パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6)。所有製品はHRS130ですが、製品DBに登録がないので、一番近いもので代替しています。 10数年愛用したアン…
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

とにかく楽しいオラフソンのバッハ作品集、あるいは、レコード会社の宣伝文句を警戒し過ぎでは才能を見落とすこともある、について

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2018年12月28日

ヴィキングル オラフソンというピアニスト。八十四年アイスランド生まれで、最近注目の若手ピアニストだそうです。今年の秋にドイツ・グラモフォン(DG)から、バッハの作品集が出ていたのは知ってはいたのですが、ようやく聴くことが出来ました。


収録されているのは、映画『ヴェニスの愛』で使われて有名なマルチェッロのオーボエ協奏曲のバッハ編曲である『イタリア協奏曲』、そして情緒的旋律が印象的な『イタリア風アリアと変奏』を中心に、バッハの様々な鍵盤楽器のための小品が並び、その間に平均律クラヴィア曲集からの5曲や、その他の大作の一部分がちりばめられているという構成です。

手を出すのをためらった理由は、この曲構成にありました。バッハとしては甘めの旋律が特徴的な、覚えやすくて親しみやすい曲で客引きをして、それだけでは色物扱いされかねないので平均律などの固め(?)の曲を差し込んで・・・・という、若手ピアニストを売り出すためのDGお得意のマーケティング手法のように思えたのです。

『平均律』を録音するなら全二巻四十八曲通して、それはいくら何でも無理というのであれば、せめて一巻づつまとめて出せば良いのに。きっとそれでは間が持たないし、売れないと会社は判断したってことだよな・・・・、なんて勘ぐったわけです。おまけに、「カレイド・スコープ(万華鏡)」などと、文字通り「目くらまし」のサブタイトルまでついているのです。これは怪しい、怪しすぎる。

しかし、聴き始めて直ぐに考えを改めました。これは凄い、楽しい、面白い!

先ず、驚いたのは、ピアノの音色と強弱のコントロールです。ガラスのかけらの様な硬質で透明感のある響き、それと同時にその色合いは多彩で、濃淡も様々な小片がばらまかれている(この時点で、「怪しい目くらましサブタイトル」のはずの「万華鏡」という言葉に影響を受けてしまっています)。複数の声部が並行して流れていくバッハの楽曲ですが、オルフセンは各声部ごとに、異なる色彩・強弱を割り当てるかのような弾き方をしています。音楽の進行と共に主役となる声部が入れ替わるのが、強弱・色彩の変化として感覚的に受け止めることが出来るのです。つまりバッハの構造的な側面と、感覚的な情感の両方が共存しているという、不思議な光景が繰り広げられます。

先ほど申し上げた、優しい旋律の親しみやすい曲と、数学的な構成の美しさを見せる曲が交互に登場するという選曲構成も、この奏法で演奏されると、前者はより硬質で構造的に、後者はより躍動的に歌うように聴こえてくることで、バラバラなものではなく一つの統一感をもって並んでいるように感じられるのです。これは、レコード会社の戦略でもなんでもなく、奏者が自分の手法を完全に意識して選び取り、この順番で並べたものだということがわかります。これは凄い。

この変幻自在ぶり(またまた副題に引きずられています)が、小手先の技法であれば、しばらく聴けば飽きてしまうのですが、流れているのは紛れもなくバッハの音楽で、他の名演奏といわれるバッハを聴いた時に感じる、壮大な広がりと、落ち着いた安らぎが、しっかりとした基盤としてあるのです。それを押さえた演奏に出会うことも希なのですが、それだけではないこの独自性。聴きなれた曲が思いがけない表情を見せてくれるのが楽しくて一気に聴き通してしまいました。気が付けば、普通に通して演奏されるときの「この次はこの曲」という固定観念をひっくり返される曲構成そのものも面白がっている自分がいるのでした。これは、楽しい、面白い!

