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日記

カラヤン/BPO「オテロ」CDリリースから32年目の真実?

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2020年04月14日

カウフマン、パッパーノの「オテロ」がリリースされること、しかもセッション録音であることが発表されたのは今年の初め。3月27日全世界リリースとなっていましたが、恐らくコロナウイルスの影響で4月17日になり、今は5月15日予定と延期になりました。オテロのセッション録音はドミンゴ、チョンミョンフン以来となりますから約25年振りとなります。その間にライブ録音はいくつかリリースされましたが、どこまでいってもライブ録音の域を出ない音質で、今回のセッション録音のオテロに大変期待しています。

いつまで経っても出ないオテロが待ちきれず手持ちのオテロを聴き直す日々なのですが、カラヤン/BPOのLP初出盤は持っていてもCDを持っていないことに気づきました。しかも、正規に配信もされていない様子。
カラヤン2回目のオテロは、1回目のオテロのデルモナコのEsultate!などの脳がしびれるような麻薬的魅力こそないものの、BPOのドラマティックな演奏が気に入っています。第2幕の最後だけとか気軽にちょい聞きするのにデジタルで持っておいても良いなと思い、とりあえず初出盤[CMS7693082]を買ってみました。

既に廃盤なので中古を探して注文。数日で届いて、リッピングして聞いてみると、これがまた音が悪い!酷い!異様にハイ上がりで聞くに堪えません。まあでもEMIのCD初期ってこんなもんだったよなあとも思いつつ、どうも納得いかない。
前置きが長くなりましたが、タイトルの通り、このCD音源をどうにかしてまともな音で再生するために試行錯誤した結果、思いもよらぬ着地点に辿り着いたのです。

1. 複数のCDを比較してみる
まずはここからです。このオテロのCDはBOXを除くとどうやら5組あるようです。
CMS7693082 レーベル:EMI 1988年リリース
TOCE-9349/50 レーベル:東芝EMI 1997年リリース
524381M レーベル:MHS USプレス 1997年リリース
AML9818-19 レーベル:Amadeus/EMI イタリアプレス 1998年リリース
5099945645020 レーベル:Warner ポーランドプレス 2010年リリース

このうち、とりあえずすぐに見つかった国内盤と最後発盤を追加で買ってみました。

しかしながら、どれもしっくりきません。詳細は割愛しますが、国内盤はHS-2088、20bit/88.2kHzリマスタリングということで帯域バランスは改善しているものの、ダイナミクスが圧縮され、レコードでいうところの風邪引きノイズが終始入ります。最後発盤は初出盤から各トラックのレベルバランスを変えた程度です。
そもそもこのハイ上がり具合は、何か致命的に間違っている気がします。


2. プリエンファシス?
ここで何回か書きましたが、プリエンファシスCDをそのまま再生すると、ハイ上がりになります。


リッピングしたときに気が付かなかったかなと、、、と思いつつ再度確認してみましたが、やはりTOC/サブコードともにプリエンファシスフラグは立っていません。プレス時のミスも疑い、ディエンファシス処理をして聞いてみることにしました。

さて、再生ソフトはRoonを常用しているので、どうやってディエンファシス処理をしたものか。もちろん、別のソフトを使って処理をして書き出せばいい話なのですが、何かスマートじゃありません。RoonのDSPを使ってやってみたいです。RoonのDSPのうち、周波数特性を任意に変えられるものは以下があります。
・Prametric EQ
・Generic IIR Filter(Biquad型)
・Convolution
Roonが搭載しているPrametric EQではディエンファシス処理をそのままコピーすることはできません。Generic IIR Filterはサンプリングレートによって定数が変わるので、部屋ごとに走らせているサンプリングレートが異なるうちの環境だといちいち定数を算出しなければなりません。ここはConvolution、畳み込み演算を使うことにしました。
といっても、設計ソフトや自作プログラミングでディエンファシス処理のインパルスを生成するのは、非常に面倒というか、そこまでしたくない、それやるぐらいだったらLPをDSD256でアーカイブしたほうがマシなので、出来合いのソフトを使うことにしました。

まずは、WaveGeneで適当にインパルスを吐き出します。

パラメータは別に何でも良いのですが、あまり時間を長くしてもしょうがないですし、サンプリングレートも高くする必要はそれほどない(厳密性はさておき)ので、5秒、32F/44.1kHz、パルス波形、周期0.1Hz(つまりパルス一回だけ)にしました。重要なのはビット深度を32Fにして、時間内に1回だけインパルス波形を出す周期にすることです。

