パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6) 10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました(2017/6)。
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  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
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日記

バッハの『無伴奏ヴァイオリン』、怖い師匠の素顔を探って新進演奏家と遭遇

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2018年05月05日

仕事であっても、プライベートであっても、対面しようとすると、どうしても身構えてしまう、緊張してしまう、姿勢を正して望まないといけない、そういう気持ちになってしまう人がいますよね。この気持ち、好き嫌いとは無関係に、敬愛する人、先生、上司、同僚、親類縁者、などなどであるからこそ、なお更ということもあります。嫌いであれば、極力避ければいいのですが、そうでないから余計に質が悪い。

でも、そういう尊敬する、でも怖い人が、ある時、普段とは違う顔を見せてくれる、優しかったり、抜けていたり、子供じみていたり、お茶目だったり・・・、そういう事があると、その人のまた新しい魅力が見えるだけでなく、普段の厳しい姿にも人間的厚みがさらに増して感じ取れるようになったりするものです。

という、どうでもいい話を始めたのは、音楽でも、聴き手と作品の間にそういう関係があってもいいのかなと、思ったからなのです。そう感じた切っ掛けは、以前にも日記で取上げたことのあるバッハの『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』、その新しい録音を聴いたことにありました。

(大バッハの神格化された作品と若手演奏家の組み合わせ)

バッハのこの作品、自分にとって、常に、好きだけれども手ごわい存在です。色々なヴァイオリニストの演奏を聴きますが、どの演奏で聴いても、ちょっと堅苦しく、気楽にリラックスしてというよりも、正座して臨まないといけない、体調万全じゃないとという気持ちになります。以前の日記では、ハーンとミルシテインの録音を取上げました。

この曲の定盤と言われるミルシテインのこの録音。「深い精神性」「峻厳さ」という言葉で語られることの多い演奏ですが、怖い師匠の厳しい側面を、一層際立たせるように感じます。その上、複数の絃を同時に弾いて多声を繰り出していく部分のアタック音の強さは、世評は高いようですが、有り難がって拝聴するという気持ちが辛くなってくる時があるのも正直な所です。(SACDリマスターで刺激的な所は随分と改善しましたが)

ヒラリー・ハーンの17歳当時の、この録音。ミルシテインと比べると、随分と温度感が上がります。若かさとエネルギーが満ち溢れた演奏で、グイグイ引っ張っていってくれます。ただ、この場合は別の意味で、聞き手の気力が充実していないと付いていけず、山道の途中で置いていかれてしまいます。

ファウストのこの演奏。最近ではトレイに乗せる回数が、この曲では一番多いかもしれません。彼女の演奏では何時も感じますが、ストイックで飾り気がない姿勢が、精神統一、音楽そのものへの集中をもたらしてくれます。聴き出すと引き込まれて、6曲、2時間強を通してしまい、最後は、フーと息をついて、「ああ疲れた」という心地よい疲労感で終わることになります。時間と体力に余裕がある時に、やはり「心して臨む」演奏です。

ハーンやファウストと対照的なイブラギモーヴァのこの静かな演奏。一人の世界で深く思いに耽る様子に、話しかけるのが憚られるような寂寥感。横に黙って座って、その波長に心を同調させることが出来れば、最高の2時間になります。まるで修行僧と沈黙の対話をする様な感じで(したこと無いですが)、そのためには、聴き手がイブラギモヴァに合わせたくなるような、そういう心持になっていることが求められます。ある意味「面倒くさい」。 

これ以外にも、シェリング、クレーメル、ムローヴァ・・・CDラックを見ると、この怖いけれど敬愛する達人に、どう接すればいいのか、色々と試した履歴が残っています。という所に、最近、もう一つ録音が加わりました。

アンナ・ゲッケル。2013年のミュンヘン国際コンクールで、トリオ・カレーニヌの一員として、優勝した経歴の持ち主(但し、同三重奏団の現在のバイオリニストは、3月の本日記でも紹介したファニー ロビヤールなので、ゲッケルはソロ活動に専念で脱退したということかもしれません)。その彼女が、バッハの無伴奏バイオリン・ソナタを録音した作品を聴く機会がありました。

ちょっと大袈裟ですが、衝撃的でした。この曲集の演奏で、こんなに静かに心安らぐというのは初めての経験です。静謐という意味ではイブラギモーヴァが一番近いかもしれません。でもこの静けさは、孤独とか内に閉じ篭るというものではなく、開放的な明るさをたたえている感じがするのです。音楽は、静かに舞うようにすべるように流れていき、その響きの中に包みこまれる、そういう包容力があります。変な言い方ですが、気楽に寝転がって聴いていても、あるいは、そのまま寝てしまっても許してくれそうな、大らかさが気持ち良いのです。

あの強面の裏側にこういう、気楽で普段着の姿が隠れていたことは、嬉しい発見です。それを見せてくれたのが、1992年生まれの若い演奏家というのも驚きです。アンナ・ゲッケル、この後、どういう演奏を聞かせてくれるのか楽しみです。

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  1. パグ太郎さん

    バッハというと、かつては旧約聖書だとか、そういう例えがされてとかく神格化されたり、厳格、厳粛さが求められたりして、とかく演奏には「精神性」とやらを求めました。その代表がミルシテインでしょうか。

    決して人格的な厳めしさではないのですが、技巧面や様式・構成面で求道的な厳格さが強調されました。決してそれが悪いとか嫌いとかというわけではなくて、とても尊敬もし、折に触れて聴いてみたいし聴いたあとである種のカタルシスを覚えるのですが、何度も聴くというよりは、そのディスクを取り出すには覚悟がいる、正座して聴くというようなところがあります。

    そういう演奏を、堅苦しい茶道の作法にのっとった濃茶だとしたら、ハーンは薄茶でしょうか。そのノリで言うとイブラギモーヴァは紅茶と言いたいのですが、彼女のバッハには独特の無重力感があって、それはお茶の例えにはちょっとそぐわない気がします。

    とても上質な紅茶で、しかも喫茶時にはウキウキとする高揚感があって、その後の余韻にも気持ちの良いリラクゼーションを感じる…というのはギル・シャハムの演奏です。

    私はこのヴァイオリニストのことはあまりよく知らないまま演奏会に足を運んだのですが、精神性だとか古楽奏法だとかピリオド楽器だとか、そういう小難しいことは一切抜きでとても美しく流麗な現代奏法で、気持ちが踊るような楽しさに満ちていました。それでいて磨かれた技巧に支えられた気品があって決して俗っぽいところがありません。

    http://community.phileweb.com/mypage/entry/2408/20101117/21549/

    シャハムは長年バッハに取り組みこの演奏会の後でようやくCDをリリースしています。そのCDをまだ私は聴いていませんが、パグ太郎さんのこの日記を読んでちょっと買ってみようかなという気がしてきました。またCDが増えてしまいます(汗)。

    byベルウッド at2018-05-05 18:26

  2. ベルウッドさん

    レス、有難うございます。

    「高い技術」と「明るい表現」が組み合わされると、どうも日本人は「深みに欠ける」と価値評価する傾向があるような気がします。シャハムは、この二つの特性を持った演奏家で、取上げる人が不当に少ないと思っていました。

    先日の、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲に関する日記で彼の録音を取上げましたが、その楽しさは極上です。それ以外にも、パガニーニやシューベルトの名曲集をセルシェルのギターと二重奏で演じた録音も良いですね。

    といいつつ、シャハムのバッハは見過ごしていました。確かに、面白いかもしれませんね。

    byパグ太郎 at2018-05-05 19:53

  3. パグ太郎さん、まいどでごわす~♪

    バッハさんって西郷さんに似てないですか?
    見た目が如何にも親分って感じだし~(笑)

    イザベルファウストはクールビューティって感じで良いですね。
    でも、ヒラリーハーンの録音は「冬の乾燥肌」のようなカサカサ感があって苦手なんですよ。

    わたしの愛聴盤は、、、

    刺々しさ全開&ヘタウマなクイケン1回目録音(DHM)と、、、
    クイケンとは対極のフレデリック・ペラシー1回目録音(BNL)です。

    変わったところで、、、

    チェロピッコロを使ったビルスマ盤(BWV1006とBWV1003のみ)
    チェロのクニャーゼフ盤(シャコンヌのみ)
    もお気に入りです。
    機会がありましたら聴いてみて下さい。

    byspcjpnorg at2018-05-05 20:06

  4. spcjpnorgさん

    おはようございます。レス有難うございます。

    以前にも書いて頂きましたが、曲の好みの傾向は似ているが、聴いている演奏が違うので、いつも新鮮です。

    クイケンの、ヘタウマとまでは言いませんが、あの独特のノリの悪さに、波長が合わず、未だに苦手です。2回目の録音の方が未だしもなんですが。ペラシー、知りませんでした。Appleでチェックしましたが、この流れるような美しい弦と、爽やかな感じは朝に聴くのにピッタリですね。これは素晴らしい! ついでに並んでいたヴァイオリン-チェンバロソナタがまた良いです。が、両方とも、ちょっと調べた感じでは入手困難見たいですね。

    チェロ系楽器でこれを聴くと、また別の世界で、良いですね。もっと飛ばすと、ギターとかリュートとか。

    byパグ太郎 at2018-05-06 05:43

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