日記
鬼の棲む家 (バズケロ邸訪問記)
2020年09月29日
バズケロ邸を訪問するのも、約2年ぶり。
その後、バズケロ邸は、ノッティンガムのスペースデッキ、dCSのプッチーニが導入されて上流から発動した巨大なマブニチュードが大きな地殻変動を起こしたようです。そのことを実体験する機会のないまま、コロナ禍を迎えてしまっていました。ところが、小型ウェルフロートを導入したとの紹介があって、いよいよ矢も楯もたまらずこの四連休に遠州遠征を決意したという次第です。
到着するとすぐに、まずは、恒例のハーベス部屋でのくつろぎタイム。これも恒例でバズケロさん手ずから入れてくれた薫り高い珈琲をおいしくいただきほっと一息を入れリラックス。
珈琲をいただきながら聴かせていただくハーベス部屋のサウンドは、いつもと変わらずとても心地よく…
ところが…
ふと気持ちが落ち着いてくると、とたんに心が目覚めました。確かにふっくらとほどよい甘味を含んだハーベスサウンドはそのままに、音楽が心に届き覚醒させる訴求力のようなものが格段に上がっています。おそらく、ハーベス部屋に天下ってきたESOTERIC X03やTHORENSが起こした変化なのでしょう。寛ぎのもたらす無意識と触発されるような有意識が相半ばする半覚醒の心地よさ。それこそ、まさに音楽の快感です。
リジッドなTHORENS TD850BCをステレオ、従来のフロートタイプをモノーラル再生に振り分けての使いこなし。オーディオ的にはリジッドの圧勝なのですが、フロートの甘味をモノーラル再生にあてがうことがバズケロ流。ステレオ盤とモノーラル盤を交互にかけていくと、モノーラルであってもステレオかどうか判然としないふくやかな立体感に身を包まれるし、解像度の高いステレオ再生にもあえて輪郭を際だてることのない柔らかい融合感でしっとり来ます。
とにかくイヤな音がまったくしないのです。
前回に比べると、細やかなチューニングの違いを感じます。こういうところが、機器の変更を変更だけで済まさないバズケロさんの手腕なのでしょう。
さて、いよいよ、いざJBL部屋へ…
こちらは前回にも増してナチュラルさと爆発するようなダイナミックさが、何の矛盾もなく、同時に進化しています。しかも、一見して部屋の様子にはさほど新奇さが加わった気がしないのがバズケロ流なのです。
前回の訪問は、パグ太郎さんでしたのでクラシック中心でしたが、今回、ご一緒したのはいたちょうさん。それで、思いもかけない昭和歌謡の世界に。
JBLとマッキントッシュと言えばジャズファンにはもはや説明の必要もないようなサウンドイメージがあるわけですが、そのサウンドからは連想できないような演歌・艶歌・怨歌の妖艶で婉然とした音調があふれ出てきました。JBLから、こんなカタカナとは無縁の濃厚な情感が飛び出すなんて、聴いてみなければ想像もできないでしょう。

新規導入のdCS PUCCINIの足元は、鬼のような改造がされていました。例によって、砂箱二段積みの上にKRIPTONの分厚いボードが敷かれていて、一見するとそのボードに置いてあるように見えます。しかし、付属のインシュレーターは外されて、そこには何とむき出しのウェルフロートのメカが!
そのメカは、ケニティーさん宅で見た最新のミニメカ。だからこそdCSを3点支持で支えることが可能になっているわけですが、そのメカはKRIPTONのボードから直接生えている!?つまりはあの分厚いボードにネジ穴をあけて直結させている。自己改造の巨大なウェルフロートボードです。
dCS PUCCINIの底板との接点は、バーチ積層ブロック。しかも、中心をくり抜いてバズケロ流にリング状にしてあるという徹底ぶり。

私が持ち込んだのは、フェドセーエフ/モスクワ放送響。
オーディオ・バブルの絶頂期に、日本ビクター(JVC)が自社製のデジタルレコーダーをモスクワに運んで録音した会心の超絶デジタル録音盤。そのまったく同じ録音音源を、オリジナルLPとCDで直接対決させるという超シビアな比較をさせていただきました。
正直言って、アナログの圧勝。
スペースデッキからは、壮大なスケールの分厚いサウンドが引き出され、まさに大地の咆哮。はらわたをえぐり取られて持って行かれてしまうような感覚。こんなアナログ再生は、まさに、未体験の領域。圧倒される思いでした。
ところが、PUCCINIのCD再生ではちょっと物足りない。
アナログを聴いた直後だけに、完全な静寂からコントラバスの空五度の響きが幽かに響いてくるところはまさにデジタル。解像度というのか、音の精度は高い。誰だって、これだけを聴いたなら納得するはずのハイレベルの再生音だと思います。けれども、微妙に重心が高く、どうしても音の厚みのようなものがアナログにはかなわない。鳴りにくかったPUCCINIが、あの足元改造でようやく本領を発揮するようになったと満を持して迎え撃ったに違いないバズケロさんのお顔にかすかな陰りが浮かんだような気がしました。

とにかくバズケロさんは鬼です。オーディオの鬼です。
