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ロンドンに移り住んで25年目となりました。240V環境の恩恵に浴すも、やはりオーディオは日本がおもしろい。年に数回の帰国の際の物色を何よりの楽しみとしております。

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2018年3月、1986年から(32年間)一貫してJBLをメイン・スピーカーとしてきたオーディオ・ライフに別れを告げ、B&W党となりました。2015年のピアノ購入時にオーディオ部屋(約30畳)をピ…
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日記

アナログ再調整(再挑戦) その4

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2020年06月02日

前回の日記で紹介した「AnalogMagik software & Test LPs」に関して、ご質問を頂戴しました。レスの限られたスペースで回答するより、日記本文の方が良いと考え、今回は技術解説を少々。ということでAnalogMagik社Homepageにある解説とソフトウエア上のヘルプを適当に纏めてみました。日本の代理店経由で購入された場合は日本語の解説書が付属するようですが、私は当地のディーラー経由で購入したので、ここで紹介する情報は全て製造元のHomepageからのものです。

1:ターンテーブルの回転速度
テストLPにある3,150Hzの信号を出来るだけそれに近い周波数となるようにターンテーブルの回転数を調整します。ソフトウエア上に再生信号の周波数が連続的にデジタル表示されるので、それが3,150Hzより低ければ速く、高ければ遅く調整します、

2:ターンテーブルのワウ・フラッター値
Audio Engineering Societyの基準に基づき30秒間の回転変動を測定して数値化します。
ベルトドライブやアイドラードライブであればベルトのテンションやアイドラーの調整で改善が可能とされています。

3:カートリッジのアジマス(左右傾きバランス)
右→左のクロストークを測定するトラックと左→右のクロストークを測定するトラックをそれぞれ15秒から20秒程度再生し、それぞれのクロストークを測定します(1KHz)。左右のクロストークの偏差が最小となるポイントがアジマスのベストポイントとなります。

4:カートリッジの VTA(Vertical Tracking Angle=垂直トラッキング角)
アームの高さ調整のことです。一般的にはトーンアームが水平になっている時、カートリッジ(針先)がレコードを最適にトレース出来ると言われています。ここではもう少し理論的です。
針先がレコードと接触する角度(Stylus Raking Angle : SRA)は一般的に92度が最適とされており、正しく設計されたカートリッジであれば、アームが水平で適正針圧が付加された場合にSRAが92度になります。そしてその時に相互変調歪率(Inter-Modulation Distortion : IMD%)が最小となります。ここでは2つの周波数間(60Hz/7KHz)のIMD%が両チャンネルで最小となるようアームの高さを調整します。

5:カートリッジの VTF(Vertical Tracking Force=トラッキング力・針圧)
AnalogMagik社は、多くのカートリッジ製造元に最適針圧値に関して質問しましたが、「聴いて決める」以外の科学的な回答は一切得られませんでした。彼らの知る限りではこのソフトウェアでの方法が最初の科学的な試みです。推奨針圧レンジの中でも針圧を変化させると全高調波歪率(Total Harmonic Distortion : THD%)が様々な周波数帯で変化します。ここでは低周波数(300Hz)のトラックと高周波数(7KHz)のトラックを再生し、双方の周波数でTHD%が最小となるポイントを探ります。

6:トーンアームのアンチスケーティング力
TestLPのテスト・トラックを再生して、左右の全高調波歪率(THD%)偏差が最小となるポイントに調整します。他の項目と異なりテスト・トラックを最初から最後まで再生して最適値を探ることが大切であると強調されています。これは、アンチスケーティングの最適値はレコードの再生箇所毎に変化するからです。

7:フォノイコライザーのインピーダンス設定
20Hz-24KHzのピンクノイズを再生して、周波数特性のフラット具合を測定します。偏差が最小となるポイントが最適負荷です。

8:フォノイコライザーのゲイン設定
1KHzの信号を用いてシステムのSN比を測定します。SN比が最大となるポイントが最適ゲインです。

9:システム全体の振動値
テスト・トラックを再生して、記録された2つの周波数間(60Hzと500Hz)の相互変調歪率(IMD%)を測定することでシステム全体の振動量を数値化します。相互変調歪とは、LPに記録されていないのに(システムの振動により)スタイラスがピックアップする信号のことです。良く調整されたシステムではIMD%は2-3%を下回ります。

