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日記

再生の難しいソフト  (エベーヌ四重奏団)

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2020年11月10日

前回日記で、カーボン布の音の悪いことに気づいたソフトとして、ソフィー・ミルマンのアルバムのことをご紹介しました。



ステージ感や立体表現などは、だんぜん、クラシック系のソフトの方が評価しやすいのですが、音色や質感などは、むしろ、音像が立っていて楽器の数が少ないジャズ系のほうが、違いをとらえやすいということかもしれません。特にボーカルはそういうことが言えるようです。

でも、実は、ここのところ再生で悩ましい思いをしていたクラシック系のソフトがありました。



エベーヌ四重奏団は、クロスオーバー的な大胆なプログラムなど話題性も高く人気のユニットですが、その録音となると今ひとつ好きになれませんでした。決して、演奏がどうのこうのというわけではありません。私も実際にコンサートにも行って聴いていますが、モーツァルトやベートーヴェンの演奏は、情感の起伏が心地よいスウィング感覚を生み、とても鮮度の高い演奏解釈を堪能しましたし、ジャズスタンダードをやらせても決してキワモノというわけでもなく高度な技術で生き生きとした《遊び》があって楽しめました。

ところがCDアルバムとなると、どうも、聴きづらくて好きになれないのです。

まずどうしても気になってしまうのは、録音レベルの高さです。

クラシックとジャズやロック/ポップ系とではボリューム位置が違ってしまい、ジャンルを切り換えるときは煩わしいところがあります。エベーヌの録音レベルはロック/ポップ系そのもので、とても音量が大きい。まるで、ラウドネスウォーがジャンルを越えてクラシックにまで波及してきてしまったかのようです。

その結果、ダイナミックのピークではしばしば破綻が起きてしまうのです。



さすがに、起伏の大きいクラシックなのでコンプレッサーをかけてのり弁のように詰め込んでいるというわけではないのですが、波形を確認してみるとピークの頭は平らに潰れてしまっています。おそらく急峻なリミッターをかけているのでしょう。



シャープな演奏の先駆けでもあったカルミナ四重奏団のシューベルト「死と乙女」(DENON)と比較してみると、録音レベルの高さ、ピークのマージンの窮屈なことなどは顕著です。




録音エンジニアは、ファブリス・プランシャ(Fabrice Planchat)とクレジットされています。

プロフィールは不明ですが、エベーヌのレコーディングはほぼすべて彼の手によるものと言ってよいでしょう。レーベルはエラートですがこのレーベルに代表されるフランス系レーベルの従来のキャラクターとは違っており、むしろエベーヌ専属のエンジニアといってもよいのかもしれません。

その特異さは、マイクセッティングを見るとよくわかります。



近接マイクと、頭上のメインマイクが演奏者にごく近くに林立しています。マイクは、今どきこんなマイクを使うのかというようなクラシックなもの。形状からおそらくノイマンのものだと思われますがロゴが見当たらないのでカスタマイズされたものなのでしょうか。



頭の大きなマイクが林立する様子は、まさに「三密」です。こういうマイクは、今ではベースやチェロなどの低音楽器の厚みをとらえるための補助近接マイクに限っては使われますが、中高域の近接マイクやメインに使用されることはありません。大きなダイヤフラムはただでさえ位相に甘いのですが、それをパーティションも無しに密に林立させている様子には、やはり、どうしても違和感を感じざるを得ません。



音楽プロデューサーにはエベーヌ自身の名もクレジットされているし、エラート(ワーナー)のプロモーションビデオでも、メンバーがヘッドセットを耳にモニターする様子が盛んに映し出されているので、この録音はエンジニアの独断というわけではなく、エベーヌ自身が好んだサウンドということに間違いないと思われます。

それだけに、録音が悪いから…と簡単に切り捨てるわけにもいかないし、実際、聴き込んでみると、それはそれなりに主張があって好みは別として「好録音」と言えるところがあるのです。

けれども、その再生は、やはり、かなり手強いと感じます。

実際のところ、サテライトアースのチューニングを進める過程で、このCDを繰り返し聴き込んできました。ちょっとしたことで欠点が誇張され、その逆に、この録音の目指すところに納得するところもある。音のディーテールを聴いていると、とても再生条件に敏感に反応し、その違いがわかりやすいソフトなのです。