週末には、昼夜を問わずオーディオに取り組んでいるに違いありません。そうでなければ、あれだけの手を入れられるはずがありません。重量級のJBL4338にウェルフロートリングを入れ、一本足のメカニカルアースを正確に重心点に当てて立てる。砂箱にアースの導電体を埋めこみ、KRIPTONに穴をうがち、堅いバーチ積層ブロックをくり抜く…。その鬼気迫る様子を想像して、思わず背筋に冷気が走り身震いがしました。
バズケロ邸は、鬼の棲む家です。
レス一覧
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隣駅なんで行きたい気持ちいっぱいなんですが、90歳近いお母さんを抱えて動けない状況です。
ワクチンの開発が行われ、お母さんに投与が終わるまでじっと我慢の子になってます。
いずれはコロナも克服する手段、ワクチンなどが開発され、何ともない普通の病気になっていくでしょうけどなかなか時間がかかりますね。
とにかくお母さんが自分が原因になって死ぬようなことはあってはならないので我慢するしかないです。
さすがにコロナ疲れはあるのですが希望は捨てないで時期を待ちます。
byうつみくん at2020-09-29 18:54
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バスケロ邸は 鬼の住む館??ですか?
オーディオに かける情熱にあふれる変態が住む館であると信じます。
いったん 自分が手にした機器を あそこまで しゃぶりつくそうと 奮闘する鬼は いませんねぇ??
JBLも ついに WFで ささえられたんですねぇー。
アンチWF派だったはずなのに すっかり ヘビーWFユーザーになってしまいましたね(笑)
これから どんな方向に 向かっていくのか??
とても 楽しみですね。 また,
その変化の過程を 変貌の姿を その時々を 楽しみに味わいたいですね。
byX1おやじ at2020-09-29 20:59
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うつみくん
高齢のご家族と同居されておられる方々は、コロナ禍から守ってあげるためにたいへんですね。お母さんを大事にされてください。
byベルウッド at2020-09-30 13:44
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X1おやじさん
JBLは、バーチWFリングの4点で支え、そこにバーとT-PROPを組み合わせたごっつい1点メカニカルアースを組み込む。しかも、JBLとは鉄壁の組み合わせの重量級TAOCはそのまま。
一方のPUCCINIのほうは、最新WELDELTAを導入しながらも、それをバラバラに解体してメカをKRIPTONの鉄球入り(?)ボードにネジ止めする。
WFユーザーに転向といっても、ただでは済まさない。
これって一種の否定みたいなもんで、やっぱりアンチですよ(笑)。
byベルウッド at2020-09-30 14:00
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ベルウッドさん、こんにちは。
今回の日記は、バズケロさんの取り組みへの情熱と気迫が
鬼気迫る形で伝わってきました。
私も腕から背中までゾクゾクとしました。
バズケロさんが自身でウェルフロートヘビーユーザーと
おっしゃっていた片鱗が見えました。
今回のアナログとCDの対決も鬼気迫るものがありました。
イニシャルDという走り屋のアニメで
FRと4WDの車を毎日交互に乗り換えて腕を磨くと
FRのタイムが上がっても、4WDのタイムも上がっていくので
終わりが見えない・・・
そのような情景が浮かびました。
バズケロさんがオーディオの総合格闘家なれば
ベルウッドさんは紅の監査人といった感じで
私からするとどちらにも寸分の隙が無い達人です。
そして まわり巡って結局アンチというのが
凄い落ちだと思いました(汗
byケニティー at2020-09-30 15:12
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ベルウッドさん、こんばんは。
多分、自分だったら、プッチーニがあそこまで鳴れば満足しちゃうんですよ。
それを何としても追い込む、鬼ですね。
まあ、皆さんいろいろな方向で追い込んでいますが、ここまでオリジナリティー豊富なのは、ベズケロさんだけですね。
また進化が落ち着いたころ、お伺いしましょう。
byいたちょう at2020-09-30 20:19
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ベルウッドさんこんばんは。
正に底なしの『オーディオ道』ですね。
鬼でなければ扱いきれないというという感じです。
素の機器からして立派だと思いますが、ドノーマルをバズケロさんが納得する訳がないですよね。
私はシンプルな方向に舵を切っております。アクセサリーはかなりの数を取っ払っやった(笑)
今年はこんな状況ですから遠州巡りは来年になりそうですね。
byニッキー at2020-09-30 20:30
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ベルウッドさん
こんばんは!