10:システム全体の共振値
カートリッジとトーンアームの相互作用で生じる固有共振周波数を測定します。好ましい固有共振周波数は8-12Hzというのが通説で、このレンジ外の固有共振は再生クオリティを劣化させると言われています。
ここでは、7.5Hzから35Hzのスイープを記録した水平振動トラックと(補助的に)垂直振動トラックの2つのテスト・トラックを用いて振動モードのピークを表示します。ピーク周波数が8-12Hzのレンジ外であれば、トーンアームの質量やカートリッジの重量、時にはカートリッジ取り付けネジのトルクを変えることでも調整が可能です。

以上が概略です。

最後に幾つかポイントをあげます。すべてHomepageに書かれていることですが、一か所に纏まっていないので、私の主観で選択しました。

〇 最初に従来の方法(目視やSMARTractor)で十分に調整してから測定すること
例えば明らかにアームが傾いていても、ソフトウエアがVTA(アームの高さ)の最適値を示すことがあれば、他の項目が大きく犠牲になっている可能性が高い。

〇 各項目単独での最適化では十分とは言えない
特に3(アジマス)、4(VTA、アームの高さ)、 5(VTF、針圧)、6(アンチスケーティング)の調整は相互依存が大きいことが強調されています。

〇 聴感による調整を否定するものではない
測定値が良くても聴いてダメならそれは最適値ではありません。

続く...


番外編:
K&Kさんへのレスで触れたDual 1249のアンチスケーティング機構。


DualはSkate-O-meterというこのようなデバイスも発売していたようです。

次回の日記→

←前回の日記

レス一覧

  1. のびーさん、

    情報ありがとうございます。

    Dual 1249、すごく立派なアンチスケーティング機構ですね。
    確かに同じ針圧条件でCD4の場合には楕円針よりもさらに大きなアンチスケーティングフォースをかけるようになっていますね。
    インサイドフォースは接触面積に依存し、接触面積が大きいほど小さくなるという理論からするとシバタ針ではむしろ丸針よりも小さくなりそうに思うわけですが…

    このデュアルの「CD4」はCD4再生時のための特別設定なのか…
    やはり CD4 = シバタ針 でシバタ針は他のラインコンタクト針とは異なる固有の特性があるのか…

    やはり謎です。
    もし、のびーさんがシバタ針のカートリッジをお持ちであれば、AnalogMagikでの測定でその辺のところがわかるかもしれませんね。
    続編に期待しております。

    アンチスケーティングと針先形状の関係は意外と知られていないように思います。
    シバタ針を開発したビクターにはこの辺の技術情報を持った技術者がいたと思うんですが…
    ネット上で開示してもらえると助かるのですが、難しいですかねぇ。

    byK&K at2020-06-02 13:23

  2. こんばんは~♪

    横から少し失礼します。

    インサイドフォースが接触面積に依存するというのは・・・
    接触面の「変形」を「イメージするのに」良い説明かと思いますが、それが真実かというと必ずしもそうではないと想像ししています。

    妄想を書いてみます。

    ラインコンタクト、「線接触」という事から・・・線繋がりで
    冬のスポーツ「スキー」を連想したのでこれを例に挙げた場合「太い板・細い板」「短い板・長い板」というファクターから「雪との接触面積」は大きく変化するのですが、この「接触面積」が重要か?というとそうではありません。
    スピーカーのスパイクピンとバレーボールのどちらが床にめり込むか?結果は想像だけで容易い事ですが、カービングスキーと普通のスキー板のどちらが早く止まる事ができるかは・・・スキーのエッジがどれだけ鋭いかが重要なファクターに感じます。針先の形状に少し思考を戻すと、スキー板のエッジは針先形状では曲率半径rに相当するイメージができなくはないでしょうか?。
    また別の視点で極端なイメージですが、レコード溝の深い方は変形しにくい(雪面が硬い)レコード溝の浅い方は変形しやすい(隣の溝との兼ね合いで恐らく)という違いもありそうです。

