nakanohito
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ひっそりと音響設計をしている中の人です。  生まれ付いての不精者で飽きっぽいので多分大した事書きません。  と言うか迂闊な事書くとどこかの出版社から怒られが発生したりしませんよね??(ガクブル…

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吸音グッズのお話

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2018年01月08日

先日吸音材のお話と題してご紹介した通り,サイズと低域特性の両立が困難なのはスピーカーも吸音材も全く同じです。
単純な多孔質吸音材は言うに及ばず,共振の助けを借りても低域まで十分な特性を得るためには明らかに邪魔なサイズになってしまいます。

他社製品を扱き下ろすわけにも参りませんから私の設計を例に挙げますが,こちらのパネルは1枚当たり約0.16m3の体積で,約0.8m2のパネル前面の垂直入射吸音率及び位相はfig.1のような特性になっています。

単体でフラットにしたければ多孔質吸音材でも追加すれば良いのですが,200Hz以上は大きな表面積を有するソファ,カーテンなどにより比較的容易に吸音されますので,そうした吸音とのクロスオーバーを考え扱いやすい特性を与えました。
なお,300Hz以上で所々急峻な吸音率の低下が見られるのは音響管の断面方向に生じる定在波が原因でパネル固有の特性ではありません。


さて,こちらを3.6*2.7*2.4(m)の部屋の四隅に置いた場合の部屋の平均特性がこちらになります。

fig.2-1は6面に一般的なお部屋の壁を,fig.2-2は壁と天井を幾分強化した場合を想定したインピーダンスを与えています。
実線が空部屋,破線が吸音パネルを入れた場合,点線は同サイズのグラスウール(32kg/m3)を入れた場合の特性を示しています。
またモノポールは低域で無指向性と見做せる一般的なスピーカー,ダイポールは静電型やオープンバッフルなどダイポール型として振る舞うスピーカーを想定しており,モノポールと同位置で部屋の短辺方向を奥行きとして(横使い)30度内振りしています。


吸音パネルは音源近くにあるため100Hz以上に生じている背後壁との共振はかなり抑えられていますし,全ての例の全解析帯域で概ね改善傾向にあり,グラスウールと比較しても優位性が認められると言えそうですが,低次の定在波,特に半波長のアキシャルモードの抑制は限定的です。
そして何よりこれだけ邪魔なパネルを4枚も置いてなお,音響設計を行ったリスニングルームとは比べる可くもないというのが厳しい現実なのです。
“良い低域を望むならば音響を整えた十分に広い部屋を”という大原則は昔も今も変わりません。

因みにこの吸音パネル,部屋全体やリスニングエリアの音圧レベルの標準偏差(0.5Hz刻み 本当はlogで重み付けした方が良いのでしょうが,面倒なので40-100Hz及び40-200Hzで計算)などからも明確な改善が示されていましたし,RCのような“ばり硬”のお部屋であればより明確な効果を示せていたのでしょう。
・・・が,ものぐさな私ならきっと使わないし何より邪魔だからという理由により結局お蔵入りとなっております。
物理的な限界を超える何らかの主張をしておられるメーカーも散見されますが,どうやら私は物理という壁の突破に失敗してしまったようです。精進あるのみですね!がんばろっ!



後記
皆の衆喜ぶが良い!斯くして私は三日坊主の名を守り抜いて見せたのである!
と言うわけで今後はもっとペースダウンするものと思われます m( _ _ )m
そう言えば前回は文字数も順調に減り・・・ なんて些か自嘲的な事も書いていましたが,実はその内容は三ヶ日で最も重いものでした。
一般的な壁の支持構造も含めた解析はあまり事例が無く,と言うより強固な構造を取る事でネグリジブルなオーダーに押さえ込むので,しっかり設計していれば必要性が低いのです。
因みに先日のfig.3のデータは以前壁の振動の様子を説明するために行った解析なのですが,ログを見ると当時のワークステーションでは半日掛りでした。
今回の吸音パネルの設計は作りやすくブロードで扱いやすい特性を目指しており,最適化アルゴリズムを使った千通りを越える解析を行っていたようです。

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