書き出したインパルス波形を、今度はSoXでディエンファシス処理します。このディエンファシス処理したインパルス波形を再生時に畳み込み演算することで、再生にディエンファシス処理が反映されます。コマンドはsox [input.wav] [output.wav] deemph pad 0.5です。WaveGeneの1回目のインパルス波形は1サンプル目に入るので、頭に余白を開けておくと安心です。

SoXで書き出したファイルをRoonのConvolutionに読み込ませます。

これで聞いてみると、今度はハイが落ちすぎです。プリエンファシスフラグが示している通り、別にプリエンファシスCDではないようです。


3. オープンリールのEQカーブ
プリエンファシスでもない、でも異様なハイ上がりとなると、デジタルマスター作成時にオープンリールマスター再生に用いるEQカーブが録音と再生で合っていないことが思い浮かびました。レコード録再時のEQカーブほどではありませんが、オープンリールも複数あります(参考:https://www.iasa-web.org/tc04/magnetic-tapes-replay-equalisation)。
恐らくマスターは38cm/sでしょうから、よくあるNABとCCIR(IEC)の間違いでどのような周波数特性変化があるかグラフにしてみました。


どうやら、NABをCCIRで再生してしまうと、ローが落ち、ハイ上がりになるようです。そのハイ上がり具合はプリエンファシスCDをそのまま再生したほどではなく、ピッタリなような気がします。レーベル会社がデジタルマスター作成時に間違ったというのはおおよそあり得ない話に思えますが、試す価値はありそうです。

これの逆特性フィルタをどうやって作るか、少し悩みました。結局、上図を作るために用意した周波数対ゲインをそのまま使うことにしました。WaveGeneには出力波形に周波数対ゲインを指定したフィルタをかける機能があります。ただ、上述の通り1サンプルにインパルス波形がでる仕様上、ちょっと動作が不安なので違う方法を取りました。
プラグインのVoxengo CurveEQにも同じ機能があります。プラグインの解析ツール、DDMF Plugindoctorで出力を見てみたところ、概ね良さそうです。

適当なDAWでインパルス波形にこの設定のEQを掛け出力したデータを、先のディエンファシス処理と同様にRoonのConvolutionに読み込ませて再生してみます。

これが驚き。ドンピシャなのです。帯域バランスだけではなく、音場感も大幅に改善されました。EQの設定を線形位相ではなく敢えて最小位相にしたのが良かったのかもしれません。レコードのEQカーブもあっているものにした時は、確信を覚えるほどにハマりますが、これも同様でした。たまたま聴感上良い帯域バランスになったとは思えないほどに。
デジタルマスターが間違っていたとしたら、国内盤リマスターの出来が悪いのも納得です。

今回使用したインパルス波形データは下記URLに置いておきます。もし、カラヤン/BPOのオテロの初出盤か最後発盤をお持ちで、Roon等の畳み込み演算ができる再生ソフトをお使いの方がいらっしゃいましたら、試してみてください。びっくりすると思います。
https://pcmdsd.com/De-Impulse_Tape.zip


・おまけ
オープンリールのEQカーブは、CCIR(76,38cm/s), CCIR(19cm/s), NAB(76cm/s), NAB(38, 19cm/s)とあり、CCIRとNABで一致しません。76cm/s, 19cm/sのNABカーブのテープをCCIRで再生してしまった時の誤差は以下になります。

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レス一覧

  1. serieril 様

    ●「カラヤン/BPOのLP初出盤は持っていてもCDを持っていないことに気づきました。しかも、正規に配信もされていない様子。」とのことですが、このEMI録音はNML(ナクソス ミュージック ライブラリー)で配信されています。
    このサイトは高音質でビックリするのですが、さすがにこのEMI音源は良いとは言えない(元が酷い?)です。

    ●DENONのプレエンファシスCD盤のリッピングでは「異様なハイ上がり」で泣かされたので、拙ブログに様々書いています。
    宜しければ、ご覧ください。(FOOBAR2000で上手にディエンファシスしてリッピングできますよ)

    https://24267456.at.webry.info/201902/article_2.html

    byシェルティーのパパ at2020-04-15 01:39

  2. シェルティーのパパさん、こんばんは。

    ご紹介ありがとうございました。

    byserieril at2020-04-15 02:16

  3. serierilさん こんにちは

    プリエンファシスの基本的なところ「TOC/サブコード」はコモンセンスだと思っていたら・・・違っていたようでちょっと愕然としました。
    S/PDIF(同軸とか光)にはフラグを乗せられる一方、WAVファイルにフラグは無いし、serierilさんのいわれるように「USB Audio Class 2.0には通信時にプリエンファシスフラグを規定するものが無いようで。」す。