この録音には音場感はほぼ皆無です。左右の拡がりはある程度確保されていますが、ステージ感のような立体感ではなく大型スクリーンに映し出されたような平面画像の迫力で迫ってきます。空気感のようなものも皆無で、エコーのようなものは強奏後の休符時に響く反射音のみ。一方で中域のハーモニーの厚みと、高域倍音がもたらす独特の高揚とテンションの高さがあります。

システムの解像度とスピードが高ければ高いほど、焦点が合わないと高域の質感の粗さとか干渉や歪み感が耳に刺します。それが、高周波ノイズや位相ノイズが抑えられて焦点が合ってくると、前述のような高揚感と音楽的緊張が高まってくるのです。強いアクセントのピークは歪みを含みますが、それがそういう音楽的な情感起伏にストレートに結びついてくる。

シューベルトは、ベートーヴェンを崇敬しその模倣から出発していますが、息の長い旋律主題の逍遥とともに、ベートーヴェン流の強いアクセントを伴った短いモチーフが劇的な感情起伏をもたらしてくれます。そういう響きの前に張り出してくる熱く厚みのある音響と、そこから抜け出してくる単音の色艶が、この録音の真骨頂だということがよくわかってくるのです。

音が凝集してしまうシステムや小さくまとまったこぎれいなサウンドでは単調な冗長さばかりでシューベルトの感情起伏は出にくく、一方で、いたずらにカリカリに仕上げたハイエンド風や近接爆音好みのシステムではアラばかりが目立ってシューベルトの甘美な高揚感が出にくい。まさに「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」といったところでしょうか。

初めは、高域の歪み感を解消することに腐心しましたが、やがてはその加減によってある種のオーバードライブ感がもたらす高揚感が引き立ってくるということに気づき、強奏の不協和音や、それと対照的な主旋律の単音の艶っぽさなどにも忍耐強く耳を傾け、調整の加減を確認するようになりました。

こういう録音をチューニング用レファレンスのひとつに加える気になったのは、やはり、MFPC-Direttaとサテライトアースのもたらす高度な効果なのだろうと納得しています。

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  1. クラシックとジャズやロック/ポップ系とではボリューム位置が違ってしまい、ジャンルを切り換えるときは煩わしいところがあります。エベーヌの録音レベルはロック/ポップ系そのもので、とても音量が大きい。まるで、ラウドネスウォーがジャンルを越えてクラシックにまで波及してきてしまったかのようです。その結果、ダイナミックのピークではしばしば破綻が起きてしまうのです。

    というところなんですが、私はポップス系なんですが(経済的にクラシックの銘板等は手にしない)ボリュームなんですかね人気ソフト等でもボリュームを上げて録音すると確かに迫力感が増してノイズ感が減るというのは確かなようです、中にはいただけないのもありましていくら歌手がいい声で歌ってもサウンド演奏する人が適当にやっとけというような、全くかわいそうなのもありますね、またCD作成段階で単に早く済まそうとしたのか、嫌みなのか、そんなレコード会社に当たった人はかわいそうですね、裏事情があってきっとそういうようになったのでしょう、私の持ち物のCDの中で天下一品というようなものはやっぱり録音レベルが高いですね、それでも技術が高いのか歪感は無いです、アナログレコードとの違いはそういうところにあるのかと思います。

    bypyhon at2020-11-10 14:58

  2. pyhonさん

    レスありがとうございます。

    アナログ時代はレベルの大きさはさほど問題にはなりませんでした。ダイナミックレンジや音溝幅・間隔と片面に収録する時間制約とか事情によってレベルはまちまち。リスナーは好きな音量に合わせてボリュームを調整するのが当たり前でしたから。

    ところがデジタルになって、特にポータブルの時代になってからは、事情が一変します。すぐに聴き較べができることもあってレベルの大小が問題になるようになりました。“音質差”よりも“音量差”のほうがわかりやすい。音質やバランスが「音圧戦争」にとって代わられるようになったのです。いかに“デジタル0dB”に音を詰め込みきるかということを競い合ったのです。

    一定の情報量の限界(“弁当箱”)にぎっしり詰め込んで、ガッツリ感を出すことにも、テクニックやミキシングのテクノロジーも、ミキシングやマスタリングのセンスとノウハウが求められます。弁当箱からはみ出るものはうまくカットする必要があるし、ボーカルが埋もれないようにバックスは音圧を保ちつつもうまく塗りつぶす(圧縮=情報の間引き)ということも必要です。ガッツリ感と見た目の彩りや楽しさを両立させるというのが、ミキサーやマスタリングエンジニアの腕の見せ所だというわけです。