なんだか、完全に術中にはまってしまった様で悔しい思い半分、素晴らしい才能に出会った喜び半分という一枚となりました。さて、この才気あふれるピアニストが、この後、こういう外連味たっぷりの自己プロデュースをしながら今後も走るのか、それともその巧みさを繰り広げて見せるのは挨拶代わりで止めにして王道を進むのか、それによっても、彼のキャリアは大きく変わるという気がしなくもありません。

======

これで、今年の日記は打ち止めにしようと思います。Philewebに登録して1年半が経ち、二回目の年末を迎えることができました。ネタ切れになったら止めれば好いと書き始めた日記ですが、皆様のレスに励まされ、今も続けることが出来ております。本当にありがとうございます。

この1年振り返りますと、書き連ねた駄文が、これで八十三本目。エアコンが全く効かなくなったリビングで真空管に灯を入れるのはお休みとした酷暑の八月には月間一本となったのが、一年を象徴する出来事かもしれません。今年の一字は「災」だそうで、オーディオ一時お休みなんて呑気で贅沢なお話、色々な形で実際に自然の力による被害のあった方々には申し訳ないことです。

聴いたクラシック音楽の備忘録として書いているこの日記、フランスものが多いと自分では思っていたのですが、作曲者で一番多かったのはバッハ(最後もそうでしたね)、次いでシューベルト、三番目がプロコフィエフとドビュッシー。ドビュッシーは没後百周年であれだけ新録音があった年にもかかわらず意外。五番目がモーツアルト、ショスタコービッチとヴェルディの三人。この七人で録音紹介の半分、それも声楽と器楽・室内楽が殆どを占めるという偏りです。この超偏向文章にお付き合い頂いた方々、さらにはレスまで頂いた方々には、心より御礼申し上げます。

来年こそは「災」のない平穏な年となって、皆様のオーディオ・ライフ、音楽生活がより豊かなものとなることをお祈り申し上げます!

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レス一覧

  1. こんばんは

    オラフソン、わたしも曲の並びを見て、遠い目になっていました。最近こういうタイプの選曲にちょっと食傷気味になっていたかも知れません。「カレイドスコープ」も副題としては既視感ありありですし・・・。

    ですが、パグ探偵事務所の調査済み物件ということで、有り難くポチらせて頂きます!

    オラフソン、今年10月に来日したときのプログラムがHMVに出ていましたが、前半は無伴奏ヴァイオリンのパルティータの編曲なども組み込んだバッハのモザイク状プログラム、後半はベートーヴェンのソナタ第1番と第32番(!)という、人を喰ったような選曲でした(汗)。これは、しばらくこの路線かも知れませんね。

    byOrisuke at2018-12-29 02:01

  2. パグ太郎さん、おはようございます。

    一年間お疲れさまでした。
    パグ太郎さんとの濃ゆいオフ会は忘れられません。
    なんせ、『DODAI』とそれに続く『N-07A』を製作するトリガーとなったオフ会ですからね!

    私の奥さんへ
    悪いのは全部パグ太郎さんの所為です!

    来年もよろしくお願い致します。(笑)

    byCENYA at2018-12-29 09:54

  3. orisukeさん

    おはようございます。レス有難うございます。

    やはり、あの曲構成とサブタイトルは、マイナスに働きますよね。と言い、もう一枚のカレイドスコープも持っていたりしますが。

    来年も楽しいソフトの情報宜しくお願いします!

    byパグ太郎 at2018-12-29 11:35

  4. CENYAさん

    レス有難うございます。

    >悪いのは全部パグ太郎さんの所為です!

    えーっ! そんな御無体な!
    ゴリマッチョ計画はあのオフ会前に起動していたという証拠はちゃーんと上がっていますよ!

