パグ太郎
パグ太郎
クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
パグ太郎の部屋
持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6) 10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました(2017/6)。
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

オーディオ・音楽マニアに捧げる「船が山を登る」お話

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2018年01月01日

今日はお正月のめでたさに免じて頂き、取りとめも無いお話を書かせていただきます。いつか、書いてみたいと思っていた素材に『フィツカラルド』という映画があります。


この映画のテーマは、「オペラに嵌った人間は無茶をする」でしょうか。

歴史上一番無茶をしたのは、やはりバイエルン国王ルードビッヒ2世が有名。ワーグナーの楽劇に嵌って、作曲家のパトロンになる程度であれば王侯貴族のたしなみで許されたでしょうが、現在、音楽祭の会場となっているバイロイトの祝祭劇場を、ワーグナーの作品上演のために建ててやる、更には日本で言えば明治の時代になってワーグナーの神話風(建築様式で言えば、ロマネスク・ゴシック・ルネサンスのごった煮ですので、鎌倉・室町・安土桃山時代風?)の超時代錯誤で、全く実用性の無いテーマパークのようなお城を建設し、国家財政を破綻に追い込んだという無茶をした君主です。お陰で、現在のバイエルン州は音楽祭とノイシュバンシュタイン城という2大観光資源を手に入れ大いに潤っているのですが(ついでに言えば、ディズニーのシンデレラ城はあれの完全なパクリですので、世が世であれば莫大なライセンス収入があったはず)。

こちらの王様が登場する映画は、ヴィスコンティ監督(彼もオペラ演出に情熱を燃やして、無茶をした一人です)の『ルードビッヒ』ですが、それはまた別の機会に。

本日取り上げるのは、こちらではなく、ドイツの映画監督ヘルツォークの作品『フィツカラルド』です。舞台は南米アマゾンの奥地、時代は20世紀初頭。何で、アマゾンでオペラか? 南米でしかゴムが産出されていなかった当時、自動車産業の隆盛に合わせて、この地域は無茶苦茶な好景気に沸きたっていました。その集積地であったマナウスには、本場欧州からイタリアの大理石やらパリの調度品を輸入して建設したアマゾナス劇場という立派なオペラ劇場があり、ヨーロッパから有名歌手が出稼ぎに来ていた(今の上海、東京と同じですね)という史実が背景としてあります。(ゴム・バブルの象徴、アマゾナス劇場)

その劇場でカルーソー演ずる『エルナーニ』のアリアを聴いて、一瞬にして心を奪われた主人公はアマゾンの奥地に自分も劇場を建てようと決意します。悲しいかな王侯貴族として破綻させる国家財政も持ち合わせていなかった彼は、ベンチャー精神を発揮します。アマゾンの奥地で、急流に阻まれ輸送船がたどり着けないために手付かずになっている支流域のゴムの森林、あそこに輸送手段を開拓すれば莫大な富が手に入る。それでオペラ座を建設してやろう!(まるで、スタンフォードか渋沢栄一のようです)。ですが、ここからの発想が、大陸横断鉄道や東急グループの祖と異なり、ぶっ飛んでいます。船がたどり着けない上流に船を送り込むにはどうするか、一山超えた所を流れている別の支流には船が航行できる、そこから人力で船を険しい山を越えさせれば、目的の場所に送り込める、川を下るのは流れに任せれば良い(って一回こっきりしかできないじゃないか、と言う突っ込みはさておき)。文字通り「船が山を登る」のです。現地のインディオを数百人を使ってロープに縛った大きな蒸気船を引き上げさせるのに、主人公は蓄音機でオペラを聴かせて鼓舞します。その姿はまさに鬼気迫るものがあります。(インディオを静めるのに蓄音機でオペラを聴かせる)

幾らインディオにオペラを聴かせた所で、辛くて危険な肉体労働を、自主的にやるわけがありません。彼らには彼らなりの、これまた神秘的な動機があり、やっとの思いで目的地に船を運び込んだ後の彼らの行動に結びつくわけですが、それはネタばれですので伏せておきます。結果的に、主人公の一環千金の計画は泡と消え、山を越えて戻ってきたボロボロの船の甲板に、アマゾナス劇場に出稼ぎで来ていた歌手と合唱団員・楽団を並べて、オペラ『清教徒』を演じさせながら、得意満面で唯一無二の理解者である愛人のもとに帰ってくるというラストシーンに至るまで、呆れていいのか、感動していいのか、笑っていいのか良くわからない映画なのであります。(この愛人役は、先ほどのヴィスコンティ監督が『山猫』などの多く作品で登用(写真左)していたイタリアの花、C.カルディナーレ。本作品ではエージング後の味わいある笑顔で主人公の帰還を迎えています(写真右))

で、お前は何が言いたくて、長々と映画紹介を書いているのかということなのですが、音楽に嵌ると人間、理屈でなく、周囲の人間には理解できない飛んでもないことをしでかす、その姿を見ると、誰かに伝えたくなって止まらない、皆でそれを温かく見守って楽しもうではないか・・・・。って、つまり『Viva! Philewebbers!』ということでございます。

今年も、船が山を登るような、皆様のオーディオ・音楽活動を楽しみにしております!

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レス一覧

  1. 明けましておめでとうございます。
    初夢ですね。いつも面白い話題提供ありがとうございますございます。
    Phileweb コミュニティには お金持ちもおられ、羨ましく思っておりましたが、上には上がありますね。 流石にオペラハウスや 山の上にお城を作った方はおられませんね。

    セールに弱い私の年末のささやかな買い物はe onkyo のハイレゾセール。まずはグラモフォンのピアニストシリーズ。CD で持っていないものはハイレゾで集めています。

    ケンプのベートーヴェンピアノソナタ全集、ポリーニのショパン後期作品集、トリホノフのリスト、アリス沙良のショパンのワルツ集。どれも素晴らしかったです。

    昨年末はチェロを集中的に聞いていました。ガベッタのハイドンのコンチェルト、カンタービレオペラアリア、Duoでシューマンのファンタジー、マイスキーのシューベルト、ビルスマのバッハ、ワイラースタインのドヴォルザークのコンチェルト

    孫が泊まりに来て 聴く時間はありませんが、今、セール1月8日までにどれにしようか物色中です。

    byKE2 at2018-01-01 08:58

  2. あけましておめでとうございます。

    なつかしい映画のお話ですね。C.カルディナーレは好きで、リバイバルで「山猫」「若者のすべて」など若い頃見に行きました。。。そういえばヴィスコンティは制作費のかかりすぎで、いくつか映画会社をつぶしてしまったという話を聞いたことがあります。いまどきオーディオで身上をつぶすようなこともないんでしょうが、新年初めにこんなお話を読めて、なんだか気分があがりました!

    本年もよろしくお願いいたします。

    byゲオルグ at2018-01-01 10:39

  3. KE2さん

    今年もよろしくお願い致します。
    初回ですので、馬鹿でもやりたいことをやるという夢を、これまたその精神を自ら実践して描ききった映画の話題にしてみました。

    少しでも、近寄れると良いのですが。

    byパグ太郎 at2018-01-01 20:10

  4. ゲオルグさん

    レス有難うございます。カルディナーレお好きとは嬉しいですね。この映画を支えているのは、実はこの役ではないかと思っています。男の唯一の理解者で、蒸気船を購入する金を出してやった上に、無一文になって帰ってきてもあの笑顔で迎える、都合の良い女とかそういうレベルではない、女神の様な存在ですね。

    byパグ太郎 at2018-01-01 20:23

  5. パグ太郎さん、あけましておめでとうございます。

    えーと、あまりの無茶な話の連続ぼーぜんです(*゚▽゚*)
    私がやったらお金どころか賛同者が一人もいない上にアマゾンの密林でピラニアかワニに喰われて野垂死にがいいところでしょうか?

    私は馬鹿ですが、馬鹿なスケールの事は出来ない小心者です。
    こんな私ですが、このコミュニティでパグ太郎さんをはじめ多くの共通する趣味を情熱的に話せるのはいい事だと思っております。
    今年もパグ太郎さんのクラシック講習楽しみにしております。
    こんな私ですが、今年もよろしくお願いします。

    byニッキー at2018-01-03 22:13

  6. ニッキーさん

    こちらにもレス頂き有難うございます。

    スケールの大小はどうでもいいのです。

    思い込んだら回りに左右されずに好きなように追及し、成功・失敗など気にしない自分を持つこと、そして、一人でいいのでそれを理解してくれる人を持つこと、その二つが出来さえすれば幸せだろうなと思う次第です。

    それが普通は出来ないからこそ、作品として成立するのでしょうけれど。

    byパグ太郎 at2018-01-03 23:16

  7. パグ太郎さん あけましておめどとうございます

    「船が山を登る」とはちょっと違いますが、「愚公移山」(愚公山を移す)というお話しが、中国の典籍『列子』のなかの一説話にあります。毛沢東によって有名になりました。山を崩して別の場所に移すなど、はたからはできるはずのない愚かなことと嘲笑されますが、愚公は、「ずっと続ければ、いつかは実現できる」と言い返し、天の援けもあってついに実現するというお話し。

    シドニーのオペラハウスも、その奇抜なデザインが仇となって工法に苦心惨憺、建設資金も使い尽くし建設不能といったんは挫折しましたが、新たに建設チームを入れ替えロトで資金を集めるなど市民あげての執念で、着工後14年をかけて完工しました。

    ヴィスコンティの映画「ルートヴィヒ」は大好きな映画です。私も、このワーグナー狂いの王様が建てたお城の全てを見て回ろうと、1984年のリンダーホーフ城観光を皮切りに、一昨年のノイシュバンシュタイン城で念願成就を果たしました。30年以上かかったことになります。

    byベルウッド at2018-01-04 15:40

  8. ベルウッドさん

    レス有難うございます。愚公移山の故事の原典は列子だったのですね。意外でした。というのも列子は無為・無用を尊ぶ老荘思想に近いので、勤勉をよしとする愚公の故事とは真逆のような印象だったのです。(あの映画の良い所は、密林のオペラ座なんて何の役にも立たないことに必死になるけれど、結果はどうなろうと笑って受け入れられる幸福な姿だったので、どちらかと言えば老荘っぽいかもしれません。こういう紋切り型で行かない所が中国思想なので間違っているのでしょう。)

    やはり、ルードビッヒ2世の旧跡巡礼はされておられたのですね。漏れが無い!
    となると、お好みはカルディナーレではなく、知的なロミー・シュナイダー演ずる皇后エリーザベトでしょうか? ヘレンキームゼー城の鏡の間を見て、王の愚行を高らかに笑う彼女の高貴な姿が忘れられません。

    byパグ太郎 at2018-01-04 17:11

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