パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6) 10数年愛用したアンプが逝ってしまったので、久々の機器更新をしました(2017/6)。
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

ベートーヴェンの正常でない聴き方?、あるいは変奏曲の魅力について

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2018年09月15日

印象的な旋律とリズム。音楽の直接的な楽しみは、そこにあると思うのですが、その一方で、一つの単純な素材を使って、どれだけ幅広い表現を作り出せるか、どれだけ豊かな世界に仕立て上げることが出来るのかを聴くというのも、もう一つの大切な音楽の楽しみ方だと思うのです。

シューベルト。天才的なメロディーメーカ。美しい旋律の歌曲が沢山作り出しています。でも、その素材の多くは、短い歌曲に中で、微妙な表情の変化をつけて二三回繰り返されて終わり。鱒とか、死と乙女とかの例外はありますが、多くは、一回きりで、再利用・再活用されること少なかったと思います。有り余る才能で、使い回しを考えるより新しく作ってしまうほうが楽だったのかもしれません。そう、彼の主題の再利用の仕方を聴いていると、文字通り再利用で、その素材を変化して使いまわすことで、冒頭の「どれだけ幅広い表現を作り出せるか、どれだけ豊かな世界に仕立て上げるか」なんてことは、好きではない、あるいは、余り得意ではなかったようにも思えます。

それに比べて、バッハ、そしてベートーヴェン。この二人は、メロディーメーカという側面を否定するわけでは有りませんが、それ以上に、素材料理人としての才能がずば抜けていると感じるのです。変奏曲の歴史を作ったのが、この二人とシェーンベルクの三人だといわれるのも納得できるのです。

バッハの変奏曲といえば、ゴールドベルク変奏曲です。この曲を聴いていて感じるのは、設計図がしっかりしていること、細かい部品をくみ上げて行って壮大な建造物を立ち上るという、その様子・工程自体が楽しみとなっていることでしょうか。ある意味、ゴールが見えていてそれに向けて、徐々に変化している。その精緻な仕組みと、微細な変化の動きを楽しむ。まるで、フラクタルの絵を見ている、或いはエッシャーのだまし絵を見ている様。そういう要素は、ゴールドベルクに限らず、バッハの作品に共通してあることだと思います。
(バッハの聖堂のようなフラクタル)
(バッハというには不気味なエッシャー)

一方、ベートーヴェンは、そういう設計図とか、予め決められた行き先が見えているというよりも、もう少しダイナミック。その予想外の変化、変化の多様性に驚かされるイメージです。静的で連続的な構築物というよりも、生き物の進化、突然変異を観ている様。本当にミクロの世界まで見て行かないと構造的な部品、進化の例を続ければDNAの単純な4つの部品は見えて来ません。見えているのは生物の豊かな多様性と、それでも「生き物」として一つに括ることのできる不思議な共通感。
(微細に見ればこうなんでしょうが・・・)

それを、初めて感じたのは田園を、学校の音楽の授業で初めてスコアなるものを眺めながら聴かされた時のことです。全編を通じて、「た・た・た、たったらたった」という部品の変化形と、その多彩な組み合わせで、この40分強の音楽が成り立っていて、そんな単純な構造でありながら、爽やかな緑風からつむじ風、せせらぎの流れから土砂降りの嵐、静かな木立から陽気な村人、そして鳥達さえずりと雷鳴という自然の森羅万象・多様性を描き出している。そして、のどかな田園風景という、この魔法のような統一感。天才と言うのはこういうことを言うのかと子供心に思ったものです。


前置きが長くなりました。そういうベートーヴェンの変奏曲の才能が花開いた作品として、好きな曲が、この『エロイカ変奏曲』です。

タイトルにある「エロイカ」は交響曲3番『英雄』の原題です。同曲の最終楽章と同じ主題による変奏曲なので、こう呼ばれています。が、作曲順でいえば変奏曲が先で、英雄が後ですので、この変奏曲での作曲実験が、交響曲3番につながって行き、更に『田園』の、あの単純でありながら複雑多様な世界行き着いたと、勝手に思い込んでいます。

この曲で、良く聴くのは、カーゾン、グールド、ブレンデルの三つです。
カーゾンは、この曲の音楽としての崇高さを感じさせる演奏です。小品の変奏曲がここまでの、スケールの大きさで奏でられるというのは驚きです。


