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「ピアノ・デュオの醍醐味」 (芸劇ブランチコンサート)
非常事態宣言下のブランチコンサート。 席は、左右前後を空けての収容制限ですが、満席です。主催側の運営は大変だと思いますが、これが新常態。会場の雰囲気はとても落ち着いています。 この日は、若手の入江一雄さんをゲストに迎えて、なかなか聴く機会の少ない2台のピアノデュオ。ステージには2台のピアノ差し向かいに置かれていて、右手鍵盤・手前のピアノの上蓋は外されています。 お二人ともデュオ演奏はあまり好きではないのだとか。 というのも、こうやってフルコンサートグラウンドを2台も置ける部屋は、家庭で確保するのはほぼ無理。だから本番と同じ環境で練習することは難しい。いきなり当日になって、本番と同じセッティングになって戸惑うことも少なくない。横に座っての4手連弾だと、相手も見えて呼吸も合わせやすいけれど、デュオでは相手が遠いことに戸惑うのだそうだ。 他の楽器との室内楽は、大好き。ヴァイオリンなど弦楽器は、旋律楽器で音が持続するのでピアノも気持ちよく合わせられるが、同じピアノ同志だと音がぶつかり合いちょっとでもずれればわかってしまう。そういうところがとても厳しいと感じるのだそうだ。 でも、4手連弾は音域で分担が決まってしまうし、互いに身体や腕が干渉して動きにくい。それに対して、デュオだと互いが自由で思う存分動き回れる。お互いが全く対等でやり合う醍醐味で圧倒的に連弾に勝るのだそうです。 そういう自由奔放な掛け合いが楽しめたのが、1曲目のダリウス・ミヨーの曲。 リズムが奔放で、活気溢れる自由な曲想で、ノリが良い。左手の屋根付きピアノの音がよく響くので、低域のベース音でも中高域の旋律でも主役のように聞こえるのですが、右手は鍵盤を自由自在に広く駆け回り、時に華やかな高域の火花を散らす。とても楽しいデュオです。 2曲目の「2台のピアノのためのソナタ」は、実は、ブラームスの中期の傑作「ピアノ五重奏曲」の原曲。もともとブラームスは、この曲を弦楽五重奏曲として作曲しましたが、試演してみても今ひとつと感じたのか、この2台ピアノ版に改編します。 さらには、クララ・シューマンの助言もあって、さらにピアノ五重奏曲として完成させたというわけです。それでも、ブラームスはよほどこの曲を気に入ったらしく、ピアノ五重奏曲の初演・出版の後、この2台ピアノ版も作品34bとして出版しています。 室内楽を超えた壮大な曲想はさすが。とても聴き応えがあります。 2台デュオというのは、むしろ、身近な形で公演できるように交響曲から編曲されることも多く、ブラームスにもそういう交響曲編曲版がありますが、この曲は逆。ブラームスを崇敬してやまなかったシェーンベルクは、これを管弦楽に編曲しているほど。まさに、ピアノ・デュオから生まれた堂々たる交響曲。こちらも演奏されることも多く、私はむしろそちらを聴くことが多かったほど。 もともとが2台ピアノ版ですから、その構成のスケール感と響きの厚みや色彩の豊かさは生来のもので、それをピアノで聴く醍醐味は、1曲目のミヨーとはまた違った魅力です。 1時間のブランチコンサートですが、何だか本格的なシンフォニーコンサートを聴いたような手応え。これもまた、コロナ禍時代の新常態のひとつのあり方かもしれません。 芸劇ブランチコンサート 清水和音の名曲ラウンジ 第28回「美しきラヴェルを聴く」 2021年2月17日(水) 11:00~ 東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール (1階R列29番) ミヨー/スカラムーシュ ブラームス/2台のピアノのためのソナタ(ピアノ五重奏曲の2台ピアノ版) op.34b ピアノ:入江一雄、清水 和音
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