パグ太郎
パグ太郎
クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
パグ太郎の部屋
持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6)。所有製品はHRS130ですが、製品DBに登録がないので、一番近いもので代替しています。 10数年愛用したアン…
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

夏休み明けの映画音楽鑑賞会? 或いは、同世代の元天才少女の思いがけない姿に惚れ直す嬉しさについて

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2019年09月04日

日々の雑事に追われるのと、亜熱帯化しつつある気候と真空管の熱にエアコンが負けているのと、CDPの不調という三重苦により、拙日記は二か月ほどの夏休みに突入しておりましたが、虫の声も騒がしくなり秋の風情も出てまいりましたので、ゆるゆるとペースを戻してまいりたいと考えております。

さて、本日の作品はこれ。
ムター演じる、ジョン・ウィリアムズ(JW)の映画音楽選です。オリジナルの楽曲を作曲者自身が、ヴァイオリンを主役にしたオーケストラ伴奏曲に編曲。オーケストラの指揮も作曲者自身です。言わずと知れたハリウッド映画音楽の巨匠で、この曲集にも『スターウォーズ』、『ハリーポッター』、『シンドラーのリスト』など超有名曲が並んでいます。またまた、ドイツ・グラモフォン得意のクラシック演奏家の異ジャンル・コラボの企画モノだろうと舐めていたのですが、配信で聴いてみて(配信先行でCDは9月末にならないと出て来ません)、これはムターの代表作と言っても良いのではという出来栄えに驚いてしまいました。

いや、ムターの代表作って、自分はムターをそんなに評価していたかしら。

アンネ・ゾフィー・ムター。1963年、ドイツ生まれのヴァイオリニスト。13歳で帝王カラヤンに見出された天才少女として、ザルツブルグ音楽祭でベルリンフィルと共演。それ以降、カラヤンを初め著名指揮者・名オーケストラと共演。バロックから現代音楽まで幅広いレパートリーを誇る、ヴァイオリン界のスーパースター、女王と言っても良いのでしょう。
(1978年のレコードデビューはカラヤンと)

その演奏は、自分にとっては「艶めかしい」の一言。弦を大きく震わせるその歌いっぷりは、弱音の時は耳元に吐息がかかる様に囁き、強奏の時は身をくねらせるように迫ってきます。これでモーツァルトなど演じられると、「マダム、パフュームがきつ過ぎますよ」と客の選り好みをするレストランのメートルみたいな想い(という実経験は無いのですが)をすることがしばしば。

逆にシベリウスやチャイコフスキーの協奏曲を聴くと抒情的な部分は艶っぽくて、婀娜っぽくて良いのですが、北欧やロシアの冬の冷たい陰りがもう少しあっても・・・・。ツィガーヌとか、チゴイネルワイゼンも「ジプシー風」の妖艶さはあっても、それが微妙に明るいのです。そういう意味では、メンデルスゾーンの都会風の甘いロマンティックさが最高の組み合わせかも。逆に現代音楽の先鋭的でドライな楽曲に彼女が向かうのは、曲自身の無機質さが、自分の不足分を補い、過剰分を和らげてくれることを無意識に知っているからなのかもしれません
(1980年録音のメンデルスゾーン協奏曲)

などという勝手な感想を持っている人間が言う「代表作」なので、相当バイアスのかかった意見とお考え下さい。で、どこが良かったのか。

いや、やはり上手い(当たり前ですが)。映画音楽をクラシック演奏家が演じるのをテレビ等で見聞きしますが、「こんなのは余技の小遣い稼ぎでやってます」風な演奏とは大違い。やはり格が違う上手さ。そして嬉しいことに真剣勝負です。

当然、彼女の美点である艶めかしさ全開で、歌い、囁き、涙ぐみ、恋を語り、訴えかけてきます。そうであっても、それは過剰とは感じさせない所で留まっていて、甘ったるい映画音楽の「愛のテーマ」編曲特集にはなっていません。流石、JWが彼女を前提に、何年もかけて編曲しただけのことはあります。独奏者の能力を最大限に引き出しつつ、オーケストラと競わせる、そして元々の映画の世界をより強烈に表現する、その作曲・編曲は、ハリウッド映画という厳しい世界に半世紀以上、君臨し続けられた彼の才能が飛んでもないものであることを示しています。

