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Musical Fidelity A1とHarbethのスピーカーのマッチングに魅せられて、オーディオに深入りすることになりました。日記の頻繁な更新には自信がありませんが、少しずつ製品コメントもアップ…

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日記

復興からの『New Direction』 - ハーリン・ライリーの新作によせて

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2016年05月03日

最高気温も、ぼちぼち25度をこえるようになると
我が家のハーベスシステムの機器は、かなり発熱するため、
部屋を閉めきっていると、なんとなく「暑いなぁ」と感じること、
しばしばなんであります。
でもそんな「ホット」な機器からホットな音楽を鳴らすと
意外に目の覚めるような音がすることがあるので
たまには若くない機器たちに無理言って、
がんばってもらっています。。。

今日は、ハーリン・ライリーの新作『New Direction』をご紹介します。



ニューオーリンズ出身のジャズ・ドラマーで
80年代から90年代にかけては、
アーマッド・ジャマルやウィントン・マルサリスのバンドに参加。
来年還暦ということで、もう大御所的存在なんだそうですが
私はあまり彼の音楽を存じあげてなかったです。。。
今回レビューするにあたって、
彼がドラムスをたたいているいろいろな音源を聞いてみたのですが
私は最高傑作なんじゃないかと思っています。
とにかくかっこいいのです。
そんなにリバーブのかかっていない音で録られた
すこし乾いた音色のドラムスが
極太の音像で重戦車のように疾走していく感じが
まずたまりません。。。
ボリュームを上げて聞くと、お腹をズンズンとする音圧が伝わってきて
ここちよいのです。
参加メンバーは、ゲストのマーク・ホイットフィールド(ギター)と
ペドリート・マルティネス(コンガ)は除いて
ライリーにとっては、もはや息子世代の若手ばかりで
しかもピアノのエメット・コーエン以外は
まだそんなに名前の知られたミュージシャンではないようです。
フロントのブルース・ハリスとゴッドウィン・ルイスのブラスも
やはりすこしドライな音色で
私はウィントン・マルサリスの音作りと似た感触を持ちました。
アルバム前半はマルティネスのコンガがとても効いていて
ライリーのドラムスとラッセル・ホールのベースが
それに有機的に絡んでいって、濃密なグルーブを醸しています。

と、こんな感じでレビューを書き進めていたのですが。。。

アン・サリーさんによる
印象的なハーリン・ライリーのエピソードに出会いました。
ttp://www.annsally.org/boundforglory/messages.html
かなり長いのですが、引用させてもらおうと思います。

「一人ご紹介したい人物がいる。私にとって非常に印象深いニューオリンズのミュージシャンのうちの一人であるハーリン・ライリーは、地元に拠点を置きながらも、リンカーンセンター・オーケストラのメンバーとしても活躍してきた世界的ドラマーだ。その彼がリンカーンセンターを2005年秋、辞めた。私は彼のドラムから音楽の枠を超えた非常に大切なものを学んだ。初めて彼のドラムをたたく姿を見たときは衝撃的であった。小さなライブハウスであったが、その精神はそこに留まっておらず、宇宙の何か大きなものとつながっているように遠くを見つめ、その目は鋭く輝き、肌は光り、とにかく、とてつもなく美しいものを見てしまったと、畏れのような感情を持ちながらひたすら演奏を聴いていたことを憶えている。その後も度々彼の演奏には接したが、ある時彼に、いっしょに演奏することが私の夢です、と伝えると、いつどのときでも、いまこの瞬間もウェルカムであると答えてくれた。彼の言葉のように、ニューオリンズでは有名無名による音楽家間の上下関係が全く存在せず一緒に演奏することが普通であり、音楽家と聴衆の垣根もない、そんな街なのだ。 
(中略)

次に彼を見かけたのは、トロンボーン奏者のジョーが19歳にして亡くなった葬儀の場であった。ジョーは地元の若手ブラスバンドの中心的なメンバーで、彼の存在があるとなしでは演奏が全く違って聞こえるというほどの腕を持つ、将来有望な若者だった。その彼が黒人街で警察に銃殺されるという事件があった。経緯はここには書かないが、その彼のおじに当たるのがハーリンであり、泣き崩れて足元のおぼつかないジョーの母親を抱えるようにして歩いている姿を私は見た。そして驚いた。ドラムをたたく時とはまるで違い、怒りと悲しみに満ちているその表情は、私の胸に強く突き刺さった。時間も距離も遠く離れた今なお、ハーリンのその二つの表情は私の頭に強烈に焼き付き、言葉なしに多くのことを語りかけてくるようだ。

彼がリンカーンセンター・オーケストラを辞めた本当の理由を私は知らない。しかし、多忙でニューオリンズを留守にしがちだった、でも誰よりニューオリンズを愛し、地元文化を誇る彼が、ニューオリンズが危機に面している今こそ、長時間滞在し音楽的貢献をすべきだと考えたのではないか、と想像するに難くない」。

