パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6)。所有製品はHRS130ですが、製品DBに登録がないので、一番近いもので代替しています。 10数年愛用したアン…
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

宝箱一杯分をお得に楽しめる福袋? あるいはLiving Stereoの最初期録音の完成度について

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2020年01月05日

昨年末から続いている聴き溜め音源棚卸しシリーズ、年内に終わらず越年してしまったのですが、新年最初に持ってくるにはどうにも相応しくなく(要はテーマが暗い)、一回お休みとして、今回はこのCDを取り上げたいと思います。弊日記には珍しくオーディオにまつわるコンピレーション アルバムです。

実は、昨年末、Orisukeさんが上京された際のGRF邸でのオフ会で登場したのが、この盤でした。クラシック音楽に鋭い感性をお持ちで新旧の録音を幅広く守備範囲にされ、かつ自作で360度型のスピーカーの実験までやり遂げてしまう程、オーディオにも造詣深いOrisukeさん、実は、ちょうど一年前の正月のGRF邸訪問後に自作された音場型スピーカーで、お持ちのLiving Stereoシリーズの復刻されたリマスター版がどのように再生されるかの実験をされていたのです。このCDは、その実験に対する比較の基準石としてGRFさんが用意されていたものかもしれません。

「Living Stereoの時代、ジョン・ファイファーを偲んで」というこのCDは、RCAの黄金時代を支えた名物エンジニア・プロデューサであったファイファーが96年に亡くなった時にリリースされたものです。収録されているのは、Living StereoのブランドでRCAがステレオLPをリリース開始するに至るまでの、ステレオ録音の実験段階の音源、商用版のモノラル録音と並行して行われたデモ用ステレオ録音の音源など、本来は日の目を見ることを想定されていなかったものなのです。中にはステレオ効果を強調するためにオーケストラの配置を無理やり変えた失敗実験なども含まれていますが、登場するアーティストは当時のRCAが抱えていたモントゥー、ミンシュ、ライナー、ストコフスキー、コンドラシン、ホロビッツ、ハイフェッツ、ルービンシュタイン、クライバーンという豪華ラインアップの、厳選された名演奏(しかも、5分前後の聴きどころをピックアップ)で、これが楽しめないわけがありません。

私自身はLiving Stereoシリーズのいくつかを、LPやCDでも聴いたことがあったのですが、その爆音志向、濃い味付けの音色、強調された音場感が余り好きになれず、ライナー指揮シカゴ・シンフォニーやモントゥー指揮ボストン・シンフォニーの演奏はこういうものかと、その後敬遠していたのです。が、聴かせて頂いたCDに収められた楽曲は、同じ指揮者、オーケストラの組み合わせなのに、何かを強調することもない自然なバランス、さらに空間を再現するために必要な微細な音場情報がしっかりと捕らえられている。逆に、下手なハイレゾのデジタル最新録音よりも、鮮度が高い印象すらあります。先ずこのことに驚いてしまいました。

ブックレットにあった各トラックについてのファイファー自身の収録時の逸話やコメント、そして付録についていた90年代に入ってからのインタビューを読んでみて、なるほどと納得してしまったことがあります。

一つは、これらの録音は2本、場合によっては3本のマイクで、2トラックの録音装置で収録されていたということ。それでいて、ここまで鮮度の高い各楽器の響きとリアルな空間表現ができている事実を目の当たりにすると、その後のマルチ・マイク、マルチ・トラックの技術の進化には目を見張るものがあるのかもしれませんが、ステレオ収録技術の本質は、それが商用化される前に完成の域に達していたと思われるのです。

こういうコメントがあります。「それぞれのマイクが捕らえた位相差や、会場の反射音が、マルチ・マイクでは混乱を増すだけ(水を濁らせるようなもの)で、自分はマイクの数を少なくしようとした。それは、(90年代の)今でもそう。マルチ・マイクにも利点はあり、録音セッションに時間制限がある場合や、チャンスが一回限りのライブ収録の場合、保険としてのマルチ・マイク、後から時間をかけて様々な組合せを試みるためのマルチ・マイクは使うべき。でも、マルチ・マイクで得られる結果は、2本のマイクより優れた結果にはならない」