もう一つは、ムターに感じる「冷たさとか陰りが足りない」という想いを抱かずに済むということです。そう、ハリウッド映画です! エンドロールと共にすべての悲劇は解決を見ている(あるいは、次作に向けてそれが予告されている)予定調和の世界。その中では、彼女は思う存分に演じていて何の不足も感じさることはない、そういう幸せな組み合わせ。

こういう彼女の演奏を聴いたのは初めてです。そう、ムターの演奏家としての素の姿が、ストレートに花開いている気がします。

ムターはインタビューでJWの音楽との出会いを語っています。「ドイツ・フランス・スイスの国境が接する森の中の田舎町で、刺激のあることと言えば映画館ぐらい。そこにやって来たのが1978年のスターウォーズで、ちょうどカラヤンとのデビュー直後だったの。その音楽にぶっ飛んだわ。映像も凄かったけれど、登場人物毎につけられた主題で性格描写する素晴らしい音楽の虜よ。」 

まさしく私自身も同世代で、天才少女としてのデビュー以来、何のかんの文句を言いながら聴き続けて来たのですが、リアルタイムで同じ映画に触れて「ぶっ飛んだ」経験を共有していたとは。そして、そういう演奏家の遮るものが全くない素の美質を感じさせる演奏に、こういう形で出会えたというのは嬉しい驚きだったのです。

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  1. パグ太郎さん、

    こんばんは。

    少し暑さが和らいだため(?)またパグ太郎さんの歯切れの良いソフト紹介を読ませていただくことができてうれしいです。

    >これはムターの代表作と言っても良いのではという出来栄えに驚いてしまいました。

    このコメントに思わずのけぞりました。(笑)
    ジョン・ウィリアムズは私も好きですが、「え~~っ」という感じ。
    まだ聴いてないのですが、すぐにも買いたくなってしまいました。


    >これでモーツァルトなど演じられると、「マダム、パフュームがきつ過ぎますよ」と客の選り好みをするレストランのメートルみたいな想い(という実経験は無いのですが)をすることがしばしば。

    アハハハハ。


    >逆に現代音楽の先鋭的でドライな楽曲に彼女が向かうのは、曲自身の無機質さが、自分の不足分を補い、過剰分を和らげてくれることを無意識に知っているからなのかもしれません

    その感じなんとなくわかります。GubaidulinaやLutoslawskiのコンチェルトで聴くムターは私には温度感があって耳あたり良く聴こえます。


    先日、X1おやじさんのところで聴かせていただいたTokyo Gala Concertでのサン=サーンスはその「妖艶さ」でぶっ飛びましたが、ハイレゾ版を両方まとめてHDtracksあたりで購入してしまいそうな気がします。
    (^^;)

    byK&K at2019-09-05 01:05

  2. パグ太郎さん こんにちは

    私は CDで 手に入れました。

    >曲自身の無機質さが、自分の不足分を補い、過剰分を和らげてくれることを無意識に知っているからなのかもしれません。

    なるほど そうなんですね。 ムターの妖艶さが 時々 ぞくっと来て 夢心地にさせてもらえるのですが 

    そういう聴き方も あるんですね。


    ただ 私も パフュームのきついのは 勘弁です。 

    最初は 売れ筋の物を出してきたな!と さすが 女王 ムター様が ジョン・ウィリアムズに 編曲をさせてしまったのか?? とか??