    一方で、生のアコースティックが大前提となるクラシック音楽では、平均音圧が低くともダイナミックレンジはとてつもなく大きいし、リミッターやコンプはすぐに耳が感知してしまいます。その使用は極めて抑制的、限定的にならざるを得ません。こちらはSNの方が大きな問題となってきます。ほんの少しの時間のピークのために音圧を下げる。いわば超上品な仕出し弁当で、盛り付けの美を競うけれども中身はすっかすかという扱いにくい重箱です。ちょっと動かしても中身が動いてずれたり崩れたりしてしまう。

    その辺りが、ジャズやロック/ポップとクラシックの録音の違いだということが言いたかったんです。

    byベルウッド at2020-11-11 09:51

  3. ジャズやロック/ポップとクラシックの録音の違い

    なるほど、ジャンルの違いということですね
    昔コンサートホールでクラシック聞いたときにバイオリン1本で引くとき等は耳をそばだててもくしゃみの方が良く聞こえたり、それで私も家でアナログレコードをヘッドホンで音を大きくして聞くわけですそうすると極端にいうとコンサートホールよりも迫力がある凄い演奏になったりします、何回も聞いているうちにだんだんスピーカーで再生する音が大きくなり、そのうち耳の方が悪くなります、やっぱりベルウッドさんのように適度にしておいた方が良いですよね

    音楽の鑑賞はそれなりに良いところを適度に評価してあまり熱を持たないのが良いと思います、ラジオの音でも最近は結構良い音がします。

    bypyhon at2020-11-11 17:03

  4. ベルウッドさん
    今晩は

    エベーヌの録音の話とあらば、何かコメントできることがないだろうか?と思い、久々に彼らのCD音源を聞いてみたのですが、以前より聞こえ方は良くなっていました。おそらく仮想アースなどの影響で、我が家の再生環境が良くなっていたからだと思いますが、それにしてもやはり特徴的な音ではありました。

    >中域のハーモニーの厚みと、高域倍音がもたらす独特の高揚とテンションの高さ

    これはやはり録音エンジニアのファブリス・プランシャも含めての彼らの意図は感じるところであります。「変面」的な彼らの演奏の魅力を活かそうという戦略的なものさえ感じます。たとえば前にレビューしたベートーヴェンのカルテット全集はライブ録音で、その制約上マイクがスタジオほど林立はしていなかったと推測できるのですが、スタジオ録音と似通った録音バランスですし、相変わらず音圧も高いです。

    なぜ彼らはそういう録音をするのかの推測としては、彼らの出身がジャズ畑だからということもありそうに思っています。どういう経緯なのかオリジナルメンバーは大学ではジャズ専攻だったようですし、ひょっとするとプランシャとの共同作業もそのあたりに起源があるのかもしれないな~などと私はふんでいます。。。

    もうひとつpyhonさんのコメントも含めて思ったことですが、誰に向けて音楽を提供するか?という問題も見え隠れしてきます。おそらくそんなにオーディオに造詣が深くない人々、加えてふだんはポップス系の音楽に慣れ親しんでいる人々に向けてCDを作っているという感じがあります。特に私のような者からするとそう思われてなりません。mp3でケータイからイヤフォンで聞く若者にも受け入れられる音質っていうと言い過ぎかもしれないけれど、エベーヌのメンバーたちでさえ、もしかしたらそういう音楽視聴環境の中で育ってきているのかも。。。などと思ったりもしています。

    でもやはり音圧とSNの両立は目指してほしい気はするな~というのも本音ですが。。。

    byゲオルグ at2020-11-12 02:22

  5. pyhonさん

    >音楽の鑑賞はそれなりに良いところを適度に評価してあまり熱を持たないのが良い

    まったくその通りですね。ジャンルや演奏スタイルの違いによって録音にも特色が出てくるわけで、それを優劣として切り捨てるのは間違いです。

    よく音が気に入らないと、それを録音のせいにするオーディオマニアがいますが、本当に録音が悪いのかどうかは大いに疑問です。あまり録音のせいばかりにするべきではないと思います。

