パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました。
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  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
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    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル
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    KIMBER KABLE PK-10Gold

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日記

4つの「子供の不思議な角笛」、あるいは、声の再生の難しさについて

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2017年09月06日

オペラ好きですが、オペラは聴き始めると長い。平日の夜は無理。ではピンポイントで聴きたい所だけと思うのですが、引きずられて気がつくと全曲通していたなんてことも。これを何回も繰り返すのは流石に体力がもたないので、平日の夜はオペラの箱物は手に取るのもやめています。

でもどうしても、人の声を聴きたくなる、それもデュエットで情緒豊かな感じで、夜中に聞いても大丈夫(何が大丈夫かは良くわかりませんが)となると、選ぶのはこれです。

マーラーの歌曲集「子供の不思議な角笛」の中の1曲「美しいトランペットの鳴り渡るところ」。戦場で仆れた兵士の亡霊が夜更けに恋人を訪れる、その二人の感情のやり取りを7-8分間の短い時間の中で、静かに、けれども劇的に歌い上げています。情景は夜、旧暦のお盆(今年は昨日まで)に近い、今の季節にもぴったりのテーマ。

情景を伝える語り役と、兵士の亡霊役の二役をバリトンのフィッシャー=ディースカウ、戦地の恋人を思う乙女役をソプラノ シュワルツコップ、この二人の表現力は完璧です。亡霊だと知りつつ優しく迎え入れる女性。その背景に聴こえるナイチンゲールの声。夜が白み始め別れの時が近づいたことを悲しむ恋人を慰める亡霊。余りに美しい二人のやりとり。録音は69年でフィッシャー=ディースカウは44歳、シュワルツコップ54歳ですので、自ずと大人の恋、諦め、悲しみが心に染み入る絶唱になります。

でも、この歌曲集、実は「管弦楽伴奏を伴う独唱のための歌曲集」となっていて、本来の姿は、男声・女声は問いませんが一人三役で演ずるものらしいです。従って劇的な男女二重唱でオペラの代わりにもなるというのは珍しい演出なのです。他の録音を確認しても、男声・女声のどちらかをソロにして全曲収録している場合はもちろん、男女二人の歌手を揃えて収録している場合でも、どちらかの歌手が独唱で歌いきっていることが多いです。

そうなってくるとフィッシャー=ディースカウ・シュワルツコップという超一流の芸達者二人によって演じられた劇を、一人の歌手でどの様に歌い分けているか、そちらの方が今度は気になりだします。

ルチア ポップが歌うこのCD(85-86年録音)。伴奏はテンシュテット指揮ロンドン フィル。ソプラノで演じられる兵士の年齢が、ぐっと下がります。それによって幼いともいえる年齢で兵役に取られ、恋人を国に残して戦地に赴いた悲痛な悲しみが、一層切実さをもって伝わってきます。一方で乙女を演じる時の表現、二人のやり取りのコントラストはどうしても薄くなる様な気がします。

ここは、やはりメゾソプラノで出番です。アバド・ベルリンフィルが選んだメゾはフォン オッターです(98年録音)。中性的なズボン役も得意とする彼女は、若い兵士の男性的側面と、大人になりきる前の少女のアンビバレントな女性的側面とを微妙なバランスで演じ分け、その優しさ、悲しさを際立たせることに成功しています。そして、その陰影に富んだ声質もこの情景にぴったりです。もう一人のお気に入りのコジェナーが、ブーレーズ・クリーブランドで入れたのがこれ。録音当時(2010年)37歳の声はやはり若い、ソプラノに近いメゾなのでオッターと比べると声が美しく伸びやかですが、この場には明るすぎる。またもや悪い癖が出て、コジェナーの声でオッターの翳りを演じてくれる人は居ないのかと、堂々巡り・・・・。

音の質感の出し分け、そこに込められた感情の起伏、それはどんな楽器が演じても表現として伝わってくるものではありますが、やはり人間の耳は人の声に敏感に反応するようにできているのでしょうか、私には人の声の変化が一番わかりやすいです。だからこそ、声のオーディオ再生は難しく、ある歌手の声を特定の曲の曲調にあわせて最適チューニングすると、別の録音で、あれこんな声じゃなったはずということが良くあります。

