Orisuke
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バブル世代の趣味人です。 オーディオと写真、山登りは趣味の3本柱で30年くらい下手の横好きをやっています。

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D58ESのニアフィールドリスニング?
D58ESのニアフィールドリスニング?
借家(戸建) / 専用室 / オーディオルーム / ~10畳 / 防音なし / スクリーン~100型 / ~4ch
単身赴任をいいことに、一軒家の貸家の一室を念願のオーディオルームにしました。しかも、「ど」のつく田舎なので音は出し放題。ただ、D-58にはちょっと狭いかな・・・・。巨大なヘッドホンの中にいるような、巨…
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日記

最近の新譜から

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2018年12月02日

今年の夏と秋は忙しさのあまり、オーディオルームにほとんど入ることが出来ず、日記も半年近くご無沙汰になっていました。ようやく、少し開放されて久々に聴くオーディオの音が、五臓六腑に染み渡ります。十年ぶりに寿司でも食べたかのように「音が旨い!」と感じるのは、完全にオーディオ飢餓状態だったんですね(汗)。その後一心不乱にタワレコとHMVのHPをポチってしまい、数日後、青ざめるような枚数のCDが段ボールに入って単身赴任先へ到着したことは、我が家の地検特捜部には隠蔽せねばなりますまい。

久々の休みでいろいろ聴いたのですが、強いインパクトを感じたのは、奇しくも同曲異演の2枚でした。


シューベルト 弦楽四重奏曲 第14番、第9番
キアロスクーロ四重奏団

ドイツ放送カンマ-ムジークザール 2017年3月
P: Andrew Keener, E: Fabian Frank
BIS-2268(SACD hybrid)

シューベルトの超人気曲第14番(死と乙女)は現在でも色々な四重奏団が名刺代わりにこぞってCD化をするもので、この数年でも凄まじい数の同曲異演盤が発生し、食傷気味になっていた曲です。テクニカルには上手くても大同小異に聞こえるようになっていました。その倦怠感を根底から破壊してくれたのがイブラギモヴァ。

彼女がキアロスクーロで演奏する時は、ガット弦のノンヴィブラート。BISには、以前にハイドンの太陽四重奏曲集を入れており本日記でも紹介しました。ハイドンの時は明るく端正に心地よい音楽を奏でていて、それはそれでとても良かったのですが、本作では表情一変。イザイの無伴奏で見せた強烈な構築性と自発性がカルテット全体に感染したような演奏です。

第1楽章冒頭の繰り返しがあるバージョンで演奏。聴衆がこの曲に期待するドラマやセンチメンタリズムは冒頭でイブラギモヴァの弓により一刀両断され、中核の第2楽章でもトスカニーニが裸足で逃げ出すようなテンションでゾリゾリと即物的な演奏を貫徹します。その結果出来上がるのは、ロマン派というよりもバロック的に屹立する大伽藍であり、正直、シューベルトのこの曲からこういう世界が導かれるとは予想だに出来ませんでした。すごい力業としか言いようが無い。もう片方の第9番は聴きやすい佳曲で、イブラギモヴァもリラックスして弾いているのでクールダウンにちょうど良し。

BISのキアロスクーロの録音チームはメンバーが一定しておらず、BIS本社のエンジニアでは無い外部の人をその都度招いて録音している模様。今回のFabian Frankという人も(Arkantus Musikproduktion)と括弧付きでクレジットされています。音像は比較的小さく、ホールの響きをある程度取り込むマイク配置の模様。イヴラギモヴァの音像はスピーカーLchの軸線上に定位します。時代楽器による演奏なのでチェロの低音は軽め。fレンジ・Dレンジはほどほどで、敢えてSACDやマルチで聴くメリットは少ないと思います。