    そういう意味で、このエベーヌの再生の難しさというものに気づいたのです。好きでよく聴くクラシック音源をどうしてもレファレンスの中心にしてしまいますが、その意味でもこのエベーヌの録音はこれからもしばしば取り上げることになりそうです。

    byベルウッド at2020-11-12 09:31

  6. ゲオルグさん

    もともとはゲオルグさんの日記に触発されたことがずっと引きずっていたわけです。


    あのベートーヴェン全曲ライブには、サントリーホール/ローズホールでの収録が含まれています。ところが、その時のマイクセッティングの目撃証言はまったく得られません。クラシックファンというものはそういうことに関心が薄いのでしょうね。

    その意味で「ふだんはポップス系の音楽に慣れ親しんでいる人々に向けてCDを作っている」というご意見とは真逆の意見です。すなわち、彼らは「ポップス系の音楽のよさに気づいてほしいと思いながらクラシック系の人々に向けてCDを作っている」というのが私の意見です。まさに「ロール・オーバー・ベートーヴェン」なんですよ(笑)



    >以前より聞こえ方は良くなっていました。おそらく仮想アースなどの影響


    私が日記で言いたかったことは、まさにこのことに尽きます。

    byベルウッド at2020-11-12 09:44

  7. ベルウッドさん
    再レスお許しください

    >彼らは「ポップス系の音楽のよさに気づいてほしいと思いながらクラシック系の人々に向けてCDを作っている」

    なるほど~この投稿を素直に読めばそういうことになりますよね。ジャズやロックの録音手法やプロデュースのセンスをクラシックにも持ち込んで聞かせてみたい!この説明の方がスッキリします。
    どうもこの視点が私は持てなかったです。。。ベルウッドさんのおっしゃる方が志が高いような気もします。私の述べた感じだとやっぱりクラシックえらい!っていうところに落ち着いて、つまらない感じがしますし、私も書いた後で言うのもなんですが、ちょっと居心地がよくなかったのです。。。ですから「ロール・オーバー・ベートーヴェン」というのは腑に落ちました!

    byゲオルグ at2020-11-12 13:08

  8. ゲオルグさん

    プランシャが手がけた録音でエベーヌ以外のものがないかとさがしてみたところアロド四重奏団(Quatuor Arod)のアルバムがありました。

    たまたま、NHKFMの「ベストオブクラシック」のエアチェック音源(2017_12_14王子ホール)もあったので聴き較べてみました。やはりNHKは今の主流ともいうべき録音で、ホールの響きも、ステージの奥行きを伴った立体感をよくとらえています。一方のエラート盤(Warner Classics)は、曲がメンデルスゾーンということもあってエベーヌより滑らかですが、基本は近接的で中域が厚く前へ張り出す音味は同じです。

    新世代のミュージシャンは、やはり、そういう音楽資質を持っているし、プランシャの録音技法はそういう新世代の共感を得て、これからのクラシック録音の多様化をリードしつつあるのかもしれません。

    byベルウッド at2020-11-12 13:43

  9. ベルウッドさん
    bb7と申します。。

    >高域の歪み感 、、 ですか。位相差タップリの巷の皆さんの苦言は位相差の無い当方には久々、音の高さの正しいクラシック盤に巡り合えるか、とても楽しみです。国内盤でもハイ落ちの多いクラシックソースには飽き飽きしていますので、。

    bybb7 at2020-11-13 22:35

  10. ベルウッドさんへ
    >なるほど~この投稿を素直に読めばそういうことになりますよね。ジャズやロックの録音手法やプロデュースのセンスをクラシックにも持ち込んで聞かせてみたい!この説明の方がスッキリします。

    とありますが、そうでしょうか、僕はそうは思いません。なぜなら、この盤に歪はありません。定位もしっかりしていて素直な良い録音です。

    このグループはアコースティック楽器が持つ良い特徴をより良く表現しています。クラシックはピッチを正確に合わせますので基音のハーモニー、低次倍音のハーモニー、さらに、高次倍音のハーモニーまでスッキリ表現しています。

    アナログ時代はこの手の録音は多かったのですが、CDになって高次倍音はほとんど消されてしまいました。皆さんの多くが高次倍音を歪ませてしまって、その批判からだと思います。

    bybb7 at2020-11-14 10:32

  11. bb7さん

    レスありがとうございます。

    アンプの位相特性は大事ですね。私は、この位相を徹底的に追求した金田明彦氏の提唱したDCアンプ、EQアンプやネットワーク(チャンネルデバイダー)を一貫して使用しています。