そんなこんなで、この曲も4枚以外にも、バーバラ・ボニー、ジェシー・ノーマン、等など、贔屓歌手の録音が目白押しです。結局、配信サービスやら動画サイトを探し回って、ごそごそやっている内に、時間が経過して丑三つ時を越えそうです。恋人の亡霊が訪ねてくる前に寝ることにします(でも、亡くなった恋人なんてロマンティックなものはいないから関係なしか)。

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  1. 下品極まりない私にはオペラって異次元の産物。 まぁー 有名処は視聴した事くらいはアルかもしれませんが・・

    音楽にしろ、映画・ステージにしろ、全てを視聴しないと本来の良さって伝わり難いですよね。 レコードやテープの時代は難しかった、リモコン1つで出来る頭出し! 摘まみ食いみたいな視聴が今では簡単。 でもソレって間違ってる! じっくりと聴いたり見たりする事で、作品の本来の素晴らしさが伝わって来る。 二度三度と視聴することで・・ より一層。

    時間がないとダイジェスト視聴(笑)で済ませてしまうが、それはNGですよね。 コレクションが多くなると、一度しか視聴してないディスクが多くなって仕舞います。 ヘビロテのディスクが有る一方、死蔵品もあったりします(-_-;) これじゃイカンと思い、三回に一回は旧作品を見るようにしています。(BD/DVDの場合) こうやって改めて見直すと新たな発見もあったりします。 装置などの環境も変わってるので当たり前と言えば当たり前なんですがね(笑)

    CDも作業中などのBGMは無作為にチョイスし聴いています。 これも買った時しか聴いていない盤も多く、今聴くと新たな発見があったりもします。



    ん? 横路に逸れすぎでしたね (._.)_

    オペラか・・・・ 大画面で見るとどうなんだろう? 私にはまだ睡魔との戦いかな(笑)

    大変失礼しました。。。

    byアコスの住人 at2017-09-07 07:49

  2. パグ太郎さん

    声楽はやはりとっつきにくいです。

    オペラも難しいですが、歌曲はさらに難しいですね。それは「言葉」の壁というのでしょうか、ただメロディーを追うだけでなく「言葉」の意味も理解しその語感や口調も感じ取らなくてはならないからでしょう。特に歌曲は、詩そのものの純度が高いのでなおさら。対訳を見ながら何度も何度も繰り返し聴いて、ようやくその深みが見えてくる…そういうものだと思います。

    クレンペラーとアバドの2枚は、この歌曲集の演奏の変遷の今昔をとても象徴していますね。取り上げておられるように、クレンペラーの時代は「美しいトランペットの鳴り渡るところ」を男女のダイアローグとして演奏することのほうが多かったそうです。

    けれども、現代ではこれを戦場に行った恋人の幻影を見る乙女の心象として女声ソロだけで演奏されるのが主流となっています。情景描写のような第三者の地の部分、乙女の語り、その乙女が見た兵士の幻影の語り、の3つを歌い分けていくなかで乙女の狂おしいまでの孤独感が伝わってきます。そういう意味では、断然、アバド盤のフォン・オッターを取ります。オーケストラも、アバド盤のほうは、戦争体験の影こそ薄いかもしれませんが、トランペットの音色や陰影などほんとうに見事です。

    この歌曲集は、男声・女声のふたりのソロのために書かれたとみるのが本来だと思います。男声ソロ、女声ソロ、そして、男声・女声のダイアローグ、対話劇となっているのが「無駄な努力」(SieとEr)、「塔に囚われて迫害を受けし者の歌」(Der GefangeneとDas Madchen)、「不幸中の慰め」(HusarとMadchen)。「歩哨の夜の歌」は「美しいトランペット…」と同じように、デュエットか男声ソロかの解釈が分かれるでしょう。

    ところがアバド盤は、すべて1曲はひとりのソロということで貫徹しているのです。ライナーノーツには、「通常はいくつかの曲ではふたりのソリストで演奏されるが、アバドは、マーラーがその歌曲を自ら演奏したやり方に従ってひとりの歌手で演奏するようにした」とわざわざ注意書きがされています。

    さらに、たったひとりで全曲を歌っているという録音もあります。それをやりきったのはトマス・ハンプソン(2011年)だけだと思うのですがいかがですか?誰かメゾソプラノがひとりで歌いきってみてほしい気もしますね。

    byベルウッド at2017-09-07 14:57

  3. パグ太郎さん こんばんは

    この曲は 先日の サイトウキネンで ソプラノ歌手だけで

    演奏されていました。

    いろいろな 演奏形態があるんですね。

    byX1おやじ at2017-09-07 21:27

  4. ソプラノひとりで全曲を歌ったわけではないはずです。実際に聴きにいったわけではないので正確ではないかもしれませんが、歌われたのは、

           ラインの伝説
           この世の生
           天上の生(交響曲第4番より)
           この歌を作ったのは誰?
           美しいトランペットの鳴り渡るところ
           不幸中の慰め