オーディオに関しては自称ヘンタイバズケロですから皆様からそう呼ばれるのは光栄でございます!
で、新たに加えて「鬼」なのね...そのうち陰陽師も現れそうな展開ですなあ...(笑)
今回のアナログvsデジタルの超絶バトルは凄かったですね〜
特にアナログでは爆裂金管のシーン、あのエネルギーには背筋がゾクゾクしました。
マッキンのメーターはピークで250wを軽く超えていましたから凄いDレンジの超絶音源です!
それでもなんとか破綻なく演奏が一段落したときには心底ホッとしました。
ちなみにウェルフロートはアンチというか、勝負!なんです。
縦リジッドに横プリンという独自のメソッドが発展する最中に殴り込みをかけて来た横プリンがウェルフロート。
お互い強味も有れば弱みもあるというところが、今ではバズケロにとって弱みを補い合える頼もしい相棒というか、お互い抜けはあるけど力を合わせれば強いぜ!みたいな関係(笑)
ちなみに今回パーチの穴は誰かにやってもらった(爆!
それにしてもプッチーニのセッティングは終わらないですね〜
まあ、バズケロのチューンは、製品としては想定外の領域、設計性能から逸脱した所からも秘めたる魅力を絞り出してやろうというのが問題です(笑)
やっぱりアブノーマル???
今回新型ウェルフロートを活用した基本的な骨格のチューニングメソッドは先日の日記で紹介しましたが、まだまだドンドン次元を上げつつ官能領域で緻密なボトルネック潰しが待っています。
概ね目算なり対策はできつつあるので、更なる飛躍が自分でも楽しみです。
はやく静観の楽園に帰りたい...平穏なオーディオライフが恋しいねえ...
いったどこの誰?気持よく寝ていた鬼を起こしたのは???
それにしてもオーディオって遊びは心底面白い!
では、では
byバズケロ at2020-09-30 21:55
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ベルウッドさん、こんばんは。
私が眠っていた鬼を起こしてしまったようで申し訳ございません。(笑) バズケロさんは鬼でもありますがサービス精神旺盛ですので、私も一緒に楽しませていただいております。
バズケロ邸はどのタイミングで行くのが一番良いのか皆さんそれぞれ思いがあるでしょうが、更に改良を重ねたようですので、たぶん今が良いのでしょうね。
それにしてケニティー邸に続いての今回のバズケロ邸。第3弾、第4弾も出て来そうですね。
byHarubaru at2020-09-30 22:35
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いたちょうさん
普通はあれだけ鳴れば、さすがプッチーニということなんでしょう。あの凄いアナログと鳴き合わせというのが、ちょっと罪作りでした。MFさんのレポートからしてもプッチーニのチューンアップはちょっと手強そうです。
バズケロさんのところは、楽しいし勉強にもなりますね。今回も例によってパクリのネタをいただいて帰って、絶賛、検証中です(笑)。
また行きましょう。
byベルウッド at2020-10-01 00:51
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ケニティーさん
「交互に乗り換えて腕を磨く」…まさにそれですよ!
アナログがデジタルに負けるはずがない…なんて人が多いのがオーディオマニア独特の思い込みです。本来は、同一音源なら違いはないはずですし、スペック的にはデジタルのほうが勝つというのが常識だと思います。
バズケロさんのシステムは、プリアンプ以下はまったく同一ですから、シビアな競わせ方が可能です。そういうところが鬼ですね。
byベルウッド at2020-10-01 00:56
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ニッキーさん
バズケロさんのところは、「底なし」のまったく逆で「天井知らず」ですよ(爆)。
「底なし沼」のほうは、時々、ドブさらいが必要ですね。
byベルウッド at2020-10-01 01:02
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バズケロさん
あのアナログは凄かったですねぇ。250Wだなんてとんでもない出力ですね。それでもびくともしなかった。あの爆音のなかの曲間にごく微かなプリエコーが聞こえてときはたまげました。あのレコードにそんなものまで入っているとは思いも寄りませんでした。
JBL部屋は、のぞいてはいけない安達ヶ原の黒塚ですね。のぞいてしまったほうは、鬼に追いかけられて命を落としそうな気分です(笑)。
プッチーニのチューンアップ、今後が楽しみです。あれ以上があるなんて想像もつきませんが、また進化したところで聴かせてください。
byベルウッド at2020-10-01 01:10
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Harubaruさん
バズケロ邸は楽しいです。でも鬼が棲んでいるので覚悟が必要です(笑)。今回は、Harubaruさんの仕掛けた後ということで、絶妙のタイミングでした。
何だか、Harubaruさんの伝道のフォローアップシリーズのようになってきました。ただいま第4弾を絶賛執筆中です。その後も第5弾、第6弾まで続きそうです。
byベルウッド at2020-10-01 01:15
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