このDiskの「バックロー度」★★★


シューベルト 弦楽四重奏曲 第10番、第14番
ヴァン・カイック四重奏団

チューリッヒ スイス放送協会 2018年2月
E: Ken Yoshida
Alpha417

このところ、中堅レーベルとして元気に新譜を出しまくるALPHA。同レーベルに所属するクワルテットのエース格は、いまや押しも押されぬベルチャ四重奏団ですが売り上げが間違いなく上がるはずの「死と乙女」はなぜかAlphaに入れていません。EMI時代の末期2009年にロザムンデ・死と乙女・弦楽五重奏を入れてから10年経っていないというのが理由なのでしょうが、これはすでに廃盤。再録を期待していたところに、なぜか、ヴァン・カイック四重奏団という男子四人組(最近はこれが新鮮に感じる)が先に録音してしまったのです。なんじゃ、こいつらは・・・ベルチャ様をさしおいて・・・。

と、聴いてみると、一聴して彼らが独自のスタイルのクワルテットであることに気づかされます。演奏スタイルはキアロスクーロとは真逆。「弦の音が濡れている」というべきか、とにかく良く歌う、歌うだけでなく、泣く、喚く、シャウトする(もちろん楽器で)。シューベルトの歌謡性やロマン性をこれでもかと引き出したドラマチックな演奏、けれども四人の技術的なレベルが猛烈に高いのでお涙ちょうだいにはならずに、すっきりとして格好いい。スポーツ観戦後のような爽快感が残ります。これは面白い。Alphaがベルチャの前に彼らに録音させた理由が分かったような気がしました。

この盤は、録音も良い。同一レーベルながら一聴してベルチャ盤の音の傾向と全く違っており、典型的な音像重視・解像度重視の録音。録音レベルがかなり高いにも関わらずスッキリと破綻が無く、Dレンジは広大。音像は実物大で眼前に展開しリアル。各楽器の分離も良く、特にチェロの締まった低音は、反応の良い高能率ウーファーか大口径フルレンジに好適。CDでありながら、その枠を感じさせない見事な録音。これはいったい誰が録ったのか、と思い確認すると「Ken Yoshida」という日本人の名前が。我が家の盤ではこの人の名前を見たことが無いけれども、音の感じは日本コロムビアやビクターの室内楽録音の傾向に近い。この人も要注目。

このDiskの「バックロー度」★★★★★


なお、「バックロー度」は、D-58ES、スワンなどの長岡バックロードSPがいかに良く鳴るか、という目安であり、演奏の中身とは一切関係ありません。

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レス一覧

  1. orisukeさん

    今晩は、CDご紹介お待ちしておりました。
    五臓六腑に染み渡るというのは良いですね。更に青ざめる量のCDというのも、何が登場するのか期待してしまいます。

    さてご紹介の2枚、イブラギモヴァ、シューベルト、アルファレコード、ベルチャの全てが当方もフォローワードですので、日記テーマに乗っていましたが、頭と気持ちの整理がつかず書ききれていませんでした。一言で言えば、こういう死と乙女というのはアリ?という戸惑いを双方に感じていたのですが、orisukeさん切れ味流石です。まさしくトスカニーニが逃げ出すのとスポーツ観戦の爽快さです。共通してアンチ メランコリーな死と乙女ですね。もう少しこのお題は自分の中で熟成させようかと思います。

    byパグ太郎 at2018-12-03 00:00

  2. パグ太郎さん

    こんばんは

    パグ太郎さんと同じで、私もイブラギモヴァ盤はさすがに違和感バリバリに感じました(笑)。私のなかでは「死と乙女」はアマデウス盤が中学生以来の定番になっていまして、なかなか子供時代に刷り込まれたメランコリーの世界観から抜けられなかったもので、その評価軸を根本から破壊してくれたイブラギモヴァに、ちょっと感謝しているんですよ。「本当に死にそうな乙女がメランコリックになると思ってるの?」って言われた気がしました。

