Orisuke
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バブル世代の趣味人です。 オーディオと写真、山登りは趣味の3本柱で30年くらい下手の横好きをやっています。

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D58ESのニアフィールドリスニング?
D58ESのニアフィールドリスニング?
借家(戸建) / 専用室 / オーディオルーム / ~10畳 / 防音なし / スクリーン~100型 / ~4ch
単身赴任をいいことに、一軒家の貸家の一室を念願のオーディオルームにしました。しかも、「ど」のつく田舎なので音は出し放題。ただ、D-58にはちょっと狭いかな・・・・。巨大なヘッドホンの中にいるような、巨…
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日記

Ken Yoshida録音を聴く【12】

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2020年05月07日

ようやく「お籠もり連休」も終わり。なのに、終わったはずなのに結局テレワークという日常により曜日感覚は喪失。今日は月曜日じゃないのに・・・。この妙な生活にオーディオがやすらぎを与えてくれている気がします。Ken Yoshida最新録音、いってみましょう。



2台のクラヴサンによる組曲集
ルベル: 音楽悲劇『ユリス』からの組曲、四大元素、舞踏さまざま、田園の楽しみ
ポワモルティエ:歌劇『ダフニスとクロエ』からの組曲、村のバレエ第1番
ロリス・バリュカン、クレマン・ジョフロワ(cemb.)
2019年3月録音
ヴェルサイユ宮殿
E: Ken Yoshida
VERSAILLES CVS021

フランス・バロックのルベルとポワモルティエの曲をヴェルサイユ宮殿に伝わる17世紀リュッケルスと18世紀ブランシェの2台のチェンバロで弾く魅力的な一枚。ヴェルサイユ宮殿のブランドで製作されている一連のCDの中の一枚。

ルベルの四大元素が本盤の目玉。長岡教徒にはつと有名な曲で、ホグウッドがオーケストラ版で演奏したものが定番だがCD盤は音がイマイチ。本盤では2台のチェンバロで挑戦。冒頭の不協和音、終曲のカプリースの豪快かつ爆発的な響きが良い。最後に入っている「田園の楽しみ」は初めて聴いたが、題名から想像するほのぼの感とはだいぶかけ離れた痛快ダイナミックな曲でとても気に入った。ルベル、実は凄いなぁ。

演奏は二人の若い男性奏者。ジョフロワの方はKen Yoshidaと複数枚録音しており、技術的にも非常にレベルが高い人だ。情熱的な弾き方はジャン・ロンドーやエスファハニなど同世代のチェンバリストに共通した傾向だが、この人は速いパッセージでも音の乱れが少なく、冷静さを失わない。以前にKen Yosida録音のジョフロワらによるヴィヴァルディの2台チェンバロ曲集を紹介したが(Encelade ECL1602)、これとは音が全く違うので比較するとオーディオ的にも非常に面白い。ヴィヴァルディの方は21世紀に製作されたド新品のヒストリカル・チェンバロであり、低音が充実してストイックな音が持ち味。対して本盤は17世紀、18世紀製作のヴェルサイユ宮殿秘蔵の正真正銘の古楽器であり、明るく華やかに散乱する中高音とソフトな低音がいかにも時代を感じさせる。

ヴィヴァルディの盤では楽器配置は2台の向きを互い違いにして、その間にマイクを挟み込んでいるので、2台の音像の左右間隔は狭く、奥行き方向のズレが面白かった。一方、本盤では録音中の写真が無いので詳細は不明だが、ヴェルサイユ宮殿の楽器が保管されている場所(ヴィクトワール王女居室)でそのまま録音したとすると、2台の楽器は平行配置。本盤の2台のチェンバロの音像は左右間隔が広く、奥行き方向がフラットでヴィヴァルディとは対照的。Dレンジは広め、fレンジは中高域主体だが、解像感が緩めの中低音が曲者。小口径フルレンジでは鳴らしやすいが低音の量が多い大型スピーカーやマルチウェイではどうだろう。

このDiskの「バックロー度」:★★★★



ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第7番、第8番
ブリテン 組曲 op.6
バーバー ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
リヤ・ペトロヴァ(vn)、ボリス・クズネツォフ(pf)
2019年9月 録音 La Grange au Lac (Evian)
E: Ken Yoshida
MIRARE MIR504

Ken Yoshida録音のミラーレ初登場ということで、期待の膨らむ一枚。

ベートーヴェンの7、8番のソナタとバーバー、ブリテンの知られざる佳曲の組み合わせ。選曲の理由は「ターニングポイント」。演奏者のペトロヴァ自身が、「いま人生のターニングポイントにあるから」ということらしい。コンクール優勝で人生変わったということか、それとも・・・。ちなみに、ベートーヴェンの2曲はハイリゲンシュタットの遺書の時期に書かれたもの。ブリテンの組曲は22歳の時に母の死によるダメージの中で書かれた曲、バーバーはこの人が作曲家として初めて世に認められた作品。