    ソファに横に なり 怠けて 聴いていたのですが 今晩は

    真剣に 聞いてみます。

    byX1おやじ at2019-09-05 10:55

  3. パグ太郎さん

    ジョン・ウィリアムズの音楽、単なる映画音楽というだけにしておくのはもったいないくらいの名曲が多いですね。

    先だっての、デュダメル/ロス・フィルの来日公演も、オール・ウィリアムズ・プログラムでしたね。私はFMエアチェック音源のファイル再生で楽しんでいます。

    その「シンドラーのテーマ」のソロは、ゲストソロとして若手の三浦文彰が務めました。不吉な暗黒にも満ちたテーマであるはずですが、若い人が弾くと死の甘美さが漂うところは、ハリウッドなのでしょう。それがひとつのロマンとして確立しているところがあります。

    もうひとつ「SAYURIのテーマ」も気に入りました。やはり悲嘆の影が漂うはずなのですが、これも甘美な音楽になっています。

    ムターは、ハリウッドとは無縁ですし彼女の美質はちょっと象限が違うところにあるとは思うのですが、どこか根源的なところは共通しているような気がします。

    byベルウッド at2019-09-05 11:13

  4. パグ太郎さん、

    先日の拙宅でのオフ会以来、私もムターが少々気になっており、手持ちの音源でムターの演奏をいろいろ聴き比べてみようかと思っていたところです。

    JWの演奏は私はパグ太郎さんと同世代とは言いませんが、胸踊らせて聞いていましたね。早速新しいのも手に入れて聴いてみたいと思っています。

    ムターばかり聴くオフ会を企画しても面白いかもしれませんね。

    byHarubaru at2019-09-05 16:08

  5. K&Kさん

    レス有難うございます。

    >思わずのけぞりました

    そうでしょうね。普通、この組み合わせを良いというのは抵抗感があるかもしれませんね。

    当方がムターに感じていたモヤモヤが、ジョン・ウィリアムズで吹き飛んだというだけのことかもしれません。ただ、こういうクロスオーバーは通常、オリジナルを前にすると霞んでしまうものなのですが、この録音では、別の輝きを原曲に加えることができていると感じていて、その一点でも存在価値はあるかと。

    byパグ太郎 at2019-09-05 18:28

  6. X1おやじさん

    レス有難うございます。

    >ムターの妖艶さが時々ぞくっと来て、夢心地

    というのは、全く否定しません。モーツァルトやシューベルトでそれしなくてもと思ったり、暗い冬の寂しさや流浪の民の怨念を込めて欲しい曲にはもう一押しと思ったりするのです。そして現代音楽ではそういう過不足を感じない。

    でも、先日、X1おやじさんのシステムでムターを聴いてこられたお三方は一様に、その色気の虜になったと伺いましたので、きっと凄いのでしょうね。

    byパグ太郎 at2019-09-05 18:32

  7. ベルウッドさん

    レス有難うございます。

    ジョン・ウィリアムズの名人芸でムターのために編曲すると、こういう音楽にもなるのかというのは、一番の驚きでした。別の宇宙にいる二つの才能が交差した時の輝き、だからAcross the Stars(複数)という副題なのかも。

    >どこか根源的なところは共通

    なので、ムターはアンドレ・プレヴィンと一緒になったというのは穿ち過ぎでしょうか?

    byパグ太郎 at2019-09-05 18:34

  8. Harubaruさん

    レス有難うございます。

    そう言われてみれば、最近ムターが登場する記事が続いていますね。改めて愛好の方が多いということを再認識しました。そこにあんな勝手な感想を上げたら、炎上必至だったのですね。でも、デビュー録音から2年後の1980年のメンデルスゾーンの協奏曲のジャケットの育ち過ぎたあのお姿にびっくりした思い出のある身には、今のご様子はなんだか信じ難く・・・・(なんてさらに火に油?)。

    ムター縛りのオフ会、中々刺激的ですね!