    ヴァン・カイック盤は、例のduoWの運動性溢れるコダーイやコパチンスカヤの赤裸々なチャイコフスキーなどを聴いているうちに、なんとなく、「こういうノリノリのシューベルトもそのうち出てくるんだろうな」と予感していたところがあって、意外にすんなり入ってきました。

    byOrisuke at2018-12-03 01:42

  3. こんにちは。
    なんとなく気になってKen Yoshidaさんを調べてみたら、クレジットされている録音が2013年から始まりあっという間に増えています。

    https://www.allmusic.com/artist/ken-yoshida-mn0003220375

    ピアノソロからバロックオペラまで手掛けているようで、よほど腕が良い方のようですね。
    私もこの方の名前は頭の片隅に入れておくことにします。ご紹介ありがとうございます。

    by眠り猫 at2018-12-03 13:25

  4. Orisukeさん 再レス失礼します。
    そして眠り猫さんには横レス失礼します。

    Ken Yoshidaさんはαクラシックスとか、その親レーベルのOuthereとかで、録音エンジニアとして最近目にしますね。私も気になって調べてみました。

    日本人の父と、フランス人の母を持ち、南米でも幼少期を過ごしたようですが、音楽(ピアノとクラブサン)と音響工学に関する高等教育はフランス(パリ大学とかコンセルバトワールとか)で2010年代前半までに受けたようです。ということは未だお若い?

    元気な独立系のこういうレーベルで、日本に縁の方が活躍されるのはなんだか嬉しいですね。

    byパグ太郎 at2018-12-03 19:53

  5. 眠り猫さん、パグ太郎さん 
    こんばんは

    いまほど、眠り猫さんが検索して下さったKen Yoshidaの録音をAll Music.comで試聴していました。アーティストだけでなくエンジニアでも検索出来るというのをはじめて知りました。本当にありがとうございます。やはり、彼の録音は恐ろしく質が高いと感じました。個々の楽器へのフォーカスがビシッと合っていて、なおかつハーモニーも混濁せずに豊かです。ピントが完璧に合っているのにボケも綺麗な理想的な写真のよう。しかも、プロデューサーもエンジニアも出来て、室内楽や古楽から古典派のオーケストラまで対応するオールラウンダー。天才かも。これは、久々に熱くなってきました。

    パグ太郎さんの調べてくださった経歴ですと(どこで調べられるのですか?凄いです!)、びっくりするほどお若いのですね。音の感じは、90年代日本コロムビアの岡田・井口・馬場トリオがアリア-レで古楽をバンバン録音していた頃の解像感にちょっと似ていますが、機材やフォーマットの差もあるのでしょう、こちらの方が遙かにスムーズな音が出ています。

    これは、鉱脈に当たったかも知れません(嬉)。

    byOrisuke at2018-12-03 20:13

  6. Orisukeさん

    再々レスでしつこいですが・・・。

    パグ探偵事務所の太郎調査員と申します。ご依頼の件は、
    以下にて発見いたしました。

    http://www.kenyoshida.fr/

    調査料は「最近の新譜情報」定期購読とバーターということでお願いいたします。

    byパグ太郎 at2018-12-03 20:50

  7. Orisukeさん
    今晩は

    お久しぶりです。
    件のKen Yoshidaの録音、私もAll Music.comで検索させてもらいました。1枚だけ所有のものがあり、これはかなり気に入っているので、私からのオススメとさせてください。

    リッカルド・ミナーシ,フェデリコ・トッファーノ,マクシム・エメリャニチェフの「Haydn: Piano Trios」です。たとえば「ジプシー」の第3楽章のスピード感といきの良さは、けっこう聞きものだと思いました。エメリャニチェフから辿り着いたアルバムですが、おっしゃるように「ピントが完璧に合っているのにボケも綺麗な理想的な写真のよう」というたとえがドンピシャな感じがします。

    byゲオルグ at2018-12-03 22:49

  8. パグ太郎さん

    はい、パグ探偵事務所さんにお願い致します。

    たぶん、新譜情報は不定期だと思いますけど・・・(汗)

    byOrisuke at2018-12-03 23:49

  9. ゲオルグさん

    ご無沙汰しておりました。
    ハイドンのピアノトリオ、DHMから出ているんですね。探してみます。

    Ken YoshidaさんはNaive, Alpha, Aparte, Outhere, DHM と、さながら「さすらいの録音エンジニア」という感じで凄いですね。アーティストも、クリストフ・ルセなど有名どころもついていますし、実は相当な人気があるエンジニアなのかもしれません。All MusicやAmazon Musicで試し聴きする限りでは、クオリティが凄く高いところで揃っている気がします。

    byOrisuke at2018-12-04 00:06

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