    の6曲だけだったはずです。騎兵(Hauser)と乙女(madchen)の対話になっている「不幸中の慰め」を歌っているのが注目ですがその他は女声が歌うのが通例の曲ばかりです。なお、「不幸中の慰め」はアバド盤では男声のクヴァストホフが歌っています。

    指揮をしたシュトゥッツマンが残りを歌うのかと多くのファンは期待したかもしれません。コントラアルトの彼女は「冬の旅」全曲も歌っています。なかなか全曲演奏されないこの曲集で歌い振りをやりきってこそ音楽祭のプログラムらしい挑戦でしょう。

    セイジ・オザワ松本フェスティバルは、文字通り小澤征爾とその取り巻きたちの学芸会に堕したかの様相を呈しています。真摯で全力での演奏を繰り広げているのはルイージ指揮のプログラムだけです。かつての松本フェスティバルのこころざしはどこへいってしまったのでしょうか。

    ひとり歌いは、ハンプソンの他に、御大フィッシャーディスカウ(バレンボイム盤)の録音があるのを忘れていました。

    byベルウッド at2017-09-08 00:25

  5. アコスの住人さん

    レス有難うございます。

    私はオペラは(特にイタリア)、「演歌+韓流ドラマ」の西洋版だと思って聴いています。劇の作り方も、感情の乗せ方も、パターンがある程度決まっていて、その様式美を楽しむ感じです。そのパターンに一度、嵌ると中毒症状になります。

    仰るとおり、全曲聴かずに、つまみ食いは本来の姿ではないですね。でも、媒体が便利になって映画でも好きなシーンだけつまんでしまうとか、ついやってしまいます。

    byパグ太郎 at2017-09-08 06:04

  6. ベルウッドさん

    レス有難うございます。

    確かに、歌曲は、オペラよりとっつきにくいですね。きれいな旋律を聞かせるよりも、歌詞を如何に表現するかを聞かせることに比重が置かれているので、歌詞を見ながら細かく聞き込むと味がでてくる感じですかね。(オペラは極論、「こんなことを言っているシーン」で済んでしまいます)

    「美しいトランペット」女声ソロでは、出現した亡霊との対話ではなく、幻想を含めた独り語り(オペラで言う所の「狂乱の場」)という解釈なんですね。その前提で、聴いてみると、夫々の歌手の評価もまた違ったものになるかもしれません。こういうところが、やはり歌曲は奥が深いですね。

    ハンプソンも、フィッシャーディスカウも聴いたことはありますが、手元に無く、記憶で言えば、ハンプソンの方が若々しく、彼独特の柔らかい声・唄い方で良かったという印象ですが、肝心のこの曲は覚えていません。ディースカウは、年齢が行き過ぎていて、この曲には合わないと感じました。またディースカウは、サバリッシュのピアノ伴奏のザルツブルクライブ版があるらしいのですが、そちらは聴いたことがないです。

    byパグ太郎 at2017-09-08 06:26

  7. X1おやじさん

    レス有難うございます。

    そうなんです。この曲集、いろんな形で、演奏されます。耳にする機会が多いのは、交響曲の、2,3,4番に流用されている部分なのかもしれません。

    サイトウキネンでのソプラノ独唱のリディア トイシャーですが、聴いた事がないです。情報有難うございます。YouTubeで探してもみようかと。

    byパグ太郎 at2017-09-08 07:17

  8. ベルウッドさん、X1おやじさん

    >シュトゥッツマンが残りを歌う

    ピアノやヴァイオリンの弾き振りというのは良くありますが、歌手が指揮して、歌い振りというのは、面白いですね。しかも、アルト。歌手出身で指揮者というのも珍しいですし、女性指揮者自体が少ないのですから、滅多にない? 彼女のヘンデルの歌い振りのCDあるんですね。知りませんでした。

    更に、コントラルトとソプラノ二重唱で、この曲を演奏するとどうなるのかとか、興味津々です。

    byパグ太郎 at2017-09-08 07:35

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