    <溝トレースの様子>
    https://youtu.be/GuCdsyCWmt8?t=265

    というわけで、スキー場の雪面の荒れをものともしない周波数特性の通常のトレース≒直滑降。雪面の細かな荒れもなぞるように拾い上げる周波数特性が上に伸びたトレース≒エッジ立てて滑降。どちらも同じ接触面積(スキー板)かもですが「当たり方」で結果が違ってきそう・・・
    という妄想でした。

    最後に、エッジの立たない硬い氷の上では無音溝と同じ?
    否、「ガラス製の」レコード板の無音溝で初めて無音溝と同じかなぁ・・
    何が言いたいか分からなくなってきたのでこれくらいにします。

    このレスは思考のお遊びで現実とはまた別(^^;
    長文失礼しました。

    bynightwish_daisu at2020-06-02 20:33

  3. K&Kさん

    よく分かりませんね。それなりに調べましたが納得のいく解説は見つかりません。

    ひとつ考えられるのは、「CD4レコードはステレオ・レコードとレコードが違う」ということです。

    http://brujic.gradjevinans.net/HiFi/ve_skating_force_and_antiskating.pdf

    前回紹介したリンクです。ここに針先とレコードの溝の摩擦力は

    摩擦力=針圧 x 摩擦係数

    で定式化出来るとあります。
    針先と溝の接触面積も摩擦係数の決定要因の一つで、他の条件が一定ならば接触面積が大きければ摩擦係数が小さくなる傾向があります。

    摩擦係数の決定には他にも様々なものがありますが、溝の振幅具合(Groove Modulation)も大事な要因の一つです。

    CD4レコードは30kHzをキャリア周波数(有効占有帯域は20 kHzから45 kHz程度)としてFM変調したリアチャンネルの合成差信号が重畳されているということですから、レコードの最初から最後まで結構なModulationが記録されおり、それが摩擦係数を恒常的に高めているのではないでしょうか?
    もしそれが影響するなら、同じ針圧をかけてもより大きなアンチスケーティング力が必要になります。

    これは私の推測で、的外れかもしれません。

    手持ちにはシバタ針のカートリッジは無いですね...

    byのびー at2020-06-03 07:56

  4. nightwish_daisuさん、こんにちは。

    「インサイドフォースが接触面積に依存するというのは・・・接触面の「変形」を「イメージするのに」良い説明かと思います...」

    理由やイメージは後付けで、実測に基づいた経験値のようです。

    今回調べてみて驚いたのですが、アナログ全盛時はオーディオ業界も今より遥かに潤っていたようで、結構な数のリサーチ・ペーパーが有ります。

    byのびー at2020-06-03 08:05

  5. のびーさん、

    ありがとうございます。

    ≻ひとつ考えられるのは、「CD4レコードはステレオ・レコードとレコードが違う」ということです。

    この可能性はありそうですね。
    Dualが針先形状ではなくあえてCD4と表示しているのにはわけがあるのかも。

    シバタ針はお持ちでなくともラインコンタクト針もしくはマイクロリッジ針のカートリッジをお持ちであれば、その結果を参考にさせていただきたいと思います。

    byK&K at2020-06-03 14:02

  6. のびーさん

    肝心な 音の変化は いかがですか??
    やはり 装置と ソフトを 使った甲斐は あるのでしょうか?

    気になります。

    byX1おやじ at2020-06-04 09:22

  7. K&Kさん

    手持ちのカートリッジを調べてみました。

    Benz Micro LPS  マイクロリッジ
    Koetsu Onyx  ラインコンタクト
    Koetsu Rosewood Signature  ラインコンタクト
    Platanus 2.0S  ラインコンタクト
    Audiotechnica AT50ANV  ラインコンタクト
    Denon DL103  丸針
    EMT TSD-15 SFL  スーパーファインライン
    SPU-AE  楕円針
    Shure M44G  丸針

    ということで、ほとんどがラインコンタクト系でした。
    楕円針は30年以上経っているSPU-AEだけで、本来の性能からはほど遠いと思いますが、私も測定結果が楽しみです。

    byのびー at2020-06-04 23:01

  8. X1おやじさん

    音は?ごもっともな質問です。屁理屈ばかりで肝心の音の話は...