グールドは、この曲の実験精神、表現の地平線を広げようとしている作曲家の意気込みを受け継ぐ、何時もながら個性的な演奏。そして、個性的試みをしていながら、そこに心に染みる静かな感動があるのもグールドならではの世界です。


前の二人と比べるとブレンデルは、何が特徴なんだろうと思えるほど普通。でも、カーゾンでは偉すぎるし、グールドではひねりすぎという気分の時もあって、そういう時にはぴったりなのがブレンデルなのです。


という取りとめもない感想を書き連ねてしまいました。実は、先日、知り合いに『田園』、『英雄』、『エロイカ変奏曲』を聴かせて、面白いだろうと言って見たところ、そんな馬鹿な聴き方している奴はいない、余程の変人と言われてしまいまったのです。そうかなーと思いつつも、反論する術も無く、悶々としているのも癪でしたので、ついこの場をお借りして、心情を吐き出してしまいました。最後までお付き合い頂いた方には申し訳ありませんでした。

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レス一覧

  1. おはようございます!

    『エロイカ変奏曲』『英雄』から『田園』につながるとは、なかなか興味深いお話でした。私は『英雄』から第九かな~ぐらいの認識でした。。。

    >見えているのは生物の豊かな多様性と、それでも「生き物」として一つに括ることのできる不思議な共通感。

    この一節を拝見して、福岡伸一先生の『生物と無生物のあいだ』という本を思い起こしてしまいました。生命を「動的平衡」ととらえる説です。素人考えのあてずっぽうなので、見当違いかもしれませんが。。。

    byゲオルグ at2018-09-16 09:19

  2. おはようございます。

    ベートーヴェン!ときたら黙っていられません。

    ベートーヴェンの何処が凄いって、  その音楽を聴けばわかります。

    例えば、
    弦楽四重奏曲第10番第一楽章コーダにおいて、アルペッジョとピチカートの中からジワーッとせり出してくるメロディ。
    そして、
    最初に聞いていた時にびっくらこいた、最後のピアノソナタの2楽章。
    突然、唐突に、、「スイング」します。
    最後に、
    英雄交響曲の2楽章。
    後半、盛り上がった頂点で、ホルンがユニゾンで奏するところ。
    ちなみにこの箇所が素敵(ちょっとやりすぎ?)なのはヘルビッヒ指揮のRPOの演奏。
    そういえば、むかし、若杉弘さんだったか、「私は演奏している時は冷静でいられるけど、英雄のこの楽章だけはダメだ」みたいなことを言っていたのを思い出しました。

    byジュン at2018-09-16 10:35

  3. 音楽論としてさすがの慧眼というか、なかなか挑発的な論点提起ですね。

    変奏曲は、ひとつのテーマを次々と変形していく。その原型を創ったのがバッハで、一貫した堅固な和声進行を土台に生々流転が繰り広げられるシャコンヌがその典型です。モーツァルトは、それを劇場的な活気に満ちた美の変転にしています。シューベルトは、さらに複雑な転調も取り入れて気分や感情の起伏や変成を描きます。

    それに対して、ベートーヴェンはテーマというよりも断片とも呼んで良いほどの小さくてシンプルな音型、すなわち「動機(モチーフ)」を拡大したり縮小したりしながら驚くほど壮大なストーリーを構築していきます。

    つまり、変奏曲にもふた通りあって、シューベルト的なものとベートーヴェン的なものに二分できるのだと思います。前者は、幼虫からサナギ、成虫へと姿を変えていく生物学的変態・変容に例えると、後者はまさにフラクタルそのものですね。

    byベルウッド at2018-09-16 12:32

  4. 演奏者にも得意・不得意があって、グールドは典型的なシューベルト型です(シューベルト弾きではないですが)。個々の変態・変容の目眩く変化はすさまじいほどで聴き手を驚かし挑発し活性化させます。ブレンデルは、そういうグールドをわざわざ人と違うことを強調したがると批判的でした。その意味では、ブレンデルはバランスを重視してベートーヴェンの全体の構造骨格を尊重した演奏になっていますが、それでも所詮はブレンデルはシューベルト型なんです。このアルバムは私も大好きでよく聴きますが、愛聴しているのはもっぱらエリーゼのためにです(笑)。シューマンの「子供の情景」もそうですが、ブレンデルは、小市民的な小曲に突出して名演を残すようなところがあります。