    byパグ太郎 at2018-12-29 11:48

  5. パグ太郎さん こんにちは

    今年も たくさんのソフトと 楽しい 日記 ありがとうございました。

    お蔭様で 普段 ポチら無いだろうなぁというソフトが 随分増えて

    楽しい ライブラリーに変化しました。

    来年も よろしくお願いします。

    byX1おやじ at2018-12-29 12:01

  6. X1おやじ さん

    レス有難うございます。

    本当に偏った私の日記を少しでも楽しんで頂いていたとのこと、光栄です。あまり陽の当たらない作品を少しでも多くの人に聴いていただけるのも、大変嬉しいです。

    こちらこそ宜しくお願い致します。

    byパグ太郎 at2018-12-29 15:52

  7. パグ太郎さん、こんばんは。

    >各声部ごとに、異なる色彩・強弱を割り当てるかのような弾き方をしています。

    これは面白そうです、早速ポチリました。

    来年も楽しい記事をよろしくお願い致します。

    byそねさん at2018-12-29 23:19

  8. そねさん、おはようございます。

    レス有難うございます。

    当方の感想でポチられたとのこと、嬉しくもあり、怖くもあり(笑)です。自分の感覚で、好なものを好きと無責任に言うばかりの日記ですが、これからも、よろしくお願いいたします。

    byパグ太郎 at2018-12-30 08:12

  9. パグ太郎さん
    こんにちは!

    振り返れば多くの日記で音源紹介をされているのですね〜
    それも力作ばかりで、いつも楽しく読まさせてもらっています。
    そのうちのいくつかはポチ!
    ファイルウェブは音源紹介も豊富なので楽しみの一つです。

    今年は遠州までの寄り道散歩をご一緒できたのが良い思い出となりました!
    年末〜来年で予定されているアナログ関連出費の主犯はパグ太郎さんか?!と、無茶苦茶な言い逃れを用意しておきますので、その際はドーン!と受け止めてくださいませ(笑)
    このところLP購入のペースが上がっていてお小遣いがヤバイ...

    来年も楽しい音源日記を引き続きよろしくお願いします!

    では、では

    byバズケロ at2018-12-30 11:56

  10. バズケロさん

    今日は。レス有難うございます。お楽しみ頂いているとのこと、光栄です。先日はお邪魔でき、楽しい時間を過ごすことが出来ました。

    >アナログ関連の出費の主犯

    ????
    またまた御無体な! 全く身に覚えがござりませぬ!!
    では有りますが、相変わらず録音紹介しか出来ることが無いのも事実です。来年も宜しくお願い致します。

    byパグ太郎 at2018-12-30 15:00

  11. パグ太郎さん

    83本ですか!以前、音楽家の芥川也寸志氏が「モーツァルトは私が楽譜を読むより速いペースで楽譜を書いた」と語ったという話を聞いたことがありますが、私がレスを入れる前に次の日記が投稿されていたこともしばしばでした。

    パグ太郎さんの日記では、作曲家、演奏家、録音家、レーベルという音楽要素が時代背景、文化的・歴史的意義を踏まえた上で、大胆なご自身の見解をもった切り口で語られますから、読む方も気が抜けません。お陰で読んだ後でこっちも少し賢くなった気にさせてくれます。最近は、再生装置の考察まで踏み込まれて、多くの読者を引き付けるのも納得です。

    来年も宜しくお願いします。

    byのびー at2018-12-30 17:41

  12. のびーさん

    レスありがとうございます。

    モーツァルトを例に挙げて頂くなんて、飛んでもないお話ですし、音楽を聴いて感じたことを気ままに書いているだけの文章に過分なお言葉を頂き、こちらが恥ずかしくなってしまいます。何の根拠もない素人解釈ですので、気楽にお楽しみいただければ嬉しいです。そうでないと、こちらが緊張してしまいますので。

    こちらこそ、よろしくお願い申し上げます。

    来年もよろしくお願いいたします。

    byパグ太郎 at2018-12-30 20:16

  13. パグ太郎さん、こんばんは。

    今年もたくさんの楽曲のご紹介、ありがとうございました。
    パグ太郎さんの日記でたくさんの音楽に出会うことができました。
    忘れられない名盤になったものもいくつもあります。


    今回のバッハの作品集は かなり有望な匂いがします(汗
    購入してみようと思います。

    来年のご活躍も楽しみにしています!

    byケニティー at2018-12-30 21:27

  14. ケニティーさん、今晩は。

    レス有難うございます。新しい音源に触れて面白くなると、つい感想文を書いてしまいます。気にいって頂けるモノが少しでも発見していただければ、書いている意味が出てきて嬉しいです。

    こちらこそ、よろしくお願いいたします。

    byパグ太郎 at2018-12-30 22:19

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