    正直なところ、
    私の知識では本日記を理解するには到底至らない訳ですが
    雰囲気は楽しめました(^ー^。
    それはアナログレコードの「EQカーブ」探しに似たものを感じます。

    最後に、Philewebのレビュー記事。
    -------------------------------------------------
    "レコード再生の未知の世界を検証する"
    "「1954年以降はRIAAカーブ」は本当か? ― 「記録」と「聴感」から探るEQカーブの真意"
    https://www.phileweb.com/review/article/201803/02/2954_7.html
    -------------------------------------------------
    これの一節に、
    「今回の菅沼氏の検証レポートから考えるに、現代の高忠実システムにおいてEQカーブの違いは、単に帯域バランスの違いにとどまらないようだ。実際、EQカーブをかけると周波数特性と共に位相特性も変化する。位相管理に着目した機器だと、この位相特性の変化が音に現れるといっていいだろう。」

    ふむふむ・・・分からん(笑)

    蛇足ですが、
    オープンリールのEQカーブは知りませんでした。
    糞だと思っていた音源が豹変して眼前に演奏会場が出現するなんて体験ができると改めてオーディオ趣味も悪くないと思えるものですよねたぶん。

    bynightwish_daisu at2020-04-15 07:14

  4. ついでに・・・酷いケースにnightwishがあります。
    https://www.amazon.co.jp/Showtime-Storytime-Blu-ray-Within-Temptation/dp/B00HH9UTGW

    このBlurayはテンポが遅いです。
    このBlurayは映画と同じ24fpsですがテンポが4%ほど遅い。そうですPAL圏の25fpsと映画24fpsの変換過程でしくじってます。テンポが遅いとピッチも下がるので誰しも異常に気が付きます。しかし、殺意を覚えることに何とピッチを上げてBlurayに仕上げてあります。帳尻合わせにしてもひどい。
    残念なことにこのbluray、回収騒ぎにもなりませんしAmazonのレビューは五つ星ばかり。

    DVD版は再生速度は正常ですが、音声はLoundnessWarのせいで海苔波形に化けています(nightwishのファンForumではパンケーキと揶揄されています)。

    仕方がないのでCD版を購入して、Bluray映像のfpsを調整してこのCD版の音声トラックとMuxしてTSストリームを作成するところで力尽きました。※Blurayディスクの作成までしたかった

    最近、ストリーミングサービスのAmazonMusicHDを楽しんでいますが手持ちの正規版CDとAmazonMusicHDのデータが一致せず調べてみると、正規版CDの方が音圧上げられてピーク波形が潰れていました。洋楽だったので日本製造でLoudnesswarされた感じ。AmazonMusicHDの方が細かな波形が維持されているので高音質?という笑えない状況。

    愚痴が長くなりました。長文すみません m(_ _)m

    bynightwish_daisu at2020-04-15 08:49

  5. nightwish_daisuさん、こんばんは。

    プリエンファシスはCDPで聞く以外だと、ほんと厄介です。この前はジャケ等々に記載なし、TOCにフラグなし、サブコードにだけフラグが立っているディスクがありました。幸いにして聞けばおかしいことに気づくので良いのですが。

    ご提示いただいた酷いケース、とっても酷いですね。音楽だけの場合、せいぜい歪んでるかピッチが寄れている程度ですから、まだマシなのかもしれませんね。

    Amazon Music HDなどのストリーミングサービスは一応推奨ガイドラインがあるので、0dBFSが絶対的なフルスケールじゃなくなったラウドネス正規化環境のために、音圧競争から脱却した音源が多いですね。そういう音源、数えきれないほどあります。

    https://developer.amazon.com/ja-JP/docs/alexa/flashbriefing/normalizing-the-loudness-of-audio-content.html
    (これはAlexaのものですが、Amazon Musicについても同等のものと推測しております)

    何にしても、おっしゃられた
    >糞だと思っていた音源が豹変して眼前に演奏会場が出現するなんて体験ができると改めてオーディオ趣味も悪くないと思えるものですよねたぶん。

    このために自分は全力を尽くしております(笑)。

    byserieril at2020-04-15 23:59

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