パグ太郎
パグ太郎
クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
パグ太郎の部屋
持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました。
所有製品
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル
  • 電源ケーブル
    KIMBER KABLE PK-10Gold

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日記

「太郎冠者は、ソプラノ歌手の夢を見るか?」について

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2017年09月30日

先日、オペラ好きになる切っ掛けになった体験は何かと聞かれて、明確にこれと答えることが出来ず、さて何だったのだろうと記憶を辿ってみました。思い出から掘り起こしたのは、なんとこれです。ペルゴレージの「奥様女中」

高校生時分のある日、NHK FMの「バロック音楽の楽しみ」でかかったのがこの曲でした。なにやら楽しげな男女の掛け合いの二重唱が、小編成の弦楽奏の上に軽やかに繰り返されていて、二人が何を言い合っているのか、その筋も何もわからないまま、面白がって、何度も、冒頭部分が切れているエアチェック録音を聴いたという記憶があります。

それまで、オペラと言えば、世間一般の反応と同じで、長い、やたらと大袈裟で甲高い声でうるさい、そもそもこの劇の流れで中で突然歌いだすのは不自然、美男美女の悲恋であったり、死の床にある薄幸の美女であったり、野生児のような英雄であったりするはずのキャラクター設定と演ずる歌手たちのビジュアル上のギャップの激しさ、などなど受け入れ難いことの数々で、敬して遠ざけるという姿勢でありました。

でも、その時FMラジオで流れた「奥様女中」は、ソプラノもバリトンも大袈裟ではなく、ユーモラスで軽く、明るい、狂言のような雰囲気。そして何より1時間弱で終わる。これまで抱いていたオペラのイメージが大きく覆りました。振り返ってみると、この狂言に似ているという直感は、我ながら鋭く、「奥様女中」は古典的悲劇オペラの幕間息抜き小品で、本邦で言えば能の幕間狂言と同じ位置づけだったということを知ったのはだいぶ後になってからでした。(狂言の主人公:野村萬斎の太郎冠者)

ペルゴレージのこのレコードは当時廃盤で入手困難、他の録音も出ておらず、幻の作曲家だった彼の作品に、やっと次に出会ったのが、この宗教曲「スターバト マーテル(悲しみの聖母)」。明るく、軽く、楽しい作品を期待するのは、このジャケットからは無理とはわかっていましたが、それにしても大外れ。いきなりの重々しいアルトの声でに大きな衝撃を受けたのを今でも覚えています。

その後のペルゴレージに関する思い出と言えば、これもずいぶん後になって、ストラビンスキーの、新古典派時代のバレエ音楽「プルチネルラ(道化師=日本では狂言の主人公である太郎冠者)」を聴いて、それがペルゴレージの楽曲を素材にして作曲されたもの(それ以外の作曲家も含まれるらしいですが)と知り、新鮮な驚きだったことでしょうか。その時は、ストラビンスキーが奥様女中を元にオペラ作ったら面白かっただろうにと思ったものです。

さて、ペルゴレージ押しで行っても駄目なら、似たようなオペラは無いだろうかと幾つか有名曲を試しましたが、こちらも行き当たらずで、オペラは「奥様女中」だけという状態が続いた後に、遭遇したのが、以前にもご紹介したこれ。貴族と女中の火遊び、男と女の立場が瞬時に入れ替わる寸劇という基本的な世界は共通ですが、奥様女中の簡単で、単調とも思える表現を、「フィガロの結婚」は、どんでん返しの回数でも、登場するカップルの数でも、音楽の精緻さ・複雑さ・多様さでも、その全ての面で、進化・拡大させているもので、たちまち魅了されてしまったという訳です。奥様女中という初期導入体験が有って、フィガロが楽しめる下地となっていたのかもしれません。