    歪みというと、一般に正弦波からの波形の歪みで説明されるために誤解も多いようです。自然界の音は、ほとんどが純粋な正弦波とはかけ離れた波形をしています。音楽家は、その意味で、波形を歪ませることに命をかけています。

    ギターアンプやエフェクターがわかりやすい例です。クラシックでも、しきりに倍音(オーバートーン)や音色のことが言われます。特にヴァイオリンは、基本がノコギリ形状の波形ですから、正弦波を「きれい」というのなら、とても聴きづらい《歪んだ》音ということになります。あるヴァイオリニストは、「キレイな音だけを出していると、音はまるでヤセてしまう。…(巨匠たちは)すぐそばで聞いていると、とてもジャリジャリしている。…ガサガサしている。それがホールではよい音なんです」と証言しています。実際、小ホールや小さなサロンなどの最前列で聴くと、ジャリジャリしているのがわかります。

    そしてその《歪んだ》波形というのは、数理的に言えば複雑な高調波で構成されているということと同義になります。倍音と言いますが、気持ちがよいのは単純な低次整数倍音だけであって、実際はそんな単純なものではありません。それは「ハーモニー」ということではなくもっと複雑なのです。それは距離や副次反射による高域減衰で丸められないと、前述のようにとても厳しい音として感知されるのです。

    byベルウッド at2020-11-15 09:05

  12. このCDの出だし部分のスペクトラムを見ると、20KHzまでかなり伸びていてそこでストンと落ちています。この点でも、カルミナ四重奏団の録音と比較すると顕著です。すっぱりと切るように落ちているのはCDフォーマットだからですが、そこまでぎりぎりに高いレベルで入っているのは、やはり近接マイクの効果で、まさに、最前列で聴いているのと同じことなのだと思います。それを聴きやすいようにフィルター加工などをしていないところが、クラシック系の録音の真骨頂というわけです。

    その領域は、そもそも原波形を忠実に再生するのには難関が多く、ちょっとした高周波ノイズやジッター、電源の変動、スイッチング歪みなどによって変調歪みを起こしてしまいます。まさに位相の正確なアンプは、そのことにとても敏感で、その差を最終的な再生音に反映してしまいます。高域の聴力ということとは無関係に、鍛えられた耳には、そのちょっとした差異を感じとってしまうものです。

    一方で、エベーヌ四重奏団は、いわばエスプレッシーヴォの演奏にこそ本領があって、決して気持ちの良い「キレイな音を出している」だけの演奏ではなのですから、まさに、演奏者も録音エンジニアも、このジャリジャリ、ガサガサにこそ命をかけているのです。

    前述のヴァイオリニストは『ブダペスト・クヮルテットを聞いてもびっくりしました。ガサガサしているんです』と証言しています。

    それを「きれいなすっきりしたハーモニー」という単調な音として再生されるとしたら、むしろ、アンプやスピーカーの高域特性やSNを疑ってみることも必要であるというような気がします。

    byベルウッド at2020-11-15 09:07

  13. ベルウッドさんへ

    >このCDの出だし部分のスペクトラムを見ると、20KHzまでかなり伸びていてそこでストンと落ちています。

    とありますが、弦楽器はオーケストラの中で最もスピードが遅くて狭い帯域で高々10kHzぐらいしか出ていません、。ですから、歪む帯域は2kHzぐらいからになります。この録音は2kHzぐらいの中高音をしっかり出しているのです。そういう録音はあなたのシステムではすべて歪むはずです。

    出力レベルが高いのは良いことですよ。ノイズを減らせますし、非力なパワーアンプの助力になります。

    そして、なによりサプライズをもたらしたのは低インピーダンスカートリッジ専用のフォノイコで再生した国内盤LPバーンスタイン=ストラビンスキーの「春の祭典」とこの録音はほぼ同等の高速なダイナミック感で同等の出力レベルなのです。つまり、超低インピーダンスで録音しているのではないかと思うのです。

    bybb7 at2020-11-16 09:46

  14. bb7さんへ

    >弦楽器はオーケストラの中で最もスピードが遅くて狭い帯域で高々10kHzぐらいしか出ていません

    狭い帯域というのは、音符の音高(基音)のことに過ぎません。それで言えばヴァイオリンは2KHzぐらいです。これに対して、波形にともなう高調波(いわゆる倍音)はもっと広く分布します。ヴァイオリンのような擦弦楽器はノコギリ波なので特にそうです。このスペクトラムがちゃんと再生できなければ固有の音色が出ないし、演奏上の表現も十分に再現されないということなのです。特に近接感は出ません。帯域が広ければ広いほどリアリティは増すということなのです。