    byパグ太郎 at2019-09-05 18:35

  9. パグ太郎さん  こんばんは。

    拝読させていただきました。いや~面白かったですゥ(^^
    隅々まで心配りが行き届いた軽妙洒脱な文章を読ませていただくのは実に気分のよいものです。

    まずは、
    巷間耳にするムターの美質?の一端を「マダム、パフュームがきつ過ぎますよ」と仕立てたサイドストーリーに大笑いです。(^^;パグ太郎さん、ニンマリ?
    そうしておいて、
    でも本作品はハリウッド映画の予定調和の世界の音楽、ムターに不足すると謂われる冷たさとか陰りは無用、しかもJWはムターが演奏することを前提に編曲し自ら指揮してオケと競い合わせており、ムターも思う存分演じて素の美質が花開いている作品となっている、と切り返す説明に納得。
    ここで止めのインタビュー記事、
    ムターの、デビューの頃スターウォーズの音楽の虜になったとJWとの出会いの語りに、いや増す説得力、すっかりパグ太郎さん絡めとられてしまいました。(^^
    しかし冷静さを取り戻してみると、
    「これはムターの”代表作”と言っても良いのではという『出来栄え』」における“代表作”は『出来映え』の程度を個人の音楽体験に基づいて形容したものですね。
    そりゃあ「ぶっ飛び」体験を共有していたと知ったら、そしてムターの素の姿がストレートに花開いている演奏ならば、そう形容したくもなるのでしょうね~。


    ではここで、コテコテマダムではなく爽やか溌溂マドモァゼルムターのモーツルト、「ヴァイオリン協奏曲第3番」を、どうぞ…。

    byそねさん at2019-09-05 18:38

  10. そねさん

    レス有難うございます。そして過分のご評価痛み入ります。楽しんでいただいているとのこと、素直に嬉しいです。あまりお褒めいただくと調子に乗って訳の分からないことを書き始めますので、ご用心ください。

    デビュー録音のモーツァルトと最近の弾き振りのモーツァルト、仰る通りの違いでしたね。カラヤンは今の演奏を予測していたのかどうか、尋ねてみたいところです。

    byパグ太郎 at2019-09-05 20:38

  11. ストリーミングで聴いてみました。

    ジョン・ウイリアムズもかなりの高齢だと思いますが、精力的にいろいろやっている感じでいいですね。

    ヴァイオリン編曲もうまく行っていて違和感ないですね。

    ムターは一枚ベートーベンのヴァイオリン協奏曲を持っています。

    あまりクラッシック音楽は詳しくないのですが、映画音楽の編曲は身近に感じ、なかなか自分にとっていい経験というか参考にいなりました。

    byうつみくん at2019-09-06 15:39

  12. うつみんくんさん

    今晩はレス有難うございます。

    こういう気楽に親しめる素材で、演奏家の腕を楽しむことができるのが良いですね。

    byパグ太郎 at2019-09-06 21:52

  13. パグ太郎さん、こんにちは。

    ご紹介の「アクロス・ザ・スターズ 」直ぐにポチって今聴いています。

    ムターはカルメン幻想曲しか持っていませんが、このソフトも音量を上げて聴いた方が楽しめますねー。

    byVOTTA7 at2019-09-08 16:25

  14. VOTTA7さん

    映像コンテンツにお詳しいVOTTA7さんからのレス、光栄です!

    確かに切れ味が良い演奏で、大音量が似合うので、私もついボリュームが上げています。

    気に入りは、ハリポッターの「ヘドウィグのテーマ」でヴァイオリンの超絶技巧満載ですが、ハリポタのタイトルロールを髣髴させる雰囲気をしっかりキープ。

    byパグ太郎 at2019-09-09 07:20

  15. パグ太郎さん、

    ムターのジョン・ウィリアムズ、HDtracksからハイレゾ版をダウンロードして聴いてみました。

    ムターの代表作というパグ太郎さんの記述に120%納得しました。
    コレすごいです。

    パフュームは感じますが、ムターの思い入れとテクニックがここまで楽しめるとは…

    ご紹介感謝しています。

    byK&K at2019-09-09 16:22

  16. K&Kさん

    お気に召したとのこと、駄文書いた甲斐がありました。素直に嬉しいです。彼女にはこういう世界が意外にもピッタリですよね〜! そしてJWの匠の技にも改めて感心。そして、まだまだ現役で頑張れそう。

    byパグ太郎 at2019-09-09 20:35

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