もう一つは、「聴き手に臨場感を与える決定的要素は、直接音と残響音の理想的な比率を判断すること」だと言っていることです。そして、その比率は、色々なオーケストラ、会場でのセッションの経験を積むことによって得られたものだとも。その結果到達した例として、彼が上げているのが、ルービンシュタインのピアノ、ライトナー指揮シカゴ・シンフォニーのブラームスのピアノ協奏曲1番最終楽章の冒頭。「ピアノの背後でバスーンのソロの明瞭な響きを聴いてほしい」というのが、54年にモノラル商用版の裏で行われたステレオ録音についての彼のコメントです。

この「セッションを繰り返した経験から発見できる」「直接音と残響音の理想的な比率」こそが、オリジナル版の生々しさの秘密なのかもしれません。実際のセッションを体験していない人間によるリマスタリングで何かを強調することは、この絶妙のバランスを崩すという結果になっているのではないかと感じます。そして無指向性のスピーカーは適切に設置された場合、このような2-3本のマイクで取られた直接音と残響、反射のバランスによる空間表現を忠実に再現する(逆に言うとそこに手が加えられた場合には違和感を感じさせてしまう)システムなのかもしれません。

このCDは各録音の「さわり」を集めたものでしかありません。Living Stereoシリーズの黄金期の姿をとどめた多くのCDは残っていないだろうと思っていたら、GRFさんが奥から段ボール箱一杯のCDを引っ張り出してこられました。見ると全てリマスター前の初期版で、コンピレーション盤と同じ鮮度だとのこと・・・・。よく見ると未開封のものもチラホラ。「だって、このコンピレーションで良い所は大方聴けるから」とのこと。

「・・・・・」と当方は絶句でしたが、考えてみればその通り、このCDは、この箱一杯に詰まったお宝の山の「良い所取りの摘まみ喰い」ができる福袋の様なものです。これはお正月にはピッタリ。おまけに拙宅の「リビングにあるステレオ」は、年末年始は来客やら家人のテレビの特番ザッピングが優先で、オーディオが稼働する時間は超限定的で、この細切れコンピレーションは最適かも・・・ということで、その場でポチって、今年の正月休みはそれ一色だったのであります。

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レス一覧

  1. パグ太郎さん、明けましておめでとうございます。

    自分もこれはGRFさん宅で衝撃を受けて以来愛聴盤です。
    http://community.phileweb.com/mypage/entry/3344/20150427/47202/
    初心者の自分にも色々な意味でありがたい盤と感じてましたが、パグ太郎さんの解説でより一層楽しめそうです。

    >お宝の山の「良い所取りの摘まみ喰い」ができる福袋の様なものです。これはお正月にはピッタリ。
    確かになるほど、おせち料理みたいな解釈が楽しいです。
    それと、クラシックマニアの方々はストーリー性の無いこういうおいしいとこ取りの寄せ集めのようなソフトは邪道に感じたりしないのかな?とも思ったりしましたが、そう難しく考えなくても良いようで少し安心しました(^^)

    byにら at2020-01-05 17:16

  2. にらさん、おめでとうございます。レス有難うございました。

    同じ盤を同じ文脈で取り上げておられたのですね。気づかず失礼しました。こういう素直で素材の良さが分かり易い音源は聴いていて気持ちが良いものですね。また少しバランス崩すと直ぐわかってしまうのも、怖くもあり便利でもあるかなと思いました。

    いつも、演奏についての重箱の隅感想を書いていますが、珍しく素直なオーディオネタ(ではなく、録音ネタ?)にすることができました。音楽聴いて感じることがあり、それが楽しければ、それで十分ですよね。

    byパグ太郎 at2020-01-05 19:51

  3. パグ太郎さん

    明けましておめでとうございます
    年末は楽しい忘年会、ありがとうございました!