    出力レベルの高さは、ボリュームで調整するだけのことです。聴く音圧レベルが同じならパワーアンプの出力は同じです。パワーアンプの出力は、部屋の大きさ、スピーカーの能率などで決まる話しであって、録音レベルの大小は無関係です。

    出力レベルが低いと微小音量の部分はノイズフロアに埋もれてしまいます。PCMデジタルは最大音量が0dBでノーマージンで天井から押さえられるので、ダイナックレンジの広いクラシックでは出力レベルを抑えて収録するのが常識です。この録音は、あえてレベルを大きく収録しトゥッティでの飽和感をむき出しにして、小音量との起伏をあえて出そうとしているのでしょう。デジタル時代の再生側の高SN化に合わせた常識にあえて挑戦しているのでしょうね。

    byベルウッド at2020-11-16 10:45

  15. これに対してアナログ時代は、SNも低く、帯域、ダイナミックともにレンジが狭いわけです。帯域は、特に高域側は16KHzぐらいまでしか確保できていません。かつての放送規格(BTS)はその程度です。放送局用として出発したカートリッジのDL-103は、80年代初頭まではそういう規格に沿った帯域でした。今でもFM放送は、放送法の規制で16KHzで抑えられています。

    そういうナローレンジの音源の方が、かえって気持ちよく聴けるというシステムもあります。古典回路のトランス出力の真空管アンプとか、ヴィンテージスピーカーなどがその典型です。そういうシステムは、帯域を欲張らず、周波数帯域も可聴帯域限界の20KHz前から(大体16~18KHz)ロールオフしています。当然、位相も回転します。スピードも遅く、DF(出力インピーダンスの逆数)は、2桁台からせいぜい3桁で、現代のハイスピードアンプとは桁違いです。その方が、かえって人間の耳には心地よいのです。音量のダイナミックス効果も膨らんでスピードの遅い低域の量感効果で、けっこう迫力を感じます。

    それは、それで好みの世界なんだと思います。

    byベルウッド at2020-11-16 10:47

  16. ベルウッドさんへ これが最後です。

    >アナログ時代は、SNも低く、帯域、ダイナミックともにレンジが狭いわけです。帯域は、特に高域側は16KHzぐらいまでしか確保できていません。かつての放送規格(BTS)はその程度です。

    そうでしょうか、、位相差の無い低インピーダンスアナログはLLサイズの人がLLサイズの服を着ている。SACDはLサイズ人が5Lの服を着ているのと同じとでもいいますか。デジタルは規格倒れですよ。皆さんは5Lのダブダブのサイズを優れていると唱えているだけです。実際に比較したことは無いでしょう? 僕は常にどちらも聴いていますからそう言えるのです。

    >それは、それで好みの世界なんだと思います。

    と,,ありますが、位相差のある音しか聴いたことのない皆さんに好みとは誤解の元になるような気がします。。比較してこそ進歩すると思うので。貴方は知識を色々持っているようですが、、比較すべき急所を経験していないのでほとんどの知識は無駄になる可能性があると思います。「論より証拠」だからです。。    長々失礼しました。

    bybb7 at2020-11-16 22:25

  17. bb7さん

    周波数帯域のことを持ち出され、さらには帯域の狭いアナログ時代の録音を賞賛されていたので、そのことについて深入りしてしまいました。位相とは、関連はありますが、それはそれでまた別の問題です。

    「位相差のある音しか聴いたことのない皆さん」ということを、このコミュ内でも繰り返し発言されておられるようですね。「皆さん」のシステムを実際に知っておられ、聴いておられるのでしょうか?ご自分の音と実際に比較されたのでしょうか。

    「比較してこそ進歩」「論より証拠」とのお言葉は、そのままお返しいたします。

    「これが最後」とのこと。そういうことで、ぜひ、よろしくお願いいたします。

    byベルウッド at2020-11-17 09:39

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