    最近、感嘆しているのはゲルバーです。ショパン弾きとかシューベルト弾きとかはごまんといますが、ゲルバーはベートーヴェン弾きとして稀有の存在ではないでしょうか。その演奏が、まさにフラクタル。ベートーヴェンの真髄を感じさせる立派な「エロイカ変奏曲」です。

    指揮者でも、ミュンヘンで聴いたペトレンコが素晴らしくて、小さなモチーフであろうと中規模のエピソードであれ素晴らしい豊かな表情と起伏を感じさせ、それをさらに大規模なダイナミックスのうねりに乗せていく。それが壮大なクライマックスのうちに終結するとワーグナーの真髄に触れたという感動が湧き上がってきます。まさにフラクタル的超名演だと思いました。

    ワーグナーとともにR.シュトラウス、ブリテンもフラクタル派の作曲家だと思います。ブリテンと親交のあったカーゾンならフラクタル派かもしれません。個人主義の近代的自我の強い時代なのでヒューマニズムのベートーヴェンとは別の意味で体質が違うかもしれませんが、聴き直す価値はあるのではないでしょうか。

    byベルウッド at2018-09-16 12:59

  5. パグ太郎さん、こんばんは!

    とても新鮮な切り口で面白くて最後まで一気読みしました。
    何かしらコメントを書こうかと思ったのですが、皆様の深いコメントを読んでしまったら自分の無知さ加減を思い知らされて気持ちが萎えてしまいました。
    と言いながらしょーもないコメントを書いてしまいました。

    クラシック馴染みがない私でも田園を聴いてみたくなりました。

    byCENYA at2018-09-16 18:24

  6. パグ太郎さん、おひさです♪

    変奏曲と聞いて真っ先に「キラキラ星変奏曲」と「猫ふんじゃった変奏曲」を思い浮かべてしまいました(笑)

    で、ブレンデルと言ったらベートーヴェンとシューベルトが大好きですよ。
    エロイカ変奏曲の手持ち音源は60年VOX盤だけですが、84年フィリップス盤も良さそうですね。

    また「主題と変奏」というキーワードからだと、どうしてもモードジャズに行き着いてしまいます。
    コードの縛りから開放されたモードの世界も良いもんですよ(爆死)

    byspcjpnorg at2018-09-16 20:15

  7. 皆様

    思いがけずも、沢山のレスを頂き、驚きと感謝の気持ちで一杯です。

    レス頂いて思ったのですが、論旨を鮮明化するために単純化することも必要ですが、やり過ぎると、そこから取りこぼされる事実が多くなるということですね。

    モーツァルトもシューベルトも、そして、ここに登場しない作曲家の多くも、主題と変奏の名作を残しています。ソナタの名作は、それ無しには成立しないわけですから。もっと言うと、全ての作曲家はメロディー・メーカーと、主題と変奏の達人の二つの顔を併せ持っているのだと思います。

    その上で、主題と変奏の天才は、やはりバッハとベートーヴェンで、彼らは美しい旋律が無くとも名曲を作り出すことが出来た、一方、旋律作りの才能が泉のように止めどなく溢れ出ていた作曲家はモーツァルトとシューベルトで、彼らの変奏曲は、その主題の美しさが根底にあると思うのです。(これも単純化した極論ですが)

    そう思ったのは、昔、映画『アマデウス』のワンシーンで、サリエリがモーツァルトのために苦労して作曲したパッとしない曲を、モーツァルトが、即興で変奏して、名曲「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」にしてしまったという逸話を見たときです。それ自体は面白いとは思いましたが、その一方で、モーツァルトはこんな、詰まらない主題を変奏するなんて手間のかかることをしないとも思いました。彼の才能はいきなり、究極の姿が湧き出てくる所にあるのだからと。