    GRF邸の最新バージョンの音場表現も素晴らしかったですが(あれが正相4本で再現されるところが、ジャーマン製ユニットの凄いところだと思います)、その後に出てきたRCAのリマスター前のCDの宝箱に唖然、呆然。あの音は反則です!サウンドミラー社が鳴り物入りでリマスターしたという我が家のボックス(第1集・第2集)の音のバランスの崩れ方に愕然としました。

    ビゼーの聴き比べ、アナログ編は次回に持ち越しということで。
    パグちゃん達にも宜しくお伝え下さい。

    byOrisuke at2020-01-05 20:22

  4. Orisukeさん

    おめでとうございます。レス有難うございました。忘年会、ギリギリ参加できて良かったです。というのも何時もとは違うプログラムが用意されていて、また新しい世界が開けたからです。GRFさん、Orisukeさんのお陰ですね。

    でもあれを聴いてしまうと、CD買う前に初出盤が何がチェックしないと買えなくなってしまいますね。これはこれで困ったものです。

    今年も切れ味鋭い音源のご紹介楽しみにしております。

    byパグ太郎 at2020-01-05 20:56

  5. パグ太郎さん、明けましておめでとうございます。

    それにしてもファイファーの言葉には含蓄がありますね。最近2、3年のGRF邸詣でようやく分かり始めたことが遥か昔に言い尽くされています。

    この聴き方の問題点は、最新録音より旧いオリジナル盤の方に興味が行ってしまうことです。ジャズと違ってオリジナル盤は格安(特にCD)なので、discog 漁りが止まりません。

    byのびー at2020-01-06 14:57

  6. のびーさん、明けましておめでとうございます。レス有難うございました。

    >遙か昔に言い尽くされています。

    はい、その通りですね。その後のマルチマイク、マルチトラックや、リマスタリングという技術進化の意味をどう考えれば良いのか、中々複雑な心境です。また、こういう録音の音場情報を再現する最適システムとか、その設置環境とか考えだすと、、、。

    オマケに当方は演奏家発掘という変な趣味もあって、最近の若手エンジニアの位相弄りまくり(アルファ クラシック?)録音でも手を出さざるを得ず、どうしたものかと。

    byパグ太郎 at2020-01-06 17:21

  7. パグ太郎さん、遅れましたがこんにちは。

    このディスク、確か拙宅にもあったような…
    まあ、それだけ聴いていないということなのですが(笑)
    とりあえず、ディスク棚の出しやすい所にはLiving StereoのSACD盤が少々ですがあります。

    ミニマムVSマルチについては、双方の言い分があって難しいですね。
    特にオーケストラの演奏を2本または3本のマイクでとらえるのは至難の業なんだろうと思います。
    それを実現するベストなポイントとマイクセッティングを見つける能力がエンジニアには求められているのだろうと思うのですが、おもにコスト的な問題が前に立ちはだかるのでしょうね。
    メジャーなアーティストのギャラ、ホールやスタジオの使用料とディスクの売れ行きを考えたら長時間にわたる録音セッションを組んでのスタジオ録音は例外になっているのかもしれません。
    ごく一部のこだわりのあるアーティストやいわゆるマイナーレーベルには新しい録音であってもそういうものがあると思います。
    そして、「金は無いけど時間はある」ような状態で拘りぬいた成果を聴かせてくれるものもたしかにあります。
    もっともそういったレーベルでも環境の変化で音が完全に変わってしまうところも多いのですが。
    具体名を出すのはあまり良くないと思うのですが、オーディオファイル向けとされるようなレーベル、たとえばTelarcやBISなどでもホームグランドにしている録音会場と遠征した先での録音では出来が結構違います。
    基本的には初期の無名な時代の方が私の好きな音のものが多いです。


    拙宅の環境ではマルチよりもミニマムなマイクセッティングの録音の方が自分にとって好ましい音になりますが、パグ太郎さんの言われる通り新しいアーティストのとの出会いを考えたときにはそんな贅沢は言っていられませんね。


    またイロイロと教えてくださいね。

    byfuku at2020-01-10 10:30

  8. fukuさん レス有難うございました。

    ファイファーがもう一つ拘っているのが、収録会場ですね。ボストンのシンフォニーホール、シカゴのオーケストラ ホールなど、各オーケストラの本拠地でセッティング ノウハウを蓄積した結果なのかもしれないと思います。

    最近の楽団のプライベート レーベルのライブ録音が、楽団とホールの特性を一番捉えているケースもあるような気がするのです。時間をかけてセッション録音を行うという「贅沢」が許されないという事情とウラオモの話かもしれません。

    byパグ太郎 at2020-01-10 19:09

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