には)。

    社の同僚が合唱団のパートリーダーを担っており、暮れの第9の演奏会に是非いらしてください、ということで出かけたことがあります。
    宗教心など持ち合わせていない自分ですが聖堂に入ると(入ったかな?)自然と敬虔な気持ちになり年の瀬の第9に聴き入ったものです。
    あれから半世紀近くになるんですね~、歳を重ねたものです、今では転倒骨折を心配する季節となりました~(笑;

    残響7秒の空間で聴きたい曲No.1はヴィターリのシャコンヌ

    byそねさん at2019-10-28 23:49

  2. そねさん

    やっぱり懐かしいですよね。

    ヴィターリのシャコンヌははまりますよね。ヴァイオリンソロは残響豊かなほうが気持ちがいいですよね。

    byベルウッド at2019-10-30 11:23

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