リヤ・ペトロヴァはブルガリア生まれ、2016年のカール・ニールセン・ヴァイオリンコンクールの優勝者。関西フィルにも客演しているらしい。しかし、またまた登場した「東欧系」の「若手」「美人」奏者。このキーワード3点セットはどこまで続くのか。これだけ、レベルの高いのがいっぺんに出てくると、もう覚え切れなくなりそうだけれど、ペトロヴァの個性は明快。男勝りの肝っ玉姉ちゃん的な豪快な音と演奏スタイルだ。HやFではなく、2Bの鉛筆で描かれたデッサンの様に骨太の堂々とした演奏で、ベートーヴェンとガップリ組み合って四つ相撲を取っている。ピアノのクズネツォフのサポートも万全で良いコンビだと思う。このコンビでクロイツェルを聴きたい。ブリテンの組曲では表現の幅の広さが見事で、テクニックを併せ持った力演型なのが分かる。

録音はエヴィアン音楽祭の開催場所と思しきホールで、日本なら軽井沢大賀ホールの様な場所だろうか(音の傾向は真逆だけれど)。音像は等身大でソリッドな音。いつもの超オンマイクよりも気持ち引いた感じだが、アンビエンスマイクの成分を多くせず直接音重視で低音までフラットでシャープに録られている。アルファやアパルテでKen氏が見せる飛び抜けた個性的な音からより普遍的な方向に変化してきている気がするが、全体的な質は高い録音だと思う。エンジニアによるバラツキはあれど、もはや、ミラーレの音はレーベル立ち上げ当初とは別物。ハズレ激減。音のいいレーベルとして積極的に買えるようになったと感じる。

このDiskの「バックロー度」★★★★



プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番
ニールセン ヴァイオリン協奏曲
リヤ・ペトロヴァ(vn)
クリスティーナ・ポスカ(cond)
オーデンセ交響楽団
2017年6月–7月、カール・ニールセン・ホール(デンマーク)
P&E: Mettle Due
Orchid Classics ORC100086

Ken氏の録音ではないけれども、かなり気になったので、もう一枚ペトロヴァ(デビュー盤?)を買ってみた。ニールセンコンクールの優勝(この時の同点優勝者がベルリン・シュターツカペレのコンマスのイ・ジユン)の後のスタジオ録音。やはり、華やかさや柔らかさといった情緒的要素が少なく、構築性に優れた豪快な直球勝負だ。テクニックは見事で音が太く力強い。歌うところは歌わせているし、無機質なところはひとつもないのだが、作曲家のプロットが聞いている側の頭に自然と組み上がっていく独特の感覚を味わえる。結果としてプロコフィエフにマッチしており、この曲の良いところが余すところなく表現された素晴らしい演奏になっている。ニールセンは、さすがにコンクールの優勝者だけあって堂にいっており、表現の振れ幅はプロコフィエフよりさらに大きいが全く崩れない。ペトロヴァ、すごいなぁ。気に入った。

クリスティーナ・ポスカは日本で東響などに客演したことのあるエストニアの中堅女流指揮者。スイスのバーゼル劇場の音楽監督。初めて聴いたけれども、この人の音作りもペトロヴァと似たところがあり、構築性が明快でありながら情緒の表現にも不足感のないバランス感覚のいい人と見た。この人も、今後要注目。

本盤はOrchid Classicsという初めて聴くレーベル。奇をてらわないオーソドックスな良い音だ。全体に硬質の響きだが解像感は高く最低音までしっかりと伸びており、現代的なホールの響きがする。本盤は無指向マイクをメインに使ったのか、ソロの音像が肥大化せずオーケストラの音像の中に実演に近い形で定位する。Dレンジは標準的。

このDiskの「バックロー度」:★★★★

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  1. orisukeさん お早うございます。

    ついにKenシリーズも#12なのですね。短期間にこれだけの収録をしているのも驚異的ですが、それをフォローし続けるorisukeさんの情熱にも頭が下がります。

    Petrova、またまた三拍子揃った演奏家の登場ですね。それもプロコフィエフ! こんな物を目の前にぶら下げられたら、無条件に手が出てしまいます。

    実に楽しいプロコフィエフ ですね。いつか書きましたがプロコフィエフ には不思議の国のアリスの世界を感じるのです。娯楽性、幼児性、残虐さ、カオス、お上品な皮肉、夢見心地、、、。そういう要素がギッシリと詰まった演奏で踊り出しそう。ニールセンが始まる前にポチってしまいました。ミラーレのKenさんとのベートーヴェンも楽しみです。

    byパグ太郎 at2020-05-07 09:25

  2. パグ太郎さん

    こんにちわ

    Ken Yoshidaは、録音の面白さもさることながら、彼を軸に追いかけていると現在のヨーロッパの若手演奏家事情やモードが凄く良く反映されていて、次から次へと新しい物が出てくるので興味が尽きないんです。ペトロヴァはまさにそうですけれど、メジャーへの階段を登り始めた人達の勢いがCDを通してビシビシ伝わってきます。クラシックと言うよりは、現在進行形でロックやポップスのインディーズ新譜を追っている感じでとても新鮮な楽しみを与えてくれるんですよね。ジュスタン・テイラーなんかはどんどん大物になっていってますし。

    リヤ・ペトロヴァ、良いでしょ。彼女のプロコフィエフやニールセンは、血が通っているというか、その血を通わせる血管が太い気がします。ドイツ系もベートーヴェンを聴いた限りではこれからぐんぐん伸びそうです。プロコフィエフの多面性というかモザイク性というか、ショスタコやラフマニノフが基本的な方向性を予測しやすいのに比べると、プロコは何が出てくるか分からない予測不能の面白さがありますね。

    byOrisuke at2020-05-07 12:42

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