    一通りのセッティングが終わっているカートリッジ/トーンアームで、AnalogMagikによる調整には4-5時間かかるとマニュアルに記載があります。まだそこまで煮詰められていないのが実情です。

    その上で、一通り使用した感想を記すと、

    〇 ビビりや針飛びがあるような明らかな調整不足のものの原因特定には効果的。
    〇 アンチスケーティングのように目で見て全く分からないものにも効果的。幾つかの最適解の一つを教えてくれると思います。
    〇 既にそれなりに調整できているシステムを更に良くするのは結構大変。

    SME Vも3012Rも自分なりに調整していたので、この調整により耳で聴いて分かるレベルの改善には至っていません。

    多分、これはアナログ再生はもともと相当な許容範囲があり、その中での最適点と最適点近傍ではあまり大きな差が出ないように出来ているからではないでしょうか?

    まあスタート地点に立ったばかりです。

    byのびー at2020-06-04 23:19

  9. ふぅぅぅむ。
    コンピューターが進歩して調整の結果が数値化されるのは
    ある種の革命ですね。

    聴いてその数値の差が聴きとれるかどうかはまた別の話ですが、
    安心感があります。例えばCDプレーヤーの音声出力の左右差ですが
    左chが2.0Vで、右chが1.8Vと不均衡な場合でも気付く人は少ないかもしれません。
    (見慣れたdBに換算すればたったの1dBなので。定位に敏感な人はすぐ分かるけれども。)

    そういえば昨年、他人様のチェックレコードの1kHzを
    フリーソフト(WaveSpectra)だけで解析してみたことがありました。
    -------------------------------
    https://youtu.be/srub8Q9vqg0
    -------------------------------
    これも、見た目はすごく悪いように見えますが
    聴感ではそんなに悪くない・・・と思われる一つの例・・・として
    紹介してみます。

    bynightwish_daisu at2020-06-05 12:24

  10. のびーさん、

    ありがとうございます。
    期待しています。

    byK&K at2020-06-05 14:11

  11. のびーさん

    やっぱりVTAが難しくてよくわかりません。

    「相互変調歪率」というのがそもそも難解です。たぶん二つの異なる周波数の正弦波を入力して、出力にその周波数以外の成分が現れることなんでしょうけど。すくい角が適正かどうかというのはそういうことに結果として影響するということでしょうか。

    針圧によるスタイラスの弾性変形もかかわるので、幾何学的な高さだけでなく適正針圧とも相互に影響するし、これに個々のディスクの厚さの違いもあるし変量が多くて大変そうです。よく板起こしなんて、LP盤のデジタルアーカイブがありますが、こういうことまで詰めないとよいアーカイブにはなりそうにないです。手間が大変。単なるプレーヤーの調整を超えた凄みがありますね。

    byベルウッド at2020-06-10 13:48

  12. nightwish_daisuさん

    レスが遅くなりました。すみません。
    アナログ・システムをお持ちか不明ですが、あれば是非一度AnalogMagikを試して下さい。

    それなりに値段がはりますが、非常に面白いソフトウエアです。主宰のRichard Mak氏も相当なオタクです。

    byのびー at2020-06-11 07:58

  13. ベルウッドさん

    AnalogMagikのフィロソフィーはCorrelation(相関)です。

    即ち、正確なVTA/SRAの計測とノイズ測定を繰り返すことで、特定のゾーンでVTA/SRAとIMD%に有意な相関が存在することを発見し、大掛かりな機器が無いと不可能なVTA/SRAの計測をする代わりに素人でも測定可能なIMD%の測定で調整を可能にしたのです。

    従って、VTAとIMD%との間にどのような因果関係が存在するか(多分、理屈はあるのだと思いますが)ということはここではあまり重要では無い、と私は理解しています。

    その点から、AnalogMagikによる測定を始める前に相関関係が成立するゾーンまでベースラインの歪率を下げるように調整を進めておくことが大切だと強調されています。

    byのびー at2020-06-11 08:00

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