    まあ、それでも議論が乱暴すぎましたね。(反省)

    byパグ太郎 at2018-09-16 21:16

  8. ゲオルグさん

    動的平衡って面白い論点ですね。証明不能な所が、更に面白いです。そして、生物に限らず、全てのシステムは「動的平衡」だとも思います。人間の組織も、文明も、生態も、そして音楽も、全て構造を持って自立的に変化するもの、そして内部システムと外部システムを持って、その内外の間でエネルギーを交換しているものは、全て動的平衡ではないかと。この融通無碍な所が、また生き物っぽい。変な感想ですみません。

    byパグ太郎 at2018-09-16 21:27

  9. ジュンさん

    ベートーヴェンって人気があるのですね。日記への反応が、他の作曲家と全く違うのです(チェロソナタのときもそうでした)。

    その人気の秘密は、「凄さが、聴けばわかる」ってことなんですね。変な小理屈なんて要らないのかもしれません。が、そういう小理屈をこねさせるのも、凄さの一つということで。

    byパグ太郎 at2018-09-16 21:32

  10. ベルウッドさん

    挑発が過ぎたようです。言い訳レスを書きましたが、、、、。

    私にとってバッハはミクロの積み上げの精緻な積み上げの世界(フラクタルであり、エッシャーであります)、ベートーヴェンは不連続な突然変異の世界(生物進化、系統発生も固体発生も含め)と感じるのです。同じ比喩でも、感じ方が違うのですね。

    ゲルバーのエロイカ変奏曲、聴いてないです。今度トライしてみます。

    byパグ太郎 at2018-09-16 21:48

  11. CENYAさん

    無理筋の暴論だったのですが、お楽しみ頂いたとのこと、有難うございます。そう傑作は、小理屈無くとも楽しめるものなのです。この機会に是非、お楽しみいただければ、ありがたいです。

    byパグ太郎 at2018-09-16 21:53

  12. spcjpcorgさん

    お久しぶりです。そう、普通にはブレンデルのベートーヴェンとシューベルトは素晴らしいのです。エロイカ変奏曲も。でも、グールド・カーゾンと比較すると、どうしても薄味なのです。

    モードジャズの主題と変奏は、無調の現代音楽ですね。変奏がどこに飛んで行ってしまったのか、わからなくなります。

    byパグ太郎 at2018-09-16 22:12

  13. パグ太郎さん、こんばんわ~♪

    ベートーヴェンの変奏曲と名が付く曲、変奏形式の楽章のほとんどを聴きなおしてみました(かなり見落としてるかも?)
    それにしてもビックリするくらいの曲数(笑)

    ダントツ1位はクロイツェルソナタの2楽章!!!
    以前、ヴァイオリンソナタはカピュソンが良いよ、、、と言いましたが、、、
    クロイツェルはファウストさんがスンバラシイですね♪

    他の作曲家も思いついた曲を聴いて見ましたが、、、
    ハイドンの弦楽四重奏曲「皇帝」のオーストリア(ドイツ)国歌の変奏もGoodでした~(^^)

    byspcjpnorg at2018-09-25 18:14

  14. すいません、書き足りなかったので追記です。

    「おおまさにこまさ、おおぜはんごろう、えるんすとなつの・・・」
    くぅ~大事な曲を忘れてました;;;

    エルンスト/夏の名残のバラによる変奏曲
    多くのヴァイオリニストが録音してますが、私のお気に入りはジュリエット・カン女史。

    も一つ、、、
    モード的な響きの、、、
    シュニトケ/ピアノのための変奏曲(普通に良い曲ですよ!?)
    サイモン・スミス(ピアノ)

    おまけに、、、
    ゴールドベルク変奏曲のアコーディオン演奏。
    とにかくシュテファン・フッソング氏のアコーディオンが凄い!
    多彩な音色と大胆な表現で、変奏曲を新境地に導いた!?(笑)

    ってことで、ヴァリエーションが最近のマイブームです(爆死)

    byspcjpnorg at2018-09-25 22:09

  15. spcjporgさん

    再レス&追記 有難うございます。

    「もりのいしまつ」はどの曲になったのでしょうか、なんて変な所に反応してしまいます。

    クロイツエル2楽章 良いですよね。ファウスト・メルニコフ!!

    夏の名残のバラ、最近聞いてないです(クレーメルのバリバリのイメージと夏の千草がどうにもマッチせず)。ジュリエット・カンさん、知りませんでした。

    シュニトケ 怖そうで手出しができておらず、フッソングはパイプ オルガンの様で、アコーディオンの印象を大きく変えてくれました。

    変奏曲ブームに火を付けてしまった様で、日記書いた甲斐がありました!

    byパグ太郎 at2018-09-26 05:48

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