ハーリン・ライリーが今作を
『New Direction』というタイトルにした背景が
透けて見えてくるようなエピソードなのですが
彼のニューオーリンズの音楽文化への貢献としての
ひとつの大きな成果が今作であることはまちがいないでしょう。
アン・サリーさんが述べられた
「ニューオリンズでは有名無名による音楽家間の上下関係が全く存在せず
一緒に演奏することが普通」ということが、
若手の起用につながっているのだろうと思いますし、
起用された若手のミュージシャンたちも
ライリーの意図をよく咀嚼した演奏を繰り広げています。
他方、ハリケーンによって無残なまでに傷ついた故郷にもどった彼が
複雑な思いを抱えていたことも、
アンさんの文章の後半からはうかがえます。
あたりまえかもしれませんが、故郷への思いとは
それほど単純なものではなく、愛憎なかばする。。。というと
言い過ぎかもしれませんが、なかなかひとことで言い表せるような
ものではないんだろうと思います。
またこれは私の憶測に過ぎませんが
明示的なものではないにせよ、
有望なミュージシャンであった甥への思いも
このアルバムの背景を構成する
なんらかの要素になっているような気もします。

熊本や大分の苦難を知らせるニュースが
引き続き報じられています。
こういう時期にこのアルバムに出会えたことは
たんなる偶然なのかもしれませんが
かの地の人でさえ、ハリケーンからこれだけの歳月がかかって
New Directionを示しえたのですから
まだまだわれわれも息のながい支援が必要になってくるのだろうな
と、そんなことも考えさせられた作品でございました。

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レス一覧

  1. キタサンさん
    レスありがとうございます。

    このアルバムなんかはレコードで出てても良さそうですが、収録時間から考えると2枚組みになっちゃいますかね。
    でもキタサンさんのような方のお耳にかなうCDPってハードルが高くなっちゃうのかな。。。私はふだんはほとんどPCなので、CHORDのDACで、あとちょい真空管バッファーで味付けというような音でけっこう満足してしまっています。。。

    今回のレビューにあたってアーマッド・ジャマルやウィントン・マルサリスの音楽をけっこう聞いてみましたが、ジャマルのごく最近(2013年)の「Saturday Morning」でのライリーの演奏もよかったです。またちょっと苦手だったマルサリスのものでは、1997年の「Blood on the Fields 」は、やっぱりすごい作品だな~と。。。ちょっと日本人のわれわれには到達しえない世界だと率直に思いました。これもライリーのドラムスでした。
    豊かなジャズ的素養と郷土愛を熟成させたのが今作なんだろうと思わされました。。。

    byゲオルグ at2016-05-04 12:39

  2. 「ブラン・ニュー・オリンズ」が彼女自身の現地生活と本職の医療業務とを通じ生まれたアルバム(大好きです)ということだけは知っていたのですが、その深い背景にまたも衝撃を受けました。ご紹介ありがとうございます。ハーリン・ライリー是非聴いてみたいです。


    検索をして知ったのですが、ベイ・シューという女性VOのアルバムにも参加しているのですね。こっちもポチりました。

    byにら at2016-05-04 16:18

  3. ゲオルグさん
    ご紹介ありがとうございます。
    早速取り寄せ手配しちゃいました(笑)

    ドラムスが大好物ですから、誘惑に負けてしまいます...
    このように物語が付加されると、同じアルバムを聴くのも、また違った聴こえ方をするものですから、楽しみです。

    今日もハーベス部屋のプリアンプ足下にゴニョゴニョしたら、増々地に足着いた解像度アップを果して、いよいよハーベス妃もエロスの世界を垣間見る様にベールを脱ぎ始めたような...ドキドキする音に成って来ました。

    また、素敵な物語を紹介して下さいね!

    では、では

    byバズケロ at2016-05-04 18:43

  4. 再レスすみません。

    アンサリーさんは中川敬氏(ソウル・フラワー・ユニオン)の「満月の夕」という曲をカバーしています。この曲は阪神・淡路大震災の直後から被災地を積極的に訪れ、現地の公園で歌い続けた中川氏が見た光景と想いが作品になったようですが、ジャンルを超えて同じシンパシーで彼女と繋がったのであろうかとか色々と考えてしまいました。

    byにら at2016-05-04 23:18

  5. にらさん
    レスありがとうございます!

    アン・サリーさんは私も好きで「ブラン・ニュー・オリンズ」以外はよく聞いていたのですが、なんとなく聞かずじまいできてしまったのです。10th Anniversary Edition が昨年出ているので、入手してみようと思います。。。でも新作が10年でてないってことですよね。彼女のヴォーカルはワンアンドオンリーなので、そろそろ新作も聞いてみたいものですね。

    ベイ・シューは「ロスト・イン・トランスレーション」という2ndですね。ピアノはサイラス・チェスナットだし、良さそうな感じしますね。これも聞いてみたいな~。。。ご紹介ありがとうございます。

    byゲオルグ at2016-05-04 23:25

  6. バズケロさん
    レスありがとうございます!

