パグ太郎
パグ太郎
クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
パグ太郎の部屋
持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6) 10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました(2017/6)。
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

シューベルトの女声リート、あるいは、見逃していたカサロヴァの魅力について

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2017年11月26日

本題に入る前に。
11/22、ロンドンで急逝されたロシアのバリトン歌手ホロストフスキーさんに哀悼の意を表したいと思います。敵役をやらせたら天下一品の彼の歌声と演技は、これから、さらに磨きがかかってくると信じていたのですが、55歳の病死はあまりに早すぎます。ネトレプコと共演したモスクワ赤の広場でのガラコンサートのビデオを見ながら、冥福を祈りました。

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本日のテーマは、カサロヴァというブルガリア出身の名メゾソプラノ歌手についてです。1965年生まれですので、もうベテランです。レパートリーを見ると、ヘンデル・モーツアルト・ロッシーニ・グルック・モンテベルディ等の古典期オペラのメゾ役がメインで、それ以外にフランスのオペラや歌曲が加わります。イタリアのベッリーニ・ドニゼッティ・ヴェルディ・プッチーニ、ドイツのワーグナーというオペラのメジャー路線が抜けているこのポジション(誰でも知っている様なメジャーな主役の役回りが殆どないが、絶対必要な所を押さえる性格俳優?)で言えば、私にとっての一押しの歌手は、やはりコジェナーです。カサロヴァは録音聴いても、上手いのは上手いし、発声・表現ともに悪くはないが、自分にとっては「しっくり来ない歌手」の一人という印象でした。

その歌手の旧録音(99年ですから、彼女が34歳の若手の時)のこのCDを偶然、耳にして驚きました。<カサロヴァ 「夕映えのなかで シューベルト、シューマン&ブラームス歌曲集」>

先ず品が良い、過度な表情付け一切ないが薄味ではない、歌詞の一つひとつをとても大切に語るように歌いこんでいる、メロディについても抑制は効いているが響かせるところはしっかりと歌い上げており、その時の美しさ格別。そもそも、彼女にとってロマン派ドイツ歌曲なんて全く専門外のはずで、後にも先にも、このジャンルのCDはこの一枚きり。シューベルト歌曲の女声の録音で、私にとっての絶対的存在はシュワルツコップです。それ以降も、好きな歌手は沢山います。アメリンク、オッター、ルードビッヒ、ヤノビッツ、ロット、ボニー・・後、だれだろう? でも、カサロヴァは決して負けていない。もしかするとシュワルツコップ以降で最上の出来栄えではないか?と、ちっと興奮気味。うーん凄い。でも、何で?

もう一つ忘れてはならないのは、ピアノ伴奏。カサロヴァの歌唱にきっちり寄り添う形で、音楽を支えている、時には、この精緻な歌唱をリードしていて、また完璧。フリードリッヒ ハイダー? このピアニストだれ? どこかで聞いた様な名前・・・グルべローヴァの伴侶の指揮者が同姓同名だが・・・。やはり本人でした。こんな凄いリート伴奏できるのか・・・さらに驚き。ですが、彼もシューベルト歌曲のピアノ伴奏はこれ一枚きり。何で?<夫人のグルベローヴァのピアノ伴奏者としてCDジャケットに登場:未聴です>

歌曲のピアノ伴奏は、歌い出しの前の前奏で、作品の描く世界を聴き手にイメージさせる、そして歌い終わった後の後奏で、その余韻を味あわせると同時に舞台を締めくくるというとても大切な役割を果たしているような気がします。「昔々ある所に・・・」と「そして、その後***は幸せに暮らしましたとさ」が拙いと、昔話の世界に上手く入れないし、後味が締まらないのと同じかも。そして、もう一つ歌曲は大体、3つ以上の節で出来ていて、起承転結というか序破急というか、そういう流れがあるのですが、各節の間のピアノのつなぎの間奏が、空気を変えたり、盛りあげたりという流れを推進する役も担っています。つまり、歌曲は歌手も大事なんですが、ピアノ伴奏で決まるとも言え、昔から名歌手には名伴奏家(それは決してソロピアニストとして著名であるとは限りません)がついているものです。そういう名手達にも匹敵するような舞台廻しをハイダーは見せてくれます。

このCDには、シューベルト以外に、余り自分が得意としていないブラームスとシューマンの歌曲がカップリングで入っているのです。さらなる驚きがあるのではと期待したのですが、それはありませんでした。私にはこのお二方、相性が悪いようです。こうやって並べてみると、やはりシューベルトの天才ぶりばかりが際立っている様にしか聴こえません。これは、残念ながら、「やっぱり」でした。

さて、カサロバのドイツ ロマン派歌曲、あまりに素晴らしいので、もしかして見落としていたのは私だけ?という虞もあり、ネットで検索してみましたが、殆ど触れている人がいません。「殆どいない」のですが、その数少ない中に、大御所がいました。吉田秀和です。びっくり。吉田秀和のイチ推しで、それ以外、誰も語らないのは何で? 吉田が評価を書いていると言う本を、本棚の奥から引っ張り出してきました。<吉田秀和 『永遠の故郷 真昼』>

彼の遺作になったこのエッセイは自分の人生を振り返りつつ、その体験と色々な歌曲作品の聴き所を紹介するエッセイでしたが、演奏評なんかなかったはず。なんと、「この本では演奏評はしないという暗黙の約束を例外的に破って」という断りを入れて、この一枚を紹介しています。が、カサロヴァの演奏について触れているのはシューベルト作品ではなく、私がこの演奏でも、「やっぱり」と言っていたシューマンについてです。ウーン、何で? 

色々な点で、びっくり、且つ、何で? と思うことの多い一枚でしたが、これは愛聴盤になりそうです。

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  1. パグ太郎さん、初めまして

    本題とは違うのですが、ディミートリー・ホロストフスキーさんが亡くなられたのは本当に残念です。

    自分もバリトンなので、ホロストフスキーさんのYouTubeを何度も聞きながら歌や演技を覚えていました。でも録音と録画は残りますから、これからもお世話になることと思います。

    謹んで哀悼の意を表します。

    byヒジヤン at2017-11-26 09:20

  2. パグ太郎さんの新しい日記を拝見するたびに、未知のCDに出会えて、その度にポチっています。今回も、カサロヴァさんのCDを待っている時間は楽しい時間ですね。

    byGRF at2017-11-26 09:39

  3. ビジヤンさん、初めまして。

    レス有難うございます。

    SNSで流れてきた訃報を見た時は信じられませんでした。今年の2月には病気から復帰して舞台で活躍していたというニュースが流れていたのに。あの目つきの悪い、女たらしの、憎らしい歌いぶりの、イヤーゴ、スカルピア、ルーナ伯爵、ドンジョバンニ・・・の深化・進化が見たかったです。でも仰るとおり、彼の映像・録画は残ります。

    ビジヤンさんは、バリトンで舞台に立たれているのでしょうか。私は全くの音痴で、羨ましいです。これからもよろしくお願い致します。

    byパグ太郎 at2017-11-26 10:50

  4. GRFさん

    レス有難うございます。このCD、廃盤なんですね。この曲と歌手の組み合わせで、手に取る人は、カサロヴァの追っかけファンしか居ないでしょうから、しょうがないのかもしれませんが、残念です。
    また、ご感想お聞かせ頂ければ嬉しいです。

    byパグ太郎 at2017-11-26 10:55

  5. パグ太郎さん そうなんです。わたしは中古でアメリカから取り寄せています。時間は掛かりますが、安価でした。待っている楽しみの時間が長くなり嬉しい?です。

    byGRF at2017-11-26 21:55

  6. パグ太郎さん

    確かにカサロヴァというとロッシーニとかフランス系、あるいはチャイコフスキーなどのスラブ系というイメージでドイツリートの歌い手というイメージは持っていませんでした。私にとってはモーツァルト「皇帝ティートの慈悲」のイメージは強烈です。

    指揮者のピアノ伴奏ということでは、バーバラ・ボニーの北欧歌曲集の伴奏ピアノのパッパーノが強烈でした。GRFさんのところで聴かされて歌も素晴らしいと思ったのですが、ピアノもあまりに素晴らしいので一体誰だろうとクレジットを見てびっくりしました。パッパーノがピアノ弾きというイメージがありませんでしたから。

    以前、カラヤンのリハーサルなどのドキュメンタリー画像でピアノで歌手を指導している場面がありましたが、ピアノがうまいので感心したことがあります。音楽として自在に繰っていました。

    いずれにせよ欧州本場の指揮者は、たいがいがコレペティトールとして出発し下積みで経験やキャリアを磨いていくのですから、ピアノがうまいのは当たり前といえば当たり前なのでしょうけど。

    byベルウッド at2017-11-27 00:03

  7. ベルウッドさん

    レス有難うございます。

    バーバラ・ボニー、好きな歌手です。モーツアルトのアリア集(伴奏:パーソンズ)、プレビンとのリサイタル、薔薇の騎士のゾフィー等など。でもパッパーノ伴奏の録音は未聴でした。リスト・シューマン歌曲集もあるのですね。

    指揮者でピアノ伴奏といえば、レヴァインが上手かった印象があります。ハーゲンSQの「鱒」のピアノとか。

    byパグ太郎 at2017-11-27 09:10

  8. パグ太郎さん

    レヴァイン、上手ですね。ソロこそやりませんが超一級のピアニストです。バレンボイム、アシュケナージ、エッシェンバッハなどもともとピアニストとして活動していた人は別格とすればサバリッシュも生で聴いた記憶があります。シューベルトだったか曲目は忘れましたがN響メンバーとのアンサンブルでした。

    byベルウッド at2017-11-27 22:19

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