パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6)。所有製品はHRS130ですが、製品DBに登録がないので、一番近いもので代替しています。 10数年愛用したアン…
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

開放弦の魔女に魅入られる、あるいはパヴェル・ハース四重奏団の柔軟なメンバー入れ替えの効果について

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2019年01月07日

年末に録り溜めしたNHK BS放送の音楽番組を眺めていたら、パヴェル・ハース弦楽四重奏団(PHQ)の2016年12月の来日コンサートの映像(たぶん再放送)が出てきました。プログラムは、ペルトの『フラトレス』、バルトークの『弦楽四重奏曲5番』、アンコールのドボルザークの『ワルツ』の3曲。(おそらく実際の演奏会では、時間的にもう一曲くらいあったはずですが)

(あれ? 何か変!)

実は、恒例の大掃除を終えて録画機のディスクの中身の棚卸でもしようかとテレビの画面をボーっと眺めていたのですが、突然、異変に気が付きました。PHQの設立者でリーダーの大姐御、波打つ豊かな金髪を、魔女の箒か狐の尻尾かと思えるふさふさの束にして弓を操る右腕の肩に乗せている姿が強烈な印象を残すヤルツコヴァが、なんと第二ヴァイオリンの位置にいるではないですか。
(初めて見た時は襟巻かと)

「また、第二ヴァイオリン辞めちゃったの!」と驚いて、慌てて右隣の第一ヴァイオリンを見たら、、、あれ、どっかで見たような顔・・・・。10数年しか歴史のないこの弦楽四重奏団の4人目の第二バイオリンとして数年前に加入したばかりのツヴィーベルです。第一と第二交代?? でも、だって、、、PHQといえば姐御の強烈な表現を、如何に残り3人が支えて突っ走るかという4人組であるわけで、そりゃないでしょう。因みに、左半分のチェロとヴィオラはそのままのメンバー(ヴィオラは2016年の春に交代したばかりですが)であることを確認して一安心。
(普段はこういう力関係?)

一安心は良かったのですが、ボーっと眺めているどころではなくなって、姐御がセカンドの席で何をしているのか、集中して見ることに。ペルトのこの曲、独奏ヴァイオリンのオーケストラ伴奏版を、ムローヴァとバティアシビリのソロという二つの録音を、昨年は耳タコになるほど聴いていましたが、今回の作曲者自身の編曲した弦楽四重奏版は初めて耳にします。オーケストラ版でもシンプルで透明度の高かったこの曲を、弦四本で演奏するのは無理があるのでは?という懸念が先立ちます。その上、申し訳ないですが、オーケストラ版の独奏パートを弾いている第一ヴァイオリンより、第二に目(と耳)が行ってしまいます。
(バティアシビリとムローヴァ)

先ずは、黄金の狐だか箒だかを肩に担いだ魔女に意識を集中。なんと、ほとんどの時間、姐御は開放弦で一つの小さな音を一本の細い線のように弾いているだけです。オーケストラ版では、この弦の静かで時間が止まったような持続音に、時の流れを意識させるようなリズムを拍子木が刻むのですが、ここではチェロの弦を弾く振動音が、その役割を果たしています。これだけにシンプルで静謐な舞台の上で、第一ヴァイオリンとヴィオラ、チェロが、倍音を響かせる特殊奏法で、メロディーと言えないほど薄手の抑制された音の変化を、旋律線として流していきます。これだけでは普通であれば「スカスカ」で音楽にならないはずなのですが、とても弦4本とは思えない実体感のある響きの幕がふわっと出現。まるで魔法です。
(10分間ずーっと、指を立てたこういう姿のまま)

これは、音色や強弱の入れ替え、持続音の微妙な変化などの擦り合わせが、ミクロだかナノだかわかりませんが、飛んでもない精度で行われている様な気がします。そうでなければ、この響きの幕は一瞬で消えて持続しないはずです。そして、その全体の流れを制御しているのは、開放弦で弓を動かしているだけにしか見えない姐御の持続音なのだろうと推測しました。改めて、オーケストラ版を聴くと、ヴァイオリン・ソロの鮮烈な動きと拍子木の時を刻む音の背景にある、低く静かな弦の持続音の重なりが、この曲の空気を作っていることが見えてきます。「だから替わりなさい」ということだったのだろうというのは勝手な妄想ですが、入れ替わったツヴィーベルのハーモニック奏法も、これまた常識外れの精緻さのレベルであることは間違いありません。いや、恐ろしい。

ということで、息が詰まるような10分強の演奏でしたが、PHQの真の実力を見せつけられた思いでした。その後のバルトークでは、姐御は何時もの第一ヴァイオリンに座って、ペルトで我慢していた分まで取り返してやろうという勢いで、いつも以上に果敢にドライブをかけたとんでもない演奏を見せてくれました。が、支え役の男性3人の対応力は、ヴィオラのメンバー交代後半年というタイミングにも関わらず、以前とまったく変わらず、どこまで煽っても崩れることなく受け止め、音楽の流れと構造をしっかりと浮きたたせる名演奏を聴かせてくれたのです。憎らしいことに、ペルトであれだけのことができるのだから、当然ですという涼しい顔。

大掃除明けの休憩のはずが、最初の10分で集中力を使い果たし、バルトークは唯々、身を任せて唖然とするばかり。やはり、今世紀に入って弦楽四重奏団には、何か突然変異が起きているという思いをさらに強くした年末だったのであります。

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  1. うわー、しまった。
    見逃しました、これ。面白そうだったのに・・・
    年末、スキーしてる場合じゃ無かったですね(涙)。

    この人達、スメタナQのシュカンパのお弟子さんなんですね。レパートリーもヤナーチェックにスメタナ、ドヴォルザーク、バルトークですか。そのうち、アルバンベルクQの弟子のベルチャQと第2世代対決が見られるのかな?しかも、両方とも現在「大姉御+男3人」というところまで共通しているという・・・。

    キアロスクーロは女2+男2ですが、やはりイブラギモヴァがブイブイ引っ張る形ですし。

    現代カルテット異変のキーワードは「大姉御」ですね(笑)。

    byOrisuke at2019-01-08 03:00

  2. Orisukeさん

    レスありがとうございます。

    >スメタナQのシュカンパのお弟子さん

    そうなんです。PHQのチェロ(ヤルツコヴァの夫)は元々シュカンパSQにいて、PHQの初代チェロが合わなかったのでシュカンパにSQに移り、入れ替わりにメンバーになったとうう経緯もあるようです。

    プロコフィエフの弦楽四重奏曲というのを彼らの録音で初めて聴いたのですが、グルーヴ感満載、自らを「バンド」と称するのも頷ける快演でした。姐御はバンドリーダーですね。

    byパグ太郎 at2019-01-08 09:30

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