    気づくとドラマーのアルバムばかり私はレビューしてますね。。。でもドラム・ソロが好きなわけではないんですね。むしろ苦手なほうでして。。。楽曲のなかでドラムスが活き活きしているのが好みなんです。そういう意味では、このアルバムはお愉しみいただけると思います。

    >ハーベス部屋のプリアンプ足下にゴニョゴニョしたら、増々地に足着いた解像度アップを果して

    そうですか~プリのセッティングか~。私もチェックしてみようかな、スキルはないんですが。。。やはり調律ってことなんでしょうか?
    ハーベス嬢は底知れぬところがあるんでしょうか。セッティング次第でほんとに音が変わりますものね。でもまだまだ知らない表情を隠し持ってるんでしょうな~。エロスだな~。。。

    byゲオルグ at2016-05-04 23:53

  7. にらさん
    再レスありがとうございます。

    「アン・サリー 満月の夕(ゆうべ) 」
    https://www.youtube.com/watch?v=gO3geXZoW00
    ですね。
    こちらを先に見ました。
    「満月の夕/ソウル・フラワー・ユニオン」
    https://www.youtube.com/watch?v=-J9vR-JeAlU

    あらためて聞いてみると、歌のもともとって祈りだったんだよなという感慨がありました。
    ソウル・フラワー・ユニオンのほうの動画で、焼け跡にたたずんで白い息をはきながら悔しくてたまらない表情をしている男性をとらえた映像がインサートされてくるところに歌詞がシンクロしてくるのですね。

    ヤサホーヤ 焚火を囲む 吐く息の白さが踊る
    解き放て いのちで笑え 満月の夕

    同じような光景を被災地で目にした中川さんは
    きっと歌わずにはおられなかったのでしょう。
    この動画の後半で、被災地に入って歌うことに関して
    「いやなことはひとつもなかった」と答えられていたのも
    心に残りました。
    大切にしたい曲ですよね。
    アンサリーさんのカバーも秀逸でした。
    ほんとに心にしみいるような歌声でした。

    ご紹介ありがとうございました!

    byゲオルグ at2016-05-05 00:31

  8. なんとなく眠れないので自己レスしちゃいます。

    祈りの歌ということで、この曲を思い出しました。。。

    「やなせなな 街の灯(まちのひ)(Nana Yanase/Machino hi) 」
    https://www.youtube.com/watch?v=z_TQVg6amfU

    byゲオルグ at2016-05-05 01:17

  9. 遅レスすみません。やっと届きました(アマゾンの海外発送でした)

    これいいですね!疾走感溢れつつも引きずるように特徴的なドラミングにベースがズシンと重く粘っこく絡み、そこに突き刺すような乾いたブラス群、たまらないです。総じてうちではややマット調の暑苦しいサウンドですが、臨場感もたっぷりで今日みたいな熱い夜にビールのお供として最高な気分です^_^録音もいいですよね。

    ついでにベイ・シューも聴きました。ルックスも良いし歌唱力抜群でユーミンのカバー有りの、もっと国内ウケしても良さげな感じがしますね。

    byにら at2016-05-23 21:50

  10. にらさん
    おはようございます。

    へんな時間に目覚めてしまいまして。。。
    ハーリン・ライリーのアルバム気に入っていただけたようで何よりです!

    >疾走感溢れつつも引きずるように特徴的なドラミングにベースがズシンと重く粘っこく絡み、そこに突き刺すような乾いたブラス群

    彼のソロアルバムは3作あると思いますが、その中でも今作は特にリズムセクションの重量感がありますよね。それにおっしゃるようにマット調だと思いますよ、もともとの音源からして。。。でもその乾いた感じが効いているというか、全体の印象を重々しくさせすぎない効果をもたらしているように思います。

    ベイ・シューはスィート&クールな声質で、たしかに日本人好みかもしれないですね。声質がだれかに似ているな~とさっきから考えていたのですが、すこし鼻にかかったハスキーな感じということで、いにしえのビヴァリー・ケニーなんかを思い出しました。。。ちょっとピッタリではありませんが。。。

    レスありがとうございました!

    byゲオルグ at2016-05-24 05:28

  11. にらさんへの追加レスです。

    Pro-Ject [Essential II]、だんだん我が家のシステムになじんできました!
    にらさんがエールをくださったとおり、当初よりなめらかさがでてきた感じがあります。
    あんまり効果のほどはどうかと思ったのですが、このプレーヤー用にトロイダル電源をあつらえました。それもなじんできたかな~というところです。
    その節はありがとうございました!

    byゲオルグ at2016-05-24 06:00

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