そして、このフィガロの録音には、もう一つ、オペラの世界から離れなくさせる、導入体験が仕込まれていたのです。それはコトルバスというソプラノ歌手です。可憐で、ユーモラスな、柔らかいけれど伸びのある歌声に、先ず嵌りました。ヒステリックに高音を延々と聞かせつづけるのがソプラノ歌手であると言う先入観を覆してくれたのが、彼女の声です。そして、歌詞一つ一つに細やかな表情をつける演技力に魅了されました。ここまでくると、室内楽や器楽曲を聴く時と同じ悪い癖が出ます。同じ役を演ずる他の歌手との声質の違いや、表情の付け方の差が気になりだしますし、彼女の出演する他の作品の録音の追っかけが始まります。

クライバーの「椿姫」(77年)、アバドの「カルメン」(77年)、ジュリーニの「リゴレット」(79年)、レバインの「魔笛」(80年)と、当時は新録音ニュースが流れるのを待ち構えていました。クライバー指揮の「ボエーム」は録音途中で指揮者と彼女が喧嘩して途中キャンセルとなったのが今でも悔しい(グラモフォンの倉庫の奥深くには、その未完成テープが眠っているはずと信じています)ですし、以前マーラー2番はメータが好きという記事を書きましたが、白状しますと、ソプラノソロが彼女だという裏の理由があったりします。

彼女の引退後は、彼女に代わる歌手が登場しないか、YouTubeを見張っているということは、これまた先日の日記でお披露目した通りです。

この日記をご覧頂いている方で、以前の私と同じ様な理由でオペラはちょっと勘弁と言う方がいらっしゃいましたら、ペルゴレージの「奥様女中」を、或いはそれと同じ世界をストラビンスキーが現代風に蘇らせた「プルチネルラ」の何れかを未聴であれば、お試ししてみることをお勧めいたします。オペラの広大な迷路への入り口が、そこには隠れているかもしれません。

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  1. 実はこの「プルチネルラ」、私の大好きな曲なんです。

    大学入学祝いにステレオセットを買ってもらっていの一番に買ったレコードの一枚がアンセルメ/スイスロマンド管の全曲盤でした。全曲版、組曲版、それに室内楽版(「イタリア組曲」のチェロ版、ヴァイオリン版)も含めれば私の同曲異演の所有として最多なのがおそらくこの「プリチネルラ」です。

    http://community.phileweb.com/mypage/entry/2408/20100428/18181/

    「プルチネルラ」が知られるようになって、「奥様女中」の一発屋的なイメージだったペルゴレージにもスポットライトが当たるようになったのもこの頃でした。NHKFMの「バロック音楽の楽しみ」(現「古楽の楽しみ」)で、その原曲となったペルゴレージ作品を特集して放送されたこともよく覚えています。夭折の天才というのも青春真っ只中の私には魅力だったのでしょう。

    「悲しみの聖母」(カラッチオーロ/ナポリ・ロッシーニ管)は、その心に染み入るような静謐な美しさに感動してガールフレンドの誕生日にプレゼントしましたが、数年後、どういうわけかUターンしてきて今は私のレコード棚に収まっています。

    とても愛聴していたのは、クリストフ・ルセ/ レ・タラン・リリクのCDです。バーバラ・ボニー(ソプラノ)とアンドレアス・ショル(カウンターテナー)の歌唱が素晴らしい。

    byベルウッド at2017-10-01 17:30

  2. ちょうど10年前がペルゴレージ生誕300年だったのですが、その時にアバドが手兵モーツァルト管を率いた「ペルゴレージ・プロジェクト」での24年振りの再録盤も買いましたが、どうもピンと来ずに棚で眠っていました。ごく最近、ふと思うところがあってこれを取り出して聴いてみたら素晴らしい。買ったばかりの時はシステムが未熟でうまく鳴らせていなかったのですね。

    来月は、紀尾井ホールの「オリンピアーデ」に行く予定です。

    この公演は、2年前に同ホール20周年記念に日本初演されて、オリンピックの東京開催決定も追い風になって話題となったプロダクションの再演。私は2回目ですが、今回は幸田浩子さんファンの友人を誘って観に行くことにしました。

    http://community.phileweb.com/mypage/entry/2408/20151020/49112/

    コトルバスの「椿姫」(SACD)は、私も持っています。オペラは観るもの、CDは買わない主義の私が持っているオペラ全曲盤の数少ない組み物CDのひとつです。娼婦にしては可憐過ぎる、線が細いなどとの評もありますが、クライバーの指揮の魅力も相まってファンが多いですね。私もそのひとりです。

    コトルバスは、スザンナや「ラ・ボエーム」のミミ、「リゴレット」のジルダなどいかにも彼女にふさわしいのですが、「椿姫」や「カルメン」などではそれまでのその主役に対する固定的な既成観念を変えるきっかけになったソプラノではないでしょうか?

    ところで2枚目の写真のCDは、どういうことに貢献したのでしょうか(笑)。

    これもやはり、学生の頃、話題となってラジオでよく聞かされました。日本にも大屋政子さんというひとがいましたね。まああの夫人はいちおう音楽学校出身ですけど。

    byベルウッド at2017-10-01 17:37

  3. ベルウッドさん

    レス有難うございます。ストライクゾーンの真ん中にボール置きに行ったようですね。

    ご質問いただいたときに、ちゃんと思い出していたら、この話題で盛り上がったのですね。残念。

    更に、ムローバ・ラベックの二重奏のCDはラベルのソナタをお聞き頂きましたが、存じ上げていれば、イタリア組曲を掛けていたと、これも残念。

    スタバートマーテルは、この文脈でない所では、当然、大好きな曲です。因みに取り上げたCDは、敢えて言及しませんでしたがソプラノソロで選びましたが(笑)、ベスト版ではないかも。アバド版は私も持っていますが、やはり棚で眠っています。

    オリンピアード、演るのですね、と言いますか、こういうレアものを上演するとは驚きです。情報有難うございます。

    椿姫はリリコ・スピントでも大変な役ですので、レッジェーロのコトルバスにはつらい所です。カルメンは、流石にタイトルロールは無理で、ミカエラですが、主役がベルガンサですから、この二人のやり取りは、真面目な悪女と可憐な田舎娘で、何とも迫力のないものですね。それでも買ってしまうのが追っかけの性といいましょうか。

    2枚目の写真は、世間通念としてのソプラノ歌手のイメージを乗せたかっただけでございまして、ちょっと無理がありましたね。

    byパグ太郎 at2017-10-01 22:31

  4. パグ太郎さん

    「カルメン」は勘違いでした。普通にミカエラでしたね。どうも先日お持ちしたアバド/ベルリン・フィルとのフォン=オッターの「ハバネラ」と被ってしまい混同しました(笑)。

    ムローバ/ラベックのデュオでは、イタリア組曲を聴かせていただいたはずですが?修正後の聴き直しでもそうリクエストして1トラック目をくり返し聴かせていただいたはずです。今回はてっきりその延長ということかと思っていました。

    byベルウッド at2017-10-03 11:12

  5. ベルウッドさん

    私も勘違いでしたね。二日連続オフ会でどちらがどちらだったか混乱していました。

    という言い訳に加えて、ポゴレリッチを取り上げた日記、ベルウッドさんのブリテンの日記、今回のペルゴレージとストラヴィンスキーの記事で、ずっと気になってなっているのが、古典に回帰することと革新の関係はどこからくるのかとか、自分がそこに反応するのはどうしてかとか、もやもや考え中ということもあり、プルチネルラについてはまだ語るのが早いという思いもありました。ムローバ/ラベックの延長戦はまた改めての宿題ということで(なんか宿題ばかりがつみあがっているような、、、^_^)。

    byパグ太郎 at2017-10-03 21:46

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