パグ太郎
パグ太郎
クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
パグ太郎の部屋
持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました。
所有製品
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル
  • 電源ケーブル
    KIMBER KABLE PK-10Gold

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日記

未来の歌姫を求めて、或いはネットとパッケージメディアの関係

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2017年09月13日

YouTubeでオペラ歌手の国際コンクールの動画を探して見るのが好きです。
CDがリリースされていない、新人発掘の楽しみです。地方劇場の出演しかなかった若手が、コンクール優勝を契機に国際的に有名な劇場の端役に出ていたかと思ったら、あっという間に主役級にということもあります(この辺りが以前ご紹介した弦楽四重奏と大きな違い)。

見つけた歌手がメジャーになっていく姿を追いかけていると、勝手に応援している気分になったりします。本当に一流になってくれれば、「見る目に狂いがなかった」と自慢したくなります。(まあ、AKBや宝塚と同じですかね)

Nadine Sierra アメリカのリリックソプラノ(1988年生)。Neue Stimmen(新しい声)国際声楽コンクール(欧州最大のメディアグループのベルテルスマンが主催)の2013年優勝。張りのある声も魅力的ですが、小声でささやく様に歌う時の、細やかな表情付けが素晴らしい。コンクール中に歌った『カプレーティ&モンテッキ(ロミオとジュリエット)』のジュリエットの悲嘆のアリアの映像がこれ(主催者がアップしている映像)。
最後の声のコントロールは素晴らしかった。このアリアのもう一人の主役であるホルン奏者のおじさんのバックで嬉しそうな様子が微笑ましい。これだけの表現力を持っている歌手はトップクラスでも少ないと思いました。彼女はその後,順調にメジャーへの階段を登っているようで、スカラ座(16年)・メトロポリタン(17年)・パレルモ(17年)・7/14パリコンサート(17年)に登場しています。特にスカラ座では、「リゴレット」でレオ・ヌッチと協演、2幕終曲の二重唱ではカーテンコールでも拍手が鳴り止まず、クライマックスを再度歌うという最近では余り見ないほどの興奮を引き起こしていました。(これは正規画像とは思えないのでリンクなしです)

でも、まだCDデビューは出来ていません。オペラのセッション収録が毎月のようにリリースされていた時代であれば、こういった若手を端役で発見することができたのですが、時代は変ってその役割を動画配信が担っているのかもしれません。

もう一人の最近の注目株はValentina Nafornita モルドヴァ生まれのソプラノ(1987年生まれ)。写真の通りの容姿ですが、容姿以上に魅力的なのが声。こちらは、2011年のBBC Cardiff声楽コンクールの優勝直後からスター街道まっしぐらという感じで、12年からスカラ座、バイエルン国立歌劇場で主役級を歌い、その後パリ・オペラ座・ウィーン国立歌劇場にも登場。15年にはザルツブルク音楽祭で、ダルカンジェロのドン・ジョバンニ相手にツェリーナを歌っていたのは、NHK BSでも放送されたのでご覧になった方もおられるのでは。これだけ、成功していてもレコード会社と契約がないというのは、不思議なくらいです。
(こちらは彼女のオフィシャルサイトにあったリンク)


もう一人YouTubeで見つけたのが、Patricia Janeckova 1998年スロヴァキア生まれのまだ19歳。年齢的にも本格的キャリアを積む前ですね。2010年12歳で母国の才能発掘TV番組から登場し、それがCNNで放送されて有名になったという、まさしく変り種。これまでも、この手の才能発掘番組で発掘された天才少女はシャルロット・チャーチやジャッキー・エバンコをはじめ多いですが、本格的オペラ歌手のキャリアを辿った人は少ないのではと思いますが、その後の彼女の映像を見る限り、オペラ歌手として着実に勉強しているように見えます(現在ヤナーチェク音楽院声楽科に在籍中という情報もあり)。<J.ストラウスの春の声>
<オッヘンバック オランピアのアリア>(両方とも、オフィシャルサイトの提供)
メジャーな劇場に出てくるにはもう少し時間がかかるかと思います。新人発掘どころか、学生時代からの青田買い(買っている訳では有りませんが)ですね。

逆に、若手ではなくても、CDに出てこない魅力的歌手をネットで発見することもあります。ここで紹介する二人は、オペラ劇場や音楽祭、著名な指揮者のコンサートでの独唱者として国際的活躍をしていますが、商業ベースの録音媒体の世界では殆ど知られていない歌手です。そして二人の声がまた対照的。

Sylvia Schwartz イギリス系スペイン人(容姿は全く南欧・ラテン風では有りません)(1983年生まれ)。ヨーロッパ各地の主要劇場で、リリックソプラノとして活躍しています。透明感あふれる声と、丁寧で情感あふれる歌唱は、モーツアルトやシューベルトにぴったりで、本当に美しい。
EuroArtがアップしているモーツァルトのパパパこちらは所属事務所のアップしたシューベルトの歌曲

一方、Beatrice Uria-Monzon フランス人のメゾソプラノ(1963年生まれですのでベテラン)で、フランスではカルメンのスペシャリストとして知られているらしく、いくつかCDやビデオ作品も出ています。Sylvia Schwartzの清楚な印象と真逆で、カルメンとして舞台に映えそうな容貌(こちらがスペイン人では?)と、その陰りのある重い声。彼女の唄った、グノーの『サッフォー』のアリア「私の不滅の竪琴」の動画が凄い。
こちらはOperaOnLineの動画
同曲はコジェナー、クレスパン、ガランチャなど大好きな歌手がCD録音していますが、そのどれよりも迫力があります。ヒロインが最後に身を投げる夜の暗い海の波の轟きを連想させる歌声。日本で言えば日本海の冬の荒波を歌う演歌、イベリア半島ではファド。贔屓筋としてあげた3人が皆、可愛く聴こえます。これはYouTubeでなく、しっかりとした音源で聴きたい(更に動画配信のビデオは不要です。この歌を演ずるのに、上半身と同じくらいの大きさのリボンのついたドレスってどういう感覚?)

好きな音楽を見つける、新たな演奏家との出会いを得るのに、いまやネットの恩恵は否定できません。ただ、見ていると権利関係がどうなっているのだろうというものが多くて、紹介していいものやら、判断に迷ってしまいます(今回はアップしている所の素性が明らかなものに限定)。自分はCDを買うための情報収集手段として利用していても、世の中、そればかりではないはずです。また、もっと良い音で聴きたいと書きましたが、ネット技術の進化で更に向上するかもしれません。そうなれば、ますます記録媒体を販売する、或いは権利者が正しくライセンス料を受け取るモデルの根底が覆され、「CDデビューできない」のは何故と言っている私自身が、その原因を作っていることになるのでしょうか。

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  1. パグ太郎さん

    若い無名の歌手が一躍スターダムに上り詰めるというお話しほど不可思議な話しはないですね。朝、目を覚ましてみるとスターになっていたという類いの話ばかりです。ビルギット・ニルソンも、ストックホルムの音楽学校を卒業して王立歌劇場の支配人や関係者に「役をください」と懇願することにうんざりし故郷に帰ろうと考えていたとき、突然、スター歌手のキャンセルでマクベス夫人の代役が回ってきます。そんな話しを自伝に書いていますが、その後は王立歌劇場で活躍、そこを訪れた大物たちに引き上げられてあれよあれよという間にウィーンやメトロポリタンの大スターになってしまいます。

    歌手というのは、ベレリーナほどではないにしても、劇場への帰属関係が強いですね。戦後、勃興したレコード産業であってもその関係に割って入ることはできませんでした。功成り名を遂げた大スターが歌劇場から引退してようやくレーベルと結びつくということでしょう。

    ですから宝くじにでも当たるかのようなチャンスをものにしない限りそういうスターの座と活動の自由は得られないのだと思います。その点で、今のネット社会は自由ですね。

    クラシックの歌姫に限らず、ネットを覗くといわば音楽家の自撮りともいうべき画像がたくさん上がっています。既製の権力に頼らず自己アピールも可能というのがネット民主主義なのでしょう。

    そういえば、昨夜も四ッ谷の交差点で「路上から武道館を目指す」と掲げた若者二人が路上コンサートをやってました。彼らも動画でも何でも撮って、ネットであげてもらうことを願っているのでしょうね。

    byベルウッド at2017-09-14 10:19

  2. ベルウッドさん

    レス有難うございます。シンデレラ物語が成立する所が、その劇場の華やかな環境も含めて、オペラのオペラたる由縁かと思います。でも、そういう文化もどんどん失われていくのでしょうね。

    ミラノは北イタリアで霧の深い街ですが、スカラ座の主役の代役で急遽呼び出された無名歌手のフライトが遅れに遅れ、開幕に間に合わせるために、パトカー先導で空港から全信号無視で劇場にギリギリに乗り付けて、大成功を収めというような武勇談が神話に様に付きまとうのも、また大時代がかっていて楽しいものです。

    ネットはネットならではのシンデレラ物語がこれからどんどん出てくるのでしょうね。ただ、ネットで心配なのは賞味期限が短くて、本来磨くのに時間を要する資質を、メディアが食いつくしてしまう傾向があることですね。そういう意味で、取上げたヤネチコヴァみたいな人が本物に育ってくれると、良いモデルケースになるのではないかと期待しています。

    byパグ太郎 at2017-09-15 18:29

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