パグ太郎
パグ太郎
クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
パグ太郎の部屋
持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6) 10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました(2017/6)。
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

GRF邸CD鑑賞会:6畳和室に仕込まれた秘密の扉で「世界の歌心の旅」を楽しむ

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2018年05月12日

またまた、やってしまいました、会社帰りのGRF邸CD鑑賞会。今回は、連休中に訪問された大変なオーディオ・マニアの皆さんのために、徹底的にチューニングされたGRFの原点の音を聴きにこないかというお誘いにフラフラと・・・・。誘惑が強すぎます。

先ず、お通しいただいたのは久々の和室のユニコーンの前。恐らく半年振りの再会だと思います。その美しい佇まいには、惚れ惚れとします。

手始めの歓迎の曲が、グラジナ・バツェヴィチのピアノ・ソナタとピアノ5重奏。
ピアノはツィメルマン。このポーランドの女流作曲家(1909-1969)も、ツィメルマンの室内楽も聴いた記憶がありません。50-60年代、そしてポーランドというと、色々なことが想起されます。時代としては『現代音楽』が、新しい芸術表現を開拓する力を持っていると信じられていた時代、社会的にも発信力を持っていた時代。一方で、ソ連の東欧支配とそれへの各国の抵抗と屈服の歴史。バツェヴィッチがその二つの激流の中でどのような立ち居地で生きてきたのかはわかりません。でも、その音楽は独特のリズムと和声で、不思議な表現の力を半世紀後の今日も持ち続けている気がしました。引き込まれてしまって、このCDを最後まで聴き通してしまいました。

続いてポール・ルイスのシューベルトのソナタ。
正統派で、当たり前のこと以外は何もしていないのに、これだけ聴かせてくれる。当たり前であっても個性がある。先ほどのバツェヴィッチのような時代と場所に寄り添った個性の力と、時代や場所とは関わりなく音楽そのもの力をを引き出すルイスの演奏、両極にある音楽が夫々に素晴らしい、それが不思議です。今日はこの後、どういう展開になるか期待が高まります。

次にかかったのはマゼールのシェエラザード。
(同じベルリンフィルでもマゼールとアバドでは大違い)
異国情緒を強調しつつ、マゼールらしい濃い表現の演出がたっぷり。その厚い化粧でもベルリンフィルは難なくこなしていきます。同じくベルリンフィルで、アバドのプロコフィエフの『ロメオとジュリエット』では、情緒的演出をそぎ落とした切れ味鋭いオーケストラの機能性が前面に出てきます。

どちらも良いのですが、何時もの、チョン・ミョン・フン指揮コンセルトヘボウの『ロメオ』がかかると、空気が一変します。ややはり、ごく自然な演奏から生まれた本来の歌の力は凄い。それは何者にも勝って、時と場所にまつわる思い、心を惑わす色っぽさ、思わず体が動く躍動感等などを生み出すことが出来るということを痛感します。
(GRF邸定盤のロメオとプロコフィエフの原初体験ピーターと狼)

この段階で、今宵のプログラムの方向性が決まったような気がしました。
「本物の歌心が開く時と場所の扉」という感じでしょうか、傍から見れば、何の脈略も無い楽曲が、次々にある必然性に手繰り寄せられた様に飛び出してきます。(書いている本人が何を言っているのか良く判らない状況です。読んでいただいている方々には謎?)

プロコフィエフつながりで、次に登場したのが、『ピーターと狼』。

でも、開いた扉の先はフランス。ナレーションが芸達者の作家・音楽家のピエール・ペレで一気にボードビルの小粋な世界に連れて行かれます。ジョン・ウィリアムズ指揮ボストン・ポップス・オーケストラから連想されるのはハリウッド・スペースオペラですが、一ひねりした、リュック・ベッソン風(つまり、フィフス・エレメント風)に聴こえてくるから不思議です。プロコフィエフの洒落た楽しいメロディメーカの本質が更に浮き出してきます。

天然の歌心といえば、やはりイタリア人です。ベルゴンツィの大阪リサイタルのライブ録音からナポリ民謡。
いやー、凄い。「歌うっていうのは、こうやって心のままに人生を楽しむことだ」ということを、四の五の言わせず感じさせてくれます。聴衆も完全に連れて行かれてしまって、日本人とは思えない乗りの良さ。お行儀の良い日本の聴衆をトリップさせた魔力には、ドイツ・リートの王様も抵抗できなかった様です。
このCDのフィッシャーディースカウは、完全にベルゴンツィに引っ張られていて、何時もの冷静沈着で、分析的な精緻な表現を途中で放棄してしまっていて、笑えるほど。

でも、ドイツにだって、そういう歌心はあるということを忘れちゃいけないということで登場したのがアメリンクの『音楽に寄せて』。

心にしみる口直しの曲となりました。この一休みを挟んで、今日の旅は、更に時空を超えてひろがっていきます。

まず、一気に500年の時を遡り、ジョスカン・デ・プレのミサ曲をタリス・スコラーズの演奏で聴きます。

確かに美しいで宗教曲ではあります。でも、神に捧げる敬虔な信仰心の他にも、別の思いをここに聴き取ってしまいます。この時代の人たちが初めて手に入れた、人の声のポリフォニーという素材を限界まで磨きぬいて、美しく響かせること、そのこと自体が楽しくてしょうがないのでは? その思いが無ければ、現代の不信人者の心にここまで深く届かないでしょうと。

次に飛んだのは、サヴァールの『時と瞬間について』から、ユダヤの子守唄。

中東風でもあり、インド風でもあり、スペイン風でもある、民俗の心の歌を切せつと歌います。このCDそのものが、地中海の北と南、西と東をつなぎ合わせ、更に南米にまで広がる歌の世界を俯瞰する内容で、まさしく今日のテーマ版だったのかもしれません。どんどん飛びます。

イスラエルから地中海をまたいだ先の心の歌と言えばファド。でもその扉が開いた先は、何と日本。ちあきなおみで『霧笛(難破船)』。

やはり歌詞が判って、この凄みで歌われるとファドは怖いですね。このCDもアナザー ワールドのタイトル通り、世界の歌心の集大成。このCDからの二曲目は、『昔がたきの恋』でファドからシャンソンへ。これまた大人の歌。実はこの曲のオリジナルはアズナブールということで、本家の94年のライブの歌声も聞かせていただきましたが、これはまた、年齢を感じさせない素晴らしい歌声。


地中海をまたいだはずが極東まで飛んでしまいましたが、もう一つの飛んだ先は南米アルゼンチンの心の歌に思いを寄せたこのCD。


バスクラリネットの重い響きにのったバンドネオンが踊るアルゼンチン タンゴというのは初めて体験。ニューヨークのバーで、アルゼンチンから来たという中年カップルの踊っていた熱いタンゴを思い出しました。とても素人とは思えない生活にしみこんだリズムと情熱が支えている音楽もあるのでしょうね。、

世界を巡っているうちに、時が達つのも忘れてしまい深夜になってしまいました。そろそろお暇ということで最後にかけていただいたのが、元ベルリンフィルのコンマス、安永徹さんが帰国後に行ったリサイタルから、ブラームスの『雨の歌』。刺激的なひと時を、静かに落ち着いて締める曲となりました。

またまた、やってしまった会社帰りの押しかけCD鑑賞会。ユニコーンのいる六畳の和室には、世界につながる魔法のドアが付いているということを実感し、あまりの刺激に朦朧としながら帰宅したのでありました。お陰様で、お誘いの主旨であった「徹底的にチューニングしたGRFを聴く」ことをすっかり忘れており、失礼しました。そのことに気がついたのは、翌朝のことでありました。

GRFさん、いつもいつも楽しい時を有難うございました。

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  1. パグ太郎さん、おはようございます。

    いつもの事ながら見事な筆の走りのパグ太郎さんを尊敬します。
    GRFさんのシステムは音が良いとかなんとかは超越した所にある様で、
    機会に恵まれれば聴かせて頂きたいです。
    と、その前にパグ太郎さん邸でのクラシック講習(入門クラス)の受講が出来ていないのが何ともスッキリしないです。
    5月の土日は予定が詰まってしまったので、6月の頭あたりで是非ともと言うところでございます。

    byCENYA at2018-05-13 08:50

  2. パグ太郎さん、いつもながら聴き手の心情を活写された訪問記ありがとうございます。

    小生は逆に、その前の日曜日夜にGRFだけが有る部屋を堪能させていただいた代わり、和室のユニコーンの方は聴かず仕舞いでお暇しました。

    GRFさんは沢山のアーティストの音源をシリーズで持ちで、しかもそれをフォーマットの違いまで揃えてしまうという筋金入りのコレクターですので、伺った時に始まる演奏会は、いつも何かのテーマに基づいて進行しつつ、聴き手の反応に合わせて柔軟にバリエーションで対応されるので、いつも音楽を楽しむのに徹してしまう自分が居ます。

    なので、時折フォーマット違いや、EmmLabとMolaMolaのDACの違いについて感想を求められると、「いや、どちらも良いんだけれどMolaMolaの方が前後の立体感がより有る」とか、「ヴォーカルはCDよりもMolaMolaのフォノアンプを通したアナログの方が歌に生気が宿っている」など、聴き手の主観を述べるだけになってしまいます。

    きっとパグ太郎さんの御宅でも、この日記ように音楽が鳴っているんだなぁ、と思いを馳せています。
    これからも日記を楽しみにしています。

    by椀方 at2018-05-13 09:09

  3. CENYAさん

    早速のレス有難うございます。

    >音が良いとかなんとかは超越した所にある様で

    全くオーディオ機器や、音質についてコメントしていなかったですね、これは拙いと今から慌てても、時すでに遅しですね。初めから、音楽聴く事しか頭になかったので、つい言及するのを忘れてしまいます。

    拙宅は、連休中の日程が合わず、残念でしたね。Harubaruさんとも、結局CD鑑賞会になってしまいました。シリーズ最高峰のスピーカーをお使いの達人からご指導受けるべきだったと、こちらも後から悔やんでおります。

    再調整は別途、ご連絡ということで。

    byパグ太郎 at2018-05-13 11:13

  4. 椀方さん

    レス有難うございます。

    どちらかの部屋で聴き始めて、興が乗ってきてしまうと、別の部屋のことを忘れさせてしまうのは、それぞれの世界が自立して高い完成度で充足しているからなのでしょうね。もう一つは、仰る通り、プログラム構成が秀逸で、離れられなくなるといことかと。今回は、どこでもドアの世界漫遊で、コレクションの幅の広さと深さに改めて驚かされました。

    私の場合は、オーディオについて感想を述べることすらしていないです(笑)。唯一、申し上げるのは、ウチではこのCDはこう鳴ってくれないということくらいです(あたりまえですが)。

    今度、阿佐ヶ谷近辺にお越しの際は、ご一緒できれば嬉しいですね。

    byパグ太郎 at2018-05-13 13:41

  5. パグ太郎さん

    GRFさんは、小生がミューザ川崎の生演奏を聴いた2時間後の訪問だったので、ミューザの鳴り方とGRFの音楽表現との違いについて、口頭試問のような問いかけをされたのだと思います。

    お誘いありがとうございます。
    いずれまた日曜日に東京前乗りの機会も有ると思いますので、その時は連絡差し上げます。

    by椀方 